8/17(火)
ユーコン川の上を漂いながらこれを記す。
今朝は昨日の酒の影響で寝坊してしまい、8:40頃目を覚ます。
和田さんも同時に起きたので共に朝食をとる。
10:00頃フータリンカを出発。
流れに乗って5分ほどでShipyard Islandに到着。
何もないユーコン川において、唯一の観光スポットだ。
そこには巨大な朽ち果てた船の残骸がある。
エブリン号は100年前の面影をわずかに残し、ひっそりと佇んでいた。
かなり蚊多し。
そこにいた外人さんに写真を撮ってもらっていたら、和田さんが追いついてきた。
単独行は自分の操船姿が撮れないので、水上でお互いに写真を撮った。
しばらくお互い漕がずにユラユラと漂う。
やがて和田さんは遠のいて行き、再び僕は本を読みながら下っていく。
すべてが自由で、時間の感覚がなくなるひと時。
「ただそこにいる」という贅沢。
腹が減ってきたから、上陸ポイントを探すが中々現れない。
流れが早い上に、川幅が広いから今のところほとんど漕いでいない。
ただただ漂流者のように流されていく。
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奴だ!
ついにクマが現れた。
あのあと、昼食ポイントを探し続けるが岸が無いので水上で一服していると、右後方2~300mのところに何やら黒茶の塊が動くのが見えた。
正直、最初はムースかと思って双眼鏡を覗いたら、明らかにムースとは違う体格。
よくよく見るとクマだ。
(写真では分かりにくいけど、真ん中に3頭います)
肩が盛り上がってるからグリズリーだ。
さらによく見ると2頭の子連れの母グマだ。
しかしユーコンの流れが速いので、近づいて見ることかなわず。
しっかりとこの目に彼らの姿を焼き付けた。
これでユーコンで会いたかった5大生物「クマ」「ムース」「ハクトウワシ」「キングサーモン」「ビーバー」を制覇したぞ。
かなり嬉しかった。
あとはカリブーでも出て来れば最高なんだが。
しばらく流されていくと、川原でハクトウワシが何かを食べている。
近づいてハクトウワシを追い払って見てみると、80cmくらいのよくわからん魚が死んでいた。
すごい。キングサーモンか?
感心してカヌーを漕ぎ出すと、僕の帽子がユーコン川に浮かんでいるじゃないか。
魚に見とれて、落としたのを気づかなかったのか。
慌ててカヌーで追いかけてすくい上げる。
この帽子はユーコンの水をたっぷり吸ったので、これで宝物になった。
そして現在15:40、やっと広い河原に上陸して休憩。
そこには「Amy・Jill」の石文字が。
カップルの軌跡か。
食欲がでなくなってきたから、何も食べない。
今日のキャンプ予定地、ビッグサーモンヴィレッジまであと10キロほどだ。
ここでこの旅で初めて頭を洗いサッパリする。
デジカメが調子悪くて心配だ。
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現在19:45。
ビッグサーモンヴィレッジのGoodCampにてこれを記す。
あの後、しばらく進んだ所で向かい風の突風が吹いた。
その際、タンポポの種のようなファイヤーウィードの種が吹き荒れる。
不思議な光景だった。
やがて地図にBURN(山火事跡)と書かれた区画に入った。
はげたスプルースを眺めながら下っていく。
ファイヤーウィードがちらほら見える。
ファイヤーウィードは山火事が起こった跡に生えてくる火の鳥のようなたくましい花だ。
時期的にはもう枯れかかっている。
そうこうしていると、ビッグサーモンヴィレッジが見えてきた。
和田さんがここにいるはずだったがいない。
フータリンカと同じイメージでいたが、完全な廃墟で実に寒々しい。
入口も泥化しており上陸しずらい。
中に入ると何棟かのキャビンがある。
そこからの眺めは中々のものだった。
ファイヤーウィードも咲きまくっている。
そこから100mほど下った所にGoodCampがあったので上陸。
机も椅子もしっかりしており中々にいい所だ。
しかしすごい量のハエみたいなのががいる。
常にドルビーサラウンドで、左右前後から羽音が途絶える事がない。
そこで飯を作っていると外人軍団が上陸して来た。
15分ほど何か会議が行われ、結局彼らは退散して行った。
こんないい場所を占領してしまって申し訳なかったが、ユーコンでのGoodCampは早い者勝ちが基本だ。
がんばって親子丼と野菜スープの2品を作った。
うまかった。
軽く釣りをしてみて、グレイリング1匹釣ってやめた。
そしてまったりとくつろぎながら現在に至る。
(左がユーコン川の川地図。右がこの日記が綴られたノート。)
しかし、今日でビールが底をついてしまった。
とても痛いぞ。
そういえば、今頃オリンピックはどうなっているだろうか?
谷は?井上は?北島は?長島ジャパンは?サッカーは?
うーむ、気になる。
明日はついに人が住んでるかもと思われるリトルサーモンヴィレッジだ。
ビールが売ってるといいなあ。
その前に人がいるかな?
ユーコン川漂流記〜7日目〜へつづく
ユーコン川漂流記〜6日目〜熊と漂流者
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MATATABI BASE
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