◉ 愛すべき旅道具

青船来航

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「太平の眠りを覚ます盗賊船、たった一杯で夜も眠れず」



ついにアメリカから青船が来航した。

子供の誕生による長いカヌー鎖国状態の僕に、いよいよ開国への第一歩が刻まれたのだ。


今回は、今後「NRS Bandit」の購入を検討しているマニアックな同志のために、私感を書いておこう。

すべてが推測で進行していくから、はっきり言ってなんの参考にもならんけど。

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前回記事「盗賊維新」のあと、NRSのエミリーさんとメールでやり取りをした。

英語が全く出来ない僕でも、Googleの翻訳機能を駆使すれば何とかなるもんだった。


心配だったのが、別売りのシートがオレンジ色しかないってこと。

青の本体ににオレンジ色のシートでは、やや画期的な配色だ。


そこでエミリーさんに、AIRE社のグレーのシートがBanditに取付け可能か?可能ならばオレンジのシートをキャンセルしてAIRE社のシートに変更してほしい旨を伝えた。

翌日エミリーさんから、AIRE社のシートは装着可能なのでオレンジのシートをキャンセルして変更しておきますとのメールが届いた。

送料は198ドルという見積りも貰ったので、僕は発送許可を出した。


そして一週間後、青船来航の運びとなったわけだ。

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青船艦隊は二つに分かれてやって来た。

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左がバンディット本体で右がポンプなどの備品。

突然の青船襲来に、りんたろくんも布団たたきで対向姿勢を取る。


関税と消費税はこんな感じ。

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何に対しての消費税なんだ?

よく分からんが、とりあえず男のロマンに対する税金だとでも思っておこう。


中身一式を広げるとこんな感じ。

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りんたろくんが乗ってるのがバンディット本体。

じゃあ、まずは備品のチェックから行こうか。

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ポンプとDリングとリペアキット。


ポンプはエミリーさんにおすすめを聞いたらこのタイプだった。

Dリング×4は、今後荷物止め用に加工する時のために。

付属品リペアキットは、接着剤だけ輸出出来ないから入っていません。


お次ぎはこいつら。

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ラフトバッグ(BandeitⅠ&Ⅱ用)とタイストラップ。


バッグは軽量の本体を活かすべく、背負えるタイプのものだ。

タイストラップ×2は、激流で体が飛んでいかないようにモモを固定するもの。


そして問題だったシート。

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なるほど、これがAIREのグレーのシートか。

おや?

なんだこのオレンジ色の物体は。


おいエミリー、話が違うじゃないか。

なぜキャンセルして乗船拒否したこいつらが、密入国してるんだ。

2人乗りのダッキーを4人で乗れとでも言うのか。

少し考えれば分かるじゃないか。


請求書を見てもバッチリ計上されている。

なんてことだ。

返品したくても、送り返すだけでこのシートが4つは買えてしまう。


さすがは盗賊(Bandit)だ。

オーナーからも金を巻き上げるのか。

とりあえずエミリーへ苦情のメールを入れておいた。

(翌日謝罪文とともに、返金します、シートも差し上げますというメールが届いた。なにやら得した気はするが、使う事あるかな。カナディアンにでも括り付けてみるか。)

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さあ、気を取り直してバンディットを膨らませてみるか。

しかし取扱説明書なぞは一切入っていない。

ここからは全てが推測で進んでいく。

僕と盗賊の心理戦が始まる。


なんだこれは?

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早速ポンプの時点で訳が分からない。

こいつらは切り離して使用するものなのか?

もしこの時点で間違って取り返しのつかない事になったら、僕は当分立ち直れないぞ。

僕は爆弾物処理班のように慎重に作業を進めていった。


とりあえず一番左側のやつをホースに取り付け、右の中からバルブの穴にすっぽり合うやつを取付けてみた。


次はバルブ側だ。

やっぱりよく分からない。

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試行錯誤の末、中の突起が起き上がった状態なら中から空気が漏れない事が分かった。

突起を起こすのは、中の十時の部分に爪を入れて、押して右に回すと起き上がった。

なにやらスパイ活動でもしている気分だが、このやり方で合っているのか?


何だかんだとちゃんと膨らんで来たぞ。

バルブはケツ側のこの三つ。

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前回の相棒HIVIX艇は6気室だったから、これは中々楽チンだ。

それにしてもこの黒い部分はなんだろう?

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結局ここは最後まで謎のままだった。

盗賊としては、多少ミステリアスな部分があった方がカッコいいという事にしておこう。


そしてついに岐阜の片田舎に、怪盗ペリーがその全貌を現した。

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とりあえずシートは付属品のスオートシートです。


一重構造だから安っぽいかと思ってたけど、思ったよりいい感じだぞ。

シンプルな装飾もオツだし、中々精悍な顔つきでいいじゃない。


セルフベイラー(自動排水穴)もしっかりしてます。

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これでもう水風呂状態からの沈はなくなるぞ。

激流もガシガシ下れるから、行ける川の範囲がグッと広がる。


そして、早速このセルフベイラーがその威力を発揮した。

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おもむろにりんたろくんが「うまい棒」をバリバリと食べ始め、そのカスがダッキー内に侵入。

何してくれるのと思っていたが、ダッキーを揺らせばセルフベイラーからカスが排出されていく。

水だけじゃなくうまい棒のカスにも効果的なのか。

これは日本人には欠かせない機能の一つだ。

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続いて、AIRE社のシートがちゃんと着くかどうかのテストだ。

まずは付属品のスオートシートを取り外したいんだけど、どうやら膨らんでる状態でのシートの脱着は厳しいようだ。

面倒くさいけど、ここからは萎ませては脹らましの作業が続く。

その度にポンプでガシュガシュやる事になるので、両腕パンプアップ状態で持病の腰痛が悲鳴を上げる。

盗賊が知能戦から、体力勝負の対決に切り替えて来たようだ。


萎ませた裏側はこんな感じ。

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このセルフベイラーの穴を利用してシートを取付けるようだ。

まずは付属のスオートシートを外したいんだけど、バックルが引っかかって取り外せないぞ。

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バックルのが穴よりデカイから当たり前だ。

再び僕は知恵の輪のような頭脳戦に引きずり込まれた。

何度も挫折しそうになったが、バックルの先っぽの方から穴に入れて斜め横に倒して力技で抜いたら何とか取り出せた。

こんな豪快なやり方で合っているんだろうか?


そしてAIREのシートとタイストラップを全て推測で取付けていく。

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白いベルトがシートで黒いベルトがタイストラップのもの。

何故か白いベルトが2本余っていたりするが、とりあえず着いたからこれでいいか。いいのか?

誰かアドバイスくれるマニアックな人いたら、ご助言絶賛募集中です。

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タイストラップの位置もいまいち分かんないなあ。

そもそも向きも合っているのかすら不明だ。

こればっかりは場数踏んで調整していくしか無いな。

場数踏む前に轟沈食らいそうだけど。


でもまあ、シートの色的にはやっぱりグレーなら違和感なくいい感じだ。

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体力が尽きて来たから、タンデムだけどとりあえずソロ仕様の完成だ。

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さあ、ここでオシャレ度アップ大作戦だ。

このやさぐれた盗賊をよりスマートにし、インテリ頭脳窃盗団へレベルアップさせる手段がある。


やる事は一つだけ。

りんごのシールを貼るだけだ。

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するとどうだろう。

あっという間にオシャレ度がアップし、洗練されたダッキーに見えてくるじゃないか。

たちまち僕の相棒が「iDucky」へとカスタマイズされた。

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そんな子供みたいな馬鹿な事をしていたら、補修跡を発見した。

IMGP3821.jpg

気づかなかったからすっかり忘れていたけど、このバンディットはリペア品で19%オフだったものだ。

思った以上に目立たないし、しっかり補修されている。

これは中々良い買いもんしたな。


こうしてオシャレカスタマイズも完了して、僕の相棒が誕生した。

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よし、これから長い付き合いになるんだ。名前でも付けてやろう。

アメリカから来た盗賊(Bandit)だから、そのまま怪盗ペリーでも良いんだがちょっとしっくり来ない。

ここは郷に入っては郷に従ってもらおう。


日本の盗賊と言ったらキャッツアイか。

ボディーの質といい色といい、瞳さんのようではないか。

これは「ひとみ」さんで決まりか?

しかしそのネーミングには問題がある。

「僕の相棒はひとみさんです。空気で膨らますカワイイやつです。かなり激しい所まで攻めて行けます。」なんて言おうものなら、一発で変態扱いされる事は間違いないだろう。

しかもどっちかと言うと、僕は瞳さんよりルイ姉さんが好きだ。

だから「ひとみさん」は却下です。


やはりオーソドックスに日本の大盗賊と言えば石川五右衛門だろう。

色も青くてドラえもんっぽいから「ゴエモン」と呼ぶ事にしよう。


果たして新相棒ゴエモンは僕に「絶景」を堪能させてくれるのか?

それとも轟沈へ誘い、僕を「ドザエモン」にするつもりか?

もしくは楽しく遊びすぎて、僕が嫁から「釜茹での刑」を宣告されるのか?


今後のゴエモンとマゾえもんコンビから目が離せない。

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あとは萎ませてバッグに入れるだけだ。

僕は随分達成感に浸って満足していたが、ゴエモンはまだ遊び足りないようだった。

僕とゴエモンの力比べが始まった。


なんとバッグが小さくて全然入らないじゃないか。

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少しも収納出来る気配を感じない。


なんとか僕はゴエモンを力技で小さく畳んでいく。

ゴエモンも負けじとその持ち前の負けん気と反発力で抵抗する。

その度に僕はマウントポジションをキープしてゴエモンをねじ伏せる。

周りから見れば、一人でレスリングの練習をする変態だ。


今後の主従関係を明確にするためにも、ここは絶対に負けられない。

前田慶次が愛馬松風を手なずけたように、ハッキリと力の差を見せつけないと。

一度嫁で失敗しているだけに、ここは気を抜けない局面だ。


無理矢理畳んでいくもんだから、折り目の部分とかが穴空きそうでヒヤヒヤする。

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なんか正しい畳み方があるんだろうか。

一応この件もエミリーにメールしてやり方を聞いてみたが、なぜか返信にこれについては一切触れられていなかった。


結局僕とゴエモンの泥仕合は30分以上続いて、無理矢理収納する事に成功した。

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勝った、勝ったぞ。


ゼェゼェと息を切らせながら、僕とゴエモンは倒れ込む。

二人を夕日が包み込み、死闘を繰り広げた我々には熱い友情が芽生えていた。


というか、だまされんぞ。

川に行く度に毎回こんな戦いを繰り広げる事になるのか?

すごいパツパツだけど大丈夫か?

雑技団の子供服を着るおっさんみたいに、特別な訓練が必要な商品なのか?

このバッグ、もう少し余裕があればよかったのに商品的にどうなんだ。


当然、ポンプもシートもパドルも中には入らない。

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バンディットの軽さを最大限に利用し、ゴールしたらこのバッグを背負って自転車で上流に帰る計画だったのに。

これは今後、試行錯誤を繰り返していく事になりそうだ。

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こうして僕とゴエモンの初対面は終了した。

まだお互いに手探り状態で、相手の出方をうかがっている状況だ。

アメリカ生まれのゴエモンとは、まだ言葉の壁もあって意思の疎通が図れない。


2012年、じっくり時間をかけてお互いの距離を縮めていこうじゃないか。

そして各地の川に「ロマン」を盗みに行こうじゃないか。

しかし我々の距離が縮めば縮む程、僕と嫁の距離が遠くならなければ良いけど。


激流窃盗団「マゾ川ゴエモン」の船出は近いぞ。

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MATATABI BASE

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コメント

  1. SECRET: 0
    PASS: a1bd5f91ca91a0ef37014e4825f3274a
    おぉ!来ましたね~。

    ポンプの先っちょが色々ありますが選んで一番良いやつを使えばOKですよ。

    バルブの真ん中の十字ですが、ブロワー等で空気を入れる時は圧力が弱いので十字を押し込みロックした状態で入れます。程々入ったらロックを戻し、ポンプで空気を入れます。
    僕はラフトも持ってますがポンプ一丁で入れるとなると漕ぐ前からヘトヘトになるので専ら充電ブロワーで入れて鱒。

    フロアーの黒いのはリリーフバルブで空気が入り過ぎると”プシュー”と空気が抜け、適当な圧力に保ってくれます。ハイビックスは圧力が高いので入れる時の圧調整はしますがリリーフは付いていなかったような気がしますがエアフロアでは一般的です。ポンプでガシガシ入れて試してみましょう。

    進水式が楽しみですね~。

    • yukon780
    • 2011年 12月 28日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    早速の素早いコメント、ありがたい限りです!

    ポンプはHIVIXの時が代わった口だったんで、難しく考えすぎてました。
    多分今回のやり方で問題なく行けそうです。

    ブロワーに関しては今まで車のタイヤ用のやつを、車のシガーソケットから伸ばして使ってました。
    なんかおすすめの強烈なやつあったりします?
    まあ今のやつで十分行けそうだし、筋トレ代わりにひたすらポンプってもいいですけど。


    黒いやつの正体が分かってスッキリしました。
    ミステリアスでカッコいい等とほざいていましたが、やっぱり気持ちいいもんじゃなかったんで、これで安心して眠れそうです。
    一回どんなもんか試してみますね。

    ところでつんのこさんはどうやって収納してます?
    ラフトバッグとの戦いを続けて行くのは中々しんどいですし、折り目の部分の劣化が心配です。

  2. SECRET: 0
    PASS: 8c97fc01e9d1532ffd08396266df736b
    ゴエモン到着!おめでとうございます。
    青船来航記、楽しく拝見しました。

    思えば私も到着後はセッテイングに一所懸命で、
    これほどに詳細な記述はしていなかったな~と気付きました。

    バッグはやはりタンデムでは一杯なんですね。ソロなら少し余裕がありますが。
    最初は他の装備は別のバッグを下げていましたが、リユックの上にくくりつければ楽になります。

    年が明けたらボーターズバックでドライスーツと決まりですね!
    早く進水したいですよね!

    • yukon780
    • 2011年 12月 28日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ありがとうございます!
    他にバンディット購入を考えてる人のために頑張って書いたんですが、基本全てが推測なんであまりためになるページではない感じになってしまいました。

    でも最初から分かりあえる夫婦もいないという事で、じっくり仲良くなって行こうと思います。

    ただ、ドライスーツ買おうと思っていたらボーナスが寸志だったんで断念の方向に向かいつつあります。

    寒いけど根性で下ろうかな。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    僕が使ってるブロアーはリョービの充電式です。満充電でラフトなら3艇、ダッキーなら10艇程は入れられるかと。とにかく楽チンなのでお勧めですYO。
    http://tunnoko.naturum.ne.jp/c20122379.html

    収納ですが、適当に畳んで軒先に置いてます。
    前に使ってたアキレスのダッキーは納屋に保管していたらネズミに食われ大穴を空けられてしまい、それからは外に置くことにしました。
    僕ん家は田んぼの一軒家で幸いにもスペースには余裕があるので今後、車庫を作ったら緩くエアを入れたまま畳まず保管しようと思っています。

    • yukon780
    • 2011年 12月 29日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    まさに欲しかった情報です。
    リョービの充電式ブロアー、アツいですね。
    これなら車の横じゃなくて川際で膨らませますね。
    これは買いです。早速買います。

    うちもそこそこ広いんですが、そこは養子の悲しさかあまり好きなように出来ないつらさがあります。
    ユルエア状態での保管ならパーフェクトですね。
    せっかく買ったんで、しばらくはこのバッグ使ってみますが、最悪背負子買って括り付けて運搬しようかと画策してます。
    アルフェックのボイジャー用の背負いバッグもいいかもしれませんね。

    冬の間に解決したい問題です。

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