天気の悪い週末。
今週は遊びに行かないと腹をくくる。
そうと決めたからには、こんな時こそやれる事をまとめてやっておきたいというのが遊び人の人情。
選挙、法事、年賀状の作成と準備、掃除、パソコンの写真整理、登山用品のメンテと改造、そして家族サービス。
ここにもちろんランニングを織り交ぜて行くので、天気が悪くても大忙しだ。
結局天気が良ければ遊びに行くし、悪ければ溜まった仕事をこなす。
体を休めるのは仕事中(パソコン仕事で動かない)という、不思議なライフスタイルを楽しんでいる。
そんな中、今回満を持して取り組んだ事がある。
「いつかちゃんと見てやらなきゃ」と思いながら、ついに10年以上が経過してしまったアイツ。
とっても大切なのは重々承知していながらも、ついつい後回しにして来たアイツ。
でも僕には絶対に必要なアイツ。
そして必要な時に都合良くそこにいて欲しいアイツ。
でも普段はあまり表に出て来て欲しくない存在のアイツ。
その「アイツ」とは愛人の事ではない。
それは「エマージェンシーキット」の事だ。
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カヌーでも登山でも、アウトドア野郎として必携のもの。
自然には怪我や不測の事態(僕にとっては想定内)がウヨウヨしている。
そんな有事の際に「持っててヨカッタ」と心から思える物がエマージェンシーキット。
緊急時に応急処置が出来る最低限の荷物です。
でもね。
やっぱり荷物になるし、ほとんどの場合出番は無いからついつい後回しにして来たんだよね。
持っていっても絆創膏とヘッドライトとエマージェンシーシートくらいのもの。
これでは骨折しても絆創膏を貼るしか方法が無いというお粗末さ。
その結果、今まで多くの災難時に対応出来なかった。
北海道の釧路川では「釘を方を上にした板」に火傷した右足をジャストヒットさせ大流血。
釧路川は血の川と化し、ラオウの襲来を告げる修羅の国状態。
あの広大な大地でその釘の一点に向けて飛び降りた時点であり得ない事だが、それが起きるのが大自然の(僕の)不思議。
その時はウイスキーで消毒し、タオルでキュンキュンに縛って川を下るという新漕法を確立するはめになった。
以来、ろくなエマージェンシーキットを持たずに数々の悲惨な目に遭って来た。
幸い骨折や大出血などの事故に遭ってないが、いつXデーがやって来るか分かったもんじゃない。
そこで、来月には二人目の子供が産まれるって男がこれじゃいけないと一念発起。
やっとこさちゃんとしたエマージェンシーキットの作成に乗り出した。
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で、スギ薬局に走って「僕に想定される不幸」を頭にイメージしながら買いそろえた。
幸い「大快晴時に山頂で笑顔の僕」のイメージはボンヤリして掴めないが、「山中で滑落して悶絶した表情の僕」というのは鮮明にイメージ出来た。
そして集まったのがコイツらだ。
ううむ、多いな。
出番がほとんどないくせに随分と主張してやがる。
代打でたまにしか結果が出ないくせに、契約更改の際に「ベンチでのムードメーカーっぷりを評価してくれ」という球団泣かせのダメ選手のような主張感だ。
かと言って、怪我してへこんだ時にこそベンチを盛り上げてくれる縁の下の力持ちが必要だ。
年俸(容量)泥棒と言って、邪見に扱うと痛い目に遭うのは自分なんだ。
もちろん行く場所によって中身を選定するけど、見た目ほど重量感もないから連れて行ってやるとしよう。
では、それぞれを見て行こう。
一番重要かつ一番出番が無いと思われ、そして一番使いたくないものがこれ。
包帯、ガーゼ、三角巾、絆創膏、ミニヴィクトリノックス(ハサミ、ナイフ)、靴擦れパッド、テーピングテープ
何やらリアルな緊急感が漂っているね。
もう包帯とかなんて絶対に使いたくないよ。
骨折や大出血を想定しての基本セット。
消毒に関しては、最近では消毒液より水道水のが効果的って意見もあって、いつも大量の水道水を持ち歩く僕には不要と判断。
ここに現場で対応出来るような自分専用の「使い方メモ」を作って入れる予定。
ただ血が苦手なチキン野郎の僕としては、大出血時に応急処置する前に失神してしまうような気もする。
気付け薬用に、嫁の「このブタ野郎!」と録音されたものでも持っていこうかと思案中だ。
靴擦れパッドに関しては、もはや僕の必需品。
基本的に足に靴が合っていない事が大前提という不思議なクライマーには無くてはならないものだ。
ただこれに関しては靴擦れする前に貼ることが理想だから、毎回使用するにはコストパフォーマンス的に厳しいものがある。(結構高いのね)
最近スタッドレスタイヤ13万円という財政危機の僕は、やはり今後も「靴擦れさん」と仲良くコンビを組み続けることだろう。
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続いてお薬系。
誰しもがドラクエの初期段階で、「どくけし草」が無いばっかりに徐々にライフゲージがオレンジになっていく恐怖を味わった経験があるはずだ。
「やくそう」だって大量にあれば、ダンジョン内部の後半にMP節約のために重宝した経験もあるはず。
いざという時に助けてくれる奴らがこのラインナップ。
ロキソニン(鎮痛剤)、風邪薬、睡眠薬、精神安定剤、アミノズドーン、ボルタレンテープ、あせも薬、リップスティック、日焼け止め
僕の中でロキソニンは万能薬と勝手に認識している。
あまり薬が効かない僕でも、ロキソニンは頭痛も歯痛も喉の痛みすら取り去ってくれる信頼のお薬。
ただ残念な事に、嫁の「言葉のベギラゴン」によって受けた心の痛みはまるで治せないのが惜しい所だ。
睡眠薬、精神安定剤はテン泊時に恐怖にまみれた時に使用。
蝶ヶ岳で食らった「大暴風恐怖ナイト」や、錦川の「落雷ナイトフィーバー」、和知野川の「闇の魔物遊戯の恐怖」、屋久島でも「避難小屋ディスニーランド」など僕は夜に多くの災難に遭遇している。
ただでさえ寝付きが悪い上に、単独行で突き進む割にはかなりの臆病者なので夜はさっさと強制スリープが望ましいのだ。
アミノズドーンは以前にも紹介したゲロの匂いが香ばしいドでかい錠剤。(参考記事)
こいつを飲めば、ある程度の疲れは吹き飛んで「体力のロスタイム」を獲得することが出来るのだ。
そしてワイルドなアウトドア野郎のくせに、僕は非常お肌がデリケートですぐにあせもが出来て痒くなる。
以前錦川では、あまりに痒くて全裸で真っ暗な夜の川に飛び込んだほどだ。
そしてランニングでもすぐに乳首を服擦れで負傷するナイーブガイ。
なのであせも薬やリップスティック(雪山用にUVカットのもの)は必携だろう。
日焼け止めも今まで使った事が無かったが、やはり年を取るほどに肌細胞の死滅化のスピードが尋常じゃない。
嫁からも「肌が汚い、近寄るな。顔も悪い、近寄るな」と交通標語のような言葉を浴びせられる始末。
顔が悪いのを予防するのは前世まで遡る必要があるが、肌荒れは日焼け止めで食い止めてみせる。
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あとは避難待機時や予備なやつら。
エマージェンシーシート、ヘッドライト、カイロ、非常食、予備電池、ミニ方位磁石、ホイッスル、予備ライター、細引き、ダクトテープ、ティッシュ、速乾タオル、遭難ピンチカード+保険証のコピー
エマージェンシーシートは今まで安物のやつを使っていた。
でも安物のやつは1回使ったら、ほとんど再利用できないし嵩張ってしまう。
これは何度も使えるやつで、テントシートや簡易タープなど多用途に使えるタイプの物。
これがあると、緊急時はもちろん寝袋でも寒くて寝られない時のシュラフカバーとして保温が格段にアップするからありがたい。(透湿性ゼロだから、翌朝ビッショリでビックリするけど)
ヘッドライトは基本中の基本です。
四国歩き遍路中に「真っ暗な山中を彷徨い歩く」という恐怖の修行をする羽目になって以来、日帰りでも必ず持っていくようにしてます。
カイロは以前富士山頂で、一人で寒さに震えながら仲間が来るのを待ち続けて僕を温めてくれました。
でも気をつけないと、富士山下山時に靴のインナー用カイロを剥がし忘れたまま下山して、かつてない靴擦れと低温火傷を楽しむ事になるので注意が必要です。
ダクトテープは意外とあると便利。
カヌー時の船体の引き裂けにも使えるし、テントやレインウェアが破れた際も緊急補修可能。
遭難ピンチカードはJIROっていう遭難捜索費用保険に加入した際に入ってた、緊急時の心得がかいてあるもの。
そこにJIROのカードと保険証のコピーを入れているので、とりあえず「身元不明の腐乱死体」と発表される事は無いだろう。
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ざっとこんなところでしょうか。
こればっかりは正解が無いから難しい問題だ。
今後の課題として悩ましいのが「ツェルト」と「山岳保険」の問題。
ツェルトは非常時のビバーク用品として必需品的なもんだけど、現状の僕の活動状況を考えるとあまり出番がないようなものに現時点で1万円以上の投資ができない。
いつかは買わなきゃ行けないけど、今の僕にはとても手が出ない。
かといってこれをクリスマスにサンタさんが持って来てくれても、その嬉しさは微妙なものがある。
よほどの臨時収入があった時まで、もう少し買うのを辛抱したい。
山岳保険も入らなきゃね。
登山する人間としてのマナーだと思うけど、なんか毎度どれに入るか悩みすぎて先延ばしになって来ちゃったんだよね。
僕の場合雪山もやるからドンと代金が高いのね。
しかも中途半端な低山雪山だから、通常保険のグレーゾーンでOKな気もしたり。
で、また悩んで先送り。
一応遭難救助費用のみの保険にはとりあえず入ってはいる。(年間2000円くらい)
でもいい加減ちゃんと入らなきゃね。
でもでも来年は多分、子育てで遊んでる場合じゃないだろうからあまり山にのぼらない気も。
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という感じで、実に地味に休日をエマージェンシーセット作りに費やしました。
アウトドア始めて10年以上経ってやっと作る事が出来た。
でもこれは登山やカヌー関係なく、災害時に確実に役に立つもんだからね。
これで家族も少しは安心出来るかも。
でも普段から嫁に「死ね」って言われてるから、余計なお世話かな?
ひょっとして僕は知らない保険にいっぱい加入してるかもね。
そうでない事を祈るばかり。
男はこの新たなエマージェンシーキットを背負って前を向く。
今後もしぶとく生きて行こう。
そう思った週末でした。
背中にいつも愛人を
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MATATABI BASE
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