「ムコドノ」という名の猿がいる。
名古屋の東山動物園にいるオスの猿だ。
元々野生の猿だった彼は、メスばかりだった猿園に迷い込んでしまった。
以来彼は「婿養子」としてその場で飼育される事に。
しかし婿養子という責任のストレスなのか。
彼は2度も猿園の柵を飛び越えて「脱走」を企てている。
特に2度目の脱走劇は地元ニュースで大きく取り扱われ、連日のようにムコドノの目撃情報が各地から報道された。
やがて逃走から6日。
動物園から10キロ程離れた住宅街で彼は御用となる。
そして再び猿園に戻され、今も彼は「ムコドノ」として婿養子の重圧の中で生きている。
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「ムコドノ」という名のマゾがいる。
岐阜のとある家庭に、婿養子として飼育されているオスのマゾだ。
その男はこの度「家出」をした。
37歳の春だった。
そんな歳で家出をしてしまうなんて、実に大人げなくて恥ずかしい行為だ。
そもそも原因となったのはその男の認識の甘さ。
今後の戒めとして、そんな「ムコドノ」の脱走劇の顛末を書き残しておこう。
尚、この先はあまり主婦層の方は読まない方が良いです。
深く反省してますんで、読後のムコドノへのバッシングはご容赦くださいませ。
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「胃腸風邪」という苦行から立ち直りかけた男。
前回の記事では、家族で仲良く花見をするといった微笑ましい光景をご紹介した。(参考記事:サクラデファミリア〜黒い三連星の襲撃〜)
その後胃腸風邪の症状も治まり、あとは体力の回復を待つばかりだ。
僕はこの時点で油断していた。
「もう治ったから感染する心配はない」もんだと勝手に思っていたのがいけなかった。
久々の子供とのお風呂では、いつものようにさっと流した程度でしっかり体を洗ってから湯船に入らなかった。
トイレでの脱糞中では、りんたろくんのトイレ侵入を許してしまったりもした(彼は僕のウンコを流すのが好きなのだ)。
これらに対して激しく嫁がキレたのだ。
確かに一連の行為は「もう治ったから」と思ってしまった僕が圧倒的に悪いんだが、嫁の僕に対する「言い方」があまりにも辛辣なものだった。
もちろん0歳児のこーたろくんに感染してしまっては大変な事になるから、嫁の気持ちも分るし僕も心から反省した。
しかし嫁の言い方は、僕が「菌」そのもののような言い草でゴミ以下の扱い。
もはや人間として見てもらってない感じだ。
その時ばかりは、産まれた時から菌だったバイキンマンの気持ちがよく分かった。
バイキンマンだって好きで菌で産まれて来たわけじゃない。
それなのに「バイキンマン」というストレートな名前を付けられてしまい、彼があんなひねくれた性格になるのは無理もない話だ。
実はこの時だけじゃなく、発病からここまでずっとそんな扱いを受けていた。
ただでさえ気持ちの弱る隔離闘病中の菌扱い。
子供とも遊べない寂しさの中でのドS発言。
僕は少しだけ「やさしさ」に飢えていただけなのだ。
朝、出勤前にまたしても菌扱い。
ついに僕の堪忍マゾの緒が切れた。
怒り心頭に達したバイキンマンの反乱。
大人しく従順に飼育されていたムコドノの脱走劇が始まった。
僕は着替えと寝袋を車に放り込み、お義母さんに「3日程自主隔離いたします。なんせ僕自体が菌らしいので。家中の除菌を済ませておいてください。」と言って飛び出した。
相当に頭に来ていたので、声もプルプルと震えていたはず。
冷静になってみると、まるで中学生のような大人げない家出だ。
仕事が終わって車でウロウロ。
食事はコンビニのおでんこんにゃくとサラダのみ。
まるでリストラされたお父さんが、家族に時間偽装しているような切ない情景だ。
別に一人で車中泊する事は屁でもない。
むしろ野宿は僕の趣味と言っていいからウェルカムな状態だ。
しかし子供の風呂や世話が心配でしょうがない。
かといって僕のようなバイキンマンは一緒に風呂に入れないんだったら帰っても意味ないし。
なんとも切ない気持ちに対し、満開の桜が寂しさに彩りを添える。
この切なさは、恐らくヒルルクの桜以来の出来事だろう。
素直に謝れば良いものを、僕の中のレジスタンスな魂が素直な気持ちを抑圧する。
男とはこういう時に非常に厄介な生き物と化す。
こうして徐々に男は身も心もバイキンマンへと変身して行く。
ひとしきり車内で中日VS阪神戦を鑑賞し、銭湯で汗を流す。
もはや気分は日雇い労働者か逃亡者だ。
銭湯から上がって車に戻ると、お義父さんからの着信通知と2件の留守電。
1件目は非常に優しい声での帰還指令。
養子という身分上、ご両親に迷惑をかける事が一番つらい。
それでも今回は決意の上の脱走。
いくらお義父さんの頼みでも、完全に僕から菌が消えるまでは帰るつもりはない。
しかし2件目の留守電。
りんたろくんの声が入っていた。
「お父さん早く帰って来て。ボク、お父さんと一緒に寝たいの。」と言うではないか。
そしてお義父さんが「りんちゃんがお父さんと一緒じゃないと寝ないと言ってグズってる。風邪がこじれるから帰っておいで」と。
たまらず自分が情けなくなってしまった。
まるで立てこもり犯に家族が拡声器で呼びかけるような一幕だが、これには僕のハートが疼いてしまった。
確かに治ってから2週間は菌が潜伏していて感染の危険があるらしいが、さすがにセルフ隔離はやり過ぎだ。
僕は猛烈に反省した。
りんたろくんに会いたい。
会って抱きしめてやりたい。
こうしてムコドノは住宅街で発見され御用となった。
こうなった以上、絶対に誰にも菌を移したくないから「家庭内で再度隔離される事」を条件に僕は帰宅の途に着いた。
猛烈に恥ずかしく、猛烈に申し訳ない気持ちで玄関をくぐる。
すると「お父さんと一緒じゃないと寝ない」と言い張ったりんたろくんが、2階で爆睡中という驚きの一報。
僕はいそいそと隔離部屋へ移動して一人寂しく寝た。
以来、本日も僕の隔離生活は続いている。
脱走の罰が当たったのか、昨日は昼の散歩中に鳥のフンが頭に直撃するという屈辱も味わった。
そして嫁とはまだ一言も話していない。
お互いに素直に謝る事をしない二人なので、またしても回復まで時間がかかりそうだ。
こいつは胃腸風邪なんて目じゃない重い病だ。
とりあえずこの場では「脱走してごめんなさい」と陳謝したい。
情けなさ過ぎる37歳のムコドノの反乱。
あえて記事にしたのは今後の自戒のためです。
ほんと、すんませんでした。
反省してます。
もう二度と脱走しません。
※猿園のムコドノは2回脱走してます。
ムコドノ脱走〜37歳の地図〜
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MATATABI BASE
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もう、涙無くしては読めませんでした(´;ω;`) わかります。その気持ち。特に
僕は少しだけ「やさしさ」に飢えていただけなのだ。
そうなんですよね。マゾだって「やさしさ」が欲しいときがあるんですよね。
かってながら、家出を決意してそして実行したyukonさんを師匠と呼ばせていただきます。笑
奥様との仲直りの方法はご本人が一番よくおわかりでしょうからブログにて仲直りの報告が聞ける日をまってます。がんばってください。
では。。
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3SOMさん(略しました)、励ましのお言葉ありがとうございます。
やはり分っていただけますか…
僕も「やさしさ」の一文を書くときは、もはや涙でキーボードが歪んで見えました。
マゾだって時にはやさしさが必要なんです。
自由を感じるには普段から不自由を感じる必要があるのと同じで、しょっちゅうマゾばっかだともはやそれはマゾではなく変態です。
親しき仲にも礼儀有り、夫婦の仲にもやさしさ有りですよね。
でも出来れば家出師匠と呼ばれるのはこれでラストにしたい所ですね。
師匠と言われるにはあまりにも早すぎる帰還で、ちょっと恥ずかしいです。
今回は少し時間がかかりそうなんですが、週末は子供の入園式。
さすがに無理矢理にでもなんとかしないと、子供に申し訳ない…
なんとか頑張ります。
どっかに「やさしさ」は落ちてないものですかねえ…
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yukonさん、今晩は~。
その後、体調は如何ですか?
以前の記事を読んで、相当、辛い胃腸風邪だったんですね。
優しいyukonさんがこんなに怒ったということは、心がもう一杯いっぱいだったのでしょう。。。
>養子という身分上、ご両親に迷惑をかける事が一番つらい。
yukonさん、ホントに優しいです~。
お婿さんに入ってくれて、ご両親は感謝されてられると思います。
お婿さんに入ってくれるなんて、簡単なようで簡単ではないと思います。
yukonさん、70%はもうすでに親孝行をされていますよ。
前に年配の方から聞いた話ですが、親との同居はそれだけで70%親孝行をしているんですって。
ピンとこないコメントをして申し訳ないです(苦笑)。
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キキさん、ご心配かけました。
胃腸風邪の方はもうすっかり良くなって、そろそろ体力も戻って来たんでまたマゾな日々に戻ろうと思っています。
相当に辛かったんですが、やはり「やさしさ不足」が深刻でこんな事になってしまいました。
まあ普通の夫婦であればこの程度の事は良くある事なんでしょうが、なんせそこに養子というスパイスがピリリと効いているんでヘビーなんですね。
でも70%親孝行してると言われると、非常に救われた気がしますよ。
決していい息子ではないんですがね。
雪山とか登って心配かけてますしね。
まあひとまず風邪も治り、一応嫁ともなんとなく少しだけ仲直りみたいな感じにはなりましたし。
でも気になるのはこっちの方だったりして。
他人事とは思えない記事があったんで載せておきます。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130406-00000001-pfamily-soci&1365206405
僕も言う時は言わないといけませんねえ。
恐ろしや恐ろしや…
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この記事、私も読みましたよ!(笑)
私も人の事を決して言えませんが、世の中、何か変わって来ていますよね(苦笑)。
どちらが悪いとかではなく、やっぱり現代はストレス社会なのかもしれませんね。
良い意味で自分を解放したいです!
やっぱり頑張ってアラスカに土地を買って住みたいな~(笑)。
その時は、いつでもウェルカムです(笑)。
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キキさん、あの記事読んでましたか。
一瞬「誰だ?勝手に僕の事を記事にしたのは。」ってビックリしましたよ。
嫁に関してはストレスよりも持って生まれたS素質ですけどね。
ただ、過去僕と付き合った女性(3人だけですが)は、皆一様に同じようにサド化していったので、恐らく原因は僕にありそうです。
やはりへいへい言いなりになってばかりは宜しくないですな。
なのでやっぱり僕は誰にも気を使わない単独行が肌に合ってるのかもしれませんね。
大自然で一人でいる事は異常なパワーを必要としますが、ストレスフリーで心はふわふわですから。
そうなってくるとやっぱり考えてしまうのはアラスカですねえ。
最近ユーコン川の巨大な中州にあるログハウスが売りに出てました。
夏は舟かカヌーか水上飛行機、冬はスノーモービルか犬ぞりじゃないと帰って来れないという物件です。
たった320万で家付き、広大な敷地付き、野生のクマ付き。
ぜひそこの物件にて待っててください。
ふらりとカヌーでご訪問いたします。
http://www.realtor.ca/propertyDetails.aspx?propertyId=11402495&PidKey=1774493821