千曲川/長野

爆発大移動の旅5〜突風カレーうどん〜

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爆発大移動の旅もいよいよ後半戦。

今回は長野と新潟の県境を流れる「千曲川リバーツーリング」。

以前紹介した万水川(参考記事:おもひでくるくる)が犀川に合流し、やがて「千曲川」となり、信濃川となって日本海に注ぐ川。


「THE信州」と呼ぶにふさわしい景観と、のんびりとした日本の原風景がたまらない場所だ。

ずっと行きたかったんだけど、中々遠くて行けなかった川。


そんなとっておきな川を、この過密スケジュールの爆発大移動旅にぶち込んでしまった。

本来もっとのんびりと満喫するべき川なんだけど、やっぱり焦って欲張っちゃったんだね。



GWが終われば、再び「育児」という不眠不休の壮絶な日々が待っている。

本来なら1年かけてゆっくり巡る各地の旅を、この数日間にぶち込んだ。


「子供が大きくなってから、落ち着いて行けばいいじゃない」と人は言うだろう。

しかし人はいつ死ぬか分からない。

僕の場合は特にそうだ。

基本ツイて無いから、いつ不意の隕石やヤクザ抗争の流れ弾に当たって死ぬか分かったもんじゃない。

人生には締め切りがあるんだ。

いつだって週刊連載かかえてる気分で、遊びと向きあって行きたい。


こうして、ここ数日の重い疲労を携えたまま僕は千曲川に旅立って行った。


例のごとく、あまり記憶が残ってないのであしからず。

でも、この旅で一番心穏やかな一日を過ごした感があるツーリングだったな。


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岐阜でりんたろくんの初節句を終えて、その日の夜に大移動開始。

もう全く覚えていないが、恐らくどこかで車中泊したんだろう。


そして翌朝、千曲川のスタート地点到着。

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紹介しておいてなんだが、どこからスタートしたのかまるで記憶が無い。

クイズみたいで申し訳ないんだが、この写真の山を見つけて参考にしておくれ。


そして、いよいよ気合いを入れて出発。

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写真を見てお分かりだろうが、のっけから全く漕ぐ気なし。

疲労が溜まっているという事もあるが、それだけではない。

僕がこのスタイルで下る時は、「川旅のベストコンディション」を意味する。


僕の川旅モットーは「気持ちのいい川ほど漕いではいけない」ということだ。

もちろん激流をガシガシ漕いで行くのも気持ちのいいものだ。

しかしリバーツーリングの神髄とは漕がずに下る(流されて行く)事だと信じている。

大剣豪は剣を極めるほどに剣を抜かなくなるという原理と同じなのだ。


格好良く書いているけど、ようはグウタラ流されて行く事が気持ちいいってことなんだけどね。


でもそれは下記の条件を満たす川でないと中々実現出来ない。

それは「川幅が広い」「障害物が少ない」「水流がそこそこある」「景色が雄大」「追い風である」ということ。


それらの条件を、この日の千曲川は満たしていた。


スタート当初は、近場のもっこり山を眺めながらのツーリング。

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土地がなだらかに広いから、山が映えて可愛らしく見える。


進行方向に目を移せば、広々とした空が広がる。

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なんとものどかな時間が流れる。


川自体は「清流」ではないが水量豊富で流れもあり、ただ滔々と北上して行く。

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時折上陸して、ボケーっとする。

ただこの日は追い風が嬉しいんだけど、休憩時には強風となる。

山とか大きな障害物が無いからか、結構な感じで吹きさらしている。

(風の強さはトップ画像の鯉のぼりの泳ぎっぷりで想像して下さい)


やがて前方には信州らしい雄大な山も現れる。

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これだけ雄大な景色に向かって漕いで行ける川は、そうは無いだろう。

山間部の秘境じみた川も好きだけど、こういうのっぺりした感じの川も結構好きだ。

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連日の疲れもあって、結構ウトウトしながら下っていた記憶があるな。

こんなに気持ちよくて、快適な漂流はないな。


腹が減ったんで、広い公園みたいな所で昼メシタイムだ。

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この時の事は何となく覚えている。

まず障害物の無い吹きっさらしだったから、バーナーの火の威力がへなへなだった事。

そしてお湯を沸かすのにやたらと時間がかかって辛かった事。

そうしてる間も、色んなものが風で飛ばされて行くから、拾いに行っては戻るを繰り返した事。

突風で巻き上げられた砂が大量に目に入って来た事。

カレーうどん用の粉が鍋に投入時に、半分以上風に持って行かれてしまった事。

そして出来上がったうどんの汁が薄すぎて味が無かった事。

カレー味というよりカレー風味だった事。

乾麺のうどんも、ほぐれきらずに固くてまずかった事。

風で巻き上った砂がうどんの中に入って、ジャリジャリした事。

そして逃げるようにその場を後にした事。


そんな楽しかったランチの思い出が蘇る。


気を取り直して出発。

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川に出てしまえば、追い風だから再び楽ちんだ。


景色もさらに開けて行って、なにやらモンゴルの川でも下っている気分だ。

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北海道まで行かんでも、ここまで爽快で雄大な景色の川が下れるのだ。

僕はすっかりこの川が好きになってしまった。

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この臭そうな足からも「いい気分ですぜ」って声が聞こえて来そうじゃないか。


その後もたまらなく気持ちのいい漂流は続く。

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もうこの「赤い橋と山と千曲川」なんて、名画ですよ。

川の上から見てこその構図だね。


上陸すると、菜の花が咲き乱れやがって。

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長い育児生活を頑張って来たからこそ、このような至福の時間が一層豊かなものになる。

夜中に何度も起こされ、何度もあやし、何度もミルクを作り、毎日寝かしつけるのに1時間くらい抱っこしたり、深夜に落ち着かせる為に散歩に行ったり、何度も何度も嫁と衝突したり、etc…etc…etc…。

そんな辛かった日々が、すぱーっと消えて行く感覚。

久しぶりに取り戻した「自分」って存在。

やっと僕の目に生気が戻って来たと感じた瞬間だった。


無理してでも来て良かった。

これでまた頑張って行ける。

嫁よ、ご褒美休暇をありがとう。



そしてゴール。

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ここはさすがに覚えている。「いいやま湯滝温泉」の裏手だね。

カヌー一式をパッキングして、そのまま温泉に入る。

こんな絶好のポイントにある温泉なんて、実に心憎い演出じゃないの。

言うまでもなく、最高の温泉でした。


そしてテクテク歩いて無人の「上境駅」へ。

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一瞬、公衆便所かと思って戸惑ってしまったが、れっきとした駅です。

こうして大満足して、僕はスタート地点の車へと移動して行った。


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千曲川リバーツーリングは終わったが、もちろんそれでこの日を終わらせるつもりはない。

日が暮れるまでが、僕の遊び時間。


ひそかに行きたかった場所があったから、そこに移動して行った。

映画「阿弥陀堂だより」のロケ地となった場所へ行ってみた。


ひたすら雰囲気のいい棚田を歩いて上がって行く。

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僕は以前「北海道中膝栗毛」の旅の時以来、すっかり「棚田」好きになってしまったから、最高の時間だった。(参考記事


やがて、景色は日本昔話みたいな雰囲気になっていく。

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今にも市原悦子の声が「もし、旅のお方」って話しかけて来そうだ。


そして到着したのが、映画のロケ地となったおうめ婆さんの家だ。

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僕と同じくマニアックな先客がいたせいで、ゆっくり中が見れなかった。

密かにここで、一人撮影大会しようと思っていたのに。


まあでも映画の雰囲気そのままの、味わい溢れまくった場所だった。

ここからの景色も中々のものだ。

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ここに住みたい。

心底そう思ったが、間違いなくインドア・シティー派の嫁は断固拒否するだろうな。


先客のおっさんがいつまでたっても帰らないから、僕は次の現場へ移動した。

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どうやらこの辺りは菜の花で有名のようだ。

とんでもない量の菜の花が咲きまくってる場所があったから立ち寄った。

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ちょっとしたハイキングが出来てしまうほどに広い。

全然知らなかったけど、とんでもなく凄いぞ。

GWなのに観光客もいないし、なんでみんなこの素晴らしい場所を見過ごすんだ?


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なんかオランダにでも来てしまったみたいだ。

これは野郎一人で来る所じゃなかったかな。

狙ってる女の人がいたら、ふいにここに連れて来ると良い。

僕が女なら、相手が岩尾でも恋に落ちるぞ。


そんな想像をしながら周辺をブラブラ。

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いやあ、堪能した。

すっかり日も暮れて来て、本日の旅はもうここまでだな。



千曲川は僕の中で、かなりお気に入りの川になった。

次に来るときは、大きくなったりんたろくんを連れてこよう。

そしてここで育児の頃のお話をしてあげるんだ。

おうめ婆ちゃんの家の縁側で。

親子二人腰掛けて。



ごめん、嫁も(こんなとこまで来るか?)。



さあ、GWはまだあとちょっとあるぞ。

移動だ、移動だ。


翌日は天気予報を見るとあまり良くないらしい。

なので、一日を丸々移動日に当てる事も考えた。

でもそんなのもったいない。


周辺で多少天気が良さそうな場所を検索しまくった。

そしてチョイスされたのが「斑尾高原」トレッキング。

「信越トレイル」という、日本の誇る超ロングトレイルの起点となる場所だ。


信越トレイルは将来的にも狙っている道だから、その下見もかねて行く事にした。

天気悪くて、楽しくないのは覚悟の上で。


まあ、もちろん結果的には楽しくなかったわけだが、一応そんな模様も次回お送りして行く。


大分、育児のストレスが抜けて来たようだ。

まだまだ移動の旅路は続いていく。



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