晩秋の三連休。
僕に下されたミッションは「子守り三連投」。
嫁もご両親もちょっとした用事があったので、僕がこの三連休をフルに子供の面倒を見るのだ。
いつもなら遊びに行けずに発狂する場面だが、今回は「あまり景色のいい所には行きたくない」という気分だった。
それはあの「経ヶ峰の呪い」がまだ解けていなかったからだ。
あの伝説の痔鎮祭となった雨の経ヶ峰の戦いで、無念の戦死を遂げてしまった新品の一眼レフ「K30」。(参考記事)
そいつがメーカーに修理に出して以来、2週間経っても何の音沙汰もない状態が続いている。
そのカメラの生死も分からないまま突入してしまった三連休。
こんな時に素晴らしい景色に出会ってしまったら、カメラのない悔しさから悶絶死する事が目に見えていた。
オノレドリスト(己撮りが好きな人)としては、一眼レフカメラのないアウトドアはテンション8割減だ。
なのでこの三連休は割り切って子守りと親孝行に徹する事に。
お義母さんからりんたろくんを遠ざけて気楽に休日を過ごしてもらい、僕はりんたろくんと実家の岡崎市に帰って実母に孫を堪能してもらおうという主旨だ。
以前、親子三世代で挑んだ「脱糞トライアングル」を完成させて以来の帰郷となった。(参考記事)
今回は三連休前半の紅葉トライアングル。
来るべき雪山登山の戦いの前の、親子の平和な記録でございます。
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初日は天気も良くなかったからトヨタ博物館へ。
アホ面で結構楽しんでるように見えるが思いのほか彼は車に興味を失くしていたようで、もはやどうでも良いと言った感じ。
そして正直僕も車に興味ないし、カメラもiPhone撮影なのでどうでも良い。
もちろん僕の母さんは車になど興味はない。
好きな人には堪らないのだろうが、我々三世代の心は躍らない。
最近山や川が好きになって来た孫。
第二子誕生を前にさらに落ち着きなく冬山に攻め入ろうとしている息子。
老後に数々の3000m峰を落とし野ションも軽々こなすイモトのような母。
屋内での楽しみ方を知らないこの親子三代。
翌日は天気もいいからやはり登山へ繰り出した。
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場所は紅葉で全国的に有名な香嵐渓の「飯盛山」。
この時期香嵐渓は大渋滞するので、地元民としては意外とベストシーズンに行く事はなかった。
それこそ僕が子供の頃以来の香嵐渓だ。
案の定、道は大渋滞。
しかし我々親子三代は、あえて一番安いけど一番遠い駐車場に早々と駐車。
体力自慢の母さんと一緒だからできる芸当だが、嫁がいる時にこんな事したら即座に右ストレート炸裂で早々と鮮血の紅葉が見頃となってしまう。
しばらくは観光客に混じって移動。
しかし一般的な観光スポットには目もくれずに、一直線で飯盛山に向けて突き進む。
そしてすぐさま飯盛山登山開始。
出だしから見事な紅葉が迎えてくれる。
結局一眼レフカメラがない悔しさを目一杯感じるスタートとなった。
今回もりんたろくんに行ける所まで歩いてもらいます。
この飯盛山は低い山だし、かなり整備されてる観光山だからズンズン進むりんたろくん。
いつもお父さんに荒れた道を歩かされているだけあって、彼の足取りも軽やかだ。
今日はついに初の自力登頂か?
でもやっぱり観光地だけあって大量の登山者がいるから、たちまち「りんたろ渋滞」が巻き起こる。
さすがにこれは他の登山者に迷惑をかけるから、結局いつものように合体です。
紅葉はとても素晴らしいんだが、やっぱりあまり人がいない静かな山のが気持ち良いなあっ、てのが顔に出ているお父さん。
でもりんたろくんは明らかにトヨタ博物館よりご機嫌です。
すかさず僕は落ちていたもみじを彼に手渡し、「お母さんへ奇麗な紅葉のプレゼントだよって、帰ったら言いなさい」とヤラセ工作。
嫁へのこういう細かな仕込みが、今後のアウトドア活動容認への道しるべとなるのだ。
それにしても本当に悔しいほどに紅葉がキレイだ。
今ここに一眼があったらどんだけ美しい写真が撮れた事だろう。
この「凄く白熱したプロ野球の試合の9回の裏、テレビ中継が終わってしまって仕方なくラジオで観戦」的なやるせない気持ち。
なぜあんな土砂降りの経ヶ峰を一眼で撮影し、この素晴らしい紅葉をiPhoneで撮影しているのだ?
せめて己撮り風の写真が撮れないものだろうか?
そこで母さんにiPhoneを渡し、僕とりんたろくんがさすらっている感じの写真を撮ってもらおう。
しかしこれが思いのほか大苦戦。
まずこの69歳の機械音痴な人に基本的なiPhoneの操作から教えなければいけないという難作業。
そして何度も僕はさすらってるわざとらしい演技をし、苦戦しながらも何度も撮影を試みる69歳。
とても恥ずかしい親子作業が続き、構図のダメ出しを何度かやったテイク8くらいの写真がこれ。
最終的には母さんを地面すれすれまでしゃがませてローアングルから撮影させた。
親にそんな事させてまで撮らねばならん事だったのだろうか?
益々一眼レフカメラの復活が待たれる。
やがて飯盛山山頂へ到達。
りんたろくんも誇らしげな表情だ。
山キライ、おとうしゃんキライと言っていた頃を思うと、お父さんはとっても嬉しいぞ。
ハイテンションになったりんたろくんが母さんの手を引っ張って猛ダッシュで下山して行く。
しかしそこはさすが我が息子。
見事に違う道を下山してしまった事に気づき、結局引き返すことに。
登りになると途端にテンションが下がり、母さんにオンブをせがみ出す。
そして体重13キロのりんたろくんを、物ともせず背負って登って来る来年70歳の女。
息を切らす事もなく平然とだ。
我が母ながら、その強靭さには毎度驚かされる。
正しい道に戻って下山。
小さな山だったけど、たまにはこんな登山も中々よろしい。
その後、足助屋敷に移動して田舎体験です。
最近iPhoneで遊んでばっかりのこの男には、これくらいのアナログな遊びのが逆に新鮮かもしれない。
一方で「その時代」を現役で生きた母さんが、驚異的なテクニックでお手玉を巧みに操る。
この場に居合わせた子供達がそれを見てワッと喝采。
さすがリアルな昭和のおばあちゃん、そのテクニックは大道芸人みたいだった。
その後も彼を昭和な世界へどっぷりと浸らせる。
こういう原体験は必ず彼に良い影響を与えるはずだ。
僕の中にも、母さんの田舎鳥取の山奥ののどかな風景とそこでの体験がが色濃く残っている。
色々問題があるこの国だけど、原風景はとても平和で豊かで美しい国だった事を忘れてはいけないぞ。
炭焼き小屋では母さんが少女時代に炭出し作業の手伝いをさせられた経験を語る。
そのリアルな体験談に、施設の解説員が逆に質問をしていたほどだ。
その後も和紙を作っていた事や、親がはた織り機で布を織っていた事などのリアル解説が続く。
これ以上ない最高のガイドさんだ。
こういう話を、もっともっとりんたろくんに話してもらいたいものだ。
やがて香嵐渓は、徐々に凄まじい数の観光客で溢れ返って来た。
なんじゃこりゃ、気持ち悪い。
人混みが大嫌いなので即座に退散です。
そこで何気に東海自然歩道発見。
何となく駐車場まで続いていそうな気配。
見事に吸い寄せられる親子三代。
でも大分進んだ先で見事に行き止まり。
このあたりのミスチョイスの才能は、この三代の親子の遺伝子に脈々と受け継がれているようだ。
そこから無理矢理歩道に戻ろうとしたら、よく分からない施設の中に迷い込む。
入口は施錠されており、出るに出られない。
結局フェンスを乗り越えて脱出を試みる3歳児をを背負った36歳と来年70歳の女。
いい歳をした大人達のスタンドバイミー。
自分の親がやんちゃにフェンスを乗り越える姿を見るというのは中々に感慨深い世界だった。
こうして親子三代の香嵐渓・飯盛山登山は幕を閉じた。
たまにはこんな感じの平和な登山も良いですな。
毎回マゾってたら、マゾの有り難みが薄れるってもんだ。
昔はこうして親と何かするなんて照れくさくて考えもしなかったけど、やっぱり子供が出来ると意識が変わるな。
もっと親孝行していかんと、将来りんたろくんが僕に孝行してくれんくなる気がする。
さすがに子供にまで「このブタ野郎!」って言われんように威厳を保たんと。
で、また元のマスオに戻るべく、親子は岐阜へと帰って行った。
何気に「今とても幸せな空間に生きてるな」って気がした晩秋の登山でございました。
親子三代 紅葉トライアングル
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MATATABI BASE
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