8/20(土)
引き続きアンカレッジ空港にてこれを記す。
4時間ばかり仮眠をとって、6:00頃出発。
寝る時はあんなに晴れていたのに、起きると再び車は濃霧&雨に包まれていた。
やがてマタヌスカ氷河展望台へ。
当初の予定では絶対来る事はなかった。
まさかここに来るとは思ってもいなかった。
始めて見た氷河は中々感動的なものがあったが、あまりにも寒くて長くは外にいられない。
時間もないし、すぐに車を走らせる。
すると前方に何やら動くものが。
なんとムースの親子がハイウェイの上を横切って行ったではないか。
まだ近くで草食ってたから、写真を撮って観察。デカイ。
よくハイウェイでスピード出して、ムースに激突して車が大破なんて話を聞いてたから危ない所だった。
やがてのそのそと草むらに消えて行った。
早起きは2頭のムースの得である。
ムースも見れたし、大変いい気分で走らせているとカーブを越えた所でかなりでかい落石が転がっているではないか。
慌てて反対車線に出てやり過ごそうかと思ったら、巨大なコンボイと後続車の2台が走ってくる。
さっきまで全然車見なかったのになんというタイミングだ。
結局避けきれる間もなく、巨大な落石に左のタイヤが「ドガッ」と乗り上げた。
まさかっ!って思ったらやはり見事にパンクしてしまった。
初日のMTBのパンクを遥かに凌ぐショッキングなアクシデントだ。
折れそうな心を抱えながら、氷雨の降る氷河近くの寂しく極寒のハイウェイ上で黙々とスペアタイヤにチェンジする。
なにやらこの旅、トラブル度合いがどんどんエスカレートしてないか?
今回の旅のあまりの惨さに少々つらくなる。
何か見えない力が、必死で僕の行く手を遮ろうとしているように思えてならない。
旅に出る前、友人に「今までの旅が不幸続きだったから、そろそろ神様が微笑んでくれるさ。」と言っていたあの時の自分に今の姿を見せてやりたい。
左右で大きさの違うタイヤで、車の安定感は抜群に悪い。
こんなとりあえずのおもちゃのようなタイヤでこれから100キロ以上も走ると思うとゾッとした。
やがてパーマーの町を過ぎ、エクルートナも越えてようやくアンカレッジへ。
そのままスワードハイウェイに入り、やがてタナーゲン入江が見えて来た。
ものすごい雨と浜風だ。
入江は荒れまくって、山は雲で覆われて酷い有様だ。
最初のうちはビューポイントの看板が出ている所に車を停めて写真を撮っていたが、だんだんアホらしくなって来たのでやめた。
途中ガイドブックにとてもきれいなせせらぎのクリークがあるとの事だったので寄ってみた。
どう見てもせせらぎではない。
バランスの悪い車はどんどん進み、やがてポーテージ氷河が見えて来た。
天気は悪いが、中々壮大な眺めだった。
ポーテージ氷河のビジターセンターへ立ち寄るが、この頃には風は台風のように荒れ狂い、横殴りの激しい風になっていた。
トンネルの通過時間が来たので(筆者注:ウィッティア行きのトンネルは列車も通るトンネルなので、車は時間にならないと通れない)、トンネルへ向かうと結構渋滞している。
なんとか今回の通過時間内にトンネルに入ることが出来た。
このトンネル、線路の上を車で走りなおかつ逃げ場がないので、スペアタイヤが途中で吹っ飛んだらどうしようかとスリルを感じながらなんとか無事に通過する。
やがてウィッティアの港が見えて来た!間に合った!
長かった。実に長かった。
橋が崩落してから、4時間の仮眠以外はほとんどぶっ続けで20時間程運転し続けたひとりぼっちの耐久レースがようやくゴールを迎えた瞬間だった。
ここまでしたからにはこの氷河クルーズ、大いに期待してやるぞ。
でもその思いは1時間後には無惨に打ち砕かれる事になる。
アラスカ珍道中9〜旅の神はニヤリと笑う〜
記事が気に入ったら
股旅ベースを "いいね!"
Facebookで更新情報をお届け。
MATATABI BASE
この記事へのコメントはありません。