前々回の記事でお伝えした通り(8人目の悪魔超人)、予想に反する事なく悲しい土日休みとなった。
ちなみに先に書いておくが、この「怒りの休日」3部作はただの愚痴だ。
快晴の休日に遊びに行けなかった男の愚痴が延々と綴られているだけだ。
ただ自分のストレス発散の為だけに書く。
ほんとの暇人のみ読む事をお勧めする。
それではそんな土日の休みを振り返る。
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土曜日、朝目覚めると外は信じられないほどの快晴。
雲一つなく、風もほとんどない絶好のアウトドア日和。
普段は意図せずに過酷な気象状況の中で戦う僕にとって、これほどの約束された快晴は年に一度あるかないかだ。
神に愛されない男に降り注いだ、奇跡の一日。
そんな奇跡の日を、僕は注射を一本打つためだけに費やそうとしている。
「インフルエンザ予防接種」なるものを嫁が予約していたからだ。
是が非でも今日じゃなくてもいいこの行事。
嫁からしてみれば普通の休日なんだろうが、この奇跡の日を失う事は僕にとって体中の内臓をえぐり取られるかのような苦しみだ。
朝から、そわそわと落ち着かない僕。
マシンガンのように溜め息が止まらない。
出て行きたい。遊びたい。山や川が僕を呼んでいる。
こんな日は午前中がゴールデンタイムなんだ。
出て行かせてくれ。
どんどんイライラしていく僕。
結果、とても些細な事で朝っぱらから嫁とケンカになる始末。
こんな日に僕のような男がじっとさせらても、何一ついいことなんて起きない。
遊びに行かしておいた方が家庭円満間違い無しなんだ。
僕のような男のが世間一般的にはマイノリティーな存在だとは分かっているから、嫁には申し訳ないと思う。
悪いとは思うんだが、どうしようもない。
午前中のゴールデンタイムの事はもう諦めた。
でもせめて午後だけでも何かしたという結果を残さないと、気が狂ってしまう。
ということで14時に(普段ならもう終わりの時間だ)、嫁とりんたろくんを連れ出して彦根へ向かった。
特に行きたかった場所でもないんだけど。
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彦根へ着いた。
もう15時。帰る時間だ。
しかし、わずかでもこの奇跡の一日を堪能してみせる。
何やら桜が咲いてたり、紅葉してたりでよく分からない状態だけど結構奇麗だ。
階段があったので、多少テンションが上がる。
とにかく体を動かしたい。
これは登山だ、と言い聞かせてみるが全く物足りない。
それでも家にいないという事が重要だ。
彦根城内へ侵入。
りんたろ攻城記も5番目の城だ。
なんとかりんたろくんが楽しんでるから、報われて来たか。
と思ったら、フレームアウトするほどの激しい転倒をかましてきた。
あんなに楽しそうだったのに、大泣きしてしまった。
お父さんだって泣きたいんだ。
快晴をバックに天守閣登場。
嫌みなほどに突き抜ける蒼穹の空。
こんな日に山の頂上に立ったら、さぞ景色いいだろうなあ。
そんな思いは飲み込んで、琵琶湖が展望出来る丘へ移動。
りんたろくんの姿が、まるで檻の中で野に放たれたがっている僕の姿に見えた。
せっかく来たので、天守閣へ行った。
すると20分待ちの大行列だ。
僕の最も嫌いなものは「人混み」と「行列」だ。
快晴なだけに尚更腹が立つ。
どうしても見たいわけじゃないが、ここはりんたろくんの為に頑張ろう。
随分待ってやっと入口の中に入ったら、ゾッとする光景が広がっていた。
ううう、気持ち悪い。
山行きたい、川行きたい。溜まっていくイライラ。
しかも階段がハシゴ並みに急すぎて、嫁は怖いと言ってリタイヤ。
我慢に我慢を重ねて天守に登ったら、全く何もない。景色も大したことない。
過去最高につまらない城に唖然とする。
僕の中の怒りのマグマがふつふつと大きくなっていく。
しかし、彦根城は天守閣よりも石垣や庭園にこそ見応えってやつが潜んでいた。
なんだ。すごくキレイじゃないか。
この手の「庭園」を美しいと思える心が僕にも芽生えたのか。
大人になったというか、おっさん臭くなってしまったという事か。
りんたろくんにもこの渋さが分かるのか。喜んでいる。
多少僕の中のマグマも収まって来たか。
せっかく来たんだし、あまり大人げなくイライラするのはもうやめよう。
しかしその思いは打ち砕かれる。
りんたろくんが自販機の前の水たまりに、ジャンプして飛び込んでびしょ濡れになった。
「なぜちゃんと見てなかった」と僕が嫁に攻められる。
あまりに唐突すぎて反応出来なかっただけなのに、この言われ様に再びマグマが沸騰。
ああ、もうどこか遠くに旅立ちたい。
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こうなったら、せめて晩飯くらいは華やかに行きたい。
近江牛のせいろ蒸しのお店へ行った。
普段ダイエットでお肉を我慢しているから、ここはおもっきり食らってマグマを鎮めるんだ。
お肉が蒸し上がる前にしばし嫁と会話をする。
普通、家族で今日の旅の感想なんかで盛り上がる所だろうが、なぜかこの時の話題は「なぜ我が家にはこんなにお金がないのか」「なぜ僕の給料がこんなに少ないのか」に絞られていった。
どんどんブルーになっていく僕。
それでもやっとお肉が蒸し上がったので、気を取り直してテンションを上げていく。
僕は食に対して一つのポリシーを持っている。
とにかく「出来立てを熱いうちに召し上がる事」が、作り手の人や素材に対しての敬意だと強く思っている。
何があっても、この出来立ての瞬間だけは最も邪魔されたくない時間の一つだ。
さあ、食うぞ。
これで今日という日が全て報われるのだ。
ふと見るとりんたろくんが切ない表情をしている。
何やら動きも怪しいぞ。
何だ?なんか臭うぞ。
野郎、この局面で脱糞しやがった。
まわりには他にお客さんがたくさんいる。
このままでは店内は大パニックだ。
僕は急いでりんたろくんを担いでトイレに向かった。
出来立ての近江牛を置いて、無念の出来立てうんこ処理。
そして長い戦いから戻った僕には、冷めてしまった近江牛しか残されていなかった。
僕は近江牛に非礼を詫びて、失意の中それを食べた。
唯一の楽しみですら許されないのか。
こうして僕の欲求不満のマグマは破裂寸前まで追いやられた。
明日の日曜日は「航空ショー」だ。
僕のマグマは少しは鎮まるだろうか。
それとも限界を超え、地表に亀裂が生じて爆発してしまうのか。
僕の体からはせいろ蒸しのような煙が漏れて来ていた。
怒りの休日〜亀裂編〜へつづく
怒りの休日〜マグマ編〜
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MATATABI BASE
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