8/15(火)7:55
キャンプ地にて、雨のため停滞中。
朝、テントの中であの嫌な音で目が覚める。雨だ。
多少弱まった所でテントを出てタープを張る。
寒いので熱いコーヒーを飲む。うまし。
ラーメンを作る。
昨日と同じでは味気ないので豚汁を入れてみた。
しかしサラミを入れたのは失敗だった。
風向きが変わり、タープの中に焚き火の煙が大量に侵入。
僕の薫製が出来上がる所だったので避難。
ずぶぬれのテントをたたむ。
チェアーの部品を失う。
昨日はデジカメのケースもなくした。
キャンプの度に何かをなくす。
ワイルドっぽさだけはなくさないように、強烈な焚き火を起こす。
なかなかアートな感じで心地よい。
雨が上がらない。
どうしよう。
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13:15
あれから相変わらず雨はしとしと降り続け、これはもう待ってもやむ事はないと判断し出発した。
雨の中ひたすら進む。
だんだんと太陽らしきものが現れて、雲の切れ間から神々しく光を差し込み出して来た。
ある入江では、絵画のように美しい光景だった。
途中、2年ぶりのパノラマうんこを放ち(筆者注:360度何もないだだっ広い中州の中心でうんこすること)、開放感に浸る。
とってもスッキリ。
やがて、ノースフォーク・コユクック川が合流して川幅がワイドになって、雲の形を愛でながらとても良い気分で流れてゆく。
もうそんなに漕ぐ必要もなくなって来た。
途中の川原で流木が沢山あったから、巨大モニュメントを作って点火した。
アラスカならではのビッグな焚き火。大満足。
日が出て来たので、テントを乾かそうとカヌーから引っ張り出したら川に落とす。
意味ないじゃない。
今、そのテントを乾かしながら、崩れ行くビッグ焚き火を横にこれを記す。
雲はごんごんと流れて行く。
コユクック川もやっと優しい顔をのぞかせてくれた。
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14:30
崩れ落ちたビッグ焚き火の残り火で、白菜の残りとコンソメとパンと醤油を交ぜて炒めて食った。
やはりパンを入れたのは明らかに失敗だった。
見た目にも美味しくないメシだった。
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21:00
現在、ゴールのベツルスの川原にてこれを記す。
あれから、太陽のもと気持ちよく川を下った。
晴れるだけで別世界だ。
曇ればこの世の終わり、晴れれば素晴らしき世界。
人生も、雨雲の上にはいつも太陽がある事を念頭に置いて行こう。
少し風が出て来た。
荷物も軽くなって来ているので、カヌーが風の影響を受けるようになって来た。
相変わらず地図は現在地が分からない。
ワイルドリバーの合流地点でやっと現在地をつかむ。
しかし暑い。晴れるとかなり暑い。Tシャツ1枚でも良いくらいだ。
今朝は白い息を吐いていたのに、変なもんだ。
目の前で雲が大きく変化する。
同じ視界の中で、晴れと曇りと雨が同時に見て取れる。
だんだん、僕の上にまたも雨雲が覆って来た。
雨雲を引き連れるように漕ぎ進み、やがてベツルスの集落が見えて来た。
カヌーポートらしきものがあったが、あまりにも小さくて危険な感じだった。
そこがゴールと思い上陸。
しかし、歩けども歩けども最終目的地のベツルスロッジが見えてこない。
途中、突然白い犬が出て来て本気でやられそうになる。
最初は狼が出て来たかと思い、心から凍り付いた。
引き返して再び荷物を積んで漕ぎ出す。
最初の川原に着くが、やはりロッジの場所が分からない。
とても不安になる。
このまま万が一ロッジを通り越してしまったら、2,3週間は漕ぎ続けないと人がいる場所には行き着けない。
そもそもこの先の地図もないし、食料だってないんだ。
とりあえず歩いてみると、やがて車が通った跡が見つかった。
すがる思いでその跡を辿って行ったら、とても貧相な空港が現れて、その先にベツルスロッジを発見した。
やっとホッとした。これで本当のゴールだ!
さっそくロッジに入る。
当たり前だが外人だらけ。
みんながキッとこちらに視線を向ける。
こんな状況、よく映画で見たシーンだな。
カウンターへ行って、全然通じない英語で事情を説明する。
明日飛行機に乗る事と、明日の朝川原までカヌーと荷物のピックアップに来てほしいという事を告げる。
解ってくれたようだが、違う感じで伝わっていないかどうかが激しく不安だ。
また来た道を歩いて川原へ戻った。
虹が現れ、鳥の大群が僕の頭上を旋回して飛んで行った。
なにやらゴールを祝福されている気分だった。
しかし、蚊とハエと例のちっちゃい虫の、アラスカ迷惑トリオがまたわらわらとあふれてきた。
かなりのうっとうしさ。
しかしジャパンパワー、蚊取り線香を配置するとパタッといなくなった。
すごいぞ、蚊取り線香。
テントを張って焚き火の準備をしていると、パラパラと雨が降って来た。
太陽の光が射しているから、どうしようかと迷ったがタープを張った。
とたんに大降りの雨になる。
そこからずっとタープの中に避難中。現在に至る。
多少雨も落ち着いて来たか。アラスカ迷惑トリオも顔を出し始めて来た。
さあ、メシでも作ろうか。
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23:10
あれから、わずかに残った水で久しぶりに飯を炊いて中華丼を食う。
水少ないから飯が硬いがしかたない。
片付けをしていると、大きな黒い犬と白い犬がやって来た。
食器やら鍋やらをひたすらになめ回す。
可愛いが、正直おっかない。
さあ、明日からは娑婆の世界に戻る。
飛行機がちゃんと飛ぶのか、ピックアップはちゃんと来てくれるのか?
少々不安だ。
アラスカ珍道中4〜怪しげなゴール〜
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MATATABI BASE
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