登山産休中の男。
物議をかもし出した前回の小牧山はあくまでも「公園散歩」。
あの一連の行為は、言い換えれば「トイレに行っただけ」というレベル。
それにしては若干壮大なスケールのトイレ物語だった。
(その前回記事は、各方面から「汚い」「後半の展開が残念」「大人しく出来なかった報いだ」「今晩はカレーだった」「ミルフィーユ好きなのにどうしてくれる」などの苦情が多数寄せられた問題作でした。→前回記事)
しかしもちろんあの程度で我慢出来る男ではない。
そんなに簡単に気が鎮まる程、僕の放浪病の症状は軽くはないのだ。
その結果、僕は今激しいリハビリに徹してその症状を無理矢理押さえ込んでいる。
それは身の回りから徹底的に誘惑を排除する事から始まる。
旅・カヌー・登山などを臭わす本を「危険書物」として厳しく摘発。
「敦煌」の経典のように、出来るだけ目に入らない場所に厳重に封印した。
テレビ番組なども、それら「旅」を感じる刺激的すぎる映像を避けて録画。
正直今登山の番組なんて見たら、映し出された山がすべて「檀蜜レベル」の淫靡さで僕を刺激する事は必至だ。
出来るだけアメトーークなどの、頭を空っぽにして見られる番組ばかりをチョイスして録画する慎重さ。(でも録画されてたのが「富士山芸人」だったりする)
普段でも出来るだけ「考える事を停止」する作業に集中。
まるでジョジョ第二部の、宇宙に飛ばされたカーズのような状態と言えば分かり易いだろう。
考えればたちまち山に行けない事に身悶える事は目に見えている。
さらに山などが視界に入らないよう、視線を落として世間から隠れるように生きている。
しかし考えないようにすればする程、見ないようにすればする程に僕の耳元に檀蜜が現れる。
そして「ハァハァしてるの?こっちへいらっしゃい」と着物姿で、「旅」と言う名のふすまの奥の赤い部屋へ連れて行こうとする。
僕はそれでも必至で抵抗し、この抑えようの無いアウトドアへの欲望を心の中の深い深い淵へと沈殿させて行く。
このままじゃいけない。
このままでは朝起きた時にパンツをパリパリにしてしまう可能性が高い。
そう。
こんな時にこそ山や旅とは関係ない事に没頭するが吉。
一旦頭から檀蜜を追放し、思い切ってだん吉を心の中の「お悩みマンガ道場」にご招待。
以前からやろうやろうと思っていた、「車」にまつわる事に着手して気を紛らわせるのだ。
こうして長い長い男の「苦悩の調査」の道が始まった。
ここから先はいつものようにマニアックな感じになっているので、興味ある人だけどうぞ。
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僕が朦朧とした意識の中、気付いたら購入していた新車エクストレイル。(参考記事:朦朧野郎の海賊船)
あれからわずか半年で、走行距離24000キロを突破するほど使い倒している。
このペースだと2年ちょいで10万キロを越すという、イチローのヒット級の量産体勢だ。
もちろん車自体には大変満足している。
正直街で見かけるマツダのCX-5を見る度に「ああ、やっぱあっちのがカッコ良かったなあ」なんて思う事はあるが、僕が車に求めるのは外見や性能ではない。
日本中を長距離移動しまくり、普段の通勤でも往復2時間半を有する僕にとっては「車内で退屈しない」というのが重要な条件。
しかも養子の身分で完全同居の僕にとっては、この車内にいる時間こそが唯一無二のプライベート空間。
家では子供の世話でTV観る時間もないし、そもそも残念ながら僕にチャンネル権なんていう崇高な権利は存在しない。
というわけで車内で移動中に大好きな映画を観たり、撮りためたTV番組をDVDに焼いて観るのが僕の心安らぐお時間なんです。(危ないので真似しないように)
しかし、勢いで買ってしまったエクストレイルに唯一にして最大の不満があった。
それは純正のナビにしてしまった事。
やはり一般で売っているナビに比べて、音質もヒドいし機能もしょぼい。
しかも以前のエクストレイルよりもナビの設置箇所が10cmくらい下がってるから、映像が見にくいったらありゃしない。
市販のものにしておけば、もっと高音質で画面のデカいものや高機能なものが純正よりもはるかに安く売ってる。
正直本気で買い替えてやろうかと思うくらいに僕を悩ませていた。
音質はもうしょうがないとして、せめて画面の位置を上げてもっと大きな画面で映画を観ることが出来ないものかと。
それでこの度、産休を期にその解決策を調べに調べまくったというわけです。
基本的に車関係の事は興味が無いから全く分らない状態からスタート。
最初はiPadを買って取付けて、うまい事純正のナビと連携出来ないものかと模索していた。
その後も色々な案を考え出しては調べ、そして挫折を繰り返す。
そして最終的に辿り着いたのがこのスタイル。
単純に無知だっただけの話だけど、「オンダッシュモニター」なるものがある事を知ったのだ。
あのよく後部座席のお子様用にヘッドレストの後ろについてるモニターの、ダッシュボード用の奴がこれだった。
車好きな人はすぐに思いつくんだろうが、ここまで辿り着くまでに相当に大回りしたよ。
いろいろ調べた結果大きな10インチ画面でiPhoneとも接続出来るタイプで、なおかつ安価なものを探したらこれしか無かった。
HDMI接続可能10.1インチLED液晶オンダッシュモニター(ブラックウッド) () KATSUNOKI 商品詳細を見る |
新たにナビを買い替える事を思えば、1万円で済むなら上等だ。
この商品説明をプリントアウトし、わざわざ自動車整備工場を尋ねて取付け可能かを確認。
そして設置可能確認後に早速ネットで購入し、整備工場へ預けた。
そしてついに念願だった「大画面」「上の方に設置」「ナビとの連携」「iPhoneとの連携」が達成されたわけです。
画面の大きさは一目瞭然。
しかも上は映画、下はナビを表示なんて事が出来る事も嬉しい誤算だった。
これで快適な車内プライベートルームが完成したと思われた。
しかし。
正直画面が上過ぎて、画面が邪魔で運転がしにくいったらないのね。
そして画面がでかすぎて、逆に映像が見にくかったりしちゃったり。
まるで映画館の最前列で観ているかのような圧迫感。
そして画質も値段相応で、地デジの映像がもれなくアナログ調な風合いで楽しむことが出来ることも判明。
「やはりこうなったか」感が否めない。
観客からはヤンヤの喝采。
誰彼ともなく「待ってました!」「よ、後悔屋!」と威勢のいい声が飛ぶ。
散々調べれば調べる程に訪れるいつもの風景だ。
しかも輝度の調節ができないから、夜なんて画面が煌々と光り輝いて眩しいったらないのね。
常に対向車にハイビーム浴びせられているかのような不快感。
当然全くストーリーに入って行けないばかりか、さすがにこれでは危ない。
という事で再び調べに調べまくる男。
良い感じで頭から山や川の事など抜けて行き、多少は落ち着いた心持ちだが同時にショックで落ち込んでもいる。
そしてまた散々調べて、試行錯誤の末に辿り着いた結果が100圴に売っていた「黒透明の下敷き」。
この下敷きの上部にマグネットシールを貼り、画面の上部にもマグネットシール設置。
これにより、輝度の40%削減に成功。(当社比)
サイズも純正品のようにピッタリとはまった。
実に単純な事だったが、やはりここに辿り着くまでに相当な時間を要した。
あとは画面の位置と圧迫感の問題が残ったが、これに関しての解決方法は一つしかなかった。
それは「慣れる」という方法。
己の順応性にかけてみるという、画期的な解決方法だ。
意外と3日目あたりから慣れ始め、今ではこの距離感にすっかり馴染んでいる。
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ちなみにこいつは「HDMI端子」とやらに対応している。
これに繋げば、なんとスマートフォンの画面をモニターに表示出来ると言うじゃない。
しかしその為のケーブルは付属されていない。
そこでヤマダ電機へ行って店員に聞いてみた所、僕のiPhone4sではこのモニターと直接繋げられないとのこと。
他社のスマホは直接繋ぐケーブルがあるが、iPhoneと繋ぐHDMIのケーブルはございませんと言うじゃない。
ここからまたしても僕は調べに調べまくった。
もう正直この苦悩のループから抜け出せる気がしなくなって来ていたが、ここまで来たら最後までやり抜いてみせる。
そしてすっかり調べ疲れて来たとき、このような結論に到達した。
アップル純正品のHDMI変換アダプタ+HDMIのAtoA+HDMIのAtoC。
非常にややこしい事になっているが、間違えてHDMIのAtoAを買ってしまったために後からAtoCを付け加えている。
実際は純正品+HDMIのAtoCで繋がります。
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でもこのアップル純正品はなんと3800円くらいする。
そしてHDMIのケーブルだって、ネットで買えば1000円しないが家電量販店で買えば2500円くらいする。
最後までやり抜きたい一心で、思いがけない出費を余儀なくされた。
ここまで来たら、もはや意地です。
でもおかげでやっとこさモニターにiPhoneの画面が。
このモニターが何やら怪しげなチャイナ製iPadに見えるが、これでなんとか繋げる事に成功。
こんな感じで横向きにも対応するし、アプリもちゃんと表示される。
正直これがあれば、GoogleMapのアプリ使ってナビいらずだったね。
新東名とかナビに入ってない場所に行く時には重宝しそうだ。
もちろんゲームだって出来ます。
こうなるとiPhoneがコントローラーみたいで中々楽しい。
そしてYouTubeの映像だったり、撮った写真のスライドショーなんかも見れる。
カヌーで激流を下る映像を撮って、帰り道でみんなで鑑賞なんて事もできるわけだ。
音声もBluetoothで飛ばせば、車のスピーカーからちゃんと出て来る。
気になった事があれば、大画面でSafariの画面も見られるので実にありがたい。
いやあ、中々いいですね。
でもね。
実は思った以上に使う機会は少ないというのが実情。
充電しながらじゃないから、iPhoneのバッテリーの減り方もハンパない。
これに繋ぐ為に5000円近い出費をしているが、その価値があったかどうかは多くの疑問が残る。
しかも「iPhone5」は4sとコネクタ部分の形状が違うから、iPhone5以降の機種に買い替えた時には、また変換コネクタを買う羽目になるというおまけつきだ。
正直自慢げにここまで書いて来たが、これを成功例と思うも思わないもアナタ次第。
しかし今後「充電も出来るケーブル出現」と「さらなる高速通信」が可能になれば可能性は広がる。
「Hulu」などの映像配信サービスがもっと充実してこれば、いちいちツタヤまで足を運ぶ必要も無くなるしもっと経済的なんだけど。
これは若干、時代を先取りしすぎてしまったのか?
それとも将来「今じゃナビの標準だよ。随分と無駄な苦労したもんだねえ」なんて憐れみの目で見られるのか?
なんにしても、これで車内空間の充実化に見事に成功(?)した。
これでどんなに距離があろうとも、渋滞に遭遇しようとも退屈なんて事は無くなるはず。
どこまでも遠くまでいけそうな気がするぞ。
そうなるともっともっと遠くまで旅がしたくなって来た。
あの山も登りたい、あの川も下りたい、あの街も放浪してみたい。
旅の事を考えない為に始めたこの企画。
最終的には「より一層旅立ちたくなった」という驚きの結果に行き着いてしまった。
苦悩のループは一周して元の位置に戻って来たのだ。
せっかくこのモニター付けたけどあまり見ないようにしよう。
やっぱり大人しくしてればよかったんだ。
「人はそう簡単に変われない」
これが今回、散々回り道をして総額15,000円を投じて得た教訓でございました。
みなさん、お金は大切に使いましょう。
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