◉日々のツレヅレ

カンムギ日記〜2019夏/8月編〜

ついに年が明けちゃいましたね。

もうお正月も過ぎたってのに、今から「8月」の記事を書きますぜ。

なんだか時間の速さも季節感も、もんじゃ焼きみたいにグチャグチャですよ。

正直今猛烈に色んなことが動き始めていて、そっちの方を早く報告したいんだけど…

だけど、やっぱそこも「過程」があってのことなので、そこまでの動きは意地でも書き残しておきたいのであります。

8月

8月2日-3日

郡上カンパニーの共創ワークショップで結成された「郡上の教育力をRe;ブランディング」チームの活動が始まった。

この日は郡上の「川ガキ」の調査。

日本では絶滅危惧種になってる川ガキの文化が、この郡上ではまだしっかりと息づいているのだ。


「徹底的に子供たちの主体性を重んじる」という方針の私立保育園の川遊びの模様を見に行った。

ここでは保育園児でもガンガン川に飛び込んでいく。素晴らしい。



こんな光景、都心の保育園だと、先生が「ひゃああ!危ないからやめなさい!」とか「ひいい!お願いだから怪我しそうなことはやめて〜(責任負いたくないぃ〜)」となるところ。

しかしここでは先生たちは絶妙なフォーメーションで上流と下流に待機し(その位置取りは川のプロであるユルさんも感心していた)、必要な時だけ手を差し伸べたり「きっかけ」を与えるにとどまり、それ以外はなんの口出しもせず「見守り」に徹していたのだ。

おかげで子供たちは全開解放状態となり、多少の怪我なぞものともせず、好奇心の赴くまま色んなことをして遊ぶ。

何が楽しくて、何が危険で、どうしたら小魚が獲れるのかを自分で考え、仲間たちと助け合うことで協調性も学ぶ。


教えられずとも「岩に寝そべると冷えた体があったまる」ことを発見する子。



この恵まれた環境が「当たり前」としてあるという贅沢。

園児の段階でこの英才教育なんだから、成長したら立派な川ガキになること間違いなし。


川を遡上してくと、色んなところにこの「川ガキ出没中」のサインが。

ここでは女の子だけの川ガキ集団と出会った。小2の子と部活帰りの高校生の4人組だ。

結構な高さだが、小2にして豪快な飛びっぷり。やはり本場郡上の川ガキたちはモノが違った。



ここでは川ガキ独自の「異学年交流」の世界観がそのまま展開していた。

お姉ちゃんたちが下の子の面倒みたり飛び方教えたり安全確認したりして、下の子たちは上の子の姿を見て学び、そして全力で遊ぶ。

この小2の子たちも大きくなったら、また次の世代に同じように伝えていくんだろう。

一応この子たちのお父さんも近くにいたが、お父さんはただ浮き輪でぷかぷかしているだけ。

ここの大人たちもかつては川ガキだったため、何が危ないかとかちゃんと知ってるから余計なことは言わないのだ。


別の場所では、これまた異学年同士の小学生たちがバンバン飛び込んでいた。



ここでも上級生がちゃんと川底の状況を確認してから、まずは自らが飛んで見せて下級生にアドバイスを送る。


郡上は地域ごとにいい感じの飛び込みスポットがあって羨ましい。



ここには「子供たちだけの社会」がしっかり存在し、相手を思いやったり頼ったり助け合ったりする「社会性を育む土壌」ってのがしっかり存在していた。

かつての日本ではどこでもこのような光景は見たはずだが、今は公園ですらこうした「子供社会」を見ることは少なくなった。


心臓をバクバクさせながら勇気を出して初めてこの高さから飛んだ女の子。一歩を踏み出す勇気。また一つ大人になった。

お母さんたちは川原で談笑しながらただ見守る。未来の川ガキも川の音を聞きながらスヤスヤ。

で、その川ガキたちが大きくなると、このような立派なヤンチャおじさんに成長するのである。

この日はゼンさんちの立派な古民家でBBQ。猪のハムが絶品だった。

翌日も川ガキ調査に。長良川に魅せられ、しょっちゅう通うようになったという若者たち。川は人を童心に返す。

河童もいた。

溢れ出る青春感。こういう光景、「ウンウン、いいぞいいぞ」って目を細めて見ちゃうのはおっさんになった証拠。



続いては、うなぎ伝説(鬼退治のためにうなぎが藤原高光を鬼のところまで導いた)がある支流の粥川(かゆかわ)へ移動。

ここら辺の集落の人は今でもその伝説にあやかって、うなぎは神の使いだからとうなぎを獲って食べる事を禁止している。


うなぎに導かれながら川ガキポイントまでシャワクラで移動する。

鬼(嫁)を退治したいけどいまだにうなぎに案内されない人。ここはドンコもビッグサイズだ。

人生初、オオサンショウウオとのご対面。超怖かった…。噛まれらた雷鳴るまで離れないってよ。

親子ほども歳の違うニコリンHちゃんに網でグリグリされて「や、やめろヨゥ」とまんざらでもない表情のオオサンショウウオ。



やはり本場の川ガキたちは良い。

そして改めてこの川ガキ文化には教育的価値があることも再確認。

そこにはこれからの時代を生きるために必要な要素(社会性、判断能力、自己肯定感の向上、一歩を乗り越える勇気、五感で感じる力、クリエイティビティ)が詰まっている。

ここで僕らのチームの方向性が「川には教育的価値がある。それを再定義(リブランディング)し、この文化を公教育などの現場に取り入れられないか?」に決まった。

ここから2ヶ月後の発表に向け、教育チームは何度も何度も夜な夜なオンライン会議などをしながらプロジェクトを進めていくことになったのである。

 

8月4日

ってことで、人の教育の前に我が子教育。

実際に彼らも郡上の川に連れて行き、しっかり体で感じ取っていただきました。


郡上での学びはできるだけ家族も巻き込んでこうと思った。ちなみに嫁は到着早々から日陰で死体のように爆睡している。

お父さんもはしゃぎすぎて髪型がジョルノ・ジョバーナ化。



8月6-7日

そしてついに第一回目の「川の学校 カンムギ冒険教室」の日を迎えた。

野田さんの川の学校を知って「いつかは自分でも川の学校を開催したい!」と思ってから約10年、そして準備に半年以上を費やして、ようやく夢の一歩目を刻んだ二日間となった。


一個人がこういうイベントをする難しさはあったが、周りの人の支え、意義を理解して参加させてくれた親御さんたちのおかげで無事に開催することができた。本当に感謝。

慣れないことで大変だったのと精神的にキツかったこともあり、イベントが終わった後、家で一人お酒飲みながらいろんなこと思い出して結構泣いた。

なんだかんだと、この教室を通して一番多くを学び、そして救われたのは僕だったのかもしれない。

 

8月13日-14日-15日

8月は兎にも角にも川川川!

カンムギでの先生役が終わったら、再び郡上で生徒に戻って学びの日々。

この日は共創ワークショップの第二回目の合同合宿だ。


早速向かうは川。本日もユルさんオススメの沢へレッツゴー。

皆それぞれに何かをここから感じ取り、自分の中の「真ん中」に戻って自分らしさを取り戻していく。

僕は狂ったように潜って魚を追い続けた。その間、僕は間違いなく「僕」だった。唇は超紫だったけど。

この日は以前から気になっていたフィンランドサウナも登場!ここでたっぷり汗を流して、

一気に川にダイブ!誰もが笑顔になる気持ちよさ。これはいつか絶対カンムギでも実現させたいと思っているよ。

夜は公民館で鶏ちゃん宴会。今回は自分が何を学んでるかを見せたくて、家族同伴で参加した。

翌朝。朝ヨガで気分良くなった直後にiPhone落として割る。よくあること。

2日目は各プロジェクトチームに分かれてアイデア出し。他チームとも意見を交わし、より内容を深掘りさせていく。

夜はBBQ。この頃には他チームの人とも打ち解け、いろんな本音の悩み相談なども行き交う。素敵な時間だった。

3日目。チーム別の活動に戻り、教育チームは川ガキの本場「郡上八幡」の調査に向かった。

ここで出会った小2のRくんが衝撃的だった。彼は大人に監視されることなく一人でひたすら飛び込み続けていた。

その子が「ドジョウがたくさんいる僕の場所に行こう」と僕らを案内してくれた。彼はこの川を愛していた。

まさに川ガキの真髄のような男の子だった。自己肯定感に溢れ、そして強く優しく想像力のある子だった。



このRくんとの出会いはとても大きなものだった。

最初は話しかけても全然無反応で愛想のない感じだったが、一緒に飛び込んだりして遊んでるうちにだんだん僕らのことを認めてくれるようになった。

そしていろんな事を教えてくれたり、案内してくれたりするんだが、その顔には「どうだ、僕のこの川はすごいだろ!」という自信が満ち溢れ、郷土への愛情が溢れていた。

今では郡上でも残念ながら大人が一緒じゃないと川に行くな的な教育が始まってしまったようだが、Rくんはたった一人で「何が危険かとかはもう知っとるわい」とでも言いそうな目で、自由に川を楽しんでいた。

あれしちゃダメ、これしちゃダメ全盛期の現代、やはり川ガキ文化の教育的価値は非常に大きなものだと感じた一コマだった。

 

8月14日

海無し県人の宿命なのか、我が子たちは悲しいかな川よりも海が好きだと言う。

限りある時間を割いて、久々に実家の岡崎に帰り、そして万を辞して向かった海。

しかし現場は「暴風」だったというあたり前体操が展開していた。


横殴りの砂が顔にバチバチと当たって悶絶するこーたろくんと我が母。

りんたろだけは「僕はマゾだから平気」と言っていた。息子は確実に父の背中を見て育っている。



台風が近づいていた。

8月16日

第二回目の川の学校3日前。

台風の襲来で、カンムギの舞台である武儀川は大氾濫となった。


2回目の開催はもはや絶望的か…



そんな中、僕の事務所がある集落では精霊送りというお盆のお祭りが行われた。

今回は大家さんと一緒に参加させてもらった。


普段はほとんど人がいないのにこの日はみんな帰ってくる。

竹に提灯とお線香をくくりつけて、太鼓の音と共に集落を練り歩く。



この精霊送りはこの美山地区の各集落で行われ、なんとも言えない日本の原風景的な匂いを感じるものだ。

郡上の郡上踊りなんかは華やかであれはあれでいいもんだが、観光客なんて一人もいないこのような祭りはしみじみと味わい深いものがある。

やっぱり僕の開催するツアーは、ただ山や川を楽しむだけじゃなく、こうした部分も入れ込んで「旅」を感じてほしい。

2020年はそういうものを入れ込んだテストツアーもやってみたいと企んでいる。

 

8月17日

川の学校や郡上カンパニーでの活動の中で、子供の教育に俄然興味が出てきてしまった僕。

僕のようないわゆる「変態」に分類される人間が「教育」とか言い出してる時点で気が狂ったのか?と思われてしまいそうだが、これからは個人的には「変態力」「遊び力」が強い奴がたくましく生きていける時代が来ると思っている。

って事で、今回はゼンさんが開催している「メタセコイアの森の仲間たち」のサマーキャンプを視察しにきました。


決まったプログラムはない。子供達が「遊び会議」で自発的に遊びの内容を決めていく。

カブトムシをゲットするこーたろくん。野球帽、虫かご、虫網。この夏の昭和感がたまんない。

工作するも自由、探検するも自由。何を禁止されるわけでもなく、のびのびと遊ぶ子供たち。

りんたろくんはいつの間にかハーレム状態に。大昔の成金の遊びだ…

これだけの人数のドラム風呂の光景はなかなか凄まじい。



郡上は本当来るたびに多くのことを学べる。

カンムギにもいつかプレーパークを作りたいと思ってるし、川の学校だけじゃないこうしたサマーキャンプもやって行きたいと思っている。

できればスタッフは地元の高校生とか使えたら最高。

そういう奴らがいずれまた故郷に戻ってきて、そこで川の学校含めたこうしたスタイルを継承していってくれたらおじさんはもういつ死んでも後悔はないのであります。

 

8月19日

台風による増水で2回目の川の学校は中止が懸念された。

前日のギリギリまで、1時間おきにひたすらスマホと睨めっこして水位表をチェックし続けた。

そして「頼む!今までの不幸とか温泉臨時休業とかの見返りでなんとか水引いてくれ!」という願いが通じ、ギリギリ開催できる水量まで落ち着いて、なんとか無事に開催することができたのである。


1回目より参加者も多かったし、流れもあったし途中土砂降りとかもあった。

そんな難しい状況での開催だったけど、結果的には大成功。

子供たちは大人が思ってる以上にどんな状況でも全力で遊べるし、信じてあげればちゃんと本能的な対応力を見せてくれるのだ。

1回目が終わった後は一人でしみじみと泣いたが、2回目は今後に対しての確かな手応えを感じたのと「これはちゃんと継続させていかないと」という使命感が残った。

僕のカンムギでの活動は、まだ一歩目を踏み出したにすぎないのである。

 

8月30日

川の学校が終わってからしばらくは、その事後処理と溜まりまくっていた仕事を終わらせることに忙殺された。

夏は毎年のようにアルプスに行っていたが、結局今年はひたすら川川川だった。

そして仕事の合間も、神崎川の各所で潜っては今後のための調査(という名の現実逃避)に邁進。


何度も大水で洗われた神崎川は美しい「神崎ブルー」となる。

今年から鮎の年券買って「引っかけ漁」に挑戦。

あっという間に唇の色がなくなっていく。年券買ったのに結局一匹も獲れなかった…



こうして瞬きする間もないほどの速さで夏が過ぎ去っていった。

勉強と調査と試行錯誤の日々。

正直体調はすこぶる良くなかったんだが、なんとか乗り切ったって感じ。

若干川の学校が終わって燃え尽き症候群的な部分もあり、ここから秋、初冬にかけて相当体調を崩していくんだが、そこはもう勉強の年と割り切った2019年。

持ち前のマゾん気でまだまだ戦いの日々は続くのであります。

 

って事でようやく8月が終わった。

はよ書いてかんと2020年の夏になって周回遅れになってしまう…。

今年は年賀状も作る時間なかったし、毎年やってたボクデミー賞も書けなかったや。

とりあえずDSY大賞だけここに書いとくと、嫁が寝ている僕の股間を踏んで来たときの一言。

「小さすぎて見当たらん。捜索願い級だな。」ですね。

 

それでは改めて本年もよろしくお願いします…

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コメント

    • スリーピース
    • 2020年 1月 15日

    昨年は、峰々連載にカンムギ修行で、オリジナルルート開拓元年でしたね。
    はたして、前人未到のユーコンルートの頂で彼を待っていたのは…?!

    ザックをブレイズ60に買い換えたかったけど、すぐ売り切れ(ユーコン効果?)
    またしても、秋山のパッキングに困る50Lになってしまいました。
    荷物も小倅みたいに、コンパクトだったらなあ

    無理しない程度に、今年頑張って下さい

      • yukonkawai
      • 2020年 1月 16日

      スリーピースさん、まいどです。
      ほんと、去年は開拓に次ぐ開拓、そしてひたすら勉強しまくった1年でした。
      今年はその成果をもとに具体的な土台を作っていく年になると思います。
      いろんなテストをしていくと思います!頑張ります!

      ブレイズ60、売れてるみたいですね。
      いろんな賞も取ってたしねー、あれはいいバックパックですよほんと。
      秋山はなんだかんだと荷物持ってかんといかんので50だと不安はありますよね。
      防寒具あんま削ると現地で痛い目に遭いますし。
      まあそうなったらなったでマゾを楽しむ心意気でw

      無理しない、ほんとそれ今年のテーマです。
      頑張るけど頑張らない。
      そのくらいの心持でやっていきます!

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