◉日々のツレヅレ

ヒトリゴト

-知らざる者-



自分以外の人間の気持ちを感じることが出来ない者


趣味も主義も持たず日々を過ごす者


周りにちやほやされる事が当たり前になっている者


社会の情報に左右され、依存する者


死生観を考える事なく生きる者


1本の短い物差しに一般論を重ねる者


孤独を恐れ、集団に安息を求める者


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


例えば


月にストレスがない世界が存在するとする


僕は月を目指し、地上から10cm四方くらいの箱を積み上げて行く


すごく慎重に


その箱はとても重くて、とても脆いから


僕はじっくり時間をかけて積み上げて行く


すると知らざる者たちが時折現れては邪魔をする


箱を2,3個取って行ったり、風を吹かせて倒そうともする


それでも月を目指して、無理をしてでも積み上げる


成層圏を越えて


月まで後少し


そこでいつも、知らざる者が僕の箱の塔の根元の箱を取っ払う


箱の塔は崩壊し、僕はまた地上に突き落とされる


何年もかかったのに


いつもこの繰り返し


知らざる者たちが笑ってる


ストレスのない月の世界から僕を見ながら


中には怪訝な表情を浮かべる者もいて、僕に問う


なぜ君は箱を積んで時間をかけるんだ?飛んでこれば良いじゃないか


月に住み続ける者には


地上を這い回るアリの心は想像することもできない


あれが良い、あの曲良い、あの店美味い、あの本おもしろい、etc…


あの人良い人、あの人悪もん、あの人変わり者、etc…


右ならえ、右ならえ、右ならえ


みんなで行進、1、2、3


月の世界




だから僕は穴を掘る


月に向かうことは出来そうにない


月に着いても安息の地ではなさそうだ


僕は知ってしまった者だから


それは頭の良い悪いじゃない


智恵や知識が豊富なわけでもない


ただ知ってしまったということ




僕は穴を掘る


深く深く、僕一人分の穴


月の光すら届かないような所まで


暗闇が好きなわけじゃない


孤独を愛してるわけでもない


ましてや死にたいわけでもない


知ってしまったことは良かったのか悪かったのか


そもそも正解がないのなら良いも悪いもない


水も油も共存して行くしかないようだ


うまくすればドレッシングみたいに美味しくなるかも




ひとしきり穴を掘ったら


穴から這い出て来て


また箱の塔を積み上げる


この繰り返しで幾年月


ひょっとしたら


月の裏側には


ほんとの世界があるかもしれない


微かな希望だけ胸に


またひとつ箱を積む


実際に裏側を見ちゃったら


そこにあるのは絶望かも


でも積んでくしかない


僕は今生きているから



記事が気に入ったら
股旅ベースを "いいね!"
Facebookで更新情報をお届け。

MATATABI BASE

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)




カテゴリー

アーカイブ

おすすめ記事

  1. ◉日々のツレヅレ

    庭男あおによし〜三連休の残像〜
  2. アラスカ珍道中

    アラスカ珍道中 プロローグ
  3. 富士山/静岡

    富士6苦フェス1〜マゾストーリーは突然に〜
  4. 唐松岳/長野

    世紀末救世主伝説1〜唐松リベンジへの道〜
  5. 白馬三山〜唐松岳/長野

    白馬男塾1・大雪渓直登編〜ギリギリボーイズの挑戦〜
PAGE TOP