7月、8月の夏山シーズンが到来する。
登山2年目の僕としては行きたい山が目白押しだ。
チャレンジしたい山が沢山あるが、その前にチャレンジしなくてはいけない問題がある。
それはどれだけ早い段階で、多くの「遊んでいい日」を頂けるかどうかのチャレンジだ。
もちろんその鍵は嫁が握っている。
嫁のさじ加減一つで僕の夏の生き方が決まるのだ。
僕は「大事な話がある」と嫁に切り出した。
「もうじき君の誕生日だ。日頃の感謝の気持ちとして何でも好きなものを買ってあげよう。お金もそんなにないから大したものは買えないだろうが、この感謝の思いを受け取って欲しい。」
そして小さな声で付け足した。
「あと、7月、8月にちょっと山に行くんで、ご迷惑おかけする気持ちも添えまして…。」
半分は本当の感謝の気持ち。
半分は強烈な夏山に対する下心。
ゴキゲン良くなってもらって、より夏山に行ける環境を作るための重要な第一手だ。
僕がお金無い事もよく知ってるから、そう無理な物は要求して来ないだろう。
しかし嫁は驚きの呪文を唱えた。
「○○万円の指輪が欲しい。」
痛恨の一撃。
ズガンッという音とともに僕のHPは真っ赤になって「しに」という文字が刻まれた。
ミイラ取りがミイラになるとはよく言ったものだ。
カヌーの新艇が買えてしまうほどの高額請求。
予想よりも10倍の威力だ。
「ギラ」が来ると思っていたら「ベギラゴン」を食らってしまったような気分だ。
思わずはっきり言ってしまった。
「それ買ったら遊びに行かせてもらえますか?」と。
答えはイエスだった。
策士策に溺れる。
これによって、逆に買わないと遊びに行けないという図式が成立してしまったわけだ。
週末。
わざわざ名古屋まで行って指輪のご購入。
今シーズンの雪山装備購入に向けてコツコツと貯めていたお金が、あんな小さな輪っかになっちゃった。
あのような輪っかでは生死を分けた雪山では何の役にも立たないのに。
まあそう言うもんじゃないな。
あくまで感謝の気持ちな訳だし、嫁が「ピッケルなんて日常生活で無意味」と思うのと一緒だよな。
これで遊びに行けるなら安い買い物じゃないか。
そうか?
そうなのか?
感謝の気持ちって言っても、育児の比重は明らかに僕のがヘビーな気がするんだが。
いやいやそもそも遊びに行かせてもらってるから。
いや、でも…。
いかん。
自問自答が止まらない。
せっかく買ったんだから、ここは素直な気持ちでプレゼントしようじゃないか。
嫁も珍しく「あんがと」って言ってくれたし。(すごく軽い言い方だったけど)
僕は冗談まじりに笑顔で聞いてみた。
「こりゃ俺の誕生日の時のプレゼントが楽しみだねえ。」と。
すると嫁は指輪の箱を受け取りながら、間髪入れずに真顔で答えた。
「は。それは知らんがね。」
また僕のプレゼントは無しのパターンだね。
分かってた事だが、僕は遊ばせてくれさえすれば何もいりません。
そしてこの時から僕はなぜか原因不明の偏頭痛に見舞われた。
フラフラになりながら帰宅。
でも日課のランニングがまだだったからその痛みと悲しみを抱えながらのランニン。
それでもいつもより多く走ってしまったのは何故だろうか?
すっかり無くなってしまった僕のお小遣いへの喪失感が僕を突き動かしたのか?
それとも涙で道がよく見えずに余計に走ってしまったのか?
しかしおかげでスムーズに7月、8月の「お許し日」が確定した。
こうなったら堂々と遊んでくれよう。
もしこの7月、8月の「お許し日」がすべて雨だったら。
僕は本気で神も仏も信じないだろう。
愛と感謝と下心
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MATATABI BASE
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お財布の痛みと引き換えに、自由時間を手に出来て良かったじゃん
まぁなんだかんだで仲良いね[i:63992]
もし雨予定になったら、私の晴れパワーを半分渡すよ
今年の私は、引きこもり期間があるからなのか??
数少ない外出予定が雨予報でも、当日汗だくカンカン照りだもんで[i:63943]
丁度の天気になるでしょう
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まあ普段から「有料でもいいから自由を買う」って言ってるからいいんだけどね。
思いのほかな金額だったけど。
仲良いって言っても、手も握らせてくれない切なさは相変わらずさ。
ほんと、晴れパワー頼むよ。
ちゃんと標高3000mまで届かせておくれよ。