長良川/岐阜

引退の瀬、ラフトリベンジ

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以前富士川でお世話になったBさん夫妻が、

「今度名古屋の方へ行く用事があるから、時間があれば一緒に長良川のラフティングでもどうよ?」

と来たので、最近山ばっかりで川に飢えていた僕は喜んで応じた。


あくまでB夫妻にとっては「用事のついで」的な感じだろうが、僕は神妙な顔つきで嫁に言う。

「彼らはわざわざ関東からはるばる憧れの長良川の為にやって来る。
だから地元の僕がホストとなり、色々案内せねばならんのだよ。」

そう息巻いて、見事外出許可を勝ち取ったのだ。


しかしB夫妻は僕が悪天候男だと言う事を忘れてしまっていて、僕を誘ってしまったようだ。

当然当日はどんよりとした雲に覆われ、昨日までの猛暑がウソのような寒い気候。

僕としては時折雨が降るいつものコンディションとなった。

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スタート地点にはレッドクリフ並みの大船団。

長良川もラフト業者が乱立し、このような状態になる。

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まずは説明を受けます。経験者だからといってここはおろそかにしちゃいけません。


僕はラフト2回目なんだが、いつも非常に戸惑う事がある。

基本的に客が若い女だらけの世界なのだ。

カヌー野郎で旅をしている時は、川で若い女の人など出会った事がないのに、ラフトとなると「なぜこんなギャルが川にいる?」と不思議になるほどの人気ぶりだ。

なんかガイドの人もチャラい感じの人がいたり、それ目当てのお客さんがいたり。

若干僕のような川旅男はそわそわしてしまって落ち着かない。

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まあそれはそれとして、川に漕ぎだせば素直に楽しいのだ。

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やっぱり瀬に突入して行くと、体の奥の方で何かが目覚める。

普段のカヌーなら何度も下見をして、恐怖を身にまといながら下るんだけど、ラフトの安心感ったらないね。素直に瀬を楽しめる。


しかし、この後個人的に素直に楽しめない瀬も越えて行く。

一般的には「懺悔の瀬」と呼ばれているが僕は「引退の瀬」と呼んでいる。

僕は数年前この区間をカヌーで下った事がある。

その時僕は瀬を越えた先のアンダーカットロック(えぐれた岩の壁に水流が吸い込まれて行く場所)にカヌーをはり付けてしまって沈。

一緒に乗っていた友達とともに、川の中に引きずり込まれて人間洗濯機になり本気で死にそうになった苦い思い出のある場所だ。

川の中ではどちらが上で下かも分からない状態になり、何度も水を飲んでは死を覚悟した。

二人は20秒後(二人の体感時間は3分くらい)なんとか脱出した。

水が怖くなった彼は、その後温泉でジャグジーにも入れない程のトラウマを抱えてしまった。

この時の友達はそれ以降カヌー引退を表明し、アウトドアの世界から姿を消してしまった。

そしてこの瀬は僕の中で「引退の瀬」として最も恐ろしい場所となった。



そんな曰く付きの瀬もラフトなら軽々と越えて行く。

正直、僕の友人を引退に追いやったこの瀬をこんなに軽々と越えられては彼も立つ瀬がない。

みんなは喜んで笑っていたが、この区間僕だけ笑わずに体を硬直させながら下りました。

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やがてお約束の飛び込みタイム。

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Bさん中々の奇抜なジャンプ。

やっぱり川は飛び込んでなんぼです。楽しい。でも高所恐怖症なのがイタイ。


やがて三段の瀬に突入していく。

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長良川上流に言える事だが、全体的に素直な瀬は少なく、隠れ岩豊富で瀬の終わりには岸壁があったりと嫌らしい瀬が多い。

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でもラフトで行けばまるで観光船だ。
(最近天竜舟下りの事故はあったが、ラフトは基本落ちる事前提で対応しているからレスキュー対策は日本の観光船業者は大いに見習う点が多い)

僕らの船は女性のガイドさんだったが、その逞しいパドルさばきに格好良さを感じた。
(彼女はその後、2cmほどのアブを素手で叩き殺していた。こんな女の人、結構好きだ。)

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ゴール付近では僕とBさんに操船もさせてもらった。

欲しい。個人的に欲しいです。

でもこんな物買ったら、瀬に突入する前に嫁に殺されるのは間違いない。


ゴールして記念撮影。

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どう見ても女子高の修学旅行と引率の先生だ。明らかに僕だけ浮いている。

まあでもやっぱり素直に楽しかったなあ。若い女の子だらけなのもうなずけます。


ほんと誘ってくれたBさん夫妻には感謝です。

次回は吉野川、大歩危小歩危のハイグレードラフト行きましょう。

僕はしばらくは大人しくして、こつこつとポイント貯める日々が始まります。



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