「あん時のアイツ」シリーズ第6弾。
今回は軽く三重県の「宮川」を紹介しておこう。
紹介といっても、肝心のツーリング内容のことは何一つ思い出せない。
でも印象深い出来事があった事だけは覚えているので、簡単に書き残しておこう。
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初めてこの川を下ったのは2004年。
しかも3月の極寒時に一人で下るという暴挙。
自覚はしていなかったが、この頃から十分に将来のマゾ4番バッターの素質があったようだ。
この川は「BOD」という水質調査の基準で、何度か日本一の清流と認定されている川だ。
とんでもなく奇麗だという印象はあまりないが、それでもやっぱり奇麗な事は奇麗だ。
僕が行った時は、確か雨の後かなんかだったから多少濁っていたんだろう。
それでもこれだけキレイなんだからさすがと言った所だ。
この川は伊勢神宮の禊(みそぎ)の川として知られ、非常に神聖な川だ。
言ってみれば日本版ガンジス川。
さすがに3月なのでバタフライをする勇気はないが、いずれ暑い時期に遊びたい川のひとつだ。
この川のカヌーツーリングで覚えている事と言ったら、とにかく流れがなかった事。
なので、川面が静まり返り「鏡」の様な世界を下っていく。
一見、とても優雅なツーリングに見えるがさにあらず。
これは何を意味するかと言ったら、とにかく漕がねば進まんという事だ。
大変だけど、なんだかんだ言って鏡面の川面を自分の艇のトレースが切り裂いていくのは快感だ。
ただそれもやっぱり長くは続かず、寒い事も手伝ってとてもつらかったのを覚えている。
どこまでも続く鏡の世界。
「鏡で己を見つめ直せ」と伊勢神宮の神様に言われているようだ。
休憩していると、この時期ににも関わらず他にもマゾツーリストがいた。
当然この時、マゾ同士話が盛り上がった記憶がある。
みんな寒さで震えながらも、笑顔だった。
ただの変態だ。
再び一人になった僕は、体を温める意味も込めてラーメンを作った。
いつもは具無しだったが、この日は奮発してチャーシューと野菜入りという豪華ラーメン。
寒さでつらい旅の中の、一筋の温かい希望の光。
心も体もほっこりと暖めてくれる、珠玉の一品。
この時間が大好きだ。
僕はこの写真を撮り終わり、箸を取ろうと動いた。
すると鍋の取っ手に引っかかる僕。
次の瞬間眼前に繰り広げられたのは、あまりに無情な光景だった。
これから温まろうとしていた矢先の大惨事。
渾身の豪華ラーメンが、より一層その被害を甚大なものとして僕に突きつける。
結局僕は土がついていない表面の部分の麺とチャーシューを食べた。
地面に這いつくばり、犬のように食らいつく姿は「餓鬼」そのものだった。
寒い冬の川原での惨めすぎる一コマ。
忘れられない屈辱のランチ。
初めての宮川はそんな思い出しか残っていない。
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続いてこの川を訪れたのは2005年。
よせばいいのに「新春カヌー」と銘打って、真冬の1月2日に開催した無謀なツーリングだった。
若さ故の過ちというのは誰しも経験する事だ。
この時のメンバーは僕と「シャクレのY」と「ビビるS」の三人。
早速カヌーツーリングの模様をお送りしたいんだが、何やら車を押している。
カヌー以前の問題。
車がスタックしてしまい、まさかの「新春JAF待ち」という波乱の展開だ。
お正月という事でJAFが到着するまで相当な時間を費やした。
その間、もちろん寒いから川原で焚き火して暖をとる。
まだひとかきもカヌーを漕いでもいない。
新年早々、我々は散々なスタートダッシュを切った。
ちなみにこの頃、僕の車は四駆ではなかったからしょっちゅう川原でスタックした。
その度にJAFのお世話になっている。
もしJAFにポイントカード制があったなら、黒毛和牛セットくらい貰えているんじゃないかというほどポイントが貯まっていた。
カヌー野郎に必要なものは、夢と冒険心とJAFの会員証だ。
写真を見ると一応カヌーを漕いでる写真があったから、その後なんとか漕げたんだろう。
しかしどう見ても時間的に夕方になってないか?
今の中年の僕らなら迷わず帰っていただろうに、頑張ってるなあ。
結局やっぱり寒くって焚き火している画像も残されていた。
でもなんかいいね、こういうの。
青春してますって感じが溢れてるね。
次に来るときは、是非とも寒くない時期に下ってみたいものだ。
なんか宮川は、基本的につらい思い出しかない。
けれどもこの川は伊勢神宮の神の川だから、下る人間を試しているのではないかとも感じる。
「もっと清らかな人間になってから出直して来い」
そう言われている気がしてならない。
再びこの川を下る日は来るのか?
まずは我が家の神様のお許しを得る事が先決だろう。
神の川の試練
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MATATABI BASE
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