先月の槍ヶ岳挑戦前に行なわれた「真夏のラマダン」。
当時槍ヶ岳のマゾをより楽しめるようにと、あえて事前に己の腸内にバリウムを仕込んだあの事件。
まあ要するに健康診断だったわけだが、この度その結果が出た。
ひっかかったのは心臓と尿酸。
心臓に関しては要相談ということで、さすがに改めて病院へ行って来た。
僕が待合所で待っていると、携帯に全く見知らぬ番号からの着信。
出てみると何やらおっさんが怒っているぞ。
おっさん曰く、「あー、群馬機動隊のもんだけど。もう9時半過ぎてるけどどういうことだ?ちゃんと出頭して来るって約束だったけど忘れちゃったのかな?」と。
何事だ?
僕は一体群馬で何をやらかしてしまったんだ?
というか群馬なんて行ってないぞ。
僕は必死で「僕は〇〇(名前)ですが」と言うと、おっさんの声は「しらばっくれやがって」って感じで疑わしくなる一方。
しかしさすがにおかしいと思ったおっさんは「おたくさん、今どちらにいます?」と聞いて来たから、「ですから僕は岐阜に住む〇〇です。」と言い返す。
電話番号を確認しても僕の携帯番号と全く一緒の番号だ。
どうやら交通違反を犯して出頭命令を食らった奴が、ウソででたらめの番号を告げた模様。
そんな適当な番号が見事に僕の番号にヒットするという奇跡。
これにはさすがの群馬機動隊のおっさんも謝っていた。
僕はてっきり「辛そうなのにニヤニヤしながら山を登る変態がいます」とでも通報されたかと思ってしまったよ。
それにしても突然の機動隊からの電話は心臓に悪い。
ただでさえ「要相談」状態なのに、「要出頭」は病状を悪化させるだけだ。
で、診察すると「たまにアスリートの人に出るんですが、心臓を鍛えすぎたせいで異常値が出やすくなる事もある」って言ってる。
続けて「最近無理な運動や激しすぎる運動をし続けたりしている覚えは有りますか?」と。
それは僕風に訳すと「最近マゾり過ぎていませんか?」と聞いて来た。
思えばこの1年ほど、非常にハードに遊び続けて来た気がする。
さらには嫁の罵倒にも鍛えられて、いつの間にか鋼の心臓を手に入れてしまったのだろうか?
まだはっきり分からないから改めて検査するとの事。
それは「ホルター心電図」なるもので、体中に沢山の管を貼付けて生活して24時間心電図を取り続けるというもの。
基本的に風呂には入れず、寝る時も計り続けるのだ。
そしてホルター野郎となった僕は病院を後にする。
今この段階でどっかの機動隊から電話がかかって来たら間違いなく異常値が測定されてしまう。
とにかく今日一日は平常心を保つ事が重要だ。
僕はその足で好日山荘に向かった。
悲しみのリコールトレッキングポールの回収に向かったのだ。(参考記事)
空しくレジの奥で「修理不可」というシールが貼られた僕のポールを発見。
再び襲いかかる悲しみが心電図にどう影響しただろうか?
今回はさらに木曽駒ヶ岳で僕を悲しみのどん底に陥れた登山靴「マムートさん」を持って来た。
満を持して買った高級かつ足が痛くなるという素敵な登山靴。
どうにかならんもんかと相談に来たのだ。
どうやら修理に出せば幅を広げる加工が可能だという事。
しかし靴を痛める結果にもなるので、まだこの段階では様子を見た方がいいとの事。
店員さん曰く「あと半年以上はちょっと我慢して履いてみてください」と。
あの打撲系の痛みをあと半年も楽しめるってことか。
あの「骨いっちゃってないか?」って痛みを抱えながら今後山と向きあって行かねばならんのか?
さすがはスイスの硬派野郎。
そうやすやすとは乗りこなせそうにない、とんだヤンチャ野郎だ。
こうしてリコールポールとヤンチャ登山靴を両手に抱えて、肩を落として店を出るホルター野郎。
ため息にまみれた男の心電図は一体どのような状態になっているのだろうか?
家に帰って嫁に診察結果報告。
まさか夫がホルター人間になって帰って来るとは思っていないだろう。
さすがの嫁も心配してくれて、優しくなってくれるといいが。
僕はTシャツをまくり上げて管にまみれた体を嫁に披露。
僕は忘れない。
この時の嫁の眩しいばかりの笑顔と喜びっぷりを。
高価な指輪をあげた時でもこんな笑顔をみせなかった女。
基本的に僕が情けない姿になっているのが大好きな女。
しかも「風呂入れんの?臭いから寄らんといてよ」と言い放つ女。
この瞬間、僕の心電図が「ピーーー」と横一線になったのを感じた。
ホルター野郎の大冒険は志半ばで終わりを告げ、彼は静かに息を引き取った。
ひとまず正式な検査結果は来月に出ます。
先生に「途中、何度か死んでました?」って聞かれるかもしれないが大丈夫だろう。
どうなるか分からないが、キャプつばの三杉君みたいに格好良く山野を駆け回ってやる。
ちなみに尿酸に関しては「さらなるダイエットを」というお達しでした。
気持ち的にはゲッソリしてるんだけど、未だに腹とおっぱいにまとわりつくお肉たち。
どうやら神はまだまだ山に登れとおっしゃっているのか?
まだまだ遊び足りないんじゃないのかと言っているのか?
それとも早く僕に天に「出頭」するようにせかしているのか?
とりあえず、群馬にでも旅に出るか。
ホル太の大冒険
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