唐松岳/長野

世紀末救世主伝説1〜唐松リベンジへの道〜

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201X年。

唐松は白の炎に包まれた。


あらゆる登山者は絶滅したかに見えた。

しかし、マゾは死に絶えてはいなかった。


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覚えている方はいるだろうか?

今では「八方尾根の悲劇」として語り継がれるあの惨劇を。


今年の1月末。

「悪天候三兄妹」と呼ばれる長兄ハッポーNさん、次兄の僕、妹の低血圧Mちゃんが一堂に会してしまった事により、白馬が白の炎に包まれてしまった。

次兄である僕はその場にいた多くのスキー客を死の灰から救うため、重いシェルターの扉を閉めた。


やがてその扉が開けられた時。

そこには真っ白な灰に埋もれた次兄トキの姿が。

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この己の身を捧げ過ぎた行為により、僕は重い病に冒されて「悪天候神拳」継承者争いから脱落。(参考記事:夢見る男の美白道場〜うぬぼれ晴れ男の末路〜

以降、僕は「奇跡の赤岳」で快晴野郎へと生まれ変わって多くの登山者を救って来た。


しかしである。

赤岳で浮かれてしまった僕は、嫁が支配するカサンドラに収容されてしまう。

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自由は奪われ、ひたすら嫁を担ぐ日々。

もちろん晴れた日に限って、とことんお留守番を命じられる囚われのトキ。


だがなんとかこのカサンドラから出獄して、どうしても八方尾根のリベンジをかましたい。

聞けば白馬にいるラオウ(ハッポーNさん)が大暴れして、「八日間連続の暴風雪」を巻き起こして現場を大混乱に陥れているというではないか。

なんとか次兄である僕の手で彼の勢いを止めなければならない。


そんな中、低血圧Mちゃんが「もう一度白馬に行ってリベンジしましょう」と言って僕を救いに来てくれた。

しかも、おマゾが過ぎる彼女の口から「雪上テント泊で」というまさかの提案が炸裂だ。


僕は雪上テント泊用の装備を一切持っておらず、全てが夏仕様の装備。

そこで新たに冬用シュラフなどを調達し、カサンドラ内(自宅の庭)で雪上テント泊デスマッチに向けた準備を進めた。(参考記事:庭男あおによし〜三連休の残像〜

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この時の孤独な戦いは、非常に多くの方の涙を誘うほどの激戦となった。

しかしこれほど己を惨めに追い込んでまで、僕は今回のリベンジマッチに燃えていたのだ。


そしてその週末に向けて、各地にいる悪天候三兄妹は動き出す。

どうしても当日晴れて欲しい時に繰り出される、悪天候神拳奥義「事前代償行為」を繰り出し始め出したのだ。


長兄は連夜ブリザードの中での夜間仕事に埋没し、晴れた休みの日にはしっかりお留守番。

次兄はいつも通り風邪を引き、さらに筋肉ストレスと診断された謎の背筋痛によって激痛で寝返りも打てない日々。

妹も兄を見習って風邪を引き、そして自転車で激しく転倒して胸部を打撲するという大技をかます。


これにて仕込みは万全のはずだった。

しかしそれでも我々の闘気は抑えきる事が出来ず、モクモクさんに発見されて週末の予報はご覧の有様へ。

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ピンポイントで現場は雨が降る予報で、おまけに唐松岳山頂付近は「風速31m」という素敵な予報に。

これにはさすがの悪天候三兄妹も「力及ばずか…」と、むなしく「延期」を決定せざるを得なかった。


しかしである。

我々の延期を確認したモクモクさんは、当日になって突如消滅。

本来行くはずだったその日。

現地にいるハッポーNさんから悲しみのコメントとともにこのような画像が送られて来た。

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僕はこれを見た途端、「雨降るんじゃなかったんかい!」と叫んだかと思うとグハッっと吐血。

病に冒された私にはもう時間が無いというのに、なぜ天はこのような仕打ちをするのか。



気がつけば平地ではすっかり桜が満開。

しかし延期になった翌週に厳しい雪上テント泊に挑む僕は、出来るだけその桜を見ないようにして心が春に持っていかれないように気を引き締める。

そして念には念を押して、追加の事前代償として「かつてない腹痛に襲われる」という仕込みも忘れない。

夜に至っては、「謎の背筋痛」「子供の夜泣き」「悶絶ゲリナイト」の苦痛三本柱でほとんど寝られない日々でストイックに己を追い込んでいく。

それぐらいの代償を払わないと、この三兄妹が揃って晴れるわけがないのだ。


この壮絶なトキのビッグプレーにより、出発直前の天気予報はこのような状態へ。

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さすがは事前仕込みの華麗さにおいては、悪天候神拳の2000年の歴史の中でも最強と謳われる男。

これで週末の大快晴は約束されたも同然だ。


そしてこれに気を良くした妹の低血圧Mちゃん。

すっかり浮かれてしまった彼女は「雪上でアヒージョパーティーしましょう」と提案。

荒くれた世界で生きて来た僕は、この「アヒージョ」なるものを初めて耳にした。

てっきり「アヒアヒと嗚咽を漏らしながら大急登を登るマゾパーティー」の事かと思ったが、実際はなにやらオイルフォンデュ的で大変オシャレな食い物だと言う事が分かった。


そしてこのオシャレ食材に食いついて来た男がいる。

それが今回のリベンジマッチに参戦が決まった第4の男「ジョンボーA」。

彼は突然我々の前に現れて、悪天候三兄妹に挑戦状を叩き付けて来たのだ。

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実は彼はこう見えて猛烈な晴れ男。

そのあまりの晴れ男ぶりに、早々に悪天候神拳伝承者の道を閉ざされてしまったハイエナ野郎。

かつてはチーム・マサカズの負の連中相手に互角の天候決戦を挑んで来た男だ。(参考記事:焼岳天候決戦1〜ジョンボーからの挑戦状〜


前回の赤岳の時も、いつものように顔を隠して参戦して来た結果大快晴をもたらしている。(真ん中↓)

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ちなみに彼がヘルメットとゴーグルとバラクラバを取ったらこんな感じ。

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ちょっと見た目は恐いが、実際はチャーミングな男だ。

こんな彼だが、今回ばかりは快晴をもたらして「救世主」になってくれるかもしれない。


前回の「八方尾根の悲劇」の時は、晴れ男として矢作Cを連れて行ったが、悪天候三兄妹を前に何の抵抗もする事が出来ずに惨敗した例がある。(↓打ちのめされて遠くを見つめる矢作C)

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矢作Cは中途半端な晴れ男だったが、今回はジョンボーAがジャギとなって復讐に燃えている。


こうしてついに決戦の時を迎えた「悪天候神拳」の使い手ご一行。

果たして悪天候三兄妹は日の光を浴びる事が出来るのか?

ジャギは大快晴をもたらして救世主となり得るのか?

夢のアヒージョパーティーは無事に開催されるのか?

そして初めての雪上テント泊が成功し、見事唐松岳の山頂を落とす事は出来るのか?

はたまた悲劇は繰り返されるのか?


唐松岳リベンジマッチ、八方尾根の戦い。

ここに開幕です。


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初めての雪上テント泊にワクワクが止まらない男。

いよいよこのカサンドラから脱獄して、あの戦場へと戻る事が出来るのだ。


しかし出発前日。

彼の次男こーたろくんが、計ったかのように風邪で発熱。


突然もの凄く出て行きづらい状況になって動揺が止まらないトキ。

トキは恐る恐るウイグル獄長(嫁)に「あのう、こんな時に申し上げにくいんですけど…。約束しちゃってるんで…行かせていただいてよろしいでしょうか?」とお伺いを立てる。

しかしウイグル獄長(嫁)は、

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と言うばかり。

挙げ句「まあ行けばいいんじゃない。熱の出た我が子を置いてさ。お義母さんも大変だろうね。」と自慢の双条鞭を振りかざす。

ご両親の手前も、行きづらい事この上無し。


強烈な精神的ダメージを背負って、早くも白髪化するトキ。

それでも私は行かねばならない。

大快晴の唐松岳とアヒージョパーティーが私達を待っているのだ。



やがてトキはケンシロウ(低血圧Mちゃん)とジャギ(ジョンボーA)と合流。

一路車をラオウ(ハッポーNさん)が待つ白馬へと走らせる。

やがて夜が明けると、信じられない大快晴が襲いかかって来た。

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太陽の光に慣れていないトキとケンは、一発で目がやられてしまいそうなほどの朝日。

低血圧Mちゃんも、眩しさのあまり生まれて初めてサンバイザーを下ろすという快挙。

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これで本日の大快晴登山は約束されたようなもの。

この快晴をもたらした晴れ男ジャギに至っては、得意顔で「俺の名を言ってみろ」と言わんばかり。


ラオウからは「現地に着くまで決して浮かれるな」というメッセージを貰っていたが、三人はこの太陽で瞬く間に浮かれ出す。

「こりゃあ、現地では暑くて半袖で十分じゃないっすか?」

「風もなさそうだし、快適に外でランチも行けますね。」

「今回ばかりはノーマゾでネタがないんじゃないすか?」

「快晴下でアヒージョなんて、もうほとんどランドネの世界だね。」etc…


今僕がタイムマシーンに乗れるなら、この時の彼らを全力で殴っていた事だろう。

何度同じ過ちを繰り返すのか?

あれ程ラオウが浮かれるなって言ったのに…。



やがてルンルンの三人は白馬近辺まで到達。

しかしどうも前方の様子がおかしい。

白馬に近づくにつれ、モクモクさんの勢いが増して来ている。

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いかん。

早くもラオウの闘気が溢れかえっているじゃないか。

いよいよ我々は拳王軍のテリトリーに入って来たようだ。



やがて待ち合わせ場所に到着。

ついにラオウが合流して、悪天候三兄妹が2ヶ月ぶりに白馬の地に集結した。

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おや?と思われた方もいるだろう。

なんだ晴れてるじゃん、と。

しかしこの場所から後ろを振り返り、これから我々が行こうとする山を見るとご覧の通り。

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そう、まさに今悪天候三兄妹がいる位置を境に「快晴」と「悪天候」が激しくせめぎあっているのだ。


そして朝青龍のような顔して「まづいな…」という表情のジャギの後方に、見慣れない女性が一人。

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彼女の名はティートンKさん。

白馬の人間らしく、実に渋いブランドTeton Bros.を着こなすボードガールだ。


実はティートンKさん、ラオウにその悪天候の才能が買われて急遽今回日帰りでの参加が決まった人。

イチローの生涯打率級の雨具率を誇る才女らしく、ラオウもその能力を高く評価している。

そしてかつて彼女は「白馬五車星・風のヒューイ」と呼ばれた程の風の使い手という噂。

一度はラオウに戦いを挑んだ程の手だれだが、今は拳王軍でその手腕を発揮している。


この思いがけない悪天候援軍に、すっかり分が悪くなって「聞いてないっスよぅ」とすねるジャギ。

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しかし彼がこの悪天候世紀末の救世主になるためには、これらの難関を乗り越えていかねばならない。

晴れるかどうかは全てこの男の奮闘にかかっているのだ。



そして戦場に向かうべく、スキー場のリフトにて出発地点を目指すご一行。

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ここで早くも低血圧Mちゃんが挨拶替わりのマゾ一発。

自分より大きなテント泊用の重量ザックに翻弄され、リフトを降りる際にドタバタと己のザックとの格闘を始めたのだ。

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血圧を上げて焦る低血圧Mちゃん。

リフトのお兄さんも突然目の前で始まった独り相撲に苦笑いだ。


そんな羞恥プレイにはにかむ低血圧Mちゃんの横を、颯爽と風のヒューイが通り抜けていく。

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その手にはサンドイッチ。

やはり白馬に生きる女性には余裕があり、自転車ですら転倒して胸部を打撲する低血圧Mちゃんとの違いを感じさせる佇まいだ。


そんな妹の姿に対し、長兄ラオウも黙ってはいない。

80Lのザックを担いだ異様なスノボ男として颯爽と滑っていき、

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ザックの重みにより転倒。

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もちろん風のヒューイは、相変わらずサンドイッチを手放す事なく颯爽とラオウの救出に向かう。


こうなれば次兄のトキだって遅れは取れない。

胸を張って颯爽と歩いていたかと思うと、

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突然雪面に落とし穴のような穴が空き、足を取られて前のめりに激しく転倒。

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過去最重量のザックが重過ぎて、一人で起き上がる事も困難な状況になってニヤリとしている。

そもそも何故スキー場の雪面に穴があり、その一点に足を踏み入れてしまったのか?

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戦いはすでに始まっているのだ。


このまだスタート地点にも着いてないのに繰り広げられる三兄妹のおマゾ競演。

これには「してやったり」のトキとラオウのニヤニヤが止まらない。

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これに対し、ティートンKさんも「こいつら浮かれてやがるな」と察知した様子。

彼女も負けじと挨拶替わりに「突風」を発生させ、我々を懲らしめる事を忘れない。

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写真では伝わりにくいだろうが、とてつもない風が吹き荒れている。

さすがは白馬五車星の実力者だ。


そしてリフトが最高所に近づくにつれ、世界は白に包まれていく。

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ジャギも「そんなバカな」と言った表情で動揺を隠せない。

猛烈晴れ男のジャギだったが、やはり彼も矢作Cの二の舞になってしまうのだろうか?


しかし彼はスタート地点の「白馬池山荘」にて、しっかりと矢作Cとの違いを見せつける。

矢作Cの時の出発記念写真はこのような↓有様だったが、

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今回はまだマシな立ち上がりとなった。

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こうして見ると「雨カラー」の4人に対し、必死で「太陽カラー」で対抗しようとしているジャギの分の悪さが見て取れる。

この後、彼は本当に救世主になれるのだろうか?


この時点で、逆方向の後方は快晴。

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一方、目指す唐松岳方向は美白の世界。

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相変わらず拮抗する晴れと悪天候のパワーバランス。

しかし若干、この時点では孤軍奮闘のジャギの晴れパワーのが勝っている雰囲気。


そして当ブログ恒例の「スタート地点までで第一話が終わってしまう」というまさか。

果たして彼らは無事にテント泊予定地点まで辿り着く事が出来るのか?

そして天気予報通りに晴れて、悪天候三兄妹は日の光を浴びる事が出来るのか?

ランドネ的なアヒージョタイムの瞬間はやって来るのか?


リベンジの戦いが今、幕を開けたのである。




世紀末救世主伝説2へ 〜つづく〜



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