入道ヶ岳/三重

鈴鹿セブン一発目〜入道ヶ岳〜



「鈴鹿セブン」と呼ばれる山がある。

鈴鹿山脈に連なる7つの名峰の総称としてそう呼ばれているそうだ。

この手の数字でのくくりは、結構男心が刺激されるのは僕だけだろうか?

「七人の侍」「ゴレンジャー」「サイボーグ009」「真田十勇士」etc…

個性豊かな奴らが次々と現れそうな期待感を煽る。


今回は鈴鹿セブンの中で最も標高が低い「入道ヶ岳」をチョイス。

誰にでも分かりやすいように、キン肉マンの7人の悪魔超人で例えてみるならば「ステカセキング」的な山だ。

7山の中で最も標高が低い906m。

まずは鈴鹿セブン完全制覇の足がかりとして、ステカセキングを倒しミート君の胴体を取り戻すのだ。

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今回は相手がステカセキングという事で、若干なめていたのでりんたろくんも連れて来た。

りんたろ登頂記11番目、鈴鹿セブンの1番目のコラボだ。

さらに大学時代からの友人Sも一緒だ。

彼は僕が「陰」とするならば「陽」の世界に生きる男だ。基本的にツイているツイッター野郎。

ビビる大木に似てるので「ビビるS」と呼ぶ事にする。


登山口は有名な「椿大社」から伸びている。入道ヶ岳は神聖な山なのだ。

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実際に僕らが登る登山口はもう少し奥からだが、ゴールはここに出てくる。


しばらくは、雰囲気のいい景色を歩いて行くが、

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この山、のっけから中々のハードな急登っぷりを披露して来る。

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もはや、この時点で僕はりんたろくんを背負って来た事を後悔し始めていた。

ステカセキングだって影のリーダー的存在として立派に強い超人だったじゃないか。

すごくしんどい山だ。

前日、前々日と立て続けで10キロジョギングをした後だけに、疲労感の沈殿っぷりが甚だしい。

またひとつ勉強になった。3日続けてはやはり体力がしなしなだ。

将来の北アルプス連泊縦走の為に、もっと体力つけなきゃ。



僕らの選んだコースは渓流遡上コースだ。

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結構急坂な小川沿いの僅かな足場を登って行く。

それでもやはり川好きの僕にとっては、しんどいけど気分よく高度を上げて行く。

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気がつくと僕のトレッキングポールの先っちょの、あのちっちゃなシャンプーハットみたいなやつが無くなっていた。

いつも何のために付いてるかよく分からなかったけど、これが無くなったせいでポールがズブズブと土に埋まってしまってうまく力の分散が出来なくなってしまった。

結構重要なもんだったんだな。

りんたろくんの重みがさらに重く感じる。


ステカセキングの容赦ない急登攻撃が続く。

IMGP2376.jpg

またこの日が秋とは思えないほど暑い日だった。

最近あまり水分を必要としない感じだったから、圧倒的に持って来た水分が足りない。

りんたろザックにリザーバーはつけられないから、こまめな水分補給もできない。

次第に激しくばてていく僕。

久しぶりに登りでの大ダメージで虫の息だ。

ステカセキングの必殺技「悪魔のシンフォニー」が僕をマゾの世界へと誘う。


風景も変わって行き、木がウネウネと茂り出す。

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僕の目がくらんでいるのか、悪魔のエリアに足を踏み入れたのか。

なんにしてもこのしんどさは、今までのりんたろ登頂記の中で一番じゃなかろうか。

そんな事は我関せずと、りんたろくんは相変わらずのんきにグニャリと眠っている。

時間も1時を過ぎていて、りんたろくんが起きてぐずり出したらここで飯を食うはめになる。

急がねば。力を振り絞る。



やがてウネウネゾーンを抜け、視界が開け始めて来た。

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ここからは、着きそで着かないという実に苦しい胸突き八丁。


でも登りきれば、景色は一気に開けて眼下に鈴鹿の街並と太平洋が広がる。

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そこに佇む男に激しいグッタリ感が漂っている。相当疲れたようだ。

最近りんたろくんも体重が増えて、今は11キロを越えている。

このザックは16キロまでOKと書いてあったが、僕の体力的にはOKではないかもしれない。

しかし、買ったからには元を取るんだ。(もう取ってるっぽいが)


しばらく迷路のような低木をぬって行くと、一気に景色が広がった。

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素晴らしき山頂広場。

ちょっと信じられないような広場が広がっている。こんな山は中々ないぞ。とても気分がよろしい。

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入道ヶ岳と言うだけあって、山頂は見事なツルっぱげだ。

入道との禅問答が始まった。

「そもさん」

「せっぱ」

「お前はなぜ山に登る?」

「はい。そこにマゾがあるからです。」

「正解だ、登って良し」


そして入道のテストに合格した僕は、重くなった体を引きずって歓喜の登頂を果たした。

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鈴鹿セブン一発目、入道ヶ岳制覇だ。

眠ってばかりで何もしていなかったりんたろくんも歓喜のゴールだ。

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早速極上の昼メシを食うべく、眺めのいい場所へ移動。

他の登山者も気持ち良さそうに眠っている。

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「あ、ネンネ。ネンネー!」と邪魔をするりんたろくん。

彼もテンションが上がっているようだ。でも人の邪魔はダメだよ。


なので早速我々も寝そべった。すさまじく気持ちいい。

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お父さんは腹を出しながらもこの気持ちよさに浸っているが、りんたろくんはもうiPhoneに夢中だ。

しかも彼は昔のiPhone3Gsを渡しても嫌がって、新しい4Sじゃないと納得してくれない。

ジョブズさんが見たら泣いて喜びそうな光景だが、お父さんはハラハラです。

この人、とんだインドアIT野郎にならんかね。心配だ。


iPhoneを手放さず、股間にどん兵衛に当てながら「おうどん、おうどん」と連呼する息子。

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お前の一貫性のないネタの意味がお父さんにはよく分からない。


絶景を見ながらの至極の昼メシ。

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ビビるSも、この極上のひな壇では突っ込みも忘れ言葉少なく麺をすすっている。


やっぱり子供はこういった広場がテンション上がるみたいだ。

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広場だったら、わざわざこんな場所まで来なくても大きな公園に行けば良いんだけどね。

毎度思うが、2歳にしていろんな場所に連れてこられてるけど楽しんでるよね?


ミート君の胴体も回収したので、下山を開始。さらばステカセキング。

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ここからは行きとは別の北尾根コースで下山する。

気持ちのいい展望ルートだ。

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我々の目の前には鈴鹿セブンの雄、「鎌ヶ岳」と「御在所岳」がどっしり構えている。

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手前が鎌ヶ岳こと「ザ・魔雲天」。奥が御在所岳こと「バッファローマン」だ。

さすがにステカセキングなど目じゃない威圧感がある。

待ってろよ、お前達。

ミート君は僕が蘇らせてみせる。


しばらくすると、またウネウネのちん毛みたいな場所に吸い込まれる。

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気分はさまよう毛ジラミのようだ。


しかしその先には神聖なる祠がある。

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椿大社の奥宮だ。

賽銭は入れてないが、図々しく「優しくされたい」と切なる願いを言っておいた。

この思い、嫁に届け。


ここからゴールまでの下山はスーパーハードな急降下が続いた。

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毎度写真では伝わらない感じが悔しいが、足下も滑りまくって股の筋肉がシャウトしている。

僕がすべってずっこけては、ビビるSも何度かずっこける。

二人きりのなんばグランド花月劇場。

もうこれ以上ボケないでくれ、股が破裂するぞ。


長い時間の後、やっと終わりが見えて来た。

社の裏の登山道から出てくるので、まるで神様になったような気分だ。

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そして、ゴール。

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なめてかかっていたが、さすが鈴鹿セブンに選ばれただけの事はある。とんだサド山だった。

今回は2匹だけですんだが、この山夏場はヒルパラダイスらしい。

ヒルクライマー達にとっても神聖な山なのだ。

入道ヶ岳〜完〜

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ーーおまけーー

その後椿大社に参拝した。

駐車場からすぐの場所なんだけど、随分遠回りしての参拝でご利益がありそうだ。

参拝後信じられないくらいウマいノンアルコールビールを飲んでから、一路鈴鹿のビビるS家へ行った。

生まれたばかりのビビるSの長男TKTに初対面する為だ。

まだ寝返りが出来るようになったばかりのTKTを眺めていると、りんたろくんが赤ちゃんだった頃をしみじみと思い出した。

とにかく手がかかってお父さんは当時育児ノイローゼになっていたよ。

りんたろくんとTKTも初対面。

将来ザイルパートナーとしてチームを組んでK2登頂を果たす、伝説の二人の歴史的な出会いだ。

ここから彼らの伝説は始まるのだ。


とりあえず伝説の前に、早く帰らないと嫁に怒られてしまう。

しかし鈴鹿の町はとんでもない大渋滞だ。

よりによって、鈴鹿サーキットで何やら大きな大会があったらしい。

なぜいつも素直に帰宅出来ないのだ。

結局行きは1時間ちょっとで来れた道を、3時間以上かけて帰宅した。

いつも言う事だが、家に帰るまでが登山だ。

気を抜いちゃいけない。

僕もりんたろくんもぐったりの一日だったね。



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