父をまっすぐ見つめる男。
汚れを知らないつぶらな瞳が、汚れた父には実に眩しい。
あの誕生の日から1年。
ついにこの度、次男こーたろくんがめでたく1周年を迎えたのだ。
普通なら「あっという間の1年だった」と振り返る所だが、なんだかここまでとても長く感じた1年だったよ。
さすがのお父さんも、この日ばかりはマゾを休業して普通のお父さんへ。
1歳児の誕生日らしく、ここは渋く「寿司」でお祝いだ。
ケーキやバルーンが用意されないという次男坊の宿命を受け止めよ。
そんな風に手をジョジョみたいにして、求めるような目でこっちを見ないでおくれよ。
お父さんも次男坊だったから君の気持ちはよく分かる。
分かった上で、今回君が食えないお寿司をチョイスしてしまった父を許しておくれ。
それでもこの日はご機嫌のこーたろくん。
実は年末年始で風邪に苦しみ、治ったと思ったらまた風邪をこじらせて、それがやっとこの日に治ったからね。
君は間違いなく、父の「やたら風邪を引く」という余計なDNAをしっかり継承しているみたいだね。
あんまり風邪が治ったからって、すぐに浮かれてると後々とんでもない代償を支払う事になるから気をつけろよ。
ほら、後ろから変な奴がエロ顔で絡んで来ているぞ。
よく見たら君のお兄ちゃんのりんたろくんだったね。
思えばこーたろくんの名付け親でもあるりんたろくん。
彼もこの1年で随分とお兄ちゃんらしくなって来たぞ。
でもこーたろくんが大きくなった時、自分の名前の由来を知ってどう思うのか?
当時ウルトラマンタロウが好きだったりんたろくんが、変身前の「東光太郎」に憧れて付けた名前だと知ったら。
りんたろくんも、未だにいつかこーたろくんが「ウルトラマンタロウ」に変身するものだと思ってるかもしれない。
そんな兄の弟への愛が止まらない。
隙を見ては、いつも彼は弟に「ちゅっちゅ」をかましている。
これにはさすがにこーたろくんも「うっとうしい」と思ったのか、すかさず母譲りの左フックをりんたろくんのアゴに炸裂させる。
まるで父と母の日常のような光景。
二人ともしっかりとパパとママから何かを学んでいるようだね。
それにしても全く似ていないこの兄弟。
そもそも僕の幼少期に瓜二つだったりんたろくんに比べ、こーたろくんの顔には、僕の要素が何一つ見当たらない。
なんだか僕やりんたろくんと違い、彼は女性を泣かせる側の人間になりそうなこのニヒルさ。
若干心の中に大沢樹生的な感情が渦巻いてしまうが、間違いなくこーたろくんは僕の子である。
現時点での共通点は「体が弱い」くらいだが、きっと中身はかなり父寄りになるはずだ。
現時点ではかなり嫁がリードしているけど。
しかしこの未知のグレーゾーンの「アウトドア度」と「マゾさ」に期待大。
このニヒルな表情のまま、逞しく山野でマゾる彼の姿が今から楽しみでしょうがない。
さあ、ここからは謎の行事スタート。
僕はりんたろくんが1歳になった時に初めて知ったが、1歳になると「一生餅」という行事で餅を担ぐらしい。
よく意味が分からないが、どうやら「一生食うに困らないように」とか、丸い餅を使って「一生丸く長生き出来るように」って思いが込められているようだ。
嫁に丸い餅を担がせたら少しは性格が丸くなってくれるんだろうか?
多分そんな事したら、僕が丸めて捨てられるんだろうな。
なんて事を考えていたら、お義母さんによって餅を入れた風呂敷が容赦なくこーたろくんに結ばれて行く。
ここで少しだけ父の血が垣間みれた。
重い荷物を背負わされたにもかかわらず、実に嬉しそうではないか。
いつも無駄に酒を担いで山に登る父のマゾっけが顔を見せたのかな?
しかし1歳児にまだその神髄は味わえなかったようで、立たせようとすると見事に号泣。
僕も1歳の頃はこうだったんだろうか?
今では嬉し泣きをかみ殺しながら、父は養子という重い荷物を背負っているぞ。
なんて事を考えていたら、餅泥棒が紅白餅の赤い方の餅を盗んでいるぞ。
一方で、辛さからかこーたろくんもミュージカル俳優のような迫真の餅担ぎ。
どうやらこの状態で一人で立つことが出来れば、逞しい一生が送れるらしい。
こーたろくんも一度仕切り直し、「担ぎ上げるなら今でしょ」的なポージングでやる気満々だ。
さあ、今こそ父のような逞しい姿を見せるんだ。
さあ、立て!
ああっ!
まるでお父さんのようなズッコケじゃないか…。
ちょうど先週の竜ヶ岳の、びちゃびちゃゲリ道でこけた時のお父さんそっくりだよ。
まあでも立てなくてもこの行事は縁起は良いらしいからオッケー。
元気でいてくれれば尻に敷かれようとオッケーさ。
一方、そんな行事最中にペタペタと餅を触って遊ぶりんたろくん。
この直後、彼が「オシッコした後に手を洗ってなかった」という衝撃の事実が判明。
そして見事に母に「このサルモネラ菌野郎!」と怒られて凹む哀れな兄の姿を、弟は不思議そうに眺める。
その直後、まさかの飛び火。
嫁は僕に向かって「写真ばっか撮っとらんで、なんで注意しなかった。このハゲ野郎!」と言うではないか。
このおめでたい席で何と言うサディスティック行事。
しかもご両親の目の前でなんて事を言うんだ。
間違いない。
僕は1歳の頃、絶対餅を担いで立ち上がれなかったはずだ。
そんな父と兄の悲しい姿を、母にアゴをゴロゴロされながら嬉しそうに眺める男。
飼いならされちゃダメだぞ、こーたろう。
どっかのマゾ野郎みたいにそんな嬉しそうな顔をするんじゃない。
さあ、これで一生餅の行事と親子SM行事は無事に終わった。
次は寒いけど、近所の神社にお詣りだ。
久しぶりのこーたろくんの外出だから、嫁にカメラ撮影を頼んで撮影してもらう。
すると1枚目から早くもサド撮影モード炸裂。
一体どこにピントを合わせているのだ?
あからさまに「寒いから適当に撮ってます感」が滲み出たこの作品。
僕なんて見切れているし、奥にある野立て看板をクローズアップした大胆な構図。
後で確認したら、ほとんどがこのサド撮影モードで撮影されていた。
ここからは、わずかにピントが合っていた写真でお送りします。
もちろんお父さんは二人を担いで、二の腕のピキピキ感を楽しみながらの移動です。
オープニングでは「この日ばかりはマゾを休業」と言ってしまったが、どうしてもチャンスと見るや己に負荷をかけてしまう。
そしていつも嫁がちゅっちゅさせてくれないから、ここぞとばかりに僕とりんたろくんでこーたろくんにちゅっちゅサンド。
加齢臭を身にまとった口臭男と、サルモネラ菌野郎を襲名した男の絶望挟撃作戦。
あからさまにこーたろくんの表情は絶望感に支配されているね。
でもこーゆう事出来るのも今のうちだよなあ。
神社にも無事に1歳のご報告と家族の健康を祈願。
まあ、ここまで長く辛い日々だったけど、よくぞここまで育ってくれました。
本当はもっと風邪を引かない強い子になれるように外で遊ばせてやりたいんだけど、心配性の一族がどうしても「2歳になるまではダメ」と言うからもう少し待ってくれよ。
きっとしょっちゅう外で遊んでるのに、風邪ばっか引いてる僕が説得力を無くしてしまってるんだろう。
ごめんな。
だから君と本格的に山や川に行けるのは、もうあと1年の我慢。
それまではもう少し赤ちゃんを楽しんでておくれ。
2歳になったら、色んな所に担いでってやるぞ。
そん時は兄ちゃんも立派なアウトドアマンになってるはずだ?
お母さんも一緒ならベストなんだが、それは永遠に叶えられない事だから諦めてくれ。
今から3人で遊べる時が楽しみだ。
お父さんも、2人に置いて行かれないようにもっと鍛えて行くぞ。
お父さんの夢「3人でユーコン川を下る」まで、残り後19年…。
それは長いか短いか。
きっと短いんだろうね。
こーたろくん1周年
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MATATABI BASE
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