凄まじい映画だった。
今年は「旅もの」とか関係なく、良かった映画はなるべく書き残して行こう。
映画のタイトルは「ブラック・スワン」。
主演はナタリー・ポートマンで、去年のアカデミー賞の主演女優賞を受賞した作品。
基本的に一人のバレリーナの葛藤や狂気を描いた作品だ。
この映画のジャンル分けとしては「サイコスリラー」という事になっている。
しかし安直にそのカテゴリーに埋没させてはもったいない程の、完成された心理描写の世界。
全体を通した狂気の世界の後に訪れるのは、一つの危うい芸術作品を見たかのような感覚が残る。
面白かったとか、感動したとかそう言った感情は残らない。
残ったのは、「凄いものを見た」という圧倒された感覚のみだった。
僕はかねてより「バレエ」というものに、優雅さを感じた事が無い。
一種の泥臭い人間模様と狂気を感じていた。
何やら悪魔的なものすら感じて、ちょっと毛嫌いしていた部分もあった。
見ていて気持ちが張りつめてくるし、裏側の人間模様を感じてしまうと恐ろしさも感じる。
狂気の先にある、脆くて刹那的な芸術世界。
この作品は、そんな張りつめた狂気の世界が見事に描かれている。
最も素晴らしいのはナタリー・ポートマンの凄まじいまでの演技。
役柄を越えた、彼女自身の覚悟も鋭利に伝わってきて、見ていて苦しい程だ。
狂気と葛藤の末に訪れる快感。
この感情を客観的に見るか、主観的に見るかは見る人次第。
見るべき価値のある、最高の芸術作品だ。
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