甲斐駒ケ岳/長野

甲斐駒男塾 前編〜進め!果てしなき直進行軍〜

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禁断の男塾名物。

その名も「八威波阿論愚直進行軍」(はいぱーろんぐちょくしんこうぐん)。


その歴史は古く、元々は前漢王朝末期の牢番・馬蘇迂と江東寧が編み出した拷問の手法がその起源とされている。

当時は罪人に対して重い鉄球を担がせ、万里の長城の急登区間を延々と歩かせて罪の自白を促した。

しかし次第に馬蘇迂自身がその行為に快感を見いだし、江東寧とともに自ら鉄球を担いでその快楽に没頭。

やがて海を渡った馬蘇迂と江東寧は、「倭」と呼ばれる島国の「甲斐駒ケ岳」という山で己の男を磨いた。

以来、彼らの偉業を讃えてその場所は真の男を目指す猛者達の聖地となった。

地元の民は、江東寧の「こうとうねい」という響きに影響を受け、その場所のことを「黒戸尾根」と呼ぶようになった。

ちなみにこの噂はシルクロードを通じて西欧にまで伝わり、現代ドイツ語で被虐性欲を意味する『マゾ』は、馬蘇迂の名が語源であるとも言われている。


民明書房刊 『世界の体罰と悦楽奇譚』より



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時は来た。

南ア男塾と白馬男塾を乗り越えた者のみに許されるという男の殿堂。

標高差2400mの長大な尾根をただただ愚直に直登して行くという、伝説の男塾名物「八威波阿論愚直進行軍」。

今、我々男塾一号生4名がそのスタート地点(尾白川渓谷駐車場)に降り立った。

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基本的に誰一人まともに睡眠時間が取れていないという仕上がりの良さ。

これから12時間、重量級の雪山テン泊装備を担いで行軍しようと言うのに早くも全員に「死相」が滲み出てしまっている。


それでは今回の直進行軍に選ばれた一号生達を紹介して行こう。

まず緑の男が、この甲斐駒修行を企画した松尾鯛雄(ジョンボーA)である。

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人一倍アヘアヘスタイルにうるさいこの男。

基本的にこの男が毎回無茶な計画を立てるから、白馬以来「松尾JTB(ジョンボー・トラブル・ビッチツアー)」とも言われている。

何故か毎回必要以上の荷物を大量に担ぎ込み、その重みに対して快感を見いだす自己追い込み型マゾ男。


そしてその松尾と南ア男塾以来コンビを組んでいるのが田沢慎一郎こと僕。

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男塾一のインテリと自称しているが、実際はBBQしに行っても家にBBQコンロを忘れて来てしまうほどのスカスカ脳。

3ヶ月の謹慎期間+むち打ち+風邪からのインフルエンザというおマゾ三段活用で圧倒的に体力不足。

いつものように登山2日前に病院送りとなり、手の指に溜まった謎の膿を取り除く処置をされた病弱系マゾ男だ。


そして白馬男塾から参加した、いつもスタート時に眠っているこの男が虎丸龍次(ランボーN)だ。

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なんとこの男、ここ数日「獄悔房(会社)」に繋がれていたようで、ほぼ2日間寝ていないという信じられない状態。

そしてこのスタート地点ですでに「腹減った」とシャリバテを訴えるという驚愕の新陳代謝。

基本彼は、「垂直」とか「岩場」とかの命のやり取り現場に遭遇しないと本来の力を発揮しないという変態型マゾ男だ。


そして今回、ついに男塾入塾の夢が叶ったのがこの極小路秀麻呂(パパラッチK)である。

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まだあどけない顔でこれから始まる男塾を完全になめているこの男。

今回は酒に溺れて腐ってしまった彼の根性を叩き直すための男塾でもある。

雪山では毎度腰まで雪を踏み抜くのが得意の埋没系マゾ男。

今回彼は人生初の雪中テント泊装備を担ぎ、結婚できる立派な男になるべく誰よりも燃えているのである。



そんな4名で、まずはここの神社に祀られているいう男神、馬蘇迂と江東寧に安全祈願。

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秀麻呂も「素敵な女性と結婚できますように。でも審査は厳しいです。」と必勝祈願だ。

そしてその足で、異常なまでに揺れすぎる吊り橋にて闇の中へと吸い込まれて行く4人。

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誰よりも三半規管が弱い田沢は、この「暗闇ユラユラ」で早くも嘔吐寸前。

早速一人目の犠牲者か?と戦慄が走ったが、田沢は根性で吊り橋を渡りきる。


すると黒戸尾根は、いきなり「凍った登山道」で奇襲をかけて来た。

この「アイゼンをするにしては雪が足りず、かと言ってアイゼン着けないとツルツル滑って危険」という絶妙な嫌がらせライン。

結局我々は背に腹は代えられず、なんとまだ1合目だというのに早くもアイゼン装着。

まだまだ先は長過ぎると言うのに、いきなり足かせをはめられた気分だ。

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しかしそんな黒戸尾根の嫌がらせ攻撃に対し、松尾がニヤリと不敵に笑う。

余計な荷物を担ぐのが大好きな彼は、12本爪アイゼンとは別に軽アイゼンも持って来ていたという準備の良さ。

さすがはこの男塾シリーズを戦い抜いて来た男に抜かり無し。


しかし彼は軽アイゼンを持って来たくせに、肝心の「一眼レフカメラ」を忘れて来たという大失態が発覚。

これによって松尾の荷物が軽くなってしまったばかりか、道中の撮影するのが田沢だけに。

田沢は撮影の負担が増えた上に、他人ばっか撮影して自分の姿だけが「思い出」として残らないという悲しい事態に。

一生懸命写真を撮って動画まで撮影しても、そこに田沢の姿はないのである。


そんな松尾と田沢のコンビ芸が炸裂する中、黒戸尾根の容赦ない攻撃も止まらない。

闇の中、実に長く延々と地味な登りが続くのだ。

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やがてスタートから2時間が経ち(写真撮ってないからあっという間だけど長かったのよ)、やっと日が射し始める頃にはこんな悲惨な急登モーニングに。

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本場名古屋の喫茶店でもここまで豪勢なモーニングセットはない。

しかもそのセットは急登だけじゃなく、まさかまさかの「靴擦れ」まで提供して来るという太っ腹。

あまりにも急登が続いて常に踵に負担がかかり、靴擦れマニアの田沢だけじゃなく虎丸と秀麻呂までも軒並み悦びで顔を歪める。


そんな中、スタートから2時間半でやっとこさご来光。

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といってもこんだけ歩いたのにまだ「3合目辺り」。

秀麻呂もここまで積み重ねて来た疲労が著しく、この一日の始まりを告げるご来光に対して「正直最後まで行ける気がしません」と早くも敗北宣言。

あまりに辛すぎて、その顔はもはや「五木ひろし」になってしまっているほどだ。

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今にも横浜でたそがれそうなこの表情。

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この人自身が「行って行ってしまった」的な厳しい状況だ。


一方で後方には余裕のローラ松尾の姿が。

どうやら今日の彼は「何をやっても疲れない」というローラズ・ハイに突入した模様。

松尾は田沢に言う。

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この松尾の絶好調宣言に対し、田沢は完全な絶不調宣言。

可能な限り計量化を図って来たつもりだったが、やはりインフルエンザで寝込んだ時に失った体力が戻っているはずもなく、すでに顔は土色に。

しかしその顔すら、田沢は写真として記録してもらえないのである。


さあ、まだ日が昇ったばかりなのに泣き言ばかり言ってる場合じゃないぞ。

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我々は楽しい山登りに来たのではなく、あくまでも根性を鍛えにここに来たはず。

珍しくやたらと天気良いけど、我々は今日一日を「景色の見えない樹林帯」で延々と急登に費やす所存。

たまに晴れたところで、我らの目の前に絶景なぞは広がっていない。

男に必要なのはこの目の前に広がる絶望だけで十分なのである。

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普通なら楽しくおしゃべりしながら進む前半戦で、早くも皆下を向いて押し黙り、ひたすら己の根性と向き合っている。

もはや毒の沼を歩くドラクエパーティーよろしく、歩く度にみるみるHPが減って行く感覚だ。


しかしこんな時にこそ己のマゾに埋没してしまうのが田沢。

何とか自分も思い出の中に残りたくて、GoProで根性の己撮り。

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しかしやり過ぎ急登のせいで、しんどすぎて顔をあげられない。

結局誰だか分からないじゃない。

そして根性で振り返って写真を撮るが、大快晴でもの凄く絶景が広がってそうだけど我々の周りは樹林帯が覆い被さって何の景色も見られない。

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こうなってくるとこの快晴は「ただ暑さを助長するだけのもの」となり、我々の急登地獄に余計な花を添える。

せめて風でも吹いてくれれば助かるんだが、こういう時は必ず無風なのである。


これには絶好調宣言していた松尾もご覧の表情。

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さすがの絶好調松尾も、まるで土俵際でうっちゃり負け食らった朝青龍のような表情になってしまうのが黒戸尾根。

しかしそんな黒戸尾根も、たまに樹林帯の隙間から絶景をチラ見せして来て我々を悶々とさせることを忘れない。

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よく見えないだろうが、はっきりと富士山が見て取れる。

しかしこんな時に限って田沢は、荷物計量化のために広角単焦点のレンズしか持って来ておらずズーム撮影が出来ない。

いつも真っ白な世界では持って行ってるのに。

さすが田沢である。


そして出発から4時間半。

延々と何も見れない樹林帯を彷徨った末、ついにこの黒戸尾根で唯一展望が開けるという「刃渡り」の入口に到達。

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振り返ればやっと景色が見えて来ていたが、虎丸はもはやその景色を見ようともせず苦痛の表情。

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これぞ2日間寝ていない中年の現実。

しかもここまでの急登まみれのせいで見事な靴擦れ。

そして止まらないシャリバテ。

彼は彼で黙々と己の根性を磨き上げているようだ。


そしていよいよ刃渡り。

両側が崖という一枚岩のナイフリッジ。

なぜこんな恐ろしい場所だけやたらと景色が開けてしまうのか?

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かなりの大絶景なんだが、高所恐怖症の田沢と秀麻呂は目が笑っていない。

それでもその先の安全地帯から振り返れば、八ヶ岳がこのズルムケ状態。

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とてつもない登山日和で、本日八ヶ岳に行ってる人達は最高の登山を楽しんでいることだろう。

しかしこの黒戸尾根にいる我々に許された絶景タイムは、この刃渡りの50mくらいの区間だけ。

狭くて休憩スペースもないから、あっという間に絶景に背を向けて再び暗い樹林帯の中へ。


やがて虎丸がシャリバテ死寸前になって来たので、ここで昼飯。

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せっかくの快晴無風だろうと、男は黙って樹林帯ランチである。

そしてこの時点で全行程の半分も来ていない現実に、本気の絶望に満たされる田沢。

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しかしそんな己すら己撮りしなくてはならず、例え昼休憩だろうと田沢は休憩しない。

これには男塾一の根性男富樫ですら舌を巻くほどだ。

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しかしこの程度のマゾでは、日本屈指のサド尾根は満足しない。

ここまでも結構な急登だったが、ここまではまだまだ小手調べ。

この後、いよいよ黒戸尾根が牙をむき始めたのである。

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とてつもない急登に、早くも先ほど食ったラーメンをぶちまけそうになる4人。

下を向いてはゲロがこぼれてしまうから上を見る。

するとさらに吐き気を促すこの超急登。

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いよいよ甲斐駒男塾が始まったって感じで、悦びと後悔が止まらない寝不足の中年達。

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そしてこの先で、黒戸尾根は巧妙な作戦に打って出る。

なんとここまでガッツリ登らせといて、一気に大下降させるという精神攻撃。

せっかく頑張って稼いだ高度を、みるみる奪われて行く絶望感。


やがて散々下らされた所で、やっと半分の5合目小屋跡へと到達。

そしてついに目の前には「ズドーンッ」と甲斐駒ケ岳が登場だ。

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もはや我々は一瞬、目の前に大豪院先輩が現れたかのような錯覚を起こしたほどの大迫力。

おもわず「オッス!失礼します!」と言ってビールをつぎに行きそうになってしまったほどだ。

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しかしここで相手の威圧に屈してしまっては一号生代表の名がすたる。

ここで松尾と田沢はガッチリと肩を組んで、いざ甲斐駒ケ岳に宣戦布告。

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正直松尾と田沢レベルで大豪院に勝てる気がしない。

もうここまでが長過ぎてヘロヘロなのだ。

しかもである。

この二人は甲斐駒ケ岳を見て宣戦布告しているが、何気にその手前の「ハイパー急登樹林帯」を見て見ぬ振りをしている。

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秀麻呂なぞは「うそだろう…。ほんとにあそこを直登して行くのか…。」とプルプル震えている。

しかしこれはあくまでも男塾名物「直進行軍」。

例え目の前に電柱があろうと飛行帽教官の実家があろうと、ただただ直進あるのみである。


やがてついにその地獄のハイパー急登の入口に降り立つ4人。

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何やらチラッと雪に埋まった垂直の階段的なものが見えるのは気のせいだろうか?

だがこれを見て武闘派の松尾と虎丸の心に火がついた。

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新入塾生の秀麻呂も「先輩達さすがッス!」と尊敬の眼差し。

松尾なぞは北斗の拳に出て来そうなザコキャラ感でいきり立つ。

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垂直野郎の虎丸に至っては、サングラス越しでも目がイッてしまっているのが分かる。

相手が垂直に近いほど彼の中の「小向のリピー」が覚醒して、彼は妙なクスリやってます感に包まれるのである。


さあ、ここまで散々急登だったが、いよいよここからが黒戸尾根が日本三大急登に名を連ねる真の実力を見せつけるお時間。

まずはこの階段と言うにはあまりにも斜度あり過ぎの地獄からスタート。

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雪に埋もれてるから掴める場所がわずかしかなく、くしゃみ一つしようものならそのまま滑落して行きそうな緊張感。

今ここで滑落したら、蒲田行進曲をも越える見事な階段落ちが展開してしまう。


で、必死な思いでそこを切り抜けると、今度は真下の景色がスカスカな空中ハシゴへ。

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そしてその先は、アンドロメダ瞬も驚く鎖まみれの世界へ。

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それがひたすら続く。

ただただ続く。

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そして「もう休ませて!」と言いたい場面で、正攻法の急登ボディブローの連打。

さすがのザコ松尾も「あべし…」というのが精一杯。

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で、そこから「落ちろクズども」と言わんばかりのこの恐怖橋攻撃。

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もう田沢と秀麻呂は泣きそうになっている。

だが泣くヒマすら与えてくれない黒戸尾根の波状攻撃。

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もういよいよ笑うしかない地獄絵図。

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ついに男塾名物「苦羅威民愚」の絶望世界が始まったのだ。

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こんなはずじゃなかったのに。

正直田沢的には「黒戸尾根はひたすら長いだけで危険箇所はないだろう」と思っていたが、何故今私は目を血走らせて必死に三点確保しているのか?

そしてなぜこんな過酷な状況でクソ重いテント泊装備を担いでいるのだろうか?

もう何だか疲労も溜まりまくって、色んな事が意味分かんない。


ちなみにそんな中、もう一つ意味の分かんない出来事があった。

突如前方から空身のおっさんが凄い勢いで駆け下りて来るではないか。

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おっさんは「あんたらテント泊か?」とぶっきらぼうに聞いて来る。

どうやら我々がテント泊予定地としている七丈小屋の主のようだ。

我らが「はい、そうです」と言えば、「俺はしばらく留守にする。第二小屋で待て。」とだけ早口で言って、そのまま立ち去ってしまった。

我々は何も聞き返す事が出来ず、その場にポツンと置き去りに。

その時我らはこれが何を意味するのか気づく事も出来なかった。

もちろんその七丈小屋の主が、この甲斐駒男塾の理不尽鬼教官こと「死血状(しちじょう)教官」だったことなぞ知る由もない。


4人はただ目の前の超急登に必死な状態。

死血状教官の仕掛けた罠に気づく事なく、相変わらずな変態急登と戦っていた。

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黒戸尾根が中盤からこんなアヘアヘな状況になっているとは思っていなかった。

感覚的には三大キレットの不帰ノ嶮の難易度を遥かに越えてる気がしてならない。

しかもこのアホみたいなテン泊重装備が邪魔でしょうがない。

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だがこの重りもこの先の七丈小屋のテント場までの辛坊。

今日は快晴無風だから、相当快適なテント生活が待っているぞ。

クソ長くクソ急登な尾根を、このクソ重い荷物担いで来たからこそ味わえる感動がそこにはあると言うものだ。


そして小屋に近づくにつれ、黒戸尾根は一切急登の手を緩めないどころかよりハードに。

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もう急登過ぎて、木を掴みながらじゃないと登れやしない。

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さすがの絶好調松尾も、まるで幕之内一歩から強烈なボディブローを食らったかのようなこの悶絶顔。

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いよいよノックアウトの瞬間まで秒読み段階。

しかし男松尾は諦めずに絶叫。

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だが、意気込み空しく彼は吐血してその場に倒れ込む。

それでも真の男になるため、4人はその足を止める事はない。


だがこの頃にはそんな我々はある決断を強いられる事に。

それは「もう時間的に今日中の甲斐駒ケ岳登頂は無理」という悲しい現実。

やはり思った以上にこの尾根は我らの根性の上を行っていた。


という事で、本日のゴールは七丈小屋のテント場という事に予定変更。

翌日は悪天候予報が出ているだけに辛い決断だったが、今はとりあえずテント場の事だけ考えて高度を上げて行く。

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この小屋までの最後の急登がまた実にハード。

秀麻呂に至っては顔面蒼白で、体全体から「こんなの聞いてなかったッスよ…」と虫の息。

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ここまでの急登地獄で、すっかり彼の根性も叩き直されたようだ。


そしてスタートから9時間。

我々はやっっっっっっとこさ本日のテント場、七丈小屋に辿り着いたのだ。

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本当に長かった….。

見事にここまで徹頭徹尾景色の見えない樹林帯の中、ひたすら急登との戦いだった。

こんな無風で大快晴の稜線歩き日和に、我々は重い荷物を担いで一体何をしていたのだろうか?


しかしゆっくり休んでる暇はない。

ここで男塾名物「麦汁漢波胃(ばくじゅうかんぱい)」の儀式を行わなければならない。

もちろん小屋の主人はまだ帰って来てないから、後払いってことで小屋から「府嶺魅阿夢盛津(ぷれみあむもるつ)」を調達。

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そして男塾塾歌を歌ってから「漢波胃!」と叫んで、

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己の体内に黄金の根性を注ぎ込む。


突き抜ける男気!

のどごしという名の魂!

五臓六腑に響き渡る大鐘音のエール!


あれだけハードな行軍の果てに待っていたこのスペシャルな快感を、どう表現していいか分からない。

しかしこの秀麻呂の姿を見れば、その感動は伝わるはず。

なんと彼は感動のあまりそのまま息を引き取ってしまったのだ。

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この形を見るに、恐らく彼はビールを棒に見立てて、上がらずの塾旗「喝魂旗」を上げている気分を味わっているに違いない。

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よくここまで頑張ったぞ秀麻呂。

これでもう君も立派な男塾の仲間である。


そして早速彼は、かつて硫黄岳でも見せた得意の「埋没遊戯」でその悦びを表現。

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突然の膝までの踏み抜きで、彼曰く「正直一番死ぬかと思いました」とクールに振り返る。


その後、「とりあえずテント場を探そう」と動き出せば、再び彼は上級技「超埋没遊戯」で男を示す。

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腰まで埋没して実に悲しい状況なんだが顔はあくまでもクール。

だが出来ればいつまでもこんなとこで埋まってないで、早く結婚してちゃんと家庭の愛に埋もれて欲しいものである。


そんな秀麻呂の入塾記念余興を横目に、必死で方々テント場を探すがそれらしき場所が全く見つからない。

これにより、ご主人が帰って来るまでテントが張れないと言うまさかな状況へ。


せっかく快晴無風の状況で、雪のテーブルとか作ってのんびり楽しもうと思ってたのに…。

そもそもあの人「しばらく留守にする」としか言ってなかったけど、彼の言う「しばらく」とは一体どのくらいの時間だろうか?

山の男の言う事だから、しばらく留守にするとは「2〜3日留守にする」という意味ではなかったのか?


急に不安になるが、とりあえず今我々に出来るのは彼が言っていた第二小屋で待機するしか無いという事。

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なぜこんなテン泊日和に薄暗い小屋の中で過さねばならんのだ。


と言いつつ、ここまでの疲労が爆発して、小屋に入るなり次々と死んで行く男達。

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王大人が死亡確認するまでもないほどの体力ギリギリ感。

でもここで本気寝してしまっては、到底テントを立てる気力がなくなるから30分ほどの仮眠でもそもそと動き出すゾンビ達。

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もはや山奥のトンネル工事にかり出された日雇い労働者たちの休憩時間のようなこの光景。

めったにない無風大快晴の世界で、一体我々は何をしているのか?


とりあえず腹が減った田沢はその小屋内に「賞味期限切れ・100円」と描かれていたペヤング焼きそばに手を出す。

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賞味期限が3ヶ月も過ぎていたが、これはきっと根性を試されているに違いない。

しかもその賞味期限の頃って、確かゴキブリ混入問題真っ盛りの頃のペヤング焼きそば。

翌日アタック時に、ゲリになってケツから脱糞アタックしてしまう惨事と紙一重の大冒険。

これぞ男塾名物「平病愚蜚蠊味(ぺやんぐごりぶりあじ)」である。


その後もただただご主人の帰りを待つ哀れな子犬達の姿が続く。

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さすがは「八威波阿論愚直進行軍」。

例えゴールしても我らに安息の時間を与えない。

この小屋についてから実に3時間の時が経過し、いよいよテント設営限界時間の16時を越えてしまったぞ。

これが世に聞く、男塾名物「放置不零(ほうちぷれい)」なのか。


鬼教官「死血状教官」の理不尽な攻撃が止まらない。

まさかゴールしてから3時間も放置されるとは夢にも思ってなかった。


そんな時、この小屋に一人の単独行登山者が入って来た。

なんとその人は男塾二号生筆頭「赤石剛次」である。

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赤石先輩は言う。

「ご主人はまだ帰って来てないが、どうやらテント場は雪に埋まってて使用できないらしい。」と。


戦慄が走る一号生達。

じゃあ最初からテント場は使えなかったって事か。

一体我々は何のためにこのクソ重いテン泊装備を担ぎ上げて来たんだ!

ただの重りじゃないか!

というかあのご主人、我々に「テント泊か?」と聞いて来たのになぜ「今テント場埋まってて使えないから小屋泊になります」って言ってくれなかったんだ?

テント場があると思って無駄な荷物を9時間背負い、そして待機していた3時間を返してくれ!


これぞ鬼教官が仕掛けた「八威波阿論愚直進行軍」の真の形。

無駄に重いもの担がせて登らせた挙げ句、そのまま「ご宿泊」という形で素泊まり代まで徴収してしまうと言う奥義「飛んで火にいる冬のマゾ」。

さすがは泣く子も黙る甲斐駒男塾である。


そうとなったら、凄く天気が良いけど、もう腹くくってこの小屋を楽しむしかない。

若干キレ気味の松尾は、ふぅぅっと息を吐いて怒りを鎮める。

そして厳かに「せっかく重い餅を担いで来たんで、焼き餅でも食べて落ち着きましょう」と準備を開始。

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その瞬間。

急に「バタンッ」と扉が開き、死血状教官が小屋内に侵入。

そして一切言葉を発する事なく、おもむろにまさかの大掃除スタート!


唖然とする小屋内の塾生達。

というか「いやあ悪かったねえ」という言葉もなく、無言で我々を押しのけてそこらじゅうを片付け始める。

そして「そこに荷物置くな!置くなら4500円払え!ワカンも外!そこで炊事するな!移動しろ!」と機関銃の乱射。

その勢いと「そんなん聞いてないから知らんがね」という理不尽さに、一気に小屋内は険悪なムードに。


せっかく怒りを鎮めて落ち着いて餅焼こうとしていた松尾の顔見ると、完全にキレている。

さっきまで「一言言わないと気が済まない」と息巻いていた秀麻呂もクール顔でキレている。

平和主義の田沢ですらその嫁のような理不尽さにプルプルしている。

虎丸に至っては、今にもダブルアックスを手にして刃傷沙汰を巻き起こしそうな危険な顔になってる。


しかしこれこそ塾生たちを「ひとつ」にしようとしてくれた教官の愛。

あえて自分が汚れ役となって、我らの団結力を試したのである。


よくよく考えてみれば、山の男らしいと言えばらしいし、たった一人でこの小屋を管理してるんだからまあ色々あるのだろう。

ここで文句を言ってしまっては男が廃る。

そもそも理不尽あってこその男塾ではないか。

最初からテント場使えないって分かってたら、かなり軽装で来れて楽だったねなんて口が裂けても言ってはダメだ。

ここはむしろ感謝しておこう。

とりあえず死人が出なくて良かった。


さて、色々納得できない部分もあるが、ここで改めて松尾の「努力の結晶焼き餅」のおもてなしタイム。

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松尾の汗と涙と怒りと加齢臭が詰まった珠玉の一品。

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その見事な松尾DNA餅は、秀麻呂までもが白目ぎみになる美味さだ。

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ちなみに秀麻呂の奥にいるのが赤石先輩。

ここからは先輩も交えての男塾名物「酒池肉林」。

ツマミを広げて次々とビールを空けて行く猛者達。

そして話題は「やっぱ理不尽だよなぁ」とか「今日はテントで泊まりたかったね」とかの愚痴から始まり、やがて議論はヒートアップ。

いつの間にか田沢と虎丸が、「なぜ我らには自由な時間が少ないのか?そもそもなぜあんなに嫁は優しくないんだろう?」といういつものテーマに。

しかもそれに赤石先輩も意気投合し、「俺なんてこないだ離婚してしまったぜ。」という男らしい発言。

さすがは二号生筆頭。

ここでたちまち赤石・田沢・虎丸の「反結婚連合軍」が組織され、未婚の秀麻呂に絡み出す。

「だから結婚しちゃダメだって」「優しいのは最初だけで子供生まれたら菌扱いだぜ」「見ろよこの白髪の数。養子ってよぅ…養子ってやつはよぅ…。」etc…

これにはたまらず秀麻呂も「やっぱ結婚しない方が良いんすかね…」とすっかり凹んで夢と希望を汚されてしまっている。

これが我らが出来る精一杯の新入塾生歓迎会だ。


やがて興奮した田沢は「もう明日のアタックはどうせ悪天候でアウトだろう。今日はとことん飲んでやる!あははは!嫁の罵声が聞こえない!誰にも気を使わなくていい!子供達の奇声も聞こえない!あははは!たーのーしーなー!」とビール、ワイン、果てはいいちこに至るまで飲み尽くして行くという仕込み作業に邁進。

これで明日の二日酔いは間違いなし。

これが身を削った田沢流天候回復祈願奥義「事前代償行為」である。



さあ、散々愚痴を吐いた所で改めて明日に備えて就寝です。

koya.jpg

明日は今日とは打って変わって「曇りのち雨」のマゾアタック日和。

しかも風速も15mという予報。

とりあえず朝起きて強風だったら撤退だと決めて、この日は皆シュラフにくるまるなりハンマーで頭を叩かれた魚のように即死した。



いよいよ明日は運命の決戦。

しかしここまでの急登はまだ序章に過ぎない。

ここから先はさらなる急登、そして雪の壁と岩の殿堂だ。


すでに体力ゲージは真っ赤っかな上、中には自ら二日酔いという重大なハンデを背負ってしまう者までいる。

だが明日は心強い助っ人、赤石剛次先輩も我々と共に甲斐駒山頂を目指す。


果たして彼らは無事に「男」から「漢」になる事が出来るのか?

そして生きて再びあの長大な道を帰って行く事が出来るのか?


男が男であるために。


ひたすら黙って直進あるのみなのである。





甲斐駒男塾 後編へ  〜つづく〜



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コメント

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは。

    甲斐駒男塾お疲れ様です!!
    僕にはあの梯子や鎖場を冬に行く勇気はありません。

    七丈小屋のテン場は少し上がったところにありますよね。
    雪で使えない?というのはシャベルでも掘れないんですか?
    重いテン泊装備を背負ってきて、説明もなく第二小屋待機を言われて、
    そのような対応は???ですね。
    ちなみに素泊まり代4500円払ったんですか?

    僕だったら納得するまで聞きますよ。
    テン泊装備あるんだからいざとなったら外で過ごせますしね。

    御池の時に「白髪けっこうあるなぁ~」って思っちゃいました。
    養子って大変だなぁ~って肌で感じましたよ。
    今度会ったときに白髪になってないことを祈ります。

    • yukon780
    • 2015年 3月 06日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    climb likeさん、まいどです!
    なんだかんだと本当に行ってしまったというか、まさかあそこまで急登まみれだとは思ってなかったです。
    どうしてもヤマレコと参考にしちゃうと、基本あの尾根行く人変態が多いから「危険」敵な事全然書かないんですよね。
    まあ注意しながらならさほど危険じゃないのも確かだけど、それでも高所恐怖症の僕からしたらお漏らしまみれでした。
    でも冬のがアイゼンとピッケルがあって、何となく夏よりかは気持ち落ち着きます。
    ちょっと耐性がついたかもしれませんが、多分ここら辺が僕の限界ラインですね。


    七丈小屋のテン場は方々探したけど全く場所の見当がつきませんでした。
    多分この先かなってとこあったけど、秀麻呂が腰まで埋まったりととてもその先まで進めなかったです。
    で、しかたなく待機してたんですが、やっぱり小屋の中で3時間もだれてしまってはもうテント立てる気力は根こそぎ持って行かれますね。
    その上あのまさかな対応ですからさすがにどうなのよ?って思いましたよ。
    4500円は小屋の奥のスペースで、そこに荷物置いてたからそう言われました。実際僕らのスペースは3500円でしたがまあ渋々払いましたよ。
    色々聞き返したい気持ちはみんな持ってたんですが、それを遮るほどの強烈なエネルギーでまくしたてられて言葉を挟む隙もなかったです。どうやら中年女性達を迎えに行ってたようで、もうその人達の事で頭がいっぱいってオーラでまくってました…。
    比較的厳しい山小屋の主って嫌いじゃないですが、あの時に限ってはちょっと理不尽さ感じましたよ。まあ男塾だからしょうがないです。

    そんなこんなでまた白髪も増え、今もまた風邪引いてダウンして家族から白い目で見られてます。
    次回会う時はきっとトキみたいに髪の毛真っ白になっている事でしょう。

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