カンムギプロジェクト

ぼくらの七日間戦争〜カンムギGW滞在記 後編〜


DAY6・5月2日(木)

怒涛の「カメムシロックフェス」が終わった。

疲れ果てた男たちは、激戦地から離れて再び我らのホワイトベースこと「水音」に帰還。

そこでは早速「スナフキン瞑想岩」にて、昨日の悪夢を洗い流そうとしている鯉さんの姿が確認された。




昨晩のフェスの傷を癒しつつ、神崎未来トークの余韻に浸っている鯉さん。





戦闘系の鯉さんがこんな形で清流に癒されてる姿は非常に貴重だ。

男たちはとにかく癒しと「通常の匂い」に飢えていた。

スナフキンNも半ば放心状態で、遠い目をしながら嗅覚調整と心の傷を癒すことに専念。

水音にはこのようなハンモックチェアが常備されており、目の前の円原川と神崎川の清流を眺めながらのんびりできるのです。

天気の良い日なんかは、本でも持ち込んで一日中ここに座っていても飽きないだろう。




ビリケンさん。

捕らえられたゴリラ。





各々が心の傷を癒している間に、昨晩命がけで奪還した竃ご飯の残りで、編みパン刑事がサクッとタラコチャーハンを作ってくれた。

すげえ美味そうなんだが、昨晩のトラウマが抜けてない男たちは「これ…中にカメムシ入ってないだろうな…」とか、「うわ!カメム…!…なんだ豚肉か…」とか、「壁に奴らが!…違う…汚れだった。」などと錯覚者が続出。

たった一晩で変わり果ててしまった男たちの姿に、水音で待機していた低血圧Mちゃんは「一体向こうで何があったんですか…?」と目を丸くしていた。




目に映る全ての黒い点に反応してビクつく男たち。





我々はMちゃんの問いかけに、「正直言葉では伝えきれない…。今はそのことに触れないでくれ。」と言うのが精一杯。

「じゃあ夜はどんな話で盛り上がったんですか?」というMちゃんの問いにも、「それも正直言葉では伝えきれない…。君は知らない方がいい。」と男たちは眉間にしわを寄せながら言うのである。

 

飯を食い終わると、我々は癒しを求めて武儀川に移動。

昨晩の代償戦争の甲斐もあって、この日は素敵すぎる快晴で川下り日和。

以前お伝えした通り漁協さんとの折り合いがつかずに「ツアー」という形でのテストは遠慮したので、今回はプライベートでの気楽な川下りだ。

昨日まで降り続いた雨で増水気味だったが、それでもこの水質を維持する武儀川さん。




これでも濁っている方だ。





はやる気持ちを抑えながらパックラフトを膨らませ、




この二人だとダッチワイフにイタズラしてるように見える。





準備完了。今日はとことん癒されますよ。

今回は川下り童貞の編みパン刑事、素人童貞のスナフキンNがいることと、二人乗りパックラフト(フロンティア艇)のテストも兼ねていたので、テクニカルな神崎川ではなくお気楽初心者コースの武儀川をチョイス。

このコースは出だしがだけ神崎川で、スタートしてからすぐに武儀川に合流する。

最初だけ瀬があって、素人さんにとってはそこが唯一の核心部。

鯉さんも初心者の編みパン刑事に対し、「ワイの教えた通りに行けば問題ない。よっしゃ!いけ!編みパン!」と発破をかける。

そして編みパン刑事はかっこよくスタートし、卓越したパドリングテクニックを見せつける。

そんな「ただただ翻弄される男」という彼の勇姿がこれである。

 

早々に漕ぐことを諦め、くるくる回って川の息吹を「ダイレクト」に感じ取ろうとするダイレクター。

実に童貞らしい筆下ろしの光景だった。

で、そんな感じで最初の「くるくる編みパンの瀬」を越えると、景色は一気に雰囲気が良くなって右手から武儀川が合流。

この日は連日の雨で増水しており、普段渇水気味の川なので下るにはちょうどいい水量だ。




増水で濁ってるとはいえこの透明度。





以前から言うように、この川は「川下り」というより「川遊び」の川だと個人的には思っている。

なのでこの川の正しい下り方は、途中途中で寄り道していかに遊ぶかにかかっているのだ。




パックラフトなんてもんは所詮「人がいない素敵な河原に行くための道具」に過ぎない。





良い淵と岩があれば、そこはもちろん飛び込みスポット。

これをやると「いよいよ川のシーズンが始まるな!」と興奮してしまうのである。

鳥取の海育ちのスナフキンNも、この清流飛び込み体験は新鮮で楽しかったようだ。

テスリンYさんも飛び込み後のスナフキンNに寄って行って、「スナフキンさん。僕のパックラフトにつかまって。岸まで快適に運んであげるよ。」と牽引。

しかしテスリンさんのパドルでかいた水がことごとくスナフキンNの顔に降り掛かり、彼は「ガボァ!テ…テスリンさん…い…息がガブァッ!」と死にかけていた。

そんなこんなも楽しい川遊び。

鼻水が出るほど遊んだら、優雅で穏やかな武儀川の旅を再開させる。

この川はすぐ横に道が走ってるとは思えないほど、川からの風景は秘境感があって、そして優しい。

平坦な流ればかりで逆に鮎釣りには向いておらず、それもあって僕はここを住み分け&ルール化して「夏でも気兼ねなく下れる川遊びの聖地に!」と思い立った経緯があるのだ。

途中途中にはターザンロープも設置されていて、暑い日なんかはパックラフトからそのままロープにつかまって、

颯爽とダイブ!

かと思いきやそのままの形でボッシュートする僕。

5月初旬なんでまだアホほど冷たいんだが、やっぱり川は潜ってナンボの世界。

こういうの、夏のクソ暑い日とかにみんなでワイワイと出来たら、って思うとどんだけ楽しいんだろうと思うわけですよ。

やはり何十年かかろうと、カンムギプロジェクトの実現、そしてここでの夏のツアー開催ができるまで頑張ろう!と改めて誓ったのでありました。




泳ぎながら並走するのも楽しい。





そして超絶的に気持ちのいい川原に到達すると、即座に大休憩をかまします。

ここの川原は「かくれんぼ長崎」というBBQ場の下の川原で、今年の夏にはここで子供達のための「川の学校」の試験キャンプイベントをやろうかと画策中です。

ちなみにここの川原についた途端、編みパン刑事が「なんかユーコンさんに借りたこのパックラフト。なんかずっとフニャフニャなんですけど。」とのクレームが。

よくよく見てみると、前回狩野川の時に空いた穴の補修が甘くて、再び「屁こきパックラフト」に逆戻りしていたことが発覚。

編みパン刑事は、人生初の川下りをこんなフニャフニャの「ED号」で経験させられていたのだ。

とりあえず「まあ、編みパンなら大丈夫だろ」というよくわからない理論で今後も彼にはこれに乗ってもらうことに。

そしてこの気持ちいい川原でみんなで大の字になって昼寝をし、川遊びで冷えた体を温めながら歴戦の疲れを癒す。




川遊び中の川原昼寝ほど気持ちのいいものはない。





ダイレクターの二人なぞは「今しがた射殺されました」といった迫真の昼寝風景を披露している。




マジで死んでるかと思った。





1時間ほどたっぷり昼寝した後は、誰彼ともなくゾンビのようにムクリと起き上がって再び川旅の再開。

新緑のこの季節は緑がとても綺麗で、川に向けて咲く藤の花も心を癒してくれる。

なーんて優雅な世界を堪能していたら、我々の前に突然「UMA」がその姿を現した。

このカンムギ地方には古くから「河童伝説」がある。

ここで我々はついにその河童の撮影に成功したのである。

しかしようく目を凝らして見てみると、それはUMAではなく編みパン永平寺だった。

彼は「こんなフニャチンラフトに乗ってるから僕は下手なんです。鯉さんのアルパカ乗らせてください。」と艇を交換した直後に、何もないところで謎の沈プレイをかましていたのである。




結局船の性能は関係なかったのだ。このなんでもない川で沈したのは小木K以来の快挙だ。





それでも彼は眼鏡を曇らせながらも満開の笑顔。

川遊びってのは沈した方が絶対的に楽しい。

特に彼はミレーの編みパンを穿いているので、濡れてもすぐにサラサラなのである!

 

そんなこんなで楽しく下っていくと、川遊びをしていた子供達から「わあ!お船だ!」「いいなあ!楽しそう!」と歓声が上がり、お互いに「こんにちは〜!」とあいさつを交わす一コマも。

手を振る子供に手を振り返して、なんとも言えないいい光景。

こういう風景が僕は大好きだ。

いつかこの川が、子供も川下りの人も釣りの人も、みんなが笑顔で「こんにちは〜」と気持ちよく川を共有して笑顔になれる日がくるといいなと心底思ったのであります。

 

やがてゴールの川原に到着。

約1名「くるくるED河童」としてドタバタの独り舞台を演じていた男がいたものの、全体的になんともピースフルな川下りだった。

そしてその川原ではベトナムの若者たちがBBQに興じており、そこではなんとワイルドに豚の丸焼きを作っていた。

それに興味を示して話しかけた我々に、彼らは笑顔で「ドウゾドウゾ!タベテイッテクダサイ!」と、自分たちが食べるより先に我々に食べさせてくれたのである。




2種類のソースでいただく。外はパリパリでめちゃくちゃうまかった。

旅慣れしたスナフキンが積極的に話しかけていく。





こういう交流があると川旅はグッと充実したものになる。

今後「川下り派」ではなく「川旅派」を目指している人は、こんな感じで現地で面白そうな人がいたら積極的に話しかけていくと旅が濃厚になるからおすすめだ。

 

やがて水音に帰還し、ここで鯉さん、編みパン刑事、テスリンさんとはお別れ。

彼らとしたらたったの1泊2日だったが、「鯉ハウス」「大門カフェ」「カメムシロックフェス」「未来神崎」「くるくるED河童」などなど、数々の傷跡をこの地に残しての充実体験だった模様。

この二日間だけは、この神崎は色々と世紀末だった。

 

そんな激しい男たちが帰った後は、再びこの神崎に静かで穏やかな時間が取り戻された。

ゆっくりとお風呂に入り、夜はシェフ・カワグチさんも合流して連日の美味しい晩御飯。




シェフ直伝の技で低血圧Mちゃんの料理の腕も格段に上がった。





たらふく食った後は、もちろん飲みまくり(6夜連続)、再び火が付く「神崎未来トーク」。

カワグチさんのアツいトークが乗ってくると、すかさずスナフキンNが昨晩の再現とばかりに焚き火の動画をセットして場を演出する。




※下ネタと同時に再生される。





この頃には低血圧Mちゃんも遠慮がなくなってきており、ダメ男3人の下ネタと恋愛観に対して猛烈にダメ出しを連発。

やはり焚き火は動画でも人の心を裸にしてしまうのである。

ちなみにここではカワグチさんのカフェの名前をどうしようって話にもなり、いろんな案が出た中で最終的にはスナフキンN発案の「Cafe de 豚野郎」に落ち着いた。

昼は普通に「カフェ・カワグチ」で営業し、夜は「Cafe de 豚野郎」になって僕がマスターとしてお店に入ってドSのお客様をブヒブヒとおもてなしするという画期的なコンセプト。

これが実現したら神崎はまた違う意味で盛り上がって行くこと間違いなしだ。

 

結局この長期滞在中、毎晩飲んで毎晩神崎の未来の話(もちろん真面目な話もしてますよ)をしてしまった。

ここにいると、本当に旅先のゲストハウスに長期滞在してるようで毎日が充実した日々なのである。

DAY7・5月3日(金)

最終日。

この日はあえて何の予定も入れておらず、ようやく3人だけでのんびりとした時間を過ごした。

水音の前にはちょうどいい木が2本あって、そこでスナフキンNのハンモック講座なども開催。

今後はカンムギエリアの森を探検・調査して、素敵な場所があったらそこでハンモック泊のイベントなんかもやってみたいなと思っております。

ハンモックでのんびりした後は、サワダさんのニュー北山へ移動。

ここはいつ来ても心地がいい空間で、この秘密基地感はなんともロマン心を刺激されてしまうのです。

ここに普通に座って話してるだけでなんとも絵になる光景。

なんだかそのままアルバムのジャケ写に使用出来そうなほど味がある場所なのです。

養蜂やら改装やら仕事やらで色々忙しい日々だったけど、最終日は穏やかな神崎タイムを満喫。

神崎という場所は「何もしない」ってのが一番贅沢な過ごし方なのかもしれない。

 

お世話になった水音の清掃をし、最後はその前で写真を撮ってフィニッシュ。

実に充実した七日間だった。

この土地でやることややるべきことも改めて見つかり、より一層頑張ろうと思った次第。

今後もちょくちょく進捗やイベントごとあったらご報告していきますね。

 

現時点では僕主導で何かがやれるって状態じゃないけど、廃校レストランとか円原の伏流水とかもあるし、ふらっと来てもらってのんびりと過ごして欲しいですよ。

もしお散歩中に土色の顔して便意と戦ってる男(僕)を見かけたらぜひお声がけを。

そして一般的な地図には載ってないけど、ツウな人は「鯉ハウス」とか「スナフキン瞑想岩」とか「くるくる編みパンの瀬」などの新名所を探し出してみてくださいね。

運が良ければ、神崎のマスコットキャラクター「カメムシくん」と触れ合えるチャンスもあるかもです。

デレ・ヤマグチさんが管理しいている「山県ツアーズ」という山県市の体験・体感プログラムを案内するツアーサイトもあるんで、そこで体験イベントを探してきてもらっても良いですね。

そしてカフェカワグチでは夏のオープンに向けて随時お手伝いを募集中です。

別にウェットスーツや編みパンを穿いていかなくてもいいので、我こそはって人は「カワイさんのブログ見て来ました」って言って手伝いに行ってみましょう。(場所

円原伏流水見て、おんせぇよぉ〜で昼飯食って、午後から改装手伝って、最後は関市の武芸川温泉に入って帰る、なんて1DAYコースも結構楽しいかと。

事前に行くのがわかって入れば、連絡しておくのでお問い合わせから僕の方にご連絡くださいな。

 

こっからしばらくは夏の川の学校のテストイベントに向けて、色々時間をかけてやっていこうと思ってます。

僕自身もしばらくは勉強期間になるかな。

詳細決まったらまたご報告いたします。

それではまた、カンムギでお会いしましょう。

ユーコンカワイでございました。

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コメント

    • ほすほす
    • 2019年 6月 01日

    カメムシロックフェスから一転、写真からもすごく伝わるこののんびり感、ゆったり感素敵ですね

    カンムギ進展楽しみしています★

      • yukonkawai
      • 2019年 6月 02日

      ありがとうございます!
      例の毒々しいロックフェスを無理やり中編を切り離したのは、この爽やかデイと分けるためだったんですよ。
      カメムシと武儀川の清流とじゃギャップ萌えもいいとこですから。
      カンムギの進展、本当に無理なく長い目でやっていきますんで、見る側も長〜い目で見守っていてください!よろしくお願いします!

    • スナフキンN
    • 2019年 6月 05日

    お疲れ様です
    川が…
    川があんなに綺麗だとは思いませんでした
    ボクは海の側でなくては住めないと思ってましたが、
    武儀川なら住めるな、と確信しました

    ベトナムの人たちもとても親切でしたね
    パックラフトも楽しく、カッパも見れて満足です
    ジョン・レノンに見せてやりたいようなピース空間
    カンムギの清流の成せるわざでしょうか

    実はあの平和はカメフェスだけでなく、
    編みパンさんがシュノーケルを追加で奉納された結果でした
    ありがとうございます

      • yukonkawai
      • 2019年 6月 06日

      武儀川綺麗でしたよね。あれでも濁ってますからね。
      全ては伏流水からの神崎川の流れ込みが武儀川を美しくさせています。
      上流では大量のカメムシたちが水をせっせとろ過してるのかもしれません。
      もう住んじゃいましょう!

      ベトナムの方達との交流はスナフキンさんのおかげですよ。
      まああんな状況で豚の丸焼きやられたらこっちも話しかけちゃいますよね。
      しかしあれば美味かった…。
      ぜひCafe de 豚野郎のメニューに入れ込みましょう。

      そしてすっかり書き忘れてました…編みパンシュノーケル奉納。
      せっかく渾身の奉納かましたのに、まさかのブログで取り上げられなかったというまさかですね。
      まさに骨折り損のマゾ儲け。
      今頃彼のシュノーケルは、僕の流されたパドルとともに龍神様のところにいると思います。
      しばらくは神崎・武儀川が氾濫することはないでしょう。

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