岩の上で絶叫するプラトーン男。
これは歓喜の雄叫びか、それとも気が狂った末のご乱心なのか?
急登の激戦を乗り越えた先に現れた江田島平八。
これにはたまらず戦意喪失気味の反乱軍。
ここまで、石になった男や疲労死した男二名の犠牲者と一名の被害者。
しかし革命に犠牲はつきものだ。
反乱軍はは南アルプスの王座簒奪の為に再び動き出す。
頂上に向けた最終ラウンドが始まった。
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背中に富士子ちゃんのエールを受けてユラユラと動き出す反乱軍。
見上げた先には相変わらず「お下劣!ザ・ワールド」が放送中。
先ほどまでの岩場急登ゾーンから砂礫の急登ゾーンへ。
木で補修されているものの、足下が滑って踏ん張らないといかんから足へのダメージが著しい。
もはや書くまでもないが、僕の足は笑ける痛みになっている。
そして度重なる急登ですっかりヘロヘロの5人の男優陣。
本日およそ18テイク目の急登撮影に挑む彼らに全く精気を感じない。
頼むから少しくらい休憩させてくれ。
しかし革命とはそう易々と達成出来るもではない。
最後の力を振り絞り、ゲッソリしながらも急登撮影を強行。
驚異的なプロ根性の宇宙企画男優陣。
しかしあまりのハードさに王大人から無理矢理復活させられた黒はんぺんSもこの表情。
まるで銭湯で富士山の絵をバックに熱湯の湯船に浸かろうとしているおっさんのようではないか。
そろそろ彼を安らかに死なせてやった方が良いんじゃないのか?
そう思っていた矢先、ついに黒はんぺんSが乱心した。
ついに静岡愛が極まって「富士山は山梨のもんじゃねえ、静岡のもんだに!」と絶叫した。
しかし「別にどっちでもいいよ」と関心を示さないハマっこのB旦那。
その背中には「東海なのか関東なのかはっきりしない静岡に興味はない」といったシティボーイの余裕が見て取れる。
それでも積年の想いをぶちまけた彼は満足げに放尿だ。
身も心もスッキリとなり再び彼に力が宿ったようだ。
やがて砂礫急登が終わり、いよいよ頂上かと思った我々の前に再び現れたイベント。
そこでは「秋の急登ガレ場フェスタ」が開催中だった。
もういいよ。
急登飽きたよ。
結局最初から最後まで、5時間以上ずっと急登だったじゃないか。
一体どんだけサディスティックな山なんだ。
最高じゃないか。
稜線まで出た事で、背後には重々しく大迫力の江田島平八がどばーんと広がっている。
圧倒的な光景。
これが南アルプスの王城からの眺めなのか。
随分と凄まじい所まで来てしまったな。
そういえば被害者Kはこれが初登山なんだよな。
彼もまさかこれほどの光景の中に自分がいる事が信じられないようだ。
無理もない。
軽く「山行こう」と言われてついて来ただけなのだから。
そしてその軽い勧誘で彼に被害を与えた張本人横綱Kは随分後方で虫の息だ。
絵的にはもはやNHKスペシャルのような壮大な風景の中に佇む横綱K。
もはや登山者というより、ずっとここで生活している原住民のような威厳ある佇まいだ。
そんなビッグフットの登場にもいちいち反応している場合じゃない。
いよいよ山頂まであと少しの所まで進軍して来たぞ。
しかし玉座手前の最後の難関。
一歩踏み外せばたちまち滑落急降下の道だ。
こんなゴール手前で滑落して「振り出しに戻る」なんてのは酷すぎる。
急登急登で来てからの急転落。
ホリエモンじゃあるまいし、そんな人生ゲームがあったらゲームと言えど今後の生きる気力すら奪われそうだ。
恐怖による細い呼吸でヒュゥヒュゥ言いながら何とか滑落せずに突破。
最後の最後でやっと穏やかな道となり、玉座への赤絨毯を進んで行く反乱軍。
この頃にはすっかり先頭を行く登山初心者の被害者K。
登山一発目にしてすっかりベテランの風格を醸し出している。
我々4名の「ダメ登山者のふりをして彼を鍛える作戦」が功を奏したようだ。
そんな彼の成長を座り込んでしまった横綱Kが微笑ましく見守っている。
もはや幕末の志士のような貫禄ある姿。
間もなく南アルプスの王座を簒奪する革命家らしいお姿だ。
ようく見てみると、彼の隣に革命家の大先輩の姿が見える気がする。
目の錯覚だろうか?
ついに疲れすぎた男に維新の革命家が乗り移った。
あれ程疲弊しきっていた横綱Kが、ここに来てついにその野性味を取り戻したのだ。
突然、小田和正スタイルで雄叫びをあげる横綱K。
ラフストーリーは突然に始まった。
あのラフでタフだった頃の横綱が戻って来たのだ。
さあ、これで最後の瞬間にむけてメンバー全員の士気も上々。
いよいよ勝利の瞬間が近づいて来た。
実に長い戦いだった。
仙丈ヶ岳から始まった南アルプスとの壮絶な一年戦争にピリオドを打つ瞬間。
過去二回の激戦の栄冠が脳裏をよぎる↓
南アルプスの女王と貴公子を撃破し、今その王座を奪おうとしている。
そしてお馴染みの南アルプスポーズでの歓喜の登頂だ。
王座奪還。
ついに我々は革命を成し遂げた。
喜びに沸く群衆。
北岳の独裁政権だった南アルプスについに民主化の波が到達したのだ。
感極まって横綱Kが玉座に分厚い接吻をかます。
続いてカストロとゲバラのコンビで挟み撃ち。
そして勢いでこのような茶番に巻き込まれる被害者K。
もはや北岳と何の関係もない蛮行が繰り広げられている。
それほどまでにここまでの急登一直線が苦難の道のりだった事をうかがわせている。
こうして我々は新政府樹立の瞬間を迎えた。
実に素晴らしい戦いだった。
そしてこの玉座からの眺めは実に圧巻の光景だ。
憧れの富士子ちゃんも新しい王に対して、「好きにして」と惜しげもなくその美しい体をさらす。
そして詰めかけた群衆が我々を取り囲み勝利をたたえている。
360度の大絶景。
B旦那などは王を通り越して仙人のような佇まい。
黒はんぺんSに至っては一目惚れでもしたかのようにズキュゥゥンと死んでいる。
大奥の中によほどステキな女性がいたんだろうか?
勝利を噛み締めながらの頂上満喫。
しかしいつまでも酔いしれてはいられない。
我々には「バスの最終までに下山する」という重要な任務が残っている。
なので慌ててメシを作ったせいで、被害者Kのご飯が「バリカタ」状態というトラブルも。
被害者Kの被害は王になってからもとどまる事を知らない。
で、メシを食った後もいつまでもくだらない事をして貴重な時間を失って行く新政府軍。
浮かれすぎた罰だろうか。
右端でひときわキレのある昇竜拳をかましている男。
この後、着地した際にただでさえ痛めている足をひねるという凡ミスを冒している。
さあいい加減に下山しないと最終のバスが行ってしまう。
十分にキング北岳を懲らしめた我々は、その王位を北岳に返還した。
あれほど苦労して手に入れた王座をあっさりと手放した男達。
キョトンとする北岳に対して我々は言った。
「だって俺たちはもう仲間じゃないか」と。
「この腕のマークが仲間の印だ」と。
まさにワンピースの名場面。
しかし彼らはまたしても凡ミスを冒している。
ワンピースでは上がっていたのは左腕だったのだ。
次回はちゃんと左腕をあげて、あと鹿みたいな奴も連れて行こう。
位置的に僕がナミさんになっちゃってるから、ちゃんと女優も連れて来よう。
こうしてまたも余計な撮影会で貴重な時間を浪費して行く男達。
その代償はこの後の下山で惜しみなく彼らに降り注ぐ事になる。
本当の消耗戦はここから始まる。
こうして男達は地獄の新世界へと旅立って行った。
北岳王位争奪戦4へ 〜つづく〜
北岳王位争奪戦3〜革命の志士達〜
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