◉日々のツレヅレ

35日後のフリーフォール

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必死で秀吉に手を差し伸べる男がいる。

その手はまるで助けを求めてもがいているような印象だ。

男は秀吉に問う。

なぜなんだと。


実はその男には密かに続けている事があった。

週末の登山やカヌーで大規模なマゾを満喫する一方で、地味に毎日コツコツとやっている事が。


ここらでそんな彼のデイリーマゾな姿を記録しておこう。


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去年から続けているストイックなプロジェクト「燃やせ!脂肪肝」。

体重83キロから始まったこのプロジェクトは、脂肪肝を消滅させて65キロまで痩せる事が目的のもの。


一時はこのブログがただのダイエット日記になりつつある程、実にストイックに頑張った日々だった。

そして調子良く70キロまで痩せたものの、そこからピタリと体重の変動が無くなった。


そして長い長い停滞期が続き、70〜74キロの間をうろつき、全く体重が減らないという苦しい日々が続いている。

それでも体脂肪率はしっかり落ちているから筋肉がついたって事なんだろうが、肝心のお腹とおっぱいが昔のままだ。

じゃあ筋肉はと言うと、なぜか両足のふくらはぎだけに強烈な筋肉がついていくというよく分からない事になっている。

結果、下半身ムキムキの上半身ぷよぷよという人間離れした姿の男が誕生してしまった。

もう局地的な筋肉はいいから、この腹とおっぱいをどうにかしたいんだ。


もちろんストイックな食事制限も続けてるし、時にがっつり走り、筋トレ、そして登山などハードな日々を過ごしている。

しかしそれでも減らないから、精神的に非常にキツいものがあった。

そんな「中畑ベイスターズ」ばりの暗いトンネルが続き、なんとかこの悪い流れを強行突破しなくてはならないと一念発起。

それは突然自分に課した「毎日必ず走れ」という命令だった。


例え雨が降ろうが、仕事や育児が忙しかろうが、登山の後だろうが、とにかく何があっても「毎日走る」と決めた。

基本的に僕は飽き性で、根性もない。

だから中途半端に休んだりすれば、そのままズルズルと走らなくなる事が目に見えているから例え最悪1キロでも良いから毎日走るんだ。


もちろん、平日の夜の僕には育児で走ってる時間なんてない。

早朝早起きして無理矢理時間を作っての厳しいランニング。

これは100の60という低血圧野郎にとっては過酷すぎる条件だ。


それでもなんとか起きて毎日5キロは走るようにした。

家から走っていくと丁度冒頭の秀吉像がある墨俣城が2.5キロの折り返しポイント。

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橋の先にある秀吉にタッチして家に帰っていくコース。

毎日タッチしてるからご利益ですごく出世しそうだ。

でも出世なんて興味ないから、なんとかこの腹とおっぱいをどうにかしておくれ。


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そして男は台風の中で走ったり、焼肉屋から家まで吐きそうになりながらランニング直帰したり、会社帰りにトレイルランニングで山に登ったりと壮絶な日もあった。

朝起きれなかった時は、会社の昼休みに5キロ走って汗だくのまま打ち合わせに行った時もあった。


そんなこんなで今日で連続ランニングの記録が35日目となった。

ここまで続けて来た自分を褒めてやりたい。


タイムも5キロを23分で走れるまでに成長した。

今ではランニング後に縄跳びと筋トレも組み入れている。

週2回、接骨院で鍼を打ってもらいながらの根性ランニングだ。


35日も毎日走れば一体どれほど体重が落ちた事だろうか?

頑張った僕に対する神の返答やいかに?


男は軽く息を吐き体重計に乗った。






1キロ増えてる…。






襲いかかる空虚感。

そのままその場に倒れ込む力石徹。

僕のあのハードな日々は一体なんだったのだ。



秀吉さんよ。

もう僕はどうしたらいいのか分からない。

益々太くなっていくふくらはぎと、減っていかないぷよぷよの腹とおっぱいをどうしたらいい?

おかしいな。

目から水が溢れてる。

どうしちゃったんだろう。



助けてくれ。

このフリーフォール並みに落下したモチベーションをこれ以上持続できる自信がない。


そう言えば、走り終えた後にりんたろくんに聞かれた事がある。

「おとうさんはなんで走るの?」と言うから「お父さんはね、お腹とおっぱいが出ているからだよ。」と答えたら「正解!」って言われた。

そして「おとうさんだけ、おとうさんだけ」って言うから「何がお父さんだけなの?」って聞いたら「ザンネン!」って言われた。

確かにお父さんはザンネンな男だったようだ。


でもこうなったら意地で100日でも200日でも走り続けてやる。

そしてドムのようなふくらはぎを手に入れるんだ。

そして来年あたりに「ムキプヨ人間」として奇人ショーへの出場を目指すんだ。


男は新たな目標に向けて動き出した。

脂肪肝消滅への道は長く険しい。

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