気田川/静岡

新たなるロール風景〜気田川〜

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前回、チーム・マサカズによる「木曽駒ヶ岳マゾ祭り」で激しく体力と精神を消耗した男。

しかし彼の休日はそれだけでは終わらない。


男は長野からそのまま南下し、一路静岡の気田川を目指した。

そこでは前日から横浜組のB旦那ご一行がキャンプしているのだ。


しかしウキウキの男を待っていたのは恐怖にまみれたロングドライブ。

果たして男は生きて静岡に辿り着くことが出来るのか?

そしてビッグな映画の撮影現場にも遭遇した気田川紀行を振り返ってみよう。


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温泉から上がってチームのメンバーと別れた。

さあ、ここから一気に気田川にいる横浜組と合流して楽しいキャンプ&カヌー。

僕が到着する頃には美味しいBBQとビールが待っている予定だ。


事前に地図で確認していたんだが、僕は何の根拠もなく木曽駒ヶ岳から気田川までの距離はせいぜい1時間半〜2時間程度で行けると踏んでいた。

天竜川に沿って真っすぐ南下するだけじゃないかと。

しかしカーナビで検索したら驚くべき数字が叩き出された。

「5時間半」


現在18時過ぎ。

BBQに間に合うどころか、到着する頃には「明日」になってるじゃないか。


信じられない、すぐそこって感じなのに。

カーナビは、なんだったら一回名古屋まで戻って新東名で行った方が早いなんて大迂回ルートもご案内する始末。


完全になめていた。

そこには広大な山脈が広がっている事も忘れていた。

さすがに登山後の5時間半の峠越えはテンションを猛烈に下げるには十分だ。

正直今回はさすがに帰ろうかと思ったが、せっかく勝ち取った「遊んで良い土日」。

こうなったら過労死したって遊んでやる。



道はどんどん細くなって行き、街灯も無くなり漆黒の森の中に向けて吸い込まれて行く。

いつがけ崩れが起きてもおかしくない、激しくうねうねと曲がり続ける山中の道。

途中、道の真ん中に巨大な鹿が現れるというワイルドなリアルサファリパーク。


立ちふさがる山脈を突っ切るトンネルは無く、車一台通るのがやっとの強烈な道を一気に標高を1,165mまで上げる迂回ルート。

夜間の山中峠越えは凄まじい恐怖も伴う。

その真っ暗な兵越峠を越えた頃には僕は2、3人の無念の落ち武者の魂を引き連れている気がして振り返る事も出来ない。

この時点で僕の精神力はかなり追いつめられていた。


その後も続く強烈な峠道。

長い時間何も口にしていないから気力も衰えて行く。

コンビニどころか人家すらない。

オシッコもしたいんだが、こんな真っ暗な山中の道で外に出て放尿する勇気は持ち合わせていない。

なんだったらもうすでに少しちびっている可能性だって否めない。


長い長い永遠かと思われた山中の孤独な4時間ドライブ。

ヘロヘロになりながらついに気田川の河原に到達。

みんながいるテント場に横付けした僕は、車のドアを開けるなりその場に倒れ込んだ。

正直この時の僕は、木曽駒ヶ岳登頂よりも激しい達成感に満たされていた。


時間は10時を越え、すっかりBBQは終わりを告げており平和的な花火が始まろうとしていた。

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コンビニ前にたむろするスケバンのような彼女達が花火を満喫している隙に、僕は寂しく残飯処理。

すごく美味しかったが、出来ればもっと早く来たかった。


こうして壮絶な土曜日が終わった。

前夜はほとんど寝てない状態で早朝から高山病と足の痛みに耐え、荒れて行く天候の中失踪者の捜索活動、そして4時間にわたる大峠越え。

この時ばかりは寝付きの悪い僕も、さすがに瞬時に泥のような眠りに滑落して行った。


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翌朝4時。

僕のミスで、僕の車の防犯ブザーが激しく鳴り響いて全員強制起床。

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天気予報は晴れ予報だったが、晴れているのに雨が降っているという状況。

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晴れと僕との激しいせめぎ合い。

メンバーの「誰だあいつを呼んだのは?」という心の中の非難の声が聞こえて来そうではないか。


何はともあれ、お馴染みの川をお馴染みのメンバーで出発です。

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今回は僕、B旦那、B女房、バターNの槍ヶ岳ドラクエパーティーの四人と、前回この気田川でチェリーボーイズの大反乱の時以来の山田(仮)、そして6月に甲斐駒ケ岳を罵倒し続けたサディスティック女優E。

そして今回は富士川以来の参加となった黒はんぺんSが初めて彼女さんを連れて来た。(左上二人)


思い起こせば去年仙丈ヶ岳に登った時に、独り身だった黒はんぺんSは随分と恋に悩んでいた。

頂上手前では悩みすぎて頭から煙を出していた事もあったっけ。(右下の男)

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その時の相手と見事に想いを遂げ、今回ついに参加の運びとなった。


それにしてもみんな彼女や奥さんがカヌーや登山に来てくれるってのが実に羨ましいじゃない。

我が家のドS嫁が奇跡の参加を果たす時が来るのだろうか?

恐らくロト6に当選するより確率は低いだろう。


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さて、この川に関しては今更特記すべき事もないでしょう。

相変わらず良い川だが、ここのところ間違いなく水質は落ちてしまったのが残念。

まだ9月だから鮎釣り師とのトラブルが懸念されたが、この日はほとんど出会う事なく快適に下れた。


快適すぎて突如戦いを始めたB女房と女優Eとあきれ顔のB旦那。

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戦いはエスカレートし、ぶち切れたB旦那が怒りの宣戦布告。

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ここから平和な気田川が乱戦モードへ。

即座にサド女優Eが嬉々としてマゾどもに襲いかかる。

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僕が「絶対に濡れてはいけない」一眼レフのカメラを手にしているのを確認してからのサドプレイ。

濡れたカメラを手にたちまち喜びに打震えるマゾ野郎。


いやあ、激流の川もいいけどやっぱりのんびりとこうして遊びながら下るのもいいもんだ。

そして今回は新たな趣向にもチャレンジ。

黒はんぺんSがとっておきの沢登りスポットへとご案内。

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とある場所から小さな流れ込みを遡上して行く。

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こういう冒険的なワクワク感はいつになってもいいものだ。

カヌーでゴールまでひたすら下るだけより、こうして寄り道したり潜ったり魚穫ったりしてこそ川旅だ。


やがて滝が現れる。

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ここも果敢に滝登り。

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これが中々に楽しい。

単独行の時にやる気は起きないが、こうして仲間と一緒なら実に楽しいシャワークライミング。


そして衝動を抑えられない夫婦がいる。

「歩く好奇心」でお馴染みのB女房は滝滑り台に勝手に挑戦しだす。

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毎度彼女の恐れ知らずの好奇心には驚かされる。

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しかし結果は滝滑りというより「滝落ち」。

うちの女房もこんなB女房の生き様を見習って頂きたい物だ。


一方でその旦那のB旦那。

ついに自分自身との対話を楽しみだした。

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遊びに貪欲すぎる彼も多少は煩悩から解き放たれたか?

しかし後に彼は僕に言った。

「今月末、日本標高二位の北岳に行きましょうよ。」と。

少しも煩悩から解き放たれなかったばかりか、その後も魅惑的な遊びのお誘いで僕の家庭内での立場をより厳しいものへと追い込んでくる。


恐るべしB夫妻。

遊びと好奇心の煩悩にまみれたこの夫婦から、今後も目が離せそうにない。


ひとしきり沢で遊んで、再びのんびりとした山の懐へ吸い込まれて行くご一行。

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気田川の良さはこの山の懐の深さにある。


そして今回、すっかりプレイボートにはまってしまったB女房。

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一人だけこのカヤックに乗っていると、すごい上手い人に見えて引率のインストラクターに見えてくるから不思議だ。

一方で、今回初参加となった黒はんぺんSの彼女さんがだんだんノって来た。

ソロでの操船も余裕が出て来てご満悦でポージング。

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やがて寝そべってポージングを次々と決め込んでくる余裕っぷり。

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ついにはこんな事に。

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見事な浮かれっぷりだ。

今後は彼女の事をモデルSと表記しよう。

これは今まで観客の視線を独占状態だった女優Eに対する宣戦布告。

彗星のごとく現れたの新人モデルと大女優との恐ろしき女の戦いが幕を開けたようだ。



何はともあれ、朝の日差しが美しく川面を照らすゴールデンタイムに突入。

僕らは光の川を清々しく滑っていく。

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清々しいねえ。

やっぱ川は早朝スタートに限るわ。

せっかくだからそんな清々しい僕と山田(仮)を撮影。

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なんだか山田の股間を僕が隠しているようで苦々しい写真となってしまった。

頭から足が生えてしまったような僕の表情も苦々しい。


そんな平和な空間を引き裂くように、突然バターNが「ビクッ」と動いてダッシュした。

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アウトドア派なのに虫が苦手なこの男に巨大なアブが襲いかかったのだ。

これが映像で残っていたら、間違いなく「マンボ」のバックミュージックをかけて繰り返し再生する所だ。

彼の激しいビビリっぷりは、毎度我々をビビらせる。


一方で僕はもう漕ぐのをやめて、お気に入りの「ライフジャケッティング」を開始。

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不気味に川を流れて行くマゾ太郎。

今ここにりんたろくんがいたら、きっとオオヒレカワコビトと見間違えただろう。


しかしこの川は比較的浅いから、そこらじゅうで腰を岩に強打するマゾ太郎。

空も曇ってすっかり低体温症気味に体を冷やして苦しみ始めるマゾ太郎。

この川でのライフジャケッティングは結構楽しいという事を知った。


前方を見れば、モデルSが倒木に突っ込んで行く所だ。

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まだまだ知名度の薄い新人モデル。

このように体を張った仕事も今はこなしていかねばならんのだ。

そして奥の方でこれを見て助けようともせず爆笑する黒はんぺんSの姿が映り込んでいる。

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彼らの今後の動向にも注目だ。

ボコボコに殴られて赤はんぺんになってなければいいが。


そして遊びはクライマックスへ。

エスキモーロールの練習の初体験です。

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挑むのはバターN。

エスキモーロールとはひっくり返ったカヤックを自力で回転させて再浮上させる技術。

転覆させて、

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さあ、勇ましくロール…

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おかしいぞ。

頭の位置、手の位置、パドルの位置全てがなにやらおかしなことになってるぞ。

彼は溺れているぞ。

即座に必死でB旦那による救出。

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しかし重さですぐさま再沈没するバター。

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渾身の力で再び持ち上げる。

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これぞ上級テクニック「バターロール」。

このロールで一番大変な目にあうのは補佐のB旦那だ。

これを彼らは激流の中でやるというのだから凄い話だ。


その後も何度となく行われるバターロール。

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もはやパドルの位置がぐちゃぐちゃだ。

しかし何度も繰り返す彼に、会場は感動に包まれていた。


もはやこれは感動の超大作映画の一コマのようだ。

見方を変えてみれば、なんだかすごく格好良く見えるのではないだろうか。

そこで映画のポスター風にしてみた。


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バターNがなんだか凄く格好良く見えるぞ。

メンバーもそうそうたる俳優人に見えてしまう。

恐るべしバターロール。

今後はこの新たなロール方法が世界に浸透するかもしれない。


と、こんな感じで一切川の説明無しで終わりを告げた気田川カヌーツーリング。

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せっかくなんでログ貼っときますね。


より大きな地図で 気田川日帰り王道コース を表示

こうして僕の目まぐるしい土日が終わった。

木曽駒ヶ岳登山からの気田川ツーリング。

絶対的にお勧め出来ない組み合わせだが、マゾ野郎は充実の週末を楽しむ事が出来るだろう。


今後一週間の仕事に大きく影響が出るほどに疲れ果てた今回の旅路。

そして翌日から僕は強烈な仕事量に埋没して行く日々が始まることになる。

(※今回の土日の記事が一向に進まなかったのはそのためだ)


これ書いてる現時点での僕の体調と精神状態は最悪だ。

そろそろ行かねばなるまい。

さあ、山や川が僕を待っている。




ーーーでも昨日嫁と喧嘩しちゃったんだよね。

待ってるのは山や川じゃなくて絶縁宣言かもね。



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MATATABI BASE

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コメント

    • アツシ
    • 2012年 9月 17日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    2013年お正月映画の目玉作品「川猿」のキャストがついに公開されたんですね!!(笑)
    バターさんの主演男優賞は、ほぼ決まりではないでしょうか。w

    山田さんが佐藤隆太に似てるんで、マジうけました(笑)

    新旧女優対決からも目が離せませんね!ww

    • yukon780
    • 2012年 9月 18日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    確かに今シーズンのバターNの活躍はめまぐるしいものが有りますね。
    毎回本人は大真面目なんですが、勝手にこのブログ上では変な人になっているからちょっと申し訳ない気持ちも有りますが。
    そして言われてみれば山田は佐藤隆太に似てますわ。
    かつて彼は薬丸や上祐に似てるとも言われた男。
    奴はこのブログを見ないのでいくらでも書き込みオッケーでございます。

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