◉ りんころ成長記

りん太の大冒険〜みたらしの香りを添えて〜

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一人の男が今まさに黄金時代に突入しようとしている。

彼は彼なりに今、「冒険」の真っ最中だ。




今まで色んな場所を旅して来たお父さん。

やり過ぎてしまったお父さんは、いつの間にか外国などの見知らぬ土地にしか「冒険」を感じられなくなっていた。

でもいわゆる「黄金時代」と呼ばれる少年期。

そんなお父さんでも、少年時代はたかだか隣町に行くだけでもそれは大冒険だったはず。

はるばる知らない町のオモチャ屋さんまで行き、徹夜で並んでドラクエを買った時はドラクエ以上の大冒険だったと記憶している。(翌週、学区外に出た事が誰かにちくられて先生に怒られた)


我が息子りんたろくんも、これからいよいよそんな「黄金時代」に突入しようとしている。

なにも遠くまで行く事は無い。

例えご近所だろうと、彼には発見の連続のはずだ。


どっちみち今は育児期間中で遠出はできないから、今後はご近所のオツなスポットを親子で探検して行こうじゃないか。

僕にしても養子で岐阜に来て2年しか経ってないから、まだまだ知らない場所が多いはず。


という事で今回の週末はご近所探索。

「りん太の大冒険」土曜日編。


果たしてりん太負けが多いのか?

それともりん太負けるのか?

さてはりん太回るか?

そしてりん太またたくのか?

まさかのりん太マカオに着くか?

つボイノリオ参照


振り返ってみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝。

僕はとてもとても小さな咳を「コホン」とした。

それが冒険の始まりだった。



その小さな咳に対し、絶賛ケンカ中の嫁がキレた。

「せっかくこーたろくんが寝かけてたのに起きたじゃねえか。次に咳するなら外行ってやれ」とピシャリ。


気持ちは分かるがもう少し言い方というものがあるではないか。

さすがにこれには温厚な僕だってだまっちゃいない。

かと言っていい返した所で、嫁の宮田一郎クラスの強烈な罵倒カウンターで僕の意識が断ち切られる事は必至。


結局何も言い返す事無く、りんたろくんを連れて家出。

咳をするなら外でしてくれと言うので、咳をするのに最適な場所を求めて彷徨う大冒険が始まった。



この日は天気こそ晴れていたが、強烈な寒波と強風でアウトドアには不向き。

こんな日に山に登ろうものなら、咳どころか風邪を引いてしまう。


こういう時こそ、以前から気になっていた神社にでも行ってみようと思い立つ。

こうなったら神頼みで夫婦円満をお願いしに行こう。



向かった先は「千代保稲荷神社」。

地元民から「おちょぼさん」の愛称で親しまれている有名な神社だ。

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りんたろくんも久々に「人がいる場所」に連れて来られて嬉しそうだ。

いつも誰もいない深い森の中などに連行される彼は、人がいるだけで幸せを感じてしまう少年になってしまったようだ。


ここは神社というよりも、門前の賑わいにこそソソるものがある。

縁日のお祭りのような門前の風景の中を、テンション高めの少年が闊歩する「りん散歩」がスタートだ。

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いつもとは違う光景に目が輝いている。

外の世界と言ったら「寒々しい森の中」が定番だった彼にとって、実に新鮮な空気感だった事だろう。

やはり今後はこのような場所にもちゃんと連れて来ないといけないな、とお父さんはちょっと反省。


そんな彼にお詫びの意味も込めて、大好物のだんごを買ってやる。

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これが間違いだった。

ウェットティッシュがないのにみたらし団子をチョイスしてしまったため、たちまち彼の顔や手や服がみたらしでコーティングされて行く。

挙げ句僕のダウンジャケットにもばっちりとみたらしが飛び火して、僕はただただ慌てふためくばかり。


そんな一人で勝手にあわあわしてるマゾ父を横目に、彼はオモチャ屋さんの前でフリーズ。

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シッポを降り続けるオモチャに夢中になり、完全にこの体勢で固まっていた。

まるで「だんご小僧」という商品が置いてあるみたいだ。

その隣で「マゾ小僧」というあわあわと動く商品が、オモチャ屋さんのおっさんに「ウェットティッシュ売ってませんか?」と不毛な質問をしている。

結局山だろうが神社だろうが、こいつはいつだってテンパっている。


しかたなく腹減ってないのに適当なうどん屋に駆け込み、おしぼり調達。

やっとみたらしを拭き取ることが出来たが、僕のダウンジャケットにはいつまでも甘い香りが居座っていた。

猛烈なダイエット中の僕にとって、常にみたらし団子の香りを身にまとうのはまさに生き地獄だ。

やはり街中では新しいタイプのマゾが楽しめるようだ。



その後もプラプラと続くりん散歩。

やがてりんたろくんにはどうでも良くても、お父さんにとっては驚きの光景が待っていた。


強烈なドラゴンズファンの僕にはたまらない、「大豊」のお店が登場。

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そしてよくよくお店の入口を見ると、何やら見覚えのある顔。

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大豊のお店の入口で、大豊にそっくりな男が中日ドラゴンズの帽子をかぶっている。

どこからどうみても「大豊」本人じゃないか。


突如として高校生時代の憧れの選手を目の前にしてうろたえ始めるお父さん。

しかし驚く程に他の観光客が無反応すぎて、何だか近づくことが出来ない。

話しかけたくてしょうがないんだけど、デカくて威圧感があって近寄れない。


そうしてモジモジしていると、全く大豊なぞに興味の無いりんたろくんがズンズン先に進んで行く。

子供をエサに大豊に近寄ろうと思い立った僕の企みを察知したのかもしれない。


結局お父さんとしては後ろ髪が引かれる思いでいっぱいだったが、りんたろくんにとっては楽しいひと時となったようだ。

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また来ような。

次に来る時までには、彼に大豊の偉大さを刷り込んでおこう。

なんだったら大豊の事を、りんたろくんの好きなウルトラ兄弟の一員「ウルトラマンタイホー」だと教え込むのも手かもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そのままおちょぼさんの近くの「平田公園」へ移動。

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実はここも事前にネットで調査済みで、とても気になる場所のひとつだった。

なぜならここには全長80mの「巨大なローラー滑り台がある」という情報を得ていたのだ。

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実際に見ると中々の迫力でワクワクするぞ。

公園は寒いけど、これを見てりんたろくんのテンションもアップ。

公園内には誰もいなくて、我々親子の貸し切り状態だ。


さあ、大冒険の始まりだ!

張り切って滑りまくろうぜ!


意気揚々と滑り台に向かう親子。

やがて滑り台のゴール付近にこのようなものが。

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おおお。

一体何度歴史は繰り返されるのか?

一体何度僕ら親子を落胆させれば神は気が済むのか?



どういう事だ、まだ15時だぞ。

やる気あんのか海津市。

それとも嫁が先回りして設置したのか?


誰もいない公園で寒々しい風が我々親子に吹きすさぶ。

仕方なく別のメイン遊具で遊ぼうとすれば、この様な仕打ち。

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なんという閉鎖的な公園なんだろうか。


しょうがないので数少ない使用可能遊具の「ターザンロープ」を狂ったようにこなして悔しさを晴らす。

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こんな事で根性の己撮りをしてしまうほどの親子の怒りターザンだ。


そしてりんたろくんの「超低山紀行」シリーズ第二弾。

前回標高1mの山で完全初登頂を達成した男の次なるステージは、「平田公園もっこり山」標高3mに挑戦だ。

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実に軟弱な挑戦。

しかし撮影の仕方次第で、何やらとても偉大な挑戦に見えるというヤラセ登山。

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標高1000mの山の頂上手前のような光景。


がんばれ、あと少しで頂上だ。

そしてついにその感動的な瞬間が訪れた。

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標高3mで繰り広げられた、天孫降臨のような神々しい登頂風景。

彼もその偉業に大満足している事は間違いない。


しかし何やら様子がおかしいぞ。

拡大してみる。

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凄く泣いているぞ。

自身の偉業に感動しているのか?


実は登ったはいいけど、思いのほか高くて急に怖くなった男の姿でした。

結果として「ダッコダッコ」と泣き叫んだので、僕が担いで下山。

これによって彼の単独完全自力登頂の限界ラインは、恐らく標高2mくらいだという事が判明した。



気を取り直してブランコでご機嫌の回復を図る。

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そんな彼の姿を、標高3mから足長おじさんが微笑ましく眺める。

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二人ぼっちで繰り広げられる茶番。

結局やっぱり今日も「親子二人で寒々しい世界」に来てしまったね。


でもこういった親子二人の時間は今後貴重になって来るはずだ。

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試しに冗談で「好きな子出来たか?」と聞いてみた。

すると彼は眩しい笑顔で「シーボーズ!」と答えた。


ちなみにシーボーズとはコイツだ↓

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大人になった時、「父さん、紹介したい人がいるんだ」と言ってコイツを連れて来られてもお父さんは困るぞ。

もっと普通の人間で、できればサドじゃない人を連れて来いよ。



やがて満足したりんたろくんは、銀河系の彼方にワープして行った。

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と思ったら土管でした。

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でもこの土管が思いがけずアーティスティックな写真が撮れる事が判明。

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これはいいぞ。

しかし嬉しくなって何度も行き来させて撮ってるうちに、中腰のし過ぎで腰を痛めるお父さん。

マゾもほどほどにしとかんとね。



さらに公園内にあるよく分からないドームへ。

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別に何があるわけじゃないけど、やたらと音が響くのでりんたろくんは嬉しくなってウルトラマンのテーマソングを熱唱。

僕もついに「咳に適した場所」を発見し、思いっきり咳してやった。

随分とここまで長い道のりだった。

咳するだけでここまで冒険出来れば、今日の一日も報われた気がする。


その後、公園を飛び出してカヌーが出来そうな川を視察。

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やはり少年とはこのような風景の中にいるのが似合っている。

そして彼はなぜかあえて困難なルートで帰ろうとする。

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人に敷かれたレールの上は歩かないぞ、といった意気込みが見てとれる。

しかし最終的は必ず「ダッコダッコ」と泣きついて来る。

将来一体どんな男になるのか皆目見当がつかない。

何かの分野でパイオニアとなるか、ただのヒモ野郎となるかどっちかだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いい加減帰ればいいんだが、帰り道に別の公園へ。

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「もうおウチ帰ろうよ」と言う息子をよそに、まだ帰りたくないお父さんが勝手に寄ってしまったのだ。

結局りん太の冒険というより、マゾ太の暴挙と言った夕方の光景。


どうしてもロングローラー滑り台がやりたかったんです。

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そしてついにその思いが成就。

しかし長い滑り台を滑り終わると、乾燥したこの時期の恐怖が二人に襲いかかった。

猛烈にケツが痒いのだ。


「オシリ!オシリがぁ!」と悶える子と、悶絶しながら己のパンツの中に直に手を入れてケツを掻く父。

平和な公園に現れた変態親子。



やがて落ち着いた頃、りんたろくんが公園内にいた別の家族の元に行こうとした。

「どうした?」と聞くと、彼は笑顔で衝撃的な一言を発した。

「ボク、普通のお父さんの所に行くの」と。


我が耳を疑った。

僕は「普通」ではないという事か?

慌てて「え、それはあれかな?お父さんが変なお父さんだってことかい?」と聞くと「正解」と言って来るじゃない。


自覚はしていたが、直接3歳児から言われてしまったという衝撃。

確かに普通のお父さんは公然と直にケツを掻く事はしないだろう。

そもそもそんな事以外で、他に数多くの思い当たる節がありまくるし。

でもきっと「いい意味で」という意味が含めれていたという事を願わずにはいられない。



こうしてりん太とマゾ太の大冒険の土曜日編が終わった。

しかし家に帰った後、ゲームの冒険のようにお姫様とのハッピーエンドは存在しなかった。

そこにはあくまでも、嫁との間の不穏な空気が重く漂う世界。

気まずくて思わず咳払いしたくなる所だが、そんな事をしたら冒険の振り出しに戻ってしまう。

生活感のあるリアルな大冒険は中々に終わりが見えない。



でもそんな過酷な状況だって冒険は続いて行くんだ。

さありんたろくん、明日はどこで冒険しようか?

どこだってお父さんが付き合ってあげるからな。

嫌だと言っても連れて行くぞ。


だって僕は変なお父さんなのだから。



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MATATABI BASE

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コメント

    • 横綱K(別名ドム スカート付)
    • 2013年 2月 18日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    いーなー
    抱きついちゃうな~笑

    大豊 応援歌 聴けます
    http://www.geocities.jp/dragons_hiroshima/ouen/d_mid/taiho1.mid

    • yukon780
    • 2013年 2月 19日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おお、実にマニアックな応援歌サイト。
    てっきりYouTubeの動画かなんかにリンクしてるかと思いきや、無駄を徹底的に省いた素晴らしきアナログ感。
    昔のファミスタのシンプルな音楽を思い出してしまいました。
    是非次回は抱きついて現役復帰で山崎との夢の4・5番を依頼して来ますね。

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