◉ りんころ成長記

マタニティは爆発だ〜陽の土曜日〜

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陰と陽の週末。

土曜日は晴れで日曜日は雨の予報。


なぜか男は晴れた土曜日に美術館に行き、雨の日曜日に山に登るという矛盾を楽しむことになる。

今回は久しぶりのりんたろ成長記として「陽の土曜」を振り返り、壮絶な雨中登山となった「陰の日曜」は次回お送りいたします。


そろそろここらで普通の親子の姿を見せておかないと、「家庭を顧みない男」「アウトドア幼児虐待男」「偽りの仮面養子」「腐ったマゾ野郎」などというレッテルを貼られてしまう。

そもそもこのブログは子供の成長記録としてやってるつもりだったが、最近はただの親の変態記録になってるからね。


それでは「陽の土曜」を軽く振り返ってみよう。


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はるばるやって来たのは碧南市の藤井達吉現代美術館。

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せっかくの屋内施設なんだから、なにもこんなに晴れなくてもいいのに。

正直ソワソワが止まらなかったが、以前からこの日に行くと嫁と約束していたので我慢一徹。

幸いこの辺は海は近いけど、山と川があまり目に入らないので多少落ち着いて家族サービスが出来る。


この美術館に来た目的は岡本太郎展。

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前々からりんたろくんに「岡本太郎を見に行くぞ」と言うと何故か喜んでいたから彼のテンションも高い。

しかし彼は何かを勘違いしているようで、「タロウどこ?ウルトラの父と母はどこなの?」と聞いて来る。

間違いなく奴はウルトラマンタロウ展と勘違いしていた可能性が高い。



初めて見る岡本太郎の原画は、感性を直感的に揺さぶる実に素晴らしい作品のオンパレード。

日頃からマゾが爆発している僕としては、岡本太郎の混沌とした世界がとても居心地が良かった。

しかしりんたろくんは大声で「きもちわるい、きもちわるい」を連発。

普段嫁が僕に「キモい」を連発するせいでそんな言葉を覚えてしまったのか。

うるさいから周りに迷惑をかけないように彼をなだめるのに精一杯で、結局後半はろくにゆっくり見れなかった。


結局逃げるように展示場をあとにして、落ち着かせるために海洋堂の岡本太郎フィギュアを買ってやった。

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芸術作品「若い太陽の塔」に対して「こいつ何星人?」と聞いて来る。

こんな画期的な怪獣はウルトラマンには出てないと思うぞ。



美術館の隣にあの「九重本みりん」で有名な九重味醂の工場が有ったから行ってみた。

フィギュアでテンションが上がった男が絵に描いたように激しく転倒するという瞬間を激写。

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落ち着きが無いからそういう事になるんだぞ。

お父さんが言っても説得力が無いけども。


そして九重味醂はまさかのお休みで入れず。

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ただ周辺をフラフラうろついて終了。

無駄に歩かされて嫁は機嫌が悪くなるし、りんたろくんが持っていた「若い太陽の塔」の太陽のトゲトゲがお父さんの頬を切り裂いて傷が出来てしまうし踏んだり蹴ったりだ。


ちなみにここで無理矢理りんたろくんにチューしようとしたら避けられた。

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そして嫁に「腐るでヤメて」って言われる始末。

人生とは味醂のように甘くは出来ていないようだ。



その後は近くの明石公園へ。

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ここはミニ遊園地みたいな所で、メリーゴーランドなどの乗り物が1人1回100円で乗れるという子づれにはお手軽な場所だ。

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多分僕とりんたろくんの二人で沢山乗るだろうと思い、あえて11枚綴りのチケットを購入。

しかし後に4歳以下は無料という事が発覚。

そして乗り物も6個くらいしか無かった事が分かり、11回分のチケットを手に呆然とするお父さん。

しかも妊娠中の嫁の具合が少し悪くなったので早めの撤退が求められた。


とりあえず元を取るために全力で各遊具を乗り倒す親子。

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結局本日も限られた時間内で休む事無く動き回る事になったね。

残すチケットが3枚になるまで走り続けてタイムアップ。

りんたろくんも終始山では見せない笑顔で楽しんでいたようだね。

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そして公園を後にしようかと思った時、唐突に僕に対して嫁が言った。

本当に唐突にこう言ったのだ。

「おい、この乳首野郎!」と。


あまりに唐突だったため、いまいち事態が読み込めない。

そもそも乳首野郎とは一体どのような状態の男の事を言うのだろうか?

特に怒っているわけでも無さそうだし意味が分からない。

岡本太郎の作品が嫁の何かを呼び覚ましてしまったのか?

それとも妊娠時のマタニティブルーの症状で、唐突に「乳首野郎!」と叫ぶ症例があるのだろうか?

他の妊婦さんもこういう状態になるのだろうか?

なんにしても言い終わった嫁は満足顔だったからきっと僕は彼女の役にたったに違いない。


こうして陽の土曜は幕を閉じた。


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そして翌日の陰の日曜。

男は雨の中で山を登って避難小屋で極寒の誕生日会を開催し、吹き荒れる風雨によって大事なものを破壊してテンションが奈落の底に滑落して行く事になる。

やはり乳首野郎には「陰」の世界がお似合いのようだ。


無謀な行動自体が岡本太郎の作品のような男。

次回、経ヶ峰でそんな男達の芸術的な「陰」が爆発する。



〜つづく〜



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