蕪山/岐阜

蕪山サプライズ〜死神の傘と灼熱のブラックホール〜


晴れ男の誕生

前回お送りした快晴まみれの「キソコマの奇跡」。

あれは「何か変なキノコでも食べて幻覚でも見てたのか?」と思っているほど、今だに現実感がない出来事だった。


一方で「さてはもう自分は“晴れ男”になったんじゃないのか?悪天候男だなんてただの被害妄想なんじゃないのか?」と思うように。

だって木曽駒ヶ岳の前の鍋割山だってあんなに晴れてたじゃないか。


まあどっちも信じられないまさか(怒鳴られたり破られたりetc…)があったとは言え、写真だけ見れば浮かれたインスタグラマーと大差ない。

もし次の登山も快晴だったら、いよいよ42年間にも及ぶロング厄年が終わったと宣言してもいいのではないだろうか?

 

そんな中、BBGのハンモックライターとして名を馳せる鳥取のスナフキンNさんから、「今度岐阜方面行くんで軽く低山行きませんか?僕雪山やらないんで雪のないライトハイク的なやつを。」というお誘いがあった。

そしてそれとタイミングを同じくして、チーム・マサカズの小木KとビビるSから「もうすぐツリキチ呑兵衛が誕生日だもんで山で祝ってやろうぜ。」というお誘いが。

 

すでに晴れ男として生まれ変わった僕としては、これは自分の進化を試す絶好のチャンスだ。

我が晴れパワーを駆使して、この放浪野郎と誕生日野郎を同時にご接待し、最高の景色をお見舞いしてやろうと思い立ったのである。

 

選んだのは美濃の隠れ名山「蕪山(かぶらやま)」

この山は岐阜のくせに屋久島チックな「株杉群生地」があり、山頂にはポッカリと開けた可愛らしいステージがあって、そこからは白山や御嶽山などが一望できる360度の大眺望が広がっているのだ。

標高も1000mちょっとで、ここんところの暖冬のせいで雪も山頂にちょろっとある程度。

これなら雪山NGのスナフキンNさんも気軽に楽しめるし、大眺望をバックに祝ってあげればツリキチ的にも大満足なサプライズバースデーになるはず。

僕としても前回東京で手に入れたアイテムたちのテストにちょうど良い場所で、全く抜け目のないプランニングが完成した。

 

もうズサンでホワイトだったあの頃の俺にグッバイ。

ここからは「カラフルプランナー・ユーコンカワイ」の人生が始まってしまうのである!

 

失われたバウムクーヘン

大寒波襲来!

登山2日前、これまでの暖冬をぶっ飛ばすように日本列島全域にそのニュースが駆け巡った。

事前にスナフキンNさんから「なんかすごい寒そうですけど本当にその山は雪山じゃないんですよね?僕それ用のシューズもないしチェーンスパイク程度しか持ってないですよ。土地勘ないんで何もわかんないですが、本当にユーコンさんを信じて良いんですか?」と不安いっぱいのメールが。

僕は「心配ご無用。大寒波とかは全て誤報である。なぜなら俺は晴れ男だから!」と、己に言い聞かせるよう返信した。

 

やがて登山当日の早朝、僕はスナフキンNさんとの待ち合わせ場所である道の駅に到着。

すると人目につかないトイレの裏に、白い息を吐きながら荷物をまとめている不審者を発見した。

今にも袋の中からトカレフとか出してきそうで、これ知らない人が偶然見かけてたとしたらかなり際どい光景だ。

そう、この男こそ、孤高の野営旅人「スナフキンNさん」。

彼はこの極寒の世界で、ビビィサックという名の死体袋と化繊シュラフのみで一夜を明かしていたのである。

なんか最近僕の周りはこういう「通報ギリギリのダイレクト寝野郎」がやたら増えてきた気がするが気のせいだろうか?

 

ちなみにスナフキンNさんと実際に会うのはこれが2回目。

1回目はBBG時代の「近江八幡お花見カヌー」のイベント時なんだが、何気にその時も「季節外れの寒波」が襲いかかっていて、おまけにお花見カヌーなのに桜が「全て散っていた」という踏んだり蹴ったりな被害に遭っていたりする。

しかもそのイベント後に行った高島トレイルでは季節外れの大雪&吹雪&ホワイトアウトに巻き込まれ、最終的には「雷雨」という予報によって撤退も余儀なくされている。

 

僕に不信感を抱きまくるそんなスナフキンNさんとともに、チーム・マサカズメンバーが待つ21世紀の森公園駐車場へ。

そこで彼はチーム・マサカズメンバーと初対面し、「すげー本物だー」とただのアル中3人に感動している。

一方僕もこの場で信じられない光景を目の当たりにする。

それは僕が後で行動食として楽しみに持ってきたバウムクーヘンを、何と小木Kが僕のバックパックから盗み出して勝手に食っているというまさかを目撃したのである。

前回僕のハードシェルを引き裂いたという反省の色を一切見せない、このおそるべし傍若無人さ。

スナフキンさんも小木Kのこの生無礼を目の当たりにし、「さすがは小木Kだぜ」と目を丸くしている。

しかしこの男も前回僕に呪いのカードを渡されたことで、何気に先週までインフルエンザに感染していたらしい。

その辺りはこのバウムクーヘンで許してもらうこととしておこう。

 

そしていざ、絶景とサプライズバースデーに向けて、蕪山クライムオン。

センターにはこれからそんなサプライズがあるとは微塵も思っていないツリキチ呑兵衛。

実はこの時点で、ツリキチ以外の4人は内緒でバースデープレゼントをバックパック内に忍ばせている。

仲間想いの我々からのプレゼント、喜んでくれるといいんだが。

 

株杉とツリすぎ男

スタート直後。

いきなりこの蕪山のクライマックスと言ってもいい「株杉群生地」が我々に襲いかかる。

もう木から木がブワーっと生えまくり、その木からまた木が生えているというわけのわからない世界。

ジョルノ・ジョヴァーナのスタンドに殴られたかのようなこの生命感。

僕は「どうだ!すごいだろう!」というしてやったり顔で振り返るが、まだスタート直後で会話が弾みまくってる男たちはこの株杉に全然気づいてないというまさか。

本人たちもまさかクライマックスが駐車場から5分の位置にあるとは思っておらず、「ユーコンの言ってた株杉ってどんなところだろう?」ってワクワクしながら最後の株杉を素通りしていく。

正直思いの外このメンバーたちの感動が薄かったことで、若干戸惑いが隠せない僕。

まあいい、あくまでメインは山頂からの360度の大絶景。

株杉区間を越え、「なあ、杉株ってまだ?」と言ってる小木Kを無視しながら急登クライムタイムへ。

何気にまだスタートして間もないんだが、この時点で既に雪が付いてて再び不安が隠せない僕。

スナフキンNさんからは「何度も言いますがほんと雪山はNGですよ。」と言われ、「大丈夫。雪は山頂にちょろっとある程度だから。」と言ってたのに2合目付近でこの白さ。


顔全体に「不安」「やっぱりか」という表情が広がる後方のスナフキンNさん。



中途半端な雪とこの寒波のせいで、岩場部分は凍りついてる場所が多くて地味に滑って怖い。

しかしこんな時こそ東京で買ったあのチェーンスパイクの出番だ。

初のチェーンスパイク装着となった僕は、「これ、ツるよなー。絶対ツるよなー。」とすごく慎重にやったのにやっぱり「ああ!ツった!」となる安定のツーリングを見せつけた。


スノーシュー、ワカン、チェーンスパイクをツらずに履けた事がねえ。



余談だが僕のツリ友(釣りじゃなくて攣りのほうね)であるツリキチは、足がツった時即座に足を伸ばせるよう、日帰りなのに常にビッグサイズのマットを持ってきている。

40代も半ばが近づくと、登山は「己と攣りとの戦い」となるのである。

 

呪い封じの死神

「予想外の雪山」「ツってる男」といういつものユーコンワールドに接したスナフキンNさんは、「このままじゃまずいぞ。これじゃ近江八幡の二の舞だ。今のうちに奴の呪いを封印しておかないと!」と動き出した。

彼はユーコンの呪いの勢いを封じるため、「毒をもって毒を制す!」と叫んだかと思うと、おもむろに「死神」を取り出したのである。

あれ?いつの間にうちの嫁が商品化されたんだ?と思ったが、実はこれは世界一辛い「キャロライナ・リーパー」を使用した激辛おかきなのである。

彼は「ささ、皆さんもお疲れでしょう。これ食って元気出してください」と配り始める。

すると途端に山中におっさんたちの「ぬああああああ!」「キヒィィィィィ!」「URRRYYYY!」という断末魔が響き渡ったのである。

瞬く間に脱水症状に追い込まれ、貴重な水分を大量消費してしまう男たち。

あまりに辛いから慌ててチョコ食ってごまかそうとするが、もうチョコ自体も余韻で激辛なのだ。

これによって僕を含め、チーム・マサカズは死神大魔王によって強制的にその呪いを封印されてしまった。

しかしなぜか仕掛けた本人もこれ食ってしまい、ミイラ取りがミイラになってガバガバに水を飲んでいる。

これぞ自らの命と引き換えに大爆発を起こして敵を砕けさせるというスナフキン奥義「メガンテ大魔王」なのである。


 

そんな自爆呪文の後でも、スナフキンNさんはまだまだ呪い封じの手を緩めない。

彼は「ユーコンさんへプレゼントがあります。これ今業界では一番のトレンドアイテムですよ。」とこんなスタイリッシュなアイテムをご提供してくれたのである。

これなら不意な雨でもサッと取り出せて、即座に雨から頭部を守れて両手もフリー!

森の妖精感も出てかわいいし、山で使用しても存在感がなく全く邪魔にならないのも良い。

何よりオシャレなので、街での通勤・通学時のアーバンスタイルとしても重宝するだろう。

4000年の歴史を誇る安心の中国ブランド。

局地的な雨にお悩みのあなたに!

ちょっとした宴会時のパーティーグッズにも!

今ならなんとこの最新のHGT(ヘッド・ガード・テクノロジー)が、たったの680円だ!


ドンミスィッ!

勝利の山頂

こうして二つの奇策(嫌がらせ)で、完璧に僕の厄封じに成功したスナフキンNさん。

おまけに僕が喜び勇んでスノースパイクをつけてからというもの、すっかり雪もなくなって歩きやすい状況に。

しかしそれで安心して油断してしまったのか。

彼はこの何でもないところで激しく滑って転んで、せっかく封印した厄をぶちまけてしまったのである。


しかもこの写真は「何ですぐ立ち上がるんだ!ちゃんとシャッター切られるまでその場で待機しないとダメじゃないか!」と怒られてもう一度転ばされている状況だったりする。



これで大魔王と傘帽子によって封印されていた厄が一気に蕪山にばらまかれた。

するとどうだろう。

さっきまで平和なお気楽低山だったのが、突如として吹雪を伴う「THE雪山」と化してしまったのである。

このまさかな状況に「あれほど雪山はイヤだって言ったのに〜。」と、後悔が止まらないスナフキンNさん。

彼は僕の厄を封じようと余計なことをしてしまったがため、逆に厄の暴発を招いてしまったのだ。

コーラだって普通に栓を開ければ問題なかったのに、振ってから開けるからこんなことになるのである。

 

突如始まった降雪は止む気配もなく、寒風も強まる中での楽しい薮の急登タイム。

それをフガフガと超えていくと、ついに山頂のポッカリ空間まで後少しの位置に到達。

ここまでに「株杉既読スルー」「想定外雪山」など色々と計画通りにいかなかったが、全てはこの先の大眺望が帳消しにしてくれるはず。

なんせ私ははもう日本を代表する晴れ男。

さあ、みんな覚悟はいいか?

 

これが山頂からの360度の大眺望だ!

青い空!そして白山から乗鞍岳に至る大眺望!

山頂にちょこんと佇む可愛くも絵になる木!

嗚呼!なんて素敵な場所なんだろうか!

 

よし、じゃあみんな想像するのはやめて目を開けて。

早速白山をバックに記念写真を撮ろう。

はい、チーズ。

スナフキンNさんは、「あのう…ユーコンさん?白山というかただの白なんですが…」とプルプルしている。

僕を含めチーム・マサカズの面々は「あ、そうか、スナフキンさんはまだ素人さんだったよね。山頂ってさ、絶景をイマジンする場所なんだよ。」と教えてあげる。

スナフキンさんは「え?僕ははるばる鳥取から岐阜くんだりの山奥まで来てイマジンしなきゃならないんですか?」と戸惑いの表情。

それを見て僕は優しく「しょうがないよ。鳥取の人には僕らのような意識高い系の山の楽しみ方って中々わかんないだろうからさ。ホラ、この白いキャンバスに何を描こうと全て自分次第なんだぜ。」と教えてあげたのである。

それでも動揺しているスナフキンさんに、眺望案内看板と白いキャンバスを見ながら「ほらあれが白山で、こっちに目を移せば御嶽山や乗鞍岳まで見えるだろう?」と解説。

しかしあくまでも「な、何も見えないんですが…」と言うスナフキンNさん。

僕は「これだから素人はよ。いいか、何も見えないんじゃない。君の心が見ようとしていないだけだ!」と叫んだ後、静かに「まずは中二だった頃を思い出せ。桜樹ルイのビデオを見ていたあの頃、“モザイクの先の世界”を見ようと必死で目を細めていただろう?とにかく目を細めることが大切だ。幸いお前は元から目が細いじゃないか!頑張れ!」

「ああ!ほんとだ!うっすらと見える気がします!」

こうしてまた一人、「心眼クライマー」が誕生した。

元から目が細めだったことが幸いし、鼻が無いことでバクテリアンの臭さを克服したクリリンと同じ方法で心の目を開くことに成功。

この高等技術を身につければ、たとえどこの低山で白に巻かれても心はいつだって快晴の北アルプスなのである。

 

わざわざ鳥取からやって来て、雪山はイヤだって言ったのに雪山を歩かされ、挙句真っ白な景色を見せられて余計な能力まで開花させられた男スナフキンN。

結局彼は近江八幡で僕に出会ってから、まだ一度も陽の光を浴びていない。

 

とりあえず晴れ男になったって言ったり、途中明らかな偽装青空写真を挟み込んでしまったことは陳謝いたします。

あれは僕の脳内イメージを切り取ったものです。

もういつもの白い世界に戻りますね。

漢のテーブルマナー

さあ、精一杯イマジンしたら腹も空いて来た。

本来なら絶景を堪能しながらのんびりランチタイムってとこなんだが、いよいよ降雪は増えるわクソ寒いわで悲壮感が止まらない。

しかしそんな時でも大丈夫。

だって我々にはHGT(ヘッド・ガード・テクノロジー)があるのだから。

これならいちいちフードをかぶるまでもなく雪をシャットアウト。

しかも全く違和感がないのもグッドだ。

もう山だからってオシャレを我慢する必要なんてないのである。

 

で、僕の方は、こないだ東京で買って来たこいつを早速初の実戦投入。

カスケードデザインの軽量テーブル「Ultralight Folding Table」のご登場だ。

今回はアルコールストーブだったから、直接雪の上だと火力が落ちるのでこのテーブルは我ながらナイスなチョイスだ。

下にカーボンフェルトも敷いたし、テーブル自体160度までの耐熱を誇るらしいからまあ大丈夫だろう。

何より買ったばかりのアイテムを使う最初って、純粋に嬉しくてワクワクするからたまらないよね。

 

そのわずか2分後のことである。

何やら妙に焦げ臭い匂いが立ち込める。

僕はコッヘルをどけて、恐る恐るテーブルを覗き込んでみた。

気のせいだろうか?

買ったばかりの我がULテーブルに、何やら「穴」的なものが見えるのは。

僕は「はは、まだちょっと東京の疲れが残ってるのかな?」と一旦ゴシゴシと目を擦って、再びテーブルに目を落とす。

するとどうだろう。

明らかにさっきより穴が拡大して行ってるではないか!


偶然「死神大魔王」がフレームインしているという恐ろしさ。



僕は「いやあああああああああっっっ!!」と絶叫。

どうやらアルコール燃料を入れる際、数滴がテーブルに落ちていたようでそれに引火したのだ。

しかもアルコールストーブは火がまったく見えないから、燃えていることすら分からず気づいた時には大惨事に。

僕は「あああ!!あかんあかん!買ったばかりの…あっつ!ああ!」と叫びながら必死の消火活動。

しかしそんな必死の救出作業も虚しく、我がULテーブルは意図せず「さらなる軽量化」を達成してしまったのである。


約15gの軽量化に成功。しかし物はもう置けない。



最終的には、ペンタゴンの顔にブラックホールの穴が空いたようなこんな姿に。

しかしこれぞユーコンカワイ奥義「四次元殺法テーブル」。

というのも、実は僕はこのULテーブルを“あえて”燃やしたのだ。

なぜならこの環境下でもちゃんとお湯を沸かすため、テーブルごと燃やして燃焼効率をアップさせたのである。

事実やたらと沸騰するの早いなーって思ったほど。

道具を説明書の通りに使うなんて素人のやり方だ。

この奥義を使えば、通常より早くお湯を沸かすことができる上、男らしさもアップする。

しかしこの奥義はたったワンチャンスのみの使い切りスタイルなので、貧乏人が繰り出すにはかなりの覚悟が必要だ。

 

だがブラックホールの穴が空いたからと言って嘆くことはない。

アウトドアの道具とは、一個だけの用途にとどまらずマルチに使えてこそ優秀なもの。

この四次元殺法テーブルは、なんとその後はオシャレな「インスタフレーム」としても有効活用できるのである!

決して強がって言っているわけではない。

悔しくて言っているわけでもない。

これがアウトドアの達人による新しいULテーブルの活用法なのだ。

あなたも是非トライしてみよう!

※マゾ専門家の指導のもと行っています。1回目でこれやっちゃうと本気で落ち込むからお気をつけください。

 

サプライズバースデー

白い景色、寒い山頂、止まらない降雪、強くなる吹雪、燃えるテーブル。

さあ、いよいよ機は熟した。

ツリキチ呑兵衛のお誕生日を祝う準備は万端だ。

 

なんの前触れもなく、おもむろに「ハーピバースデートゥーユ〜♪」と太く低い声の黒魔術的な呪文唱和が始まった。

「え?なんや?」という表情のツリキチの前に、静かに並べられていくビールの数々。

そう、このビールこそ、酒好きでクラフトビール好きのツリキチのために用意したサプライズプレゼント。

登山前に4人が3本づつ内緒で担ぎ上げて来たもので、その合計は12本。

12本が揃うと計4リットル、しかも余計な「瓶」であるため総重量は7.5kgにも及ぶサプライズプレゼント。

ツリキチは複雑な表情で「う…嬉しいんだが、なぜこれを山頂で渡すんだ…」と、いろんな意味でのサプライズを味わっている。

そして4人から「おめでとう!じゃあそれ全部担いで帰ってね。」と言われ、非常に複雑な表情のまま7.5kgをパッキング。

 

普通下山時は荷物は軽くなるもんだが、なぜか彼は「くっ、行きの8倍くらい重てえ…」と言いながら必死でバックパックを背負っている。

「祝われてる」というより「呪われてる」という情景だが、これがチーム・マサカズ流の愛なのでしょうがないのである。

やがてやることやったんで下山開始。

約1名、下りなのに急に足取りの重くなった男がいるが気にしてはいけない。


やたらバックパックがパンパンだし、マットもくっ付いてるから一人だけテント泊の人のようだ。



そして地味に長い下山を経て、ようやく株杉の群生地エリアに到達。

この時点でこのメンバーたちは「うお!なにこの木。なんかすげえじゃん。」と今さら気づくというまさか。

まあスタート直後に見るより、はるばる山を越えて7.5kg担いでから見た方が感動も多いだろう。

予定通りだ。

 

そして無事に下山完了。

おもてなしターゲットであるツリキチ呑兵衛、そしてスナフキンNさんも満足のハイタッチ。

なんだか結局は悪天候&ズサンプラン、そこに「セルフバーニング」という自傷行為までしていつも通りな感じで終わってしまったが、正直大快晴登山よりも居心地が良いというか、実家に帰って来たというか、母の胎内に戻って来たというか、そんな安心感を感じてしまうマゾな登山であった。

で、この写真を撮ったあたりから、とうとう雪はおなじみの「雨」に変わり、ずぶ濡れになりながらドブネズミのように駐車場に向かう男たち。

結局スナフキンNさんは、近江八幡に続いて今回もしっかりと濃密なユーコンワールドを体験させられ、その後の温泉ではしっかりと呪いのカードを手渡されて踏んだり蹴ったり。

この2日後、彼は養老山脈の南北縦走に旅立っていったが、補給予定の場所で軒並み水が枯れているというまさかに遭遇し、おまけにバックパックのショルダーも千切れかけて大変な目に遭った模様。

大魔王とHGTで無理に僕に対抗しようとしたせいで、今後彼は向こう10年は呪われたまま生きていくことになるだろう。

 

こうしてユーコン流のおもてなし登山は幕を閉じた。

当初予定していた「雪のないお気軽低山ライトハイク」とは若干違った趣向になってしまったが、まあ良いだろう。

こういう「アウト」を積み重ねていけば、いつかまたホームランを打てるのだから(あ、アウトって言っちゃった)。

 

とりあえず。

ツリキチ呑兵衛、お誕生日おめでとう!

酒ばっか飲んでないで、ちゃんと塩分摂ってストレッチしていこうぜ!

 

※今回使用したウェア&ギア一覧は次のページへ

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コメント

    • ゆきね
    • 2019年 2月 19日

    嗚呼。あぁ。これです。この展開ですよ。
    ほっとしました(笑)なんでしょうねぇ、ファンとしては快晴のキソコマでうそ?うそやろ?なんかあるやろ??が消化しきれてませんでしたからね…(*≧∀≦)
    セルフバーニングとは激しい!( ≧∀≦)ノそのテーブル買おうと思ってるんですがアルコールストーブは置かないようにしますwww安定のマゾをありがとうございました(*´∇`*)

      • yukonkawai
      • 2019年 2月 20日

      ゆきねさん…言いたくないですが言わせてもらいます。ただいま…と。
      キソコマとナベワリは幻覚を見てたんですね。ここんとこ忙しかったし。
      そうなですよ。僕のような男はホワイトの中でテーブルファイヤーで暖をとる程度がちょうど良いのです。
      正直快晴でノートラブルだとなんか物足りなさを感じましたもん(ノートラブルって言いつつもパンツ破られてますけどね)。
      あのテーブル、ぜひ買って燃やしてみましょう。思ってる以上に落ち込みますよ。

    • スナフキン
    • 2019年 2月 20日

    こんにちわ。
    酷い目にあったスナフキンです。
    まさかの寒波、まさかの炎上。
    まさにスペクタクル。
    白いキャンバスに描かれた自虐絵図。
    圧巻でした。
    これで帰りに寄った温泉が閉まったいたら、今後のお付き合いを熟考したところです。
    ともあれ、ユーコンツアーを堪能出来て感無量です。
    また行きましょう。
    今後とも年中ホワイトデーとして邁進して下さい!

      • yukonkawai
      • 2019年 2月 20日

      スナフキンさん、改めてありがとうございました!&毎度すいません!
      あれほど「雪山だめよ」と散々言われてたひなたぼこにも関わらずこれですからね。
      すけさん共々僕に雪山童貞奪われてさぞや悔しいことでしょう。
      なんせ疫病神と死神大魔王の夢の共演でしたからね。
      そりゃ白いでしょうしテーブルも炎上しますよ。
      でもある意味「自分らしく」おもてなしできた気がします。
      これで近江八幡から二連ちゃんでひどい目に遭わせてるんで、そろそろ快適な黄金の鍋宴会でもやりましょう。
      鯉さんとかとダイレクト寝パーティーでもいいでしょう。
      またよろしくお願いします!見捨てないで!

    • ケイ
    • 2019年 2月 21日

    はじめまして。
    BBGからユーコンさんの魅力?に引き込まれ、こちらのブログも全て読ませてもらいました!
    当方16歳から三重県で山登りを始めたアラフォーです。
    先日25年ぶりに明神平に登ったところ、当ブログで見まくった真っ白けっけの時と精神の部屋が待ち受け、下山後の温泉という温泉みな休日やら改装中。
    これがユーコンさんの日常かと胸熱でした。

    こらからもブログと言うか、ユーコンさんの「持ってる」力を楽しみにしています。

      • yukonkawai
      • 2019年 2月 21日

      ケイさん、はじめまして!
      全部読んだんすか!なんてマゾいことを。
      これ全部読んでも呪いのカード貰ったのと同じ効果あるんで、明神平の悲劇は回避不能だったんでしょう。
      そうなんです、それが僕の日常であり、キソコマのような大快晴だと正直何やっていいかわかんないんですよ。戸惑ってる間に登山終わってるっていうか。
      なので久々に落ち着いた登山でしたね。色々燃やしたりしてますが、それもいい思い出です。…か?
      今後も晴山とマゾ山をバランス良く楽しんで、しっかり営業中の温泉目指して頑張っていきます!今後もよろしくお願いします!

    • フジタ
    • 2019年 2月 22日

    テーブル穴のくだり、車揺れるくらい笑いました。何やってるんですか笑

      • yukonkawai
      • 2019年 2月 22日

      ほんとなにやってるんでしょう私。
      はるばる東京まで行って買ってきたやつを一発で即死させてしまいました。
      ビッグボディチームのレオパルドン並みの速さですよ。
      ほんと大馬鹿野郎です…

    • コスケ
    • 2019年 2月 23日

    ユーコンさん、こんばんは。
    何だかコレだ!コレが読みたかったんだ!という位に濃厚なマゾ登山記ですねー。

    ピッケルに初めての穴を奪われたあげく、バームクーヘンまで…
    昼ドラの間男並みの小木Kさんにも毎度驚かされます…

    テーブルのくだりも「奉納こそ我が人生」を地で行く漢っぷりに涙が止まりませんでした。。

    これからも胸アツなブログ期待してます!

      • yukonkawai
      • 2019年 2月 25日

      いやあ、キソコマでは若干夢を見ていましたが結局いつもの世界に引き戻されてしまいました。
      そしてその陰には切り裂き無礼男、ジャック小木の脅威。
      彼もBBG時代は表舞台に出てなかったもんですから、2年の間に随分闇の力を増幅させていたようで。
      穴(バウムクーヘン)と見れば食らいつき、穴がないと見ればピッケルで貫通する穴狂いの男。恐ろしいです。
      テーブルに関しては僕のミスではありません。あくまで燃焼効率を上げるための我が策略です。
      ってことで次回は何が切り裂かれ、何が燃やされるかがこのブログのポイントですね。
      って言うかいちいちこんなことしてたらお金足んないっす…。

    • ほすほす
    • 2019年 3月 02日

    株杉の下りとインスタフレームが面白すぎてwwww
    いやぁなんかもう詰まりまくってますね素敵!

      • yukonkawai
      • 2019年 3月 02日

      いやあ、ほんとトラブルも詰まってますが頭の中も詰まっちゃってますね。割とダバダバとアルコール溢れてたんで、普通の人ならそこで危険な匂いを察知できたはずです。
      でもおかげであんなに素敵なインスタフレームができて感無量です。わざわざ東京まで行って買ってきた甲斐があったってもんですよ。
      そして下山まであの壮大な株杉に気づかない男たち。ジジイになると下ばっか見ちゃっていかんですね…。
      アルコールも株杉も、もう少し落ち着いて周りを見れる立派な大人になりたいものです。

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