鍋割山/神奈川

東京大縦走 前編〜カンパを止めるな!〜


プロローグ 山中の変死体

2019年、1月11日正午前。

神奈川県鍋割山の山中で一体の変死体が発見された。

検視の結果は「過労死」。

死体付近には血文字で「後悔」というダイイングメッセージが残されていたという。

 

遺体の名は「ユーコンカワイ(42)」。

遺族の話によると、彼は「仕事の打合せでちょっと東京まで行ってくる」と言って家を出た後、それから3日間消息が不明だったという。

ただ単に東京に打合せに行った男がなぜこのような形で発見されたのか?

今回は警察の調査をもとに、彼が残した写真、そして彼が出会った人々の証言を辿って彼の死の真相に迫ってみようと思う。

1月8日(死体発見3日前)

証言1.家族

男は「3日間東京に滞在する予定だ」と家族には語っていたらしい。

通常なら「打合せするだけでなぜ3日も?」と思ってしまう局面だが、彼は家族からあまり興味を持たれていないため特に気にされる事もなかったようだ。

むしろ彼の嫁は日頃から「死ね!この肛門野郎!」などと公言している女なだけに、警察は今回の事件の重要な容疑者としてマークしているらしい。

その家族の証言によると、彼は前日の夜のうちに車で東京に向かって移動して行ったようだ。

何やら出発直前に急ぎの仕事がドカッと入ったようで、2時間遅れの出発となり既に顔は疲れ切っていたという。

 

証言2.中央道サービスエリアの人々

その後、彼は延々と中央道を走らせたという痕跡がある。

出発直前のハード仕事、そして何時間にも及ぶ孤独なドライブでだいぶ眠気と戦っていたようで、途中の釈迦堂PAでは夜景を眺めながら熱いコーヒーをすする彼の姿が目撃されていたのだ。

その目撃者によると、男はここで買ったホットコーヒーが自分の想像の遥か上をいく熱さだったらしく、思いっきり「ブハッ!」とコーヒーを吐き出していた模様。

そして下唇の裏側を激しく火傷してしまったようで、少し皮もめくれて相当なダメージを食らったらしい。

しかし彼は「なあに、いい眠気覚ましになったぜ」とボソリと呟いたと思うと、痛そうに唇を押さえながら再び移動を開始したという。

 

その50分後のAM4:00。

彼の疲労と眠気はピークに達したらしく、談合坂SAで力尽きている姿が発見された。

ここでの目撃者の証言によると、彼は「唇だけじゃなく、なぜか歯まで痛くなってきたぜ」と不調を訴えていたという。

そして彼はそこで3時間の仮眠タイムに入った模様。

しかし負のオーラをまとったこの男が関東エリアに入ったことが天にバレてしまったのか、この3時間の間に急激な「大寒波」が襲来。

厳冬期用のシュラフに入っていたにもかかわらず「うう…寒い…ここはエベレストのキャンプ4なのか?」とガタガタ震えてしまうほどの寒さだったという。



顔が凍るかと思った。




これによって男はろくに睡眠が取れないまま朝を迎えてしまうことに。

前日まではポカポカ陽気だったのに、突然「冬の嵐」「強い雪と風」「東京に初雪か?」というまさかの事態が勃発してしまったのである。

これにより、関東の人たちに「ユーコン襲来!」の報が駆け巡った。

以降3日間、東京は猛烈な寒冷地帯へと変貌を遂げることになる。

 

そしてこの日の朝、トイレの洗面所で彼を見かけた人の証言。

「その時その人は歯を磨いてたんですが、きっと急な寒波襲来で色々追いつかなかったんでしょうね。“冬季はお湯が出ます”って書いてある水道からはこれでもかってくらいの冷水しか出てこなかったようなんですよ。」

「しかも彼はここで髪の毛もセットする予定だったらしく、仕方なくその超冷水に頭突っ込んで悶絶してましたね。見てられなかったですよ。」と証言してくれた。

結局彼はここで「早朝セルフSM」を満喫したらしく、痛めた歯は冷水で知覚過敏を巻き起こし、氷水のような水で髪を濡らしたことで軽い頭痛も併発。

まだ東京にすら着いていないのに、この時点で既に「不眠」「運転疲労」「唇裏火傷」「歯痛」「頭痛」という5連コンボを達成。

折からの「3時間耐久!寒波だらけの車中泊大会」のせいで若干鼻水は出るわ喉は痛いわという「風邪の諸症状」もプラス。

早くもその男は天国へ扉をノックし始めてしまっているようである。

1月9日(死体発見2日前)

証言3.星乃珈琲店の店員さん

「その男がお店に入って来たのはAM9時ちょっと前くらいですね。何やらひどく顔色が悪かったのでよく覚えています。」

そう語ってくれたのは、星乃珈琲店 多摩関戸店の店員さんだ。

どうやら彼はここで11時から打合せの予定だったらしく、それまでの2時間はここで早朝ノマドワーキングに洒落込むつもりだったらしい。

しかしここの駐車場が2時間以上有料だと知った彼は、1時間50分で店を出て行った。

店員さんは「彼は一度店を出て一旦車を出してまたすぐ戻って来て別の場所に駐車。そしてなんか別の服を羽織って別人になりすましてまた入店して来ましたよ。バレバレでしたね。」と振り返った。

 

証言4.PEAKS編集 泥谷(ひじや)さん

「僕が打合せ場所に着いたのはちょうど11時頃です。奥のテーブルに顔色が土色の人が見えたんですぐにユーコンさんだと気づきました。」

そう語るのはPEAKSやフィールドライフの編集をしている泥谷さん。



右の男のアゴがねえ!




泥谷さんは「いや、今後またユーコンさんにPEAKSで書いてもらうって何も決まってないんですが、また書いてもらおうかなーってほのめかしたら彼喜んで東京まで来てしまいまして…。まるでコンパで義理でメアド交換しただけで、勝手に勘違いして浮かれるモテない童貞野郎みたいでしたよ。見てて痛々しかったですね。」と語る。

そして「最初の方は普通に企画の話してたんですが、だんだんあの人養子の悩みとか嫁の悩み相談とかし始めるんですよ。ほんと勘弁して欲しかったです。」とも語った。

そしてここで2時間ほどたっぷり家庭への愚痴を垂れた彼は、満足げにその場を去って行ったという。

こうして彼が家族にかっこよく「東京に打ち合わせ行ってくるぜ」と言っていた「建前上の目的」が早くも終了し、彼はここから気持ちを「観光お上りさんモード」に切り替えたと思われるのである。

 

証言5.caffe NERO 店員さん

その後彼は日野の高幡不動尊裏にあるカフェ&アウトドアショップNEROさんで目撃されている。

ここは珍しくフリーライトさんの商品が手にとって見れる貴重なショップ兼カフェで、フリーライト好きのユーコンはどうしても行って色々話が聞きたかったお店らしい。

しかしショップ店員さんは「この日がまたちょうどお隣の高幡不動尊で縁日が行われてて、しかもランチ時で激混みだったんですよ。そんな最悪のタイミングでその人入って来ましてね。なんか話したそうにモジモジしながらこっちをチラチラ見てくるんですが、ちょっとお相手できなかったです。挙動もおかしかったですし。」と当時を振り返る。

結局トゥーシャイシャイボーイの彼は店舗入り口付近で散々モジモジした挙句、フリーライトの商品を舐め回すように眺めてから無言で立ち去って行ったという。

 

証言6.ランボーNさん

「迷惑なんですよね。」

そう語るのは、かつてユーコンカワイがカヌー野郎時代に何度も共に死線を彷徨った(彷徨わされた)男「ランボーN」だ。

「あの人車で来たのは良いけど駐車代がもったいないからって、うちの敷地内に車置かせてくれって言うんですよ。計画もズサンすぎて、一緒に昼飯食おうって言ってたのにうち来たの15時くらいですよ。こっちは16時から用事があるって言ってるのにですよ。また西伊豆の荒れた海で漂流させてやろうかと思いましたよ。」と当時を振り返る。

 

証言7.ジョナサンの店員さん

その後男とランボーNは、近所のジョナサンに移動して遅すぎるランチタイムへ。

何気に男はジョナサンを見て「ああ、今ようやく東京に来た(ジョナサンは関東圏のみ)って感じがして来たぜ。」と勝手に感動していたという。

余談だが、かつてジョジョの荒木飛呂彦先生が担当編集者と打ち合わせをしていたのがジョナサンで、その時に勢いでつけたの主人公の名前が「ジョナサン・ジョースター」なのであるッッ。

そんな裏話は一切知らないであろう若い店員さんは、当時のことをこう振り返る。

「15時すぎた頃ですね。土色の深海魚と、目がイっちゃってる死神風の男が入って来たのは。深海魚の方はすでに疲労のピークって感じでしたし、死神風の男は焦点の合わない目で“空を飛びたい”って言ってました。正直怖かったです。」と。

ランチ後、男はランボーNと別れ、浜田山駅方面へと消えていったらしい。

 

証言8.吉祥寺駅の駅員さん

「その人が来たのは16時半頃ですね。なんかすごい焦った顔で“浜田山から京王線で来たんだけど三鷹への乗り換えの仕方がわからない!助けてくれ!”って言ってきたんです。そもそもその人切符買う時に“乗り換えボタン”を押して買うことを知らなかったようでテンパってましたね。とりあえずハンコ押してやりましたが、手汗が酷くてすぐに切符ダメにしてましたよ。」

「その人は“乗り換えボタンとかそんなルール知らないよ!田舎もんなめやがって!だから東京の交通機関は嫌いなんだ!”ってボヤいてましたね。そしてその場でモタモタしてる最中にいろんな人がガンガンぶつかってくるもんだから見てて哀れでしたよ。ちなみにその人が来てから急に寒さのギアが一段階上がったのには驚きました。」

「私も長年ここで駅員してますが、ここまでクソ寒くて“最大限の防寒を”なんて注意喚起されたのは初めてのことです。その人も持って来た全ての防寒着を着込んで、ガタガタとホームに立ち尽くして寒さと戦ってましたね。」

慣れない東京の電車事情、そして「ここはニューヨークなのか?」と言った冷たすぎるビルの強風。

そんな中でもほとんど寝ずに戦い続ける男が次に向かったと思われるのは、ULハイカーたちの総本山「ハイカーズデポ」。

そこは彼が長年行ってみたいと公言していた場所で、彼は代表の土屋さんと話すの今回の旅のメインディッシュと捉え、それだけを楽しみに三鷹に向かったようなのである。

 

証言9.ハイカーズデポの店員さん

「なんか、ほんと気の毒でしたね…。その日のその時、たまたま土屋の方が所用で外出してたんですよ。いつもはいる時間帯なんですけどね。土屋が不在と知った時のその人の顔と言ったら、温泉の定休日の看板を前にうなだれる登山者と同じものでしたね」と当時応対した店員さんは気の毒そうに語った。

「なんか“僕ユーコンカワイって言います”ってさも“ご存知の”って感じで自己紹介して来たけど、僕全然その人のこと知らなかったんで凄く怪しい人を見る目で見ちゃいましたよ。その後彼はがっくりと肩を落としながら店内の商品をイヤラシイ目で舐め回してましたね。」

警察の調べによると、彼はここで2時間くらいガッツリ土屋さんと話し込むだろうとスケジューリングしていたらしいが、滞在時間はわずか20分ほど。

これによって計画変更を余儀なくされた彼は、仕方なくこの広い東京砂漠を無駄に彷徨い始めることになったようである。

 

証言10.吉祥寺駅周辺の人々

仕方なく吉祥寺まで戻って来た男。

なぜ吉祥寺かというと、どうやらそこには「vic2」という以前から行ってみたかったアウトドアショップがあることを調査済みだったかららしい。

しかしそのお店の前で彼の姿を目撃した人は言う。

「なんかその人、vic2のお店の前で四つん這いになって泣いてましたよ。なんか定休日だったみたいで。」

NEROに行けば店員さんが多忙で話せず、ハイカーズデポに行けば土屋さんはおらず、そしてvic2は定休日。

「これじゃあ今日一日の東京観光はジョナサンだけになってしまうぜ」と焦る男。

かろうじてその近くでたまたま見つけた「山幸」という登山専門店に行ったようだが、その時の彼を見た人は「なんかその人、お店が渋すぎてなかなか店内に入れずにずっとお店の前をウロウロしていましたよ。」と証言している。

のちの調べではこのお店は登山靴のフィッティングにかなり定評のある名店だったようだが、彼はこのブルージーな雰囲気と店内にいた店主の「本物感」にひるんで入店すらできなかったのだ。

 

この時彼は「もう今日は疲れたし…寒いし…明日のメインディッシュであるBOZEMANに備えて大人しくしておこう」と呟いていたという。

しかし彼のLINEの記録を見ると、ちょうどこのタイミングでBBGのコータロー氏から「ユーコンさん!明日BOZEMAN店長の横山さんが15時までいないそうなんです!このままじゃハイカーズデポの二の舞です。下北沢には吉祥寺から京王井の頭線で行けます!今から行ってみてはどうでしょう?」とタレコミが。

男はもうかなり疲労困憊の状態だったが、「せっかく来たんだし…」という遭難者が遭難前に吐きがちな言葉を呟いたかと思うと、大急ぎで下北沢に向けて移動を開始したのである。

 

証言11.再び吉祥寺駅の駅員さん

「また来たんですよその人。ええ、さっきの乗り換えボタンでワーワー言ってた人です。今度は切符売り場の前で、また焦った顔で“京王井の頭線ってどこなんだよ!下北沢駅が見つからねえよ!”ってパニクってるんですよ。そりゃ下北沢駅載ってないですよ。その人見てたのJR線ですもの。」

「彼一生懸命この大量の駅名の中から下北沢駅を探してましたね。その後も散々駅の中徘徊して、ようやく京王線の乗り場見つけて去って行きました。もう東京来んなって言ってやりたかったですよ。」

 

証言12.BOZEMAN 横山さん

「ああ、あいつね。あいつが来たのは閉店1時間前くらいの19時頃かな。なんかヘロヘロのジジイが入って来たと思ったらそれがユーコンさんだったんです。随分疲れ果ててましたね。」

そう語るのは下北沢の名店 BOZEMAN店主の横山さん。

「彼とは随分長い時間話しましたね。基本的にパックラフトとテンカラの話をね。そうですか、あんなに楽しそうに将来の話をしていたのに、2日後に死体で見つかるなんて…残念ですね。」と往時を偲んだ。

ここで彼は2時間近く「いけない!横山先生」のいけないトークをたっぷり堪能し、ようやく東京に来てまともにアウトドアショップを満喫した模様。

そして閉店時間を30分もオーバーし「いい加減もう帰れよ」といった段階で、ユーコン下北沢降臨の報を聞きつけたBBGのすけさんと海苔さんが合流し、彼はようやくお店を出ていったようである。



東国原さんと皇太子殿下。じゃなくてすけさんと海苔さん。




 

証言13.海苔さん

「BBG時代はよく参考にしてたんですよ。いや、ギアの情報はどうでもよくて主に鬼嫁対策として。で、今回Twitterでユーコンさん来るって言うから行ってみたんですよ。でも実際に会ってみたら最悪でしたね。」と語るのは、BBG時代から何度かコメントを入れてくれていた海苔さんだ。

「あの人、なんか麻薬のバイヤーみたいに僕をおもむろに裏路地に連れてったかと思えば…」

「頼んでもないのに勝手に“呪いのカード”渡してきたんですよ。」

「もう最悪ですよ。僕この翌日からキャンピングカーで北海道行ったんですけどね。千歳空港が大雪で着陸もできないかもなんて事態になって、やっとの思いで北海道ついたら高速道路がことごとく大雪で通行止めなんですよ。」と怒りが止まらない海苔さん。

「で、ユーコンさんとすけさんと3人で飲んでたら、いきなり知らない山賊が乱入してくるじゃないですか。喰われるかと思いましたよ。」と振り返る。



公園の炊き出し帰りのドンタコス・コータロー氏。この顔で酒が飲めないと言うまさか。




 

証言14.ドンタコス・コータローさん

「流石だなと思いましたよ。僕もっと早く仕事上がる予定だったんですけどね。ユーコンさん来るってなった途端、急に超急ぎのお客さんが来ちゃって大残業っすよ。」と愚痴が止まらないのはBBGライターのコータローさん(右)。



くちびるオバケと竹原ピストルさん。とても血の繋がった兄弟には見えない。




「実際驚きましたよ。実はこの飲み会にサプライズゲストでBBGのフェアリー若旦那を呼んでたんですよ。ユーコンさんの驚く顔が見たくて。でもその若旦那が昨日の晩から突然謎の高熱を発症し、それから朝まで5回もゲロ吐き倒して来ることができなかったんです。結果的に一番のサプライズを食らったのは若旦那だったってわけですよ。」とユーコンの呪いの威力に脱帽したという。



本来来るはずだったフェアリー若旦那(合成)。見事なるサプライズすかしだった。




 

証言15.ケンタさん

「僕も海苔さん同様Twitterでユーコンさん来るのを知ったんですよ。こりゃ行かないと!ってはるばる千葉から車かっ飛ばして飲み会に合流したんです。でも今となっては後悔しかないですね。」と語るのは、こちらもBBG時代からコメントを入れてくれてたケンタさん(右)。

「正直やめてくれって言ったんです。でも僕もこの時無理やり呪いをかけられてしまいまして…」

「このカード貰った直後ですよ。飲み会が終わった後に車を駐車してたコインパーキングで精算したんです。でもなぜか僕が入れた千円札が精算機に飲み込まれたまま出てこなかったんですよ…。なんでわざわざ千葉から来て呪われた挙句に千円払わなきゃならんのですか…。」とケンタさんは涙目で語った。

こうして男は呪いの菌を4人の男たちに振りまき、着実に関東の人間たちのZQN(ゾキュン)化を進めたのである。



暗闇に放たれた感染ゾンビたち。この顔を目撃したら迷いなく脳天を打ち抜け!




 

証言16.じょん万次郎さん

「ふざけんなって感じぜよ!」と、語気を荒げて憤慨するのはじょん万次郎さんである。

彼もTwitterでユーコンの「今下北沢で飲んでまーす。近くいる人は是非!」って情報を信じ、「生ユーコンに会えるなら!」と喜び勇んでお土産の酒瓶とPEAKS1月号とサインペン持参で下北沢に向かったらしい。

しかし万次郎さんは、「あのスポンジ野郎!酔っ払って自分がどの店にいるのかをツイートし忘れてやがったんですよ。結果僕は下北沢に着いたはいいけどどこ行っていいかわんないし連絡先も知らない。しょうがないから一人ぼっちでビールを飲んで帰ったぜよ!」と怒りに満ちた顔で語る。

店を出てからTwitter見てその事態に気付いたスポンジ野郎は、流石に猛反省したようで慌ててこのような写真を送ってきたらしい。

そして連帯責任のZQNたちもじょん万次郎さんに謝罪。

万次郎さんは「これが送られてきたのがさらに良くなかったんですよ。この呪いの写真もらった数日後に突然腰付近に猛烈な激痛が走ったんです。ええ、そうですよ。予想通り尿管結石だったぜよ!」

こうしてじょん万次郎さんは「ただ会いに行っただけ」でとんでもない被害を被り、「ユーコン被害者の会東京支部」の支部長となったのである。

その会には他にも会いに行こうと思っただけでインフルエンザに感染した者、行ったお店がことごとく閉店していた者、謎のサービス残業に巻き込まれた者、急に犬に吠えられた者、肉まん買おうと思ったら売り切れててあんまん買ったら火傷した者など続々と被害報告が寄せられたという。(全て実話です)

 

証言17.すけさん

「飲み会解散した後、あの人すぐ迷子になって違う方向歩き出すから心配になって新宿のカプセルホテルまで送ってあげたんですよ。したら今度は“新宿ゴールデン街”に行ってみたいって言い出しましてね。もう0時すぎてたんで帰りたかったんですが仕方なく案内したんですよ。そしたら“さすらってる感じで写真撮ってよ”ってよくわかんない要望出してきて、延々と撮影係やらされたんです。」

「しゃがんで必死で撮ってたら、なんか知らないおじさんに睨まれるわで踏んだり蹴ったりでしたよ。」

「で、結局この人お店に入る勇気がなかったみたいで、そのまますごすごとカプセルホテルに消えていったんです。ほんと、キングボンビーに取り憑かれてる気分でしたよ。」

 

証言18.新宿市役所前カプセルホテルの人

「グッタリと疲れ切った顔でチェックインしてきたんでよく覚えてますよ。ほぼ42時間寝てない上に随分東京を歩き回ってたみたいで。それでもまた改めて一人でゴールデン街を彷徨い歩いてたらしいですが、結局シャイシャイボーイのせいでどこにも入れなかったようです。」

「で、帰ってきたのがAM2時くらいで、そっから風呂入ってAM3時頃ようやく眠りについてました。ただその人の隣のカプセルの人がそりゃあもう大音量のイビキストだったようで、なんか全然寝付けなかったようでした。」

この時点で彼は45時間の不眠状態、そして昨日の寒波ナイトに続き、この日はイビキナイト。

もう翌日は昼までぐっすり眠りたいところだったようだが、8時には来客があるため4時間しか寝られないというハード設定となったようだ。

 

何はともあれ、これが今回の聞き込み調査で判明した彼の東京初日の動きの全てである。

全体に漂うズサンなプランニングの数々。

彼が過労死で発見されたのも頷ける証言の数々だった。

もしくはあれが過労死ではなく他殺だったしても、思い当たる容疑者はたくさん存在することも判明。

怪しいのは吉祥寺の駅員、じょん万次郎、そして嫁あたりだろうか。

 

彼が鍋割山山中で遺体で発見されるまで残り33時間。

次回も彼の死の真相に迫るべく、慎重に聞き込み捜査を続けていこうと思う。

この男の東京大縦走は、まだまだ始まったばかりなのだから。

 

東京大縦走 後編へ  〜つづく〜

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コメント

    • 重二郎
    • 2019年 1月 23日

    おはようございます。重です。

    東京大縦走前編、ツイッターも見てたんで経緯大体わかってたんですが
    僕も参加したかったですね~(笑)
    是非、関西にも来て下さい。ええ所案内しますよ。
    では、後編も楽しみにしています。

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 23日

      重さんこちらでも改めてどうもです!
      今後関西でもメーカーの展示会とかあったら東京より近いんで行きたいんですよね。
      本場のイカ焼きを直に食ってみたいっすね。
      重二郎さんとはじっくり飲みたいと思っておりますんで、行けそうな時は連絡しますね。
      後編もよろしくお願いします!

    • 海苔
    • 2019年 1月 23日

    キーター
    お会いできて光栄でした!
    生ユーコンさんはイメージ通りの人ですごい話やすかったです。

    呪いのカードを貰ってから北海道へ行ったのですが、本当大荒れで帰れるか不安でしたね・・・(笑)
    一応五体満足で帰宅できたので良しと致しますが、ここまでと・・・は・・・

    なんにしても岐阜に行った際などは立ち寄らせて頂きますので飯でも行きましょう!
    後半も楽しみにしております。

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 23日

      海苔さん、その節はどうもでした!
      楽しい夜でしたねー。
      こっちも最初から僕のこと知ってる人と飲むのは気遣いもせずに気楽に行けるんで楽しかったですよ。
      もう千歳空港に着陸できないかもって聞いた時は心から申し訳なく思いましたね。
      そこで早めに呪いのカードを破り捨ててもらえば良かったのに、時すでに遅しの高速通行止めって…。
      早めにじょん万次郎さんのユーコン被害者の会へ入会した方が良さそうですね。
      岐阜来た際はぜひ!
      カンムギでゲストハウスとか色々提携してやってこうと思ってるんで、ぜひ旅がてらお越しくださいませ!

    • なんでやねん
    • 2019年 1月 23日

    ブログは初書きこみになります

    昨年の入笠山ではお世話になりました

    ユーコンさんが上京される書きこみを見て、いーないーな と思っていたら、みるみる東日本方面が寒気に包まれて、行くって宣言しただけでほんまに寒波が来るんや!!と驚きを通り越して大笑いしてしまいました(*´∀`)

    山以外でもまさかまさかの連発に、仕掛人がいるのでわと疑っちゃいます
    BBGメンバーとの食事会も楽しそうで♪

    後半のブログも、アップされるのを楽しみに待ってます♪o(*゚∀゚*)o

    是非、京阪神方面もお越し下さいまし!
    雪が少なすぎて困ってるんです(えっ

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 23日

      なんでやねんさん!ついに股旅初上陸してしまいましたね。
      なんかすぐに承認ボタンが押せなかったんで、やたらたくさん投稿させてしまってすみません…汗
      これもある意味呪いのようなものなんでお許しを。って、もう入笠山で相当痛い目に遭ってるから慣れちゃってますかね?

      僕も今回は天気予報見てオール晴れだったんで気候的な迷惑はかけないだろうなーって思ってたら、想像以上の大寒波で…。
      ほんとみるみる変わるんですよ。
      あまりの気候の変化に対応できずに風邪引く人多かったみたいで、おまけに乾燥注意報まで出てインフルエンザも猛威を振るったようでした。
      ほんと、関東に人たちになんと言ってお詫びを言ったらいいものか…。

      3月くらいには団体でですが道頓堀をパックラフトで下ろうかなーなんて思ってます。
      なので2月後半くらいになったらできるだけ遠くに避難してください。
      ちなみに「雨が降らないから来てくれ」「雪が降らないからよろしく」と渇望する人のところに行くと、そういう時に限って良い天気になる傾向ありです。
      期待に応えられない男、肝心な時に役に立たない男、それがユーコンカワイであります!

    • ケンタ
    • 2019年 1月 23日

    こんばんわ~お疲れさまです(*´∇`*)
    おぉぉぉぉ股旅に自分が出てるとは✨笑


    まさかあのあと
    過労死で死亡していたとは…
    いやぁ…その前にお会いできてよかったですよ。

    滅茶苦茶アウトドアマンに会いに行って
    アウトドアの話よりも家庭の話が主でしたが笑


    呪いの効果に打ち勝ったのかどうなのか、

    その後の山行では絶景を拝めました、
    しかし今後まとまって
    呪いが襲いかかってるんじゃないかとビビってます( ̄▽ ̄;)
    アウトドア好きにとっては辛いですが
    もはや家からでない方が良いんじゃないかと、、、笑

    ユーコンさんが生き返ったらどこかでまた
    家庭の近況なんかの話を楽しく聞けたらと思います(*´-`)笑

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 24日

      ケンタさん、あんときはわざわざ千葉からありがとうございました!
      あえてすごく嬉しかったです!でも千円は返さないので悪しからず。
      確かにあん時はほとんどアウトドアの話しなかったですよね…
      一瞬ギア談義に向かい始めたかと思えば、必ずコータローが話を押し戻して家庭の愚痴へ…
      ついさっきも「頭のサイズがおかしくない?臭いし」って言われたところです。
      また飲みに行って良いですか?

      ひとまずケンタさんの場合、カードもらってからすぐに千円を奉納したのが良かったんでしょうね。
      早めの対策が大切で、それを怠った海苔さんは北海道まで持ち込むことになってしまいました。
      ナイス判断でした。
      でもこの股旅ベースに出てしまったことで今年一年は「特別厄年」になったと思って慎重に行動してください。
      特に尿管のケアは大切ですよ。

      迷惑でしょうが、また何かしら機会があれば遊びましょう!

    • スナフキンN
    • 2019年 1月 24日

    巨星墜つ。ユーコンさんついに死んじゃったんだ…。
    マゾ旅のパイオニアとして重要な位置にいた人だったんですけどね。
    まあ、早めに死ぬとは誰もが予想はしていたんですが(笑)

    最悪のダイイングメッセージ「後悔」は爆笑しました。一番嫌な字面ですね。
    関東に用事があったので本気で会いに行こうかと検討していたのですが、正反対の九州に疎開して正解だったようです。

    近々(多分、岐阜のあのお店のオープン辺り)に岐阜県にお伺いするつもりですので、もしお会い出来たら除霊済みのカード下さい。

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 24日

      そうなんです、死んでしまったんですよ。
      って、まあこのブログ上で死んでも結局男塾方式で生き返るんですけどね。

      ひとまず九州の方に避難できてよかったですよ。
      関東来てたら多分インフルエンザになってからの尿管結石フィニッシュになってたと思うんで。
      岐阜来たら是非寄ってください。
      カードの除霊はできませんので、できれば自分で除霊するか亀仙人に頼んで魔封波で電子ジャーに封印してもらってください。

    • 街のひつじ
    • 2019年 1月 24日

    コメントのところまでページを下げて、「3月に道頓堀?ユーコンさんを見られるチャンス到来?」と思ったところで、何もしていないのに、なぜか太ももの裏側をつってしまいました。
    呪いのカードは持っておらず大阪に住んでいるだけですが、すでに呪いは発動されているのでしょうか…。

    大阪に来られるのでしたら、金剛山に大雪が降るかもですね。
    大雪の金剛山に行くか、ユーコンさんを見に道頓堀の物陰に潜みに行くか…悩むところです(笑)
    どんな悪天候がお供でも、ニヤッと笑いながらお待ちしております。

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 24日

      ついに僕もここまでの能力を手に入れてしまったんですね。
      まさか「行こうかな?」と思っただけで腿裏をつらせてしまうとは…。
      これ実際に会いに来たら、秘孔突かれた人みたいに内側から爆発してしまうんじゃないでしょうか?

      3月のはまだ確定とは言い切れないんですが、多分行くと思います。
      ただその時は他に大勢のメンバーがいる団体行動なんでどこまで自由に動けるかわかんないですが、チャンスがあればぜひ。
      夜の道頓堀をパックラフトで徘徊して、喉が渇いたら上陸して酒を飲む気満々であります。
      当日は大雪、そしてグリコ看板が落下する恐れがありますのでご注意してください。

    • ケンタ
    • 2019年 1月 26日

    是非に!迷惑なんて1ミクロンもありません!

    ノンアルコールだったんでちゃんとで乾杯したいっす( ☆∀☆)
    ちゃんとアルコールで
    盃交わしたら
    千円札どころか万札が消えるんでしょうが…

    また首都圏にくる時は是非(*´∇`*)

      • yukonkawai
      • 2019年 1月 27日

      ぜひぜひ!今週また東京行くんですが今回は弾丸一泊二日なんで飲み行く時間内すけど、また行く際は前もってどこどこに何時って言うようにします!もう土下座とかしないでいいように。
      札は多めにもってきてください。千円も万円もお賽銭のようなものです。
      ご利益は不幸しかないですが、それでもよければぜひまた飲みましょう。機会があれば山でも!

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