「宝探し」
この言葉は、いつだって男の血をたぎらせる。
少年時代に、「宝の地図」を作ったりして遊んだ記憶が誰しもあるはずだ。
お宝は何だって良かった。
それを探し出す行程に冒険心をかき立てられたものだ。
そして小学校高学年くらいになると、土手とかに落ちている「宝本」に誰しも興奮したはずだ。
パリパリになったその本の中には、めくるめく裸体の大冒険が詰まっていた。
我々の間では「聖書」と呼ばれたその本を見つける事も、立派な宝探しの冒険だった。
そして時は過ぎ、我々は夢のないオトナになってしまっていつの間にか宝の地図を失ってしまった。
気がつけば立派なおっさんになってしまって、宝の地図どころか嫁の愛までも失ってしまう今日この頃。
このままではいけない。
そんなひからびた僕の前に、再び「宝探し」の火が灯った。
その名も「ジオキャッシング (geocaching)」だ。
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ジオキャッシングとは、要は「オトナの宝探し」。
簡単に言ってしまえば、ハンディGPSを駆使して誰かが隠したお宝を探すゲーム。
僕の場合、先日手に入れたばかりの「eTrex20」を使うが、もちろんiPhone等のGPS機能が付いたものががあれば誰でも参加出来る。
詳しい説明はここでは面倒臭いので、ググって調べておくれ。
まあ、ざっと簡単に手順を言えばこんな感じ。
ジオキャッシングのサイト(コチラ)で無料登録する。(海外サイトです)
ここには世界中に散らばる星の数ほどの「宝の地図」が登録されている。
まさに大人のための「秘宝館」だ。
日本だけでも、相当数のお宝が点在している。
山の中はもちろん、普段暮らしている地区の公園だったり茂みだったり。
我々の知らない所で、このようなマニアックな「裏世界」が暗躍していたとは驚きだ。
で、試しに会社の近くのお宝をチョイス。
この位置データをGPSに転送して、準備完了。
(ただ、転送作業がInternetExplorerじゃないとうまくいかない。ここでもMacユーザーは悲しい思いをする事になります。iPhoneには専用アプリから入れられると思います。)
ルールは簡単。
お宝が入った箱の中から好きなお宝を頂いて、代わりに新たに自分が持っていったお宝を入れるだけ。
お宝って言っても、おもちゃでいいんです。
宝を探す行程がロマンな訳です。
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早速eTrex20のテストがてら、会社の昼休みに「冒険」を始めてみる。
平日でも冒険が出来るとは、ちょっとした贅沢を感じてしまう。
営業で外を飛び回ってる人なんか、「ちょっと打ち合わせ帰りに宝探し」なんてオツなことが出来る。
まあそんな奴は冒険は出来ても仕事はできないダメ野郎なんだろうが、出来る男ほどそのくらいの心の余裕が欲しいものだ。
GPSと撮影用のiPhoneを両手に持った男が、怪しく神社の境内に侵入して行く。
この宝探しで気をつけなければならない事は、「見た目が不審者」になるという事だ。
山中なら良いけど、人がいる場所では「割り切った心」が重要なアイテムとなる。
冒険には常にリスクがつきものなのだ。
やがて宝がある近辺に到着。
しかし、どうにもここは人ん家の前。
ここでウロウロするのはあまりにもハードだ。
それでも茂みとか探してみるんだが、中々すんなり見つからない。
まあ、そんなに簡単に見つかっては「お宝感」がないのでいいじゃないか。
全開の不審者となって頑張っていたら、参拝者のおばちゃん達が現れた。
宝の守護者どもめ。
これ以上ここで探索を続けたら通報されてしまう。
この日はここで無念の撤退となった。
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そして、週末。
もの凄くお出かけ日和な快晴。
見事に僕は家の事情で、山にも川にも遊びに行けなかった。
ただ、ちょっとだけランニングする時間があったから、すかさず周辺のお宝を秘宝館で入手して出発した。
こんな素晴らしい快晴時に登山もカヌーも出来ない。
いつもなら発狂して無謀なランニングをし、体の各所を痛めて酷い事になるパターンだ。
でも今日は「宝探し」というロマンを抱えながらの小さな冒険がある。
こんな時のジオキャッシングは僕の気を少しはなだめてくれる効果もあるようだ。
どっちみち、肉離れも完治していないからほとんど散歩がてらだ。
やがて、お宝付近の橋に到着。
宝の地図が示す位置まで行くと、橋の上で何もない。
もちろんこれは「橋の下にある」事を意味している。
すかさず僕は、橋の下に侵入して行く。
いいぞ。
ワクワクしてあの頃(パリパリ聖書)の興奮が蘇って来るじゃないか。
挙動不審気味に潜入して行く。
eTrexの情報を頼りにうろつく。
中々それらしい物がなかったが、ふと足下だけじゃなく上も見てみる。
おや?
あそこに何かあるぞ。
橋の鉄工の所から、怪しげな黒い袋を発見。
一度失敗しているだけに、この時のヨロコビったら中々のもの。
非常にドキドキする。
何やら「ヤクの運び人」にでもなった気分だ。
周りをきょろきょろ確認してから御開帳。
中にはタッパーが入っており、オーソドックスなパターンだ。
中には「お宝(おもちゃ)」「ログブック」「解説書」が入っていた。
おもちゃと言えど、これは中々興奮する。
晴天の休日に、36歳の男が橋の下でひとりおもちゃを並べる風景。
どのお宝も、思ったより良い感じのおもちゃだ。
ただひとつだけ、本物の「栗」がひときわ異彩を放っていた。
中々シュールな宝物を入れたものだ。
見た事ないビートルズのカードセットと迷ったが、記念すべき一発目のお宝なので一番「お宝らしい」小判をチョイスした。
発見してやった感が溢れていて、いいじゃないか。
代わりにりんたろくんが遊ばなくなった車を入れておいた。
そして、ログブックに発見のログを残しておく。
他の人にならって、日付とジオキャッシング登録時のユーザー名、そしてTFTC!と書いておいた。
TFTC!の意味がよく分からなかったが、調べてみるとTFTC (Thanks For The Cache):「キャッシュを置いてくれてありがとう」って意味らしい。
再びお宝を元に戻して、満足して帰って行った。
ただのランニングで、ちょっとした冒険を味わえました。
より大きな地図で 犀川大橋宝探し を表示
ジオキャッシングだけをメインにするとちょっと切ないものはあるが、ランニングや登山とかと組み合わせて「おまけ」な感じで楽しめば遊びにも幅が出るね。
オトナの遊びって言いながらも、子供と一緒にやってみれば結構喜ぶだろうな。
と、まあこんな感じの新しい遊びのご紹介でした。
お宝を発見したときは、思った以上に興奮しますよ。
休みの日にヒマダヒマダなんて言ってる人がいるなら、あの頃を思い出して冒険してみてはいかがでしょう?
ただし、通報・補導された等の苦情はここでは受け付けないのであしからず。
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〜おまけ〜
やっぱりこんな天気の日に、これだけの事で満足出来る僕ではない。
肉離れのせいで足はダメだけど、せめて上半身だけを猛烈トレーニング。
結果、激しく背中に張りを訴えて無念の途中降板ノックアウト。
満天の青空のもと、ふくらはぎだけでなく全身をくまなく痛めることとなる。
必要だったのはお宝への「冒険心」ではなく、「自制心」だったようだ。
冒険にかられて飛び出して行くのは良いが、そろそろ年齢も考慮して動いていかんと。
山本昌広のような老獪なピッチングをしていかないといけない。
翌日の日曜日は、さらに快晴で無風の穏やかなカヌー初め日和。
今年に入って、気候的にも一番良い天気の一日。
しかしひたすら室内での「法事」で何も出来ず。
もう限界だ。
早くカヌーがしたい。登山もしたい。
伊吹山登山以来、ろくに動けてないぞ。
蓄積疲労の回復期間と思って我慢してきたが、結局はこうやって体を痛めてしまう。
だったらもう爆発してしまいたい。
言ったそばからもう「自制心」なんて吹っ飛んでいる。
長々と「お宝探しは楽しいよ」なんて書いてきたが、所詮ただの気晴らしだ。
やはりもっとガッツリ遊びたい。
でも中々行けない最近のお家事情。
このまま春の陽気と遊べない日々が続けば、僕は近々発狂して山里で人を襲い始めるだろう。
誰か僕に鎮静剤入りの麻酔銃を撃って大人しくさせてくれ。
何か鈍器のようなもので後頭部を殴打してくれても構わない。
非常に今、溜まっていて爆発寸前でございます。
オトナの宝探し
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MATATABI BASE
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