あるイタリア野郎がその天寿を全うした。
思えばこのイタリア野郎と僕は4年ほどパートナーを組んだ。
以来各地を彼と一緒に行動を共にした。
言葉こそ通じなかったが、気持ちで語り合えた貴重な奴だった。
特に去年僕が本格的に登山を開始してからは、彼とは相当にハードなお付き合いとなった。
彼はイタリア人らしい軟派な野郎で、よく僕と衝突した。
何度か彼との関係が擦れて足を痛めたものだった。
出会った当初は若くて随分と軽い感じの男だったが、4年も苦楽を共にしているうちにすっかり渋みの増したチョイ悪な風貌になっていた。
そう、彼の名はイタリア産まれの「スカルパ」さん。
もはや骨董品のような貫禄に包まれてしまった我が相棒。
思えば屋久島用に買って以来、僕と何度も「靴擦れ」を楽しんだ登山靴だ。
そんな彼もついに終焉の時を迎えたようだ。
前回の「槍ヶ岳三日間戦争」で彼は名誉の致命傷を負った。
彼の傷口はベロリと開き、もはやこれ以上の戦いは強いられない。
すり減りまくった靴底は、僕とこいつの過去の激戦の模様を雄弁に語っている。
もうそろそろこいつを楽にしてやってもいいんじゃないか?
まるで家庭内で嫁に神経をえぐられてグッタリしている自分に見えて悲しくなって来る。
でも僕だって気持ちを張り替えれば再び嫁に愛されるのではないだろうか?
このイタリア野郎だって、靴底のソールを張り替えればまだまだ僕は愛してやれそうだ。
という事で登山用品店へ行きました。
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好日山荘に到着し、まずは買って数ヶ月で壊れてしまったレキのトレッキングポール(参考記事)を見てもらった。
接合部がスカスカになってしまって固定出来なくなってしまったのは、強く締めすぎた事が原因らしい。
やはり男の支えとなるトレッキングポールと女性は優しく抱きしめてあげなくてはいけなかったのだ。
帰ったら嫁をそっと優しく抱きしめてやろう。
きっと「うざい」と突き放されて、僕の心はスカスカになるんだろう。
結局接合部の部品の取り寄せという事で、僕のレキポールはご入院の運びとなった。
しかしさすがに夫婦間の絆を固定する部品はお取り寄せ不可能なようだ。
続いてイタリアの相棒スカルパさんを見せてご相談。
僕はソールの貼りかえなどはせいぜい5000円くらいと踏んでいた。
しかしおっさん曰く、貼りかえ価格は10000円以上してなおかつ半月以上預ける事になるとの事。
思ったより値段も期間もかかる事を知った僕。
途端にこのしなしなになってグッタリしているイタリア野郎への愛が急速に冷めて行く。
そもそもこいつエントリーモデルだったし、やたらと陽気に靴擦れを提供してくれた奴だ。
しかも3シーズン用なのに、雪山まで無理してこいつで挑んだ。
僕も槍ヶ岳を制し、そろそろ次のステップへと踏み出す頃かもしれない。
嫁もくたくたな僕を見て同じ事を考えているんだろうか?
さようなら、我が相棒。
水谷豊の相棒も寺脇からミッチーになり、最近成宮寛貴に変わったというではないか。
そう、ついに僕も新しい相棒と共に登山〜シーズン2〜へと突入しても良い頃なのだ。
で、新相棒の選定。
新しい登山ドラマがヒットするかどうかは、この配役で全てが決まると言っても過言ではない。
中途半端に見た目でジャニーズの若手を選んで痛い目にあうより、見た目より履き心地重視の実力派の俳優さんと組んだ方が良い。
松本幸四郎のようなハイスペックなものではなく、できれば香川照之クラスの安定感のある靴が良い。
そんな僕を見つめる重々しい視線。
赤いマンモスが僕を強烈な眼差しで見つめている。
マンモスは「あんた、そろそろ俺を履いてもいいじゃない?」と語りかけて来た。
そのマンモスの名は「マムート」さん。
格好良くて物も良いんだけど、ちょいとお高いスイスのメーカーだ。
そして僕を呼ぶその靴の名は「Mt.Lennox GTX」。
正直見た目は黄色い小窓部分が余計だったが、履いた感じは他のどの登山靴よりもしっくりと来た。
しかも完全な冬期モデルではないが、クランポン装着可能な残雪期登山までオッケー。
そして軽量で幅広なので日本人でも窮屈感がない。
そしてそのマムートさんがわざわざ余計な小窓を設置してまで見せたかったのが、特許取得のこの「マムート Base Fitレーシング」なるもの。
メーカーホームページによるとこのように書いてある。
「シューズに当たる箇所と滑りを作らずに足にソールの力を移動、3ゾーンレーシングにより一つ一つを固定しながら、メモフォームで完璧にフィットとパッドを確保。」
さっぱり意味が分からないが、要するにフィット感が尋常じゃないと判断させていただいた。
これであの靴擦れから解消されるかは分からないが、多少はマシになると期待している。
こうして僕はイタリアの軟派野郎からスイスの硬派野郎へと相棒をチェンジした。
さあ、これでドラマのキャスティングは完了だ。
この新しい相棒と様々な難事件を解決してみせる。
しかしこのドラマが無事に放送されるかどうかは、我が家にいるサドプロデューサー次第。
僕が新人女優なら喜んでプロデューサーに抱かれて役を射止めるところだ。
しかし彼女が僕を抱いてくれる事はないどころか、最近では手もつないでくれないという現実。
みなさん。
このドラマが無事に放送される事を懇願する署名活動にご協力ください。
よろしくお願いいたします。
さよなら相棒〜そしてマンモスへ〜
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マンモスうらやまぴー!
めちゃめちゃカッコイイですね!
こんなにかっこよくて靴擦れが起きるはずありません!(笑)
昨日塩見に登ってる際、ワンゲル部っぽい青年たち5~6人とすれ違ったんですが、半分ぐらいの子達はランニングシューズを履いていてビックリしました。甲斐駒ケ岳の頂上でもオールスター履いてる子いたし…(笑)
結局、足に合えば何でもOKって事なんでしょうか!?
塩見日帰りは、苦行でした…。
ただ、山頂からは甲斐駒~鋸~仙丈ヶ岳~北岳~間の岳~富士山が一望でき、最高でした!!
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マンモスいいよねえ。
ただ正直見た目的にはシンプルな真っ黒が好きなんだけど、余計な黄色い小窓が付いちゃってたなあ。
でも登山靴は足にあってなんぼで見た目は二の次だったから、それ思えばカッコいい物にハマって良かったよ。
確かに正直な所、普通の登山道があるとこなら運動靴程度で十分なんだよね。
ただ僕の場合はグネリ率が首位打者クラスなんで必要なんですよ。
そして「雨」の日に登るのが好きな?僕としては、圧倒的にGORE-TEXの恩恵にあずかるわけです。
そう考えると、やっぱり登山靴はいるよね。
ちなみにB女房は靴紐もない運動靴程度の物で槍ヶ岳を制覇してました。
靴擦れで苦しんでる僕を横目に、平然と。
まあ、そんなもんです。