熊野川/三重

熊野 HomeAgain〜カヌー野郎の原点回帰〜

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十数年前。


まだ若くて髪の毛が黒々としてた頃。

そして今ほどお腹が出てなかったあの頃。

もちろんサウザー様(嫁)に出会う前の奴隷じゃなかったあの頃。


その青年は買ったばかりのレクリエーションカヤックで初めて単独の旅に出た。

選んだステージは紀州の名川熊野川(北山川)。

野田知佑さんに憧れまくっていたその青年は、そこで数多くの良質な体験と失敗を繰り返し、すっかり川旅の魅力に引きずり込まれて行った。


やがてその青年は「カヌー野郎」となり、日本全国、果てはカナダやアラスカの川まで放浪する立派な社会不適合者となった。

そう。

熊野川は、まさにカヌー野郎が誕生するきっかけとなった「故郷の川」なのである。


そしてその青年は中年となり、養子としてカサンドラに収容されてサウザー様の元で奴隷として働くようになった。

以降彼は時間的な自由が無くなり、日帰りの川下りばかり。

1泊でどこかに行っても、気が狂ったかのように一日で数本の川を下るという荒行。

自由な時間を1秒も無駄にしたくないと、血の小便を流しながらのトリプルヘッダーに邁進。

少ない時間で新たな川への好奇心を鎮めるためには、どうしてもそんな無理な行程を繰り返すしかなかったのだ。


しかし本来はそんなせわしい川下りなんてしたくない。

あの頃のように、野営道具一式と酒をカヌーに積み込んでのんびと一つの川を味わい尽くす川旅がしたい。


そんな時、前回の記事のような顛末で僕は再び「熊野川」に呼び戻された。

まるで「あんたなんだか生き急いで空回っちゃてるから、もう一度ここで原点に戻りなさい」と言っているかのようだった。


HOME AGAIN

BORN AGAIN


久しぶりの大河。

久しぶりの川旅。


原点回帰の旅が今始まろうとしている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


摩訶不思議な1日半を費やし、僕は瀞峡(どろきょう)がある田戸の船着き場に到着した。

最後にここに来てから何年経ったか分からないが、やはり故郷に帰って来たかのように落ち着く空間だ。

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若い頃は30キロもあるレクリエーションカヤックを、死にそうになりながらここまで一人で下ろして頑張ってたのを思い出す。

それが今や3キロにも満たないパックラフトという進化した道具と共にここにいる。

時代の流れというものか。

しかし残念ながら自分本体の方がかなり重量アップしてしまっている。

時代の流れって事にしておこう。


ここは観光ジェット船が止まる場所なので、ビールや鮎の塩焼きなどが売っている。

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今日はもちろん車の移動の無いフリーダムな一日。

もちろんここで早速ぐびり一発。

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ビールの無い川旅なんて、ジョン・レノンのいないビートルズのようなもんだ。

プルタグを「プシュッ」っとした音が、まさに自由への号砲。

これが無いと川旅なんて始まらないのである。


そして観光客からパシャパシャ写真を撮られる中、韓流スター気分で出発。

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まるでロードオブザリングの世界に入り込んだかのような瀞峡の渓谷美。

その世界観の中に浮かぶは、違和感ありまくりのギターケース。

恐らく瀞峡史上初の、ギター持った流しのパックラフターのご光臨である。

とにかく僕は何事においても「史上初」という言葉にメロメロなのである。


そしてここからは奇岩怪石の中を流れて行く見せ場づくしの区間。

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最近こじんまりとした渓流ばかり漕いで来たから、このスケール感は久々で新鮮だ。

その代わり「瀞峡」というだけあってトロ場ばかりなので頑張って漕がなければならない。


でも急ぐ必要は無い。

今日は疲れたら休めば良いし、上陸して昼寝しても良い。

この広大な瀞八丁のどこでいつ野営しようと自由。

誰にも遠慮する事無く、全ては自分の判断ひとつである。


いい感じの川原があれば上陸し、のんびりしながらジェット船の乗客に手を振ったりする。

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乗客の人達もみんな手を振り返してくれて、ジョット船の操者が小粋に「プアーン」と汽笛を鳴らす。

人けのない世界でストイックにアウトドアするのも好きだが、こういう人情に触れる川旅も大好きだ。


その後もフラフラ流れて行っては上陸してカシュッとビールなどを飲む。

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そして気が向けばまた川の人となってのんびり流される。

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時折漕ぐ手を休めれば、静かに流れる川の音と鳥の声。

ピーヒョロロロという鳴き声とともにトンビが現れては頭上を旋回して行く。

パックラフトに横たわり、ただただ新緑と青空を眺めてユラユラと漂流する。

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ほろ酔い気味の感じと、気持ちの良い自然のバックミュージック。

さいこうにきもちいい。

No Needs Words.


とは言え、夕方が近づくにつれ徐々に向い風が吹き始めるのがこの私。

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でもこの川を何度も下ってる身としてはそれは想定内。

いつもの日帰りならここからゴールを目指してのマゾリングが始まる局面だが、今日はそんな必要は無い。

お気に入りの川原を見つけたら、さっさと今夜の宿を作って停滞してしまえばいいだけの事だ。

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急な増水時にも対応出来るように川から一段上がった川原で、それでいて川に近いベストスポット。

そこにちょうど風防になる段差があって、しかもご丁寧に流木まで集まっちゃってる場所を本日の宿と定めた。

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そして今回は実は人生初のタープ泊を目論んでいる。

今の僕はここからが川下りよりも楽しみな時間。

タープの設営は、それ自体が頭と経験をフル動員させたエンターテイメントなのである。


どの向きや位置が一番風の影響を受けないか?

それでいて居住性を考慮しつつ最適な空間が作れるか?

夜半に雨が降るか降らないかでも張り方は変わる。

しかも雨風が凌げるだけでなく、形が美しくなければならない。

何よりタープとは、どれだけ自分に酔えるかどうかの最重要アイテムなのである。


以上を考えながらああだこうだと試行錯誤し、時折川で冷やしてあるビールを飲みに走り、流木集めも頑張るという姿がこれである。



大満足。

というか楽しすぎる。

やたら時間はかかったが、これ自体が楽しいからそれでいいのである。

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このように服をロープで乾かすのもオツな演出の一つ。

実は特に濡れていないんだが、そんな事はこの際どうでも良い。

ロープに服がかかっているって事が重要なのである。


そのロープもメインロープにファイントラックのゴージュロープを使用。

アイスクライミング用に買ったスリングとカラビナも無駄に使用して岩に固定。

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正直、この状況を見ているだけで「ちくしょう、絵になるじゃねえか」とビールが進む進む。

とにかくいちいち細かい所に酔えてこそ川旅の勝者。

イメクラに行った時、ナース相手にしっかり患者の役になりきれるかが勝負のポイントだってのと同じ原理である。


もちろん設営と薪集めが終わってしまえば、後はもうとことん己に酔う時間。

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この世界は己だけのもの。

ここでは嫁の罵声に怯える事も無く、ご両親にも気を使う必要も無く、子供たちの奇声とイヤイヤでストレスをためる必要は無い。

あるがままの自分を解放するのみ。

さすらいの流しの男は酒をしこたま飲み、ガンガンにギターをかき鳴らし、周りに誰もいないからたとえ声が激しく裏返ろうと熱唱するのみである。

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もはや自慰行為以外の何物でもないが、気持ち良ければそれでいい。

この時間だけは桜木ルイに興奮していた中学二年生に戻れるのである。


しかし気持ちよくなりすぎたのか、二曲目で早くも1弦が切れるという早漏さ。

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替えの弦なんて持って来てないから、これ以降1弦抜きの低音ギター演奏がひたすら続いた。

でもそんな細かい事はもうどうでもいいのである。


そういえばタープ設営中に重い石を持った際に痛めた左手首が、なんだかもの凄く痛くなって来た。

でもそんな事だってどうでも良い。

あれからだいぶ時間が経ったこれ書いている今でも痛いんだけど、そんな細かい事は気にしてはいけない。

タープ泊とはそれほどまでに人をおおらかな気持ちにさせてしまうのである。


そうこうしてるうちに辺りも暗くなって寒くなって来たから、早速メインイベント。

焚き火のお時間の始まりだ。

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焚き火の無い川旅なんて、フレディ・ マーキュリーのいないクイーンのようなもの。

もしくは忌野清志郎がいない日本ロック界のようなものなのである。

とにかくこれをやらないと、何しに来たか分かんないってくらいに川旅にはマストのイベント。

正直川下りなんてどうでも良く、僕はただ人がいない所で焚き火がしたいだけのために川下りしている所がある程だ。


炭水化物ダイエットもこの時ばかりは解禁して、やっぱり米を炊く。

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米が炊けるまで酒飲みながらギターギター。

そんでもって米が炊けたら、やきとりとサバ缶を温めながら酒と共に食らう。

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間違いなくどんな高級レストランのメシよりこっちの方が美味い。

なぜならここには「ダンディズム」という名のスパイスが、北方謙三級に振り撒かれているからである。


やがてそんなダンディタイムが終わる頃には、広い空に夜の帳が降りて来る。

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腹も満たされたし、散々飲んで歌っていい気分。

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あとはバーボンをちびちびとやりながら、ただただ焚き火の炎を見つめ続けるのみである。

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もちろんここはビールや焼酎ではダメ。

バーボンかウイスキーじゃなきゃダメなの。

もし今ここで蓮舫が「チューハイじゃダメなんですか?」なんて聞いて来た日にはグーパンチよ。

誰が何と言おうと、ここは黙って眉間にしわを寄せながらバーボンなんですよ。


やがて世界は上下感覚もおぼろげになりそうな、真っ黒な深淵の世界へ。

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怖さなんて無い。

あるのは深い深い開放感と自由のみ。

対人が無いと己がむき出しになり、やがてそれは闇に溶けて個が曖昧になる。

思考回路はどんどんシンプルになって行く。

やがて気持ちのいい酔いの中、いつの間にか眠りにつく。


良い夜である。

やっぱこれなのである。

思わず「である調」が増えてしまうのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝が来た。

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ここでコーヒーを忘れて来たのが痛恨の極みだったが、それでも川原で迎える朝は何とも言えない清々しさに包まれる。

川には川霧がたゆたい、山肌は徐々に日の出に照らされて眩しい新緑へと化粧をして行く。

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久しぶりのこの感覚に芯から身が目覚める思いだ。


そして初日に勢いだけで買ってしまったこの化繊キルト、ローカスギアのNyx(ニイクス)。

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これがことの外快適で快眠出来たのも気分的にホクホクにさせる。

化繊だから水辺使用でも安心感があった。

新アイテムを買っては毎度その度にサイズが合ってないだの、思ってたのと違うだの、もしくは即座に壊すか失くすかして来た私。

普通に良かったってだけで、それだけの事がたまらない幸せを運んで来てしまうのがやらかし男の利点である。

このNyxに関してはもう少し使い込んでからレビューする事にしよう。


早速焚き火を熾し、朝飯タイム。

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のんびりやりすぎて、米がお焦げだらけの発ガン率高めの仕様で炊けてしまったが気にしない。

昨日痛めた左手首も尋常じゃないほど痛いけど、基本川旅ではそのような細かい事を気にしてはならないのだ。

何があろうと「あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。」の、CM前一休さんスタイルでいる事が重要なのである。


そして川原に荷物を広げてひとしきり乾かし、

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サクッとパッキングしたら、いざ出発。

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と言っても、今日はゴールまでそんなに距離は無い。

何も頑張らなくていい。

昔の僕は「いかに頑張らずに下るか」ばかり考えていた。

なので再び当時のように、出来るだけ漕がずに寝ながら流される。

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山と違って頑張らなくても進むから、生産性を感じられてこれでも怠けている気がしない。

もしろ充足感がハンパ無く、ただただシアワセ気分。

鳥達の声と川のせせらぎを聞きながら、眩しい新緑と青空を体一杯で感じて流される。

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こういう感覚はツアーやラフティングでは味わえないだろうし、もちろん単独行じゃないと味わい尽くせない。

僕のように普段から対人関係で(家庭関係で)疲弊していればいるほどに、そのカイカンはセーラー服と機関銃を遥かに越えてしまうのである。


そしてまたこの熊野の川の景色ってのが、なんとも懐が広い所も気分が良い。

なんというか、山も森も全てが一回り大きくて(おおらかで)、まるで母体に包まれているかのように安心してしまうのだ。

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ここにアリのような↑小ささのカヤッカーがいる事で、その懐の深さが推し量れる。

その懐の深さは往年の名大関・貴ノ浪を彷彿とさせてしまう安定感。

飛び込んで来たカヌー野郎達にがっぷりと二本差しを許しながらも、ひっかり己の懐に引き込んで十分に上体が伸びきった所で寄り切ってしまうその力強さ。

熊野川を下ると、その懐の魅力に誰もが納得してその身を委ねてしまうのだ。


そしてこれほどの大河なのにそこそこの清流をキープし、

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さらに「どうぞキャンプしてください!」と言わんばかりの、生唾ものの川原がそこらじゅうに溢れている。

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まさに川旅に持って来いの川。

僕が若い頃、どっぷり川旅の魅力にはまった理由がここには詰まっている。

今思えば初日に大雨降って二日目に大増水してなければ、再びこの川を下る事は無かった。

そう思えば今回はこれで良かったかな。

危うくいつもの1分1秒を争う気狂いマゾ道場になってたところだ。

まあそれはそれで好きなんだけど…。



後はゴール手前の静かな川原に上陸し、

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この木なんの木的なステキな木を探して、

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木漏れ日の中で、「ビール」「焚き火」に次ぐ川旅三種の神器「お昼寝」の時間がやって来るのである。

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何がステキって、この時点でまだ10時半。

この余裕感が気持ちE。

これが我が家のファミリー旅行ともなれば、10時半と言えばまだ嫁の「身だしなみ待ち」の真っ最中でまだ家だ。

お一人様って何て気楽なんだろう。

明らかに僕は結婚向きの体質じゃなかったって事ね。

あの悲しみファミリー三部作(花見カヌー、ファミキャン、北陸旅行)とのギャップが激しする。

やっぱ自分の落ち着くべき場所は川だなあ…。


ちなみに夏場はここに「素潜り」が加算されて珠玉の川旅カルテットが完成する。

川を下るだけじゃ川旅じゃない。

その川の流木で焚き火をし、川原で野営して一晩抱かれ、実際に川の中に包まれてこそ初めて川旅だ。


良く考えたらそんな川旅の魅力を伝えたくてこのブログ始めたんだっけ。

なんかどっかから明らかに方向性がおかしくなって、最近では「おもらしプレイ」という検索ワードでこのブログに行きつく人さえいる始末。

基本的に己のマゾ性癖紹介だったり、嫁のグチだったり、乱れた飲み会の様子を公開するだけの妙なブログになって来ていた。

なんだか久々にこの手の記事が書けた気がする。

僕が野田さんに影響されて川に行ったように、誰かこれきっかけで旅に出てくれると良いなあ。

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こうしてここでガッツリ昼寝(朝寝)をかまして、名残を惜しむように小川口の船着き場まで漕いでゴール。

荷物を車に入れて、瀞流荘で温泉。

この時バック駐車時にフェンスにぶつかって軽く車が凹んだが、そんな事はどうだっていい。

手首の事もそうだが、後悔するのは日常生活に戻ってからで良いのである。





そして午前中で遊び終わった分、あの頃のように帰りは移動しながら「ついで観光」。

ここは丸山千枚田ですな。

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若い時はこの川旅後の「ついで観光」が凄く楽しかった。

観光メインで行ってもたいして面白くない所も、遊ぶだけ遊んだ後の「ついで」で行くと妙に得した感がある。

川以外たいして何も期待してないから、思わぬ景色とかに出くわすとかなり興奮した。

しかもナビで面白そうな所を見つけては寄り道して行くから、結構マニアックな武将の墓とかに行きついたりして面白い。


熊野も高速が延びて随分行きやすくなった分、これから行く人が家と目的地の往復になってしまうのがもったいない。

下道は大変だったけど、日が暮れるまで寄り道しまくって色んな発見があったからね。

世界遺産になって観光客も増えてこれからどんどん変わって行くんだろう。

今の熊野の姿はいつまで今のままでいられるだろうか?


だから若者たちよ!

今すぐ下道で行って来やがれ!

それまで結婚とかするんじゃない!


と、おじさんは声を大にして言いたいのである。



こうしてカヌー野郎は久々に故郷で再生した。


「これでまたしばらく頑張れる。」


そう呟き、彼は再びサウザー様の待つカサンドラへと戻って行った。

社会生活不適合者であり家庭生活不適合者。


彼の戦いはまだまだこれからなのである。




熊野HomeAgain 〜完〜


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


って感じの後編でした。

あのいつもの展開の前編と分けたかった気持ちがお分かりいただけたでしょうか?

なんだか久々にいい回でしたね。

これ見て山関係からこのブログ入って来てくれた人とかが「行ってみてえなあ」と思ってくれればこれ幸い。

山の記事書くと「お前の記事見てると山をやろうという気が起こらない。だっていつも辛そうだし景色真っ白だし。」と言われて来たが、川はノンマゾでも十分楽しい世界なのであります。


とは言いながら実はこの日から10日経った今。

タープ設営中に痛めた左手首が、本日まさかの「じん帯損傷」という診断を受けて左手首完全固定というハイパーな事になってます。

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当時「こんなものはどうでもいい。細かい事は気にしない。」と息巻いていたが、今になって激しく後悔が止まらない。

結局今回もハードにマゾってるじゃないか…。

これによって僕は、カヌー野郎にとってもっとも光り輝く残りの「5月」をほぼ失う事に。

患部を痛め続けると最悪手術だなんて言うんですもの。

きっと鮎釣り解禁までのこのゴールデンシーズン、どの川も行楽日和になる事でしょう…。


あわてない、あわてない。

ひとやすみ、ひとやすみ。



く..

くそっ…たれ……



それではひとしきり泣いたので、ここらでおまとめ動画です。

今回は毛色を変えてロードムービー風に。

曲は、川下りしながらずっと鼻歌で歌ってたマイケル・キワヌカのズバリ「HomeAgain」であります。

それではのんびりとどうぞ。




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今回のギア


【上半身】
・ベース/ファイントラック「アクティブスキンロング」
・ミドル/ファイントラック「フラッドラッシュジップネック」
・リラックス着/パタゴニア「キャプリーン3」
・防寒/モンベル「ライトシェル サイクルジャケット」
・ライフジャケット/モンベル「フリーダム」

【下半身】
・ベース/ファイントラック「アクティブスキンロング」
・タイツ/ファイントラック「フラッドラッシュタイツ」
・ハーフパンツ/モンベル「リバーガイドショーツ」
・下着/ノースフェイス「ドライショート」
・リラックス着/マムート「ソフテックトラバースパンツ」
・防寒/モンベル「スーパーメリノウールタイツ」

【足】
・シューズ/NRS「パドリングシューズ」
・サンダル/モンベル「ソックオンサンダル」
・ソックス/スマートウール「ハイクミディアムクルー」

【頭部】
・ヘルメット/プロテック「Ace Water」
・キャップ/マムート「MTR 201 Cap」
・サングラス/オークリー「ピットブル」

【ギア】
・パックラフト/NRS「NRSパックラフト」
・パドル/アクアバウンド「スティングレイ・カーボン4P」
・パドルリーシュ/シートゥーサミット「パドルリーシュ」
・レスキューロープ/ファイントラック「ゴージュバッグ25」
・ヘッデン/ブラックダイヤモンド「ストーム」
・ランタン/UCO「キャンドルランタン」+防虫キャンドル
・ランタン/ブラックダイヤモンド「ボイジャー」
・クイックドロー×2,カラビナ×3,スリング×4
・ギター/ヤイリギター+譜面台

【ザック類】
・ザック/エクスペッド「トレント50」
・インナー防水袋×3
・ゴミ袋/モンベル「O.D.ガベッジバッグ」
・エマージェンシーキット

【デジ物】
・一眼カメラ/ペンタックス「K30」+レリーズ
・防水バッグ/ハクバ「ドライクッションポーチL」
・三脚/ベルボン「キューブ」
・三脚/JOBY「アクションゴリラポッド」
・ウェアラブル/GoPro「HERO4silver」

【住】
・タープ/ローカスギア「タープX・デュオ・シル」
・シート/デュポン「タイベックシルバー」
・マット/サーマレスト「リッジレスト」
・化繊キルトシュラフ/ローカスギア「ニィクス」
・ピロー/モンベル「U.L.コンフォートシステムピロー」
・チェア/イーグルクリーク「ザ・チェア」

【食】
・コッヘル/ロータス「アルミポッド」
・ナイフ/オピネル「ステンレススチール#8 」
・箸/「割り箸」
・シェラカップ/モンベル「チタンシェラカップ」
・水筒/プラティパス「プラティ 2L ボトル」
・浄水器/ソーヤー「ソーヤーミニ」
・着火剤/割り箸にガムテーム巻き
・ライター/ソト「ポケトーチ」
・無洗米2合+缶詰×5
・ビール×4、ハイボール、バーボン



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コメント

    • モチック
    • 2016年 5月 16日

    SECRET: 0
    PASS: cad9823d17a4a7112728549b7060e62c
    こんばんは大阪在住のモチックです。
    原点回帰よいですね♪
    さすがに川旅も落ち着いていて初期とは大違いですね。

    僕が北山を下る時はいつも田戸までですが、ここから下流をのんびりするのもいいなぁ。
    タープもかっこいいし、星空の写真もよい。なにより自由ってのがすばらしくてうらやましい。
    あぶないなぁ、影響うけそうだ。。。

    今度、大杉谷あたりで会えればよいですね。
    僕はカヤック担げないですけど。。。

    あと、最近山登りの派生でボルダリングをはじめてるんですが、ダイエットにもってこいと思いますよ。お勧めです。

    • 小丸
    • 2016年 5月 17日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    イカしたタープ泊ですね!熊野川の魅力を存分に感じとれる記事、読んでいて行きたくなりました。
     手首の怪我、お大事にしてください。

    • yukon780
    • 2016年 5月 17日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    モチックさん、どうもです。
    やっぱりこういう旅が個人的には大好きですね。
    頑張らないグダグダの旅路、最高です。
    まあ頑張らないと言いながら何故かじん帯損傷しちゃってますが、まああれだけ晴れたんでしょうがないでしょう。
    命持ってかれなかっただけ十分です。

    逆に僕は田戸から上はなんか急流なイメージだったんで下った事無いんですよ。
    ソロじゃない時にいつか上流部もやってみたいですね。
    大杉谷は夏場に狙ってますけど、実際どれだけ下れるのか、危険は無いのか、全く情報がないんでドキドキです。
    あそこの難点はテント泊禁止って所ですね。

    ボルダリングは以前やってみましたが、サクサク登れる原理がサッパリ分からずにやめてしまいました。
    だってまずスタート出来ないんですもの。
    逆にダイエットに成功したら重量が軽くなるんで再トライアルかもです。
    まあそもそも痩せる気が全くしませんけどね。

    • yukon780
    • 2016年 5月 17日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    小丸さん、ありがとうございます!
    まさにイカすタープ天国でした。
    初めてのタープ泊でしたが、こりゃ完全に病み付きですね。
    あの開放感味わっちゃったらもうテントには戻れないすよ。
    焚き火の熱もいい感じでタープ内で滞留して暖かいし、ギターの音もそれなりに反響していい感じでしたし。

    熊野川は川旅に最適な川なんで、ぜひぜひ行ってみてください!(下道で)
    手首の怪我はロマンの代償です!

    • りんく
    • 2016年 5月 18日

    SECRET: 0
    PASS: be21e7167bf0b5ca4e25252e356e84aa
    前半たくさん出てきた川の名前を地図を見ながらその迷走ぶりを感じて、うってかわって後半の最高の川旅良かったですね!


    このブログで教えてもらって大塔川に行ったのが、二年前の海の日でしたが、祭日なのに誰もいなくて空をとんびがゆったり飛んでて癒されたのを思い出しました。
    僕の住んでる大阪からでもかなり遠く感じましたが、岐阜から一人運転ですごいですね。


    過去記事で屋久島横断野郎を読んでて、三日目から感覚が変わってくると書かれてて、僕はそんな感覚味わうことは出来ないなととてもうらやましく思いました。また長旅の記事も読みたいですがもうしばらく我慢ですね。ってか世のお父さんと比べたらだいぶ遊べてると思いますけど笑。

    • yukon780
    • 2016年 5月 18日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    りんくさん、どうもです!

    わざわざ地図で追ってくれたんですね。
    高田川から大塔川方面に戻る時の葛藤がお分かりいただけたかと思います。
    そして大塔川の氾濫状況見てうなだれた気持ちも…。

    まあそのおかげで久々にのんびりした川旅が出来たからOKという事で。
    熊野はトンビがいい味出すんですよね。
    オープニングの写真にも綺麗にフレームインしてるし、動画の昼寝シーンでもさりげなく飛び去って行ってますし。
    小憎い演出家ですよ。

    ただ楽しんだ分しっかりと代償として左手首を持って行かれたんで、それ考えると何とも言えない気持ちです。
    鮎釣り前のベストシーズンを棒に振るなんて…

    ちなみに一人運転は全く苦じゃないです。
    家にいるよりよっぽど落ち着く唯一の空間ですから。
    それはそれで悲しいですが。

    確かに世のお父さんより沢山遊んでますが、僕の遊び欲が世のお父さんとは比べようが無いほど溢れすぎてるのが問題なのであります。
    だって家で大人しくしてるだけで体は小刻みに震え、天気が良いと朝から発狂してるお父さんですから。
    家族には申し訳ないけど、こういう病気の人だと諦めてもらうしかないですね…。

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