走り始めた。

醤油はうす塩に換えた。


昨今はやりのビジョガー（女性のジョギングする人）に負けじと、ついにマジョガー生活（マゾのジョギングする人）が始まった。

もともと、膝の耐久テストの為に走ってみたのが始まりだったが（コチラを参照）、5キロ地点で膝が爆発して無念のリタイア。

しかし何をとち狂ったか「一人でフルマラソンを走りたい」などと言い出すマゾ野郎。

こういう事を言い出すと止まらなくなるこの男。


それをきっかけに、己の体と向きあう日々が始まった。

今までの放浪旅では自分の内面と向きあう事が多かったが、自分の体との対話は今更ながら新鮮かつ重要だ。

その重要性は富士6苦フェスで痛感した。（熱狂の下山ライブ）


そして僕は接骨院の先生と相談しながら、徐々に強固な膝を作って行く事になった。

先生の許可が下りたので、金曜の夜走ってみる事に。

「とにかく軽いペースで、少しでも痛くなったら即座にやめる事」が条件。

今回はサポーツタイツも履いて万全を期した。まずは10キロ完走が目標だ。

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アームバンドはもちろん、ケースすら買っていないiPhone4Sを握りしめ、音楽を聴きながらジョギングアプリを起動。

このアプリで今後シッカリと記録を取って行く。

前回と違って、サポートタイツを履いているから膝の調子も大変よろしい。

やがて前回膝が暴徒化した5キロ地点も難なくクリア。


「いいぞ、これは楽しくなって来たぞ。」


しかし、僕がそういう事を考え出すと決まって現れる奴がいる。

希望に満ちて何かを始める時、呼んでもないのに必ず出席してくる皆勤野郎。雨だ。

旅先だけにとどまらず、このようなささやかな日常すら許されないのか。

これが2キロ地点なら家に戻っている。8キロ地点ならダッシュでゴールする。

何も一番遠い5キロ地点でやってくる事はないじゃないか。


少しづつ雨足が強くなってくる。

僕の新品のiPhone4Sは、カバーも何もないのでむき出しで手に持っている。

このままじゃ壊れちゃうじゃないか。

甲冑を着ずに関ヶ原の戦いの激戦区に突入して行く無謀な荒武者の気分だ。

4SとはFor Sadist（サドに捧ぐ）と言う意味なのか。

徐々に矢を食らって濡れて行く我が4S。

快感に包まれるマゾ野郎。



とにかく急いで10キロ走りきって帰らないとiPhoneが壊れる。

しかしあまり急いで走れば僕の膝が壊れる。

突然迫られた究極の選択。

iPhoneを取るか膝を取るか。

ちょっとしたジョギングですら、スペクタクルな展開になっていく我が身を呪う。


僕は「膝を痛めないように急いで帰る」というファジー走法に切り替えた。

しかしこの走法は思いのほか良かったかもしれない。

そこそこいいペースを保ちながらも、膝に負担をかけない。

是非皆さんも雨の中、濡れてはいけないものを握りしめて試してみることをおすすめする。

彼はiPhoneも膝も守り抜き、無事10キロの関ヶ原の戦場を駆け抜ける事に成功した。

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一夜明け、翌日の土曜日。

僕は迷わず次のような商品を購入した。

iPod touch防水ケース　DiCAPacα-ディカパック アルファ（イヤホン付）WP-MS11 () 大作商事株式会社 商品詳細を見る

雨に愛されたマジョガーの必携品。防水ケースだ。

良いのか悪いのか本日も雨。また何かを思いつく僕。


それはサザエさん次回の予告風に言えばこうだ。

「カツオ、防水ケースを試す」

「波平、2日連続で10キロ走れるのか」

「マスオ、雨の中のジョギングでマゾる」

の、3本立てでお送りします。うふふふふふ。

ドSのサザエさんも思わずニヤリの内容だ。


まずは防水ケースについて。

結論から言えばやっちまった感が否めない。

防水に関しては何の問題もないが、気に入らぬ点が多い。

「専用防水イヤホンは、良質な音をAMラジオ並のクオリティーに下げてくれる」
「イヤホンがショックコードに引っ張られてすぐ取れる」
「付属のアームバンドは長すぎて、二の腕の筋肉を2倍にビルドアップする必要あり」
「なんとか腕につけても、ずるずるとずり落ちてくる」
「とにかく気になって走りに集中出来ない」

返品したくても、もうずぶ濡れで使用感たっぷりだ。

仕方ないので、ケースはケースとして使用してアディダスのスポーツ用防水イヤホンでも買って組み合わせて使って行こう。

これさえ買えば、プールで泳ぎながらのiPhoneも夢じゃないと思っていたが、水に入った途端にイヤホンが取れるのは明らかだ。

くそ、また無駄なもん買ってしまった。


そして2日連続の10キロジョギングは、やはりまだ僕には無理だったようだ。

膝は問題なかったが、5キロあたりで体力が尽きた。

のこり5キロはトボトボと歩いて帰った。


雨の中のジョギングは、当たり前だがストイックさが増すだけで一つも楽しくない。

後半は濡れた子犬のような惨めさが僕を支配した。


こうして2日にわたっての20キロジョギングでこの有様だ。

一日で42.195キロってやっぱりかなりのもんだぞ。

道のりは長いが、じっくり焦らずやって行こうじゃないか。


そんな事言いながらも、翌日3日目の日曜日の予告はこうだ。

「マスオ、タラちゃん背負って入道ヶ岳」の一本。


2日間じっくり体を酷使した男は、子供を背負って山に登れるのか？

相手は鈴鹿セブンマウンテンの一角「入道ヶ岳」。

接骨院の先生もここまでやるとは予想していまい。

僕を普通の患者と思っては行けない。

孤高の変態患者がここにいる。