一人の男の人生がスタートした。
名を「こうたろう」と言う。
ついにその全貌を現した、長男りんたろくんに次ぐ第二の男。
後に甲子園で怪物と呼ばれ、プロ入り後は中日の4番として2000本安打を達成し、引退後は世界七大陸最高峰制覇や世界中の河川をカヌーで下るなどの冒険家として名を馳せ、やがては国民栄誉賞に輝く予定の男。
もしくは父のようにただの遊び人になるかもしれない男。
まあどんな男になるにせよ、元気でいてくれればそれだけで十分。
丸大ハム風に言わせていただければ「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」が父の願いだ。
そんな希望に満ちたこーたろくんの誕生。
当ブログの「りんたろ成長記」のカテゴリも、今回から「りんたろこーたろ成長記」へ変更。
それではここで、こーたろくんの誕生を思い出として記録しておこう。
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去年の5月に「真夜中の妖精」の囁きで突然発覚した嫁の妊娠。(参考記事:病み上り決死隊 後編)
この驚きの瞬間からおよそ8ヶ月が経過。
その間、ひたすら嫁の「腰もんで」「肩もんで」「背中かいて」「モスチキ食いたい」「のんある気分買って来て」などの要請にも、ジャイアンを前にしたスネ夫のように従順に応じて来た。
妊婦だからなのか、ただの性格マリーアントワネットなのかの判断が難しかったが、夜中だろうがコンビニに走ってのんある気分を買って来ては嫁の腰を揉み続けた。
一方でご褒美登山も何度かさせてもらって、僕は僕でマゾある気分を満喫。
そんな夫婦の微笑ましいSMな日々の末、ついにこの度めでたく出産予定日を迎えた。
しかし一向に陣痛の気配なし。
二人目は予定日より早めに産まれると聞いていただけに若干心配だ。
予定日から二日が経った土曜日の夕方。
僕と嫁とりんたろくんとで、買い忘れていたベビー用品を買いに近くのスーパーへ。
そこでトイレに行った嫁が首を傾げながら戻って来た。
「なんかさ、全然痛くないけど変な感じ。破水じゃないだろうけど大量の水がでてきたんだよね。」
僕は驚き「それを破水というんだろ!」と激しく突っ込んだ。
毎回晴れ予報に裏切られ続けて目から悲しみの破水をしまくる僕は、破水の何たるかを心得ている。
破水に関しては僕の方がはるかに経験者なのだ。
大急ぎでクリニックに直行。
慌てふためく僕と能面のような顔で冷静な嫁とウルトラマンのDVDに夢中なりんたろくん。
三者三様の車内の空気感。
そしてあまりに焦りすぎた僕は、クリニックの駐車場の三角ポールにバックで激突。
嫁の冷徹な視線が僕に降り注ぐ。
まずは僕が落ち着かななくてはいけない。
子供が産まれる前に、早くも背比べの傷を柱ではなく車に刻み付けてしまったようだ。
やがて検査の結果、やはり破水である事が判明。
そのまま入院の運びとなった。
りんたろくんは「チャンドラーが出て来るの?」と大喜び。
実は何故か彼は以前から、嫁のお腹の中にいるのはチャンドラーだと言い張っていた。
ちなみにチャンドラーとはコイツの事だ↓
ウルトラマンに出て来る怪獣で、ウルトラマンにやられる前に別の怪獣に羽根をむしり取られてしまった悲しき怪獣。
りんたろくんが何故お母さんの腹の中にチャンドラーがいると思っていたかは不明だ。
いつも嫁に心をむしり取られている父の姿をそこに見たのかもしれない。
僕はりんたろくんを家で一人には出来ないから、お義母さんと交代して帰宅。
ちなみに「邪魔だから来るな」という嫁の要望により出産への立会はしない。
人一倍血に弱い僕が立ち会えば、その場で卒倒して周囲に迷惑をかけるというのが嫁の判断らしい。
悔しいが、確かにその場で失神して担ぎ出される自分の姿が容易に想像出来た。
確かに子供より先に、お父さんが助産師さんに運び出されるのはあまりにも情けなすぎる。
この流れだと、深夜のうちに出産というパターンが濃厚。
りんたろくんの時はクリニックの人に「まだ産まれないからお父さんは帰って入院の支度して明日また来てください。」と言われて、帰って寝てたら「産まれました」という衝撃的な電話で起こされたという思い出がある。
立ち会えないまでも、ドラマでよく見るような「分娩室の前の廊下をウロウロして、オギャーの声に涙する父親」というシチュエーションを堪能してみたい。
でも夜もそのまま陣痛の知らせもなく、僕とりんたろくんは家で眠りについた。
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翌、2013年1月20日4時14分。
お義母さんからの電話で叩き起こされた。
陣痛が始まって分娩室に移動したという一報。
大慌てで準備を整え、りんたろくんを叩き起こす。
彼はまだ夢の中で、「足がない。なんでよぅ。怪獣墓場は?」と寝ぼけた事を口走っている。
彼は彼で夢の世界で戦っていたようだ。
4時50分頃、クリニックに到着。
分娩室前のお義母さんのもとに駆けつけた時、「オギャーーー」という声。
素晴らしいタイミングに大興奮の僕。
そんな僕を見てお義母さんが気の毒そうに「これは別の子の泣き声よ」とポツリ。
なんて紛らわしいんだ。
早とちりの興奮姿から、大人しくイスに座り直す恥ずかしさよ。
まあいいさ。
これで「分娩室前でオギャーの声に涙する父親」というシチュエーションの準備が出来たわけだ。
りんたろくんも分娩室に向かって「おかあさん、がんばれぇ〜」とエールを送る。
非常に甲斐甲斐しい姿だが、ひょっとしたら彼はお母さんがチャンドラーと戦っている姿を想像しているかもしれない。
オギャーという合図をジッと待っていると、突然分娩室の扉が開いて助産師さんが出て来た。
そして「産まれました」と言うではないか。
どうやら分娩室はこの扉のさらに奥の部屋だったらしく、その防音効果は抜群。
見事にオギャーの声は聞こえず、あまりにも不意をつかれて「涙する父親」という感動のシーンは不発。
しかも聞けば4時40分に産まれたらしく、僕が到着する10分前にはすでに産まれていたという事実。
でも嬉しいものは嬉しいのだ。
無事に産まれてくれただけでもお父さんは大感動ものです。
そして中に入って行って初のご対面。
そこには真っ赤な顔で坂上次郎の「飛びます、飛びます」をしている元気な男の子がいた。
ついに君と会えたね。
やっぱりこの瞬間は不思議な感動に包まれる。
3,180gで名峰槍ヶ岳の標高と同じという逞しい体重でのスタートだ。
二人続けて見事なスーパー安産を達成した嫁にも大感謝だ。
嫁とがっちり握手を交わす。
いつも衝突をするこの夫婦(一方的な罵倒90%)だが、ここではさすがにその健闘を称える。
まるで山王工業戦の桜木と流川の最後のハイタッチのような感動的シーンだ。
そしてお兄ちゃんになったりんたろくんも、ついに弟くんとの初対面。
チャンドラーが出て来なかった事にキョトンとしている。
でも次第にテンションが上がり「おとーと、かわいー」と喜び出した。
やがて何故か弟に対し「明けましておめでとう」と言っている。
そんな意味不明な言動とテンションの上がりっぷりにビビったのか、弟くんはさらなる大号泣。
りんたろくんももうお兄ちゃんなんだから、弟くんを大切にしろよ。
やがて恒例の「お父さんとお母さんのどっちに似たのか」をチェック。
まるでメニューを見ながら天ぷらそばにしようかカレーうどんにしようか真剣に悩むおっさんのような顔立ち。
鼻立ちなど見ても正直どっちにも似ていない。
なんとなくその顔立ちが「今」のお義父さんにそっくりな気もする。
僕は「どちらかと言えばガッツ似ではないか?」と提案したが、最終的には嫁の「ヨーダに似ている」という意見に落ち着いた。
こうして面会タイムが終了し、僕とりんたろくんはまた家に帰って就寝。
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昼過ぎに再びクリニックへ。
産まれた時は坂上次郎だったが、今度はジョジョポーズで出迎えてくれた。
やっぱり産まれたての時よりも顔がしっかりして来た感じ。
目は見えないだろうけど、お父さんの気配を感じてくれているのかな?
「父さん、早く山に登ろうぜ」と言ってくれていると勝手な妄想を働かせる父。
一方でりんたろくんは改めてご対面。
この頃にはチャンドラーではなく、ちゃんと「こーたろー」と呼びかけている。
実は最終的に「こうたろう」という名前になったのはりんたろくんの影響が大きい。
最初は次男だから○次郎で行くつもりだった。
でも嫁の「濁点の響きが嫌だ」という根本的な理由の為に○次郎は却下。
「男の子」という意味で太郎シリーズで行く事に。
画数やらなんやかんやで(この家系はやたらとこういうのにこだわる。僕は全くあてにしてないけど)すったもんだの挙げ句、「さくたろう」か「こうたろう」が決勝進出。
そして「咲太郎」で決まりそうになった時、りんたろくんが声を大にして「こーたろー!こーたろー!」と言うではないか。
お義母さんもこうたろう(ここでは漢字は書かないけど)の方が画数が良いと言うので、最終的に「こうたろう」になった。
りんたろくんがあれ程むきになってこうたろう押しだったのは、何かしら深い意味があったに違いない。
きっと運命的なものをビビッと感じたのかもしれない。
しかし後にりんたろくんが「こーたろーはいつになったらたろーに変身するの?」と聞いて来た。
こいつは何を言っているかと思って考えてみた。
りんたろくんの大好きなウルトラマンタロウ。
タロウが変身する前の名前は、宇宙科学警備隊の「東光太郎」。
まさかとは思うが….
でも選ばれた「こう」の漢字は非常に縁起のいい漢字。
りんたろくんの暴走が含まれていたとしても、とても立派な名前だ。
自分だけでなく他人も守れるような男になって欲しくて付けた漢字。
沢山の人を守れる、それこそウルトラマンタロウみたいに愛と勇気に溢れた男になって欲しいものだ。
その肝心の名付け野郎で、弟を守る立場の男は早くもこーたろくんそっちのけでiPhoneに夢中。
守られるのは兄の方かもしれない。
そしてお父さんかも。
こうしてこーたろくんの人生が華々しくスタートした。
彼が逞しく見据える未来には何が待ち受けているのか?
少しでも長く、そして一緒にその道をお父さんも歩いて行けたら嬉しいです。
そして早く大きくなって一緒に旅をしよう。
次男坊だから、とことこん自分の意志を信じて自由に生きろよ。
何よりも君の成長と、人生を笑顔で駆け抜けて行く姿を楽しみにしているぞ。
こんな変な親だけど、見捨てないでね。
これからヨロシク、こーたろくん!
こーたろ誕生記
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MATATABI BASE
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おめでとうございます!
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ありがとうございます!
もうそのお名前だけで親近感を感じまくってます。
しかも3児の子持ちとは凄まじいです。
嫁のS度にもよりますが、きっとステキなマゾライフを満喫しているかと思います。
ここに「養子」というスパイスが加わればさらに良いですね。
今後もよろしくお願いします!
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おめでとうございます。
これからが楽しみですね!
まずはゆったりペースでご家族お過ごしください。
子供たちのアウトドアウェアが増えますね!
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以前、富士登山の際の装備についてコメントさせてもらった小林です。
毎度楽しく読ませていただいております。
今シーズンは冬季登山の事故が多く、ひやひやしながら貴ブログの更新を確認しておりました(笑)。
さて、このたびはこーたろくんの誕生おめでとうございます。
お子さんたちが少年になるころには、子の面倒一切を見る振りして野郎カヤックに野郎トレッキングと、ほうぼうに出られるわけですね。
やったね!
我が家も昨夏にふたり目の子となる長女が生まれたところです。
彼女は生後2か月で無人の川原でキャンプデビューを、3か月でカヤックデビューを果たしました。
いまはyukon780さんを見習って、長男のときには見送った背負子を目下物色中です。
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ヨガメンさん、ありがとうございます!
不安もありますが、今は楽しみが勝ってますね。
長男が今のベビーキャリアで担げなくなっても、また新たに担げる息子が出来たのでまだまだ山でマゾレそうです。
しばらくはアウトドアは厳しいかもしれませんが、ゆったりペースで満喫して行こうと思います。
そして子供達のアウトドアウェアのために、コツコツと貯金にいそしみます!
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小林さん、ありがとうございます!
その節は初心者野郎に適切で詳細なアドバイスありがとうございました。
以来完全に登山にどはまりして、現在立派な変態登山者に成長いたしました。
そして昨今の遭難事件ニュースの度に、小林さんならず他の多くの人から生死の確認される日々です。
まあ、このブログ内容では無理もない話ですよね。
そしておっしゃる通り、なんとか息子達を引きずり回してアウトドアに駆け回る気マンマンです。
今からじっくり下準備と嫁への伏線を張り続けて5カ年計画くらいで、見事な野郎アウトドアトライアングルを完成させます。
さらに小林さんも昨年お子さんが産まれたようで、遅ればせながらおめでとうございます!
それにしても凄まじいスピードでデビューさせましたね。
これはかなり嫁さんの協力がないとなし得ない快挙な気がします。
是非今度は「嫁の協力を得つつ、子供をデビューさせる方法」のご教授お願いします。嫁を派遣しますので調教してください。
背負子は「買って良かった」としみじみ思ったアイテムですね。
最初はそこそこな価格に迷いましたが、完全に元を取った感があります。
モンベルのものでコストパフォーマンスは十分ですが、若干腰の固定のずり下がり感が気になります。でもほんと十分ですけどね。