釈迦ヶ岳/三重

鈴鹿セブン三発目〜釈迦ヶ岳〜前編

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文化の日の休日。

天気はずっと曇りであまりよろしくないようだ。

そんな時にこそ登っておきたい山がある。


鈴鹿セブンの中でも、頂上の展望の無さから「ガッカリな山」として不人気な山。

どうせ展望がないんだったら、晴れてないときこそ登りたい。

鈴鹿セブン三発目は「釈迦ヶ岳」(1092m)。

カタカナ読みで「シャカガタケ」って言うと諸見里っぽくなる名前だ。


7人の悪魔超人で例えれば「ブラックホール」が最適だ。

彼の必殺技「吸引ブラックホール」によって、僕はブラックホールに送り込まれてしまうのか。

そして僕は実際に遭難し、四次元空間へ引きずり込まれることになった。(その模様は後半で)

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謎の背中痛は当然完治していない。(コチラを参照

相変わらず、自ら追い込んだ末のコンディション。

しかも朝から激しく下痢ってる。

何か強い衝撃を食らった時には、想像したくもない大惨事になることだろう。

残虐ファイター・ブラックホールに対してこんな状態で善戦出来るだろうか?

しかし、ミート君の右腕のためには少々の無理は仕方ない。

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鈴鹿に向かう車の中で、何気にめざましテレビを見ていた。

今日の占いで僕の魚座が見事に最下位じゃないか。

基本的に占いなんて信じないが、見てしまった以上気分が悪い。

しかもラッキーアイテムが「消しゴム」とはどういうことだ。

最も登山には必要のないアイテムだ。

さらなる不安が僕を支配する。

余計な事しやがって、めざわりテレビめ。

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朝明渓谷の駐車場(500円)は意外と一杯だった。

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人気がないとはいえ、さすが鈴鹿セブンの一角だ。


さっそくお釈迦様の登山口に取りかかる。

今回は中尾根ルートをチョイス。

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本道は庵座谷ルートが人気なんだけど、ここ数年の災害で結構荒れてしまってるということで中尾根ルート。

さっそく蜀の桟道のような道がお出ましだ。

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北伐時の諸葛孔明の気分が味わえる。


尾根道というだけあって、竜ヶ岳と同様に尾根までは一気に直登野郎だ。

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実にハードな急登をこなすと、おどろおどろしい痩せ尾根ゾーンへ突入。

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尾根道と言っても結構起伏が激しく、グハグハな道は続いて行く。


そろそろ己のさすらい姿を写真におさめようと、セルフタイマーをセッティング。

急いで立ち位置に移動したが、カメラに近すぎてフレームからはみ出てしまうと判断した僕は、そこにあった岩に座った。

しかしその岩が思いのほか鋭角で、ズブリとケツに突き刺さった。

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シャッターが切られるまでのおよそ3秒間、突き刺さったまま我慢している姿が写真に納まった。

ブラックホールの攻撃に注意を払っていたが、まさか己のブラックホールに岩を受け入れてしまうとは。

本日は文化の日という事で一句浮かぶ。

「秋の山 ひっそりたしなむ セルフプレイ」

下痢気味の僕にはあまりにも危険なプレイだった。

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その後もひたすら痩せ尾根と急登との戦いだ。

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ひたすら体力勝負。

ブラックホールとのがっぷり四つの四次元レスリング。

やっと展望が出来る所まで高度を上げて来たぞ。



そしてこの辺りから紅葉ゾーンに突入して来たぞ。

もう一つ勢いが無いが、中々気分がよろしい。

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それよりも先ほどのおケツへのダメージの方が心配だ。

モミジより先にキレヂでパンツが真っ赤に紅葉していないか。

しかし容赦なく、分かりやすい程の45度の傾斜が僕を痛めつける。

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やがて見晴らしの良い所に到達だ。

実にワンダフルな光景が眼下に広がった。

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不人気ながら、中々やるじゃないか釈迦ヶ岳。

しかしホッと出来たのは束の間だった。

「この先危険、落石注意」の看板とともに鈴鹿得意のちん毛ゾーンへ。

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実に荒々しい。

ちん毛だけならまだしも、足場がひどくゴロゴロだ。

とんだジゴロ野郎だ。

上を見上げれば、「ハイ、それでは今すぐ落石いたします」といった光景が広がっている。

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お釈迦様の割にはとても無慈悲な光景だ。恐ろしい。

ちん毛ジゴロゾーンを抜けると、さらに激しい急登が始まった。

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毎度写真で伝わらないのが悔しいが、もう這うように両手両足で登って行く。

秋なのに汗ビシャビシャになりながら登りきると、再びご褒美の紅葉絨毯。

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登山道からそれた場所を行くと良い場所に抜け出た。

鈴鹿らしい岩山を見ながら、崖に座ってしばし紅葉鑑賞。

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もちろん高所恐怖症な僕は、ビクビクで少しも楽しんではいない。


ここからはナイフの刃先のような、両サイド切り立った稜線の上を歩いて行く。

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刃先の鋭利さはどんどん鋭さを増して、だんだん大変な事になって来たぞ。

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左側、ほとんど垂直じゃない。

登って行く角度もお下劣じゃない。

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足をガクガク言わせながら僕は進んで行く。

左側を見れば、すごくきれいな景色なんだけど高度感がハンパ無い。

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もうひたすら這い上がって行く。

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こういう時毎度思うんだが、僕は休日にわざわざ一体何をやっているんだろうか?

そして、なんとか最高到達点(頂上ではない)に到着。

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三角点がある頂上はもう少し先だが、気持ち的にはもう十分だ。

ここが頂上という事にはならんもんだろうか。

それでもミート君の右腕の為に歩みを進める。

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そしていよいよ頂上に近づいて来た。

この苦しみに満ちた苦難の果てに待つ頂上とはどんなものだろうか?

そして僕は釈迦ヶ岳の頂上に到達した。

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貧相だ。

これが苦難の末に勝ち取った頂上か。

まさに鈴鹿セブン随一のガッカリ頂上の姿がそこにあった。

展望は無くはないが、過去2山に比べてしまうと情けなすぎる。

当然ここにはミート君の右腕は無かった。

滞在時間わずか2分で僕はその場を立ち去った。


このまま来た道を下山すればそれまでなんだが、実は縦走ルートがある。

このまま稜線を伝って行くと「猫岳」を経て、「ハト峰」を超えて朝明渓谷へ下山するルート。

猫好きでハト胸好きの僕は迷わず縦走ルートを選んだ。

その先では、残虐ファイター・ブラックホールがその穴の開いた顔を向けて待ち構えている事を知らずに。


〜鈴鹿セブン三発目〜釈迦ヶ岳〜後編へつづく〜



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