青木湖/長野

白馬フェス2014〜虎の子たちのセレナーデ〜

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こんな日をずっと待っていた。


目の前で展開するこの光景。

カヌーの上で爆発する子供達の笑い声。


まるで日産セレナかステップワゴンのCMのようなこの世界。

今にも聞こえて来そうなファンキー加藤や、オブラディオブラダの軽妙なリズム。

そんなものはおとぎの国の出来事だと思っていた。

僕はこのような日が来るのを長く待ちわびていたのだ。



闇にまみれ、負の世界でもがき続ける事十余年。

前半はひたすら長く孤独なストイックカヌー時代。

そしてやっと結婚して「輝いたアウトドアファミリー時代」が到来かと思いきや、まさかの「サドめいたインドアファミリー時代」に突入。

せめて我が子だけでもと何度か川に連れて行くが、親の思いが空回りして「カヌーきらい」という言葉を頂戴する羽目に。


だから僕はもう諦めていた。

何度も己に「カヌーとは孤独な男が荒野でストイックにマゾと向き合う為の自慰アイテムである」と言い聞かせ、輝いた日産セレナのCMから目を背け続けて来たのだ。



そんな中で開催された「白馬フェス2014」。

これは白馬に住むハッポーNさんと「たまには山じゃなくて、子連れでBBQでもしてのんびりしましょうや」という軽いノリから発展したイベント。

じゃあせっかくなんでってことで、青木湖畔で軽くカヌーしつつデイキャンプしようという事に。

それに小木K・ビアNファミリー、東京からはランボーNが参戦。

そして唐松岳登山帰りの矢作Cと低血圧Mちゃんも途中乱入。

大人8人、子供7人の束の間ノンマゾ野外フェス。


そんなピースフルな白馬フェス2014。

にんまりと振り返って行こう。


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白馬までは岐阜から4時間の道のり。

今までこんなロングな旅にりんたろくんを連れ出した事がない。

絶対に車に酔って吐くだろうし、あの男が4時間もジッと出来る気がしない。


そこで今回は寝ているりんたろくんを、早朝にそのままそっと車へと移動。

さあ、いざ遥か白馬フェスへと出発だ。

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何も知らずにスヤスヤ眠る男。

やがて1時間が過ぎ、

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2時間が過ぎ、

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彼が一回転する頃に小黒川PAにて起床。

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しばらく事態が飲み込めない人面パジャマのガリガリ太郎。

「私は家で寝ていたはずなのに一体ここはどこなんだ?」と事態の把握に必死な5歳児の姿。

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今後も子連れ遠出の場合、このような水曜どうでしょうスタイルで彼を連れ出す事が増えることだろう。

お父さんの子供である以上、いつ何時「目覚めたら長野」という事態があるか分からないから覚悟しておけよ。


ちなみに彼はこの1時間後にコンビニでランボーNと初対面を果たす。

ランボーNが「はじめまして、りんたろくん」と挨拶しようとした瞬間、彼は「オロオロオロオロッ」とゲロをぶちまけた。

これにはさすがのランボーも「うおおおおっ」となり、お父さんも「ぬおおおおっ」と戸惑うばかり。

結局彼は吐く時は吐くのである。


さて、そんなこんなで辿り着きました青木湖の「大向キャンプ場」。

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さあ、信じられない程空は晴れ渡ってるし、楽しい楽しいBBQの始まりだ。


しかしである。

キャンプ場に着くなり、先行して到着していた小木K・ビアーNファミリーに不穏な空気感が漂っている。

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通常なら「おはよう!」とか「いい天気だな!」とか「YO!What’s up!」と来る爽やかな局面のはず。

しかし皆が僕を見る視線が、明らかにクソ野郎を見る時のものだ。

こんなにもサニーデイなのに、誰一人笑っていない。


それもそのはず。

実は今回は僕が率先して企画したイベント。

張り切って「BBQコンロとかは俺に任せろ!」と言っていたにも関わらず、なんとその肝心なBBQコンロを家に忘れて来ると言うまさかな大失態。

そればかりかテーブルも炭も薪も何も用意してなく、着火剤すら持って来ていない。

そして僕がチョイスした素朴がウリのこのキャンプ場には、素朴すぎてそれらのレンタル品などは一切ないという追い打ち。

かろうじて僕が持っていたのはライター1個のみ。

これじゃデイキャンプと言うよりサバイバルキャンプだ。


そう。

僕は遊び(カヌーとか)の準備の事ばかりで頭が一杯だったのだ。

そして慣れないキャンプの用意の事が完全に頭から抜けていたのである。

これが今まで「燃やすものは現場で手に入れる」と言って孤独に生きて来たカヌー野郎の末路である。


僕はいつもそうだ。

かつては野外チーズフォンデュパーティーの際に、チーズを忘れるという決定的なミスを冒してしまった程のうっかりマゾ兵衛。

登山口前の駐車場で登山靴を忘れた事に気づいた事もあれば、カヌーに行ってパドルを忘れて鍋のフタで漕いだ事もある。

基本的な意味での人間失格男なのだ。


早くも僕は集団リンチを覚悟した。

心の中では「野々村議員的号泣スイッチ」に常に手をかけて、いつ謝罪会見を開く事になっても大丈夫なようにセッティング。

しかし一応かまどと網は借りれて、ランボーNがたまたま車に積んでいたテーブルと電話でハッポーNさんに「炭買って来てください」という他力本願で血祭りを回避。

そして「もう二度とお前には準備させない」というありがたいお叱りを受けて、なんとか完敗から乾杯まで持って行く事に成功した。

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そして皆の責める視線に堪え兼ねて、早速青木湖に逃げる逃亡者。

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背後からは「アイツに任せた私達が馬鹿だった」とか、「だからアイツは嫁さんに嫌われるんだ」とか、「晴れたから何かやらかすとは思ってたんだ」とか、「ブログの文章が長過ぎて最後まで読めんのだ」とか、「洗濯物が臭いんだ、このドブ野郎」などのエールが聞こえて来た気がするが気にしない。

このランボーNが最近手に入れたニューパックラフト「ココペリラフト」と、アヒルみたいなキワモノパドルを見たらジッとできなくてついつい遊び出してしまったのだ。

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フィールドに出てしまえばこっちのもの。

正直個人的にはBBQできなくても、カロリーメイト4本食っておけばそれで一日遊べてしまうというファミリー向きじゃない男が私なのです。

しかし「逃げるのはゆるさじ」とばかりに、小木ママから指令を受けた小木チルドレンたちによる放水お仕置き攻撃。

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「すいません!すいません!」と言いつつ、ニヤケながら逃げ惑うマゾ男。

これがサドの血を宿す小木ファミリーと僕との関係性なのである。


そしてこの頃には、サド当主小木Kは遊ぶ気ゼロの飲む気満々な状態。

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その表情は「断固たる決意で俺はもうここを動かん」という強い意思が伺える。

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本日も彼のビールを飲む姿には何の迷いも伺えない。

というか、ハッポーNさんの炭が来ないと何も出来ないというのが実情だ。


そんな中、車の中からドラえもんみたいに次々と遊び道具を出して来るランボーN。

パックラフトはもちろんのこと、

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このようなドクター中松的な不思議なアイテムも登場。

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他にもバレーネットが出て来たり、スラックラインが出て来たりと子供達は大喜びだ。

いつもは「下山は空飛んで降りましょう」とか「滝に落ちましょう」とか「雪庇を下から直登しましょうよ」などと、若干危険なクスリを打ってるんじゃないかと疑いたくなる男だが、ことこのような場面では子供達の憧れの的だ。

ただ色んな遊び道具に手を出し過ぎて、家では嫁さんの怒りの的だったりする。


そしてどっちみち当分メシは食えないから、子供達と一緒にカヌー。

当然子供達だけで湖カヌーをすると、早速水のかけ合いが始まる。

しかし豪快にその口火を切って来るのは、一番大きい子供のランボーNだったりする。

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僕が決して濡れてはいけない一眼レフカメラを持っているにもかかわらず、さすがのサバイバーさだ。

これに呼応するように、ランボーNの長男「タイガーT」も巧みにパックラフトを操って攻撃参加。

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さすがランボーに育てられている虎の子。

彼はランボーに何度も「千尋の谷に突き落とされては這い上がる」という教育をされているから、全てにおいて力強さを感じる。

朝はひたすら走らされ、本気でボクシングの相手をさせらて殴られ、トランポリンで跳ねさせられ、ボルダリングの壁を登らされ、激流にも突入させられる少年。

ランボーNはご近所からも「児童虐待じゃないか?」と疑いがかけられる程に、僕以上なやり過ぎ育児を展開しているのだ。


しかし小木セントちゃんと社長Hも黙っちゃいない。

そんな東京もんのタイガーNに対し、「名古屋飛ばしばかりしやがって」とばかりに東海地方特有の妬みをぶつけて反撃。

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そして「弱った相手を徹底的に追い込む」という小木Kの血がたぎる小木セントちゃんの執拗な攻撃。

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そしてその姉の小木モエシャンが遠隔からシャンパン攻撃。

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この「被害に遭わない場所から一方的に攻撃する」という、小木Kの血をしっかり引き継いだ見事な姉妹攻撃。

彼女達もしっかりと虎の子なのである。


そんな中、ついに悪天候界のラオウことハッポーNさんが到着。

今回は悪天候ではなく、炭を持って来た事により見事にヒーローとなって改めて乾杯です。

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実はラオウが来ているのに晴れているのには訳がある。

彼はこの日の為に足を激しく負傷して、事前に快晴代償を支払って来てくれたのだ。

今日の彼はラオウではなく、片足を失ったファルコなのである。


そんなファルコ化したラオウでも、山は無理でもパックラフトなら大丈夫。

息子ユーロYと娘ヒロインHとともに、優雅に湖を漂い始める。

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ラオウも思わず「見せようぞ。世紀末覇者ラオウの漕ぎざまを!」と喜んでいる。

しかしその数分後。

上陸を図った際、ヒロインHがまさかの「降り沈」をかまして豪快に湖の中へボッシュート。

これにはラオウも「ぬうう!」とまさかな表情。

ヒロインHは大泣きしてしまったが、これで吹っ切れたのか後々「もっとカヌー乗りたい」と開眼。

さすがはラオウの娘。

こちらも千尋の谷に落として這い上がって来る虎の子なのである。


こうして次々と展開して行く二世タレント達の虎の血。

そんな中、我が血を受け継ぐ男りんたろくん。

この頃には、ゲロ吐いた時にコンビニで捕まえた巨大な蛾を飼いならしている。(胸にブローチみたいに付いてるやつ)

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かと思えば、突然ジョジョ的なポーズで一人で瞑想を開始している。

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何かをチャクラで感じているのか?

ただ単に古畑任三郎の真似でもしているのか?

もはやお父さんでもこいつの行動原理が掴めない。


そんな中、僕とランボーNのスラックラインで即席で手持ち付き子供用スラックラインを作成。

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この光景を、たまたま通りかかった知らないおじさんも「ほお〜」という顔で見ている。

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誰だこの盗撮おじさんは?

そしてこの子供用スラックラインに子供達は大喜び。

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そして乱入おじさんも大喜び。

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なんだこのおじさん、よく見てみると矢作Cじゃないか。

そう、この頃には唐松岳登山を終えて矢作Cと低血圧Mちゃんが合流。

これで全員が揃ったね。


そしてこの子供ラインに子供達を並ばせて記念撮影しようと言う事に。

ここで画面左のりんたろくんに注目だ。

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彼はこの晴れの場で、ついに僕の虎の血を見せつける。

まずはお約束のように後方に滑落。

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そしてその美しいまでのおいしいポーズを維持し、しっかりと我々がシャッターを切る時間を確保。

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そして記念撮影時には、この状態をキープ。

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まさに我が虎の血を存分に発揮する息子。

これぞ教えてもいないのに受け継がれる虎の意思。

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どうしても死んだふりが大好きな父子鷹。

彼が唯一引き継いでくれた我が能力である。



そしてここからは子供達からの「カヌーやりたい!」「次は僕の番だ!」「ずるい!私が乗るの!」というカヌーの奪い合い。

この時の僕の気持ちがお分かりだろうか?

ついに我がカヌーが「誰かに求められている」というこの奇跡。

孤独に生きて来た僕と、ただの自慰アイテムと化していたカヌーに訪れた秋の奇跡だ。

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聞こえる!ファンキー加藤の歌声が!

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聞こえるぞ!オブラディオブラダのイントロが!

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夢のようなひととき。

このままセレナのCMに出てもおかしくないこの光景。

ほんと、ここに到達するまで長かった…。


今まで単純に「湖は川と違って流れがないから退屈だろう」と決めつけて来たが、子供達には静水だからこそ安心して自主的に楽しめるんだという事を知った。

りんたろくんも年の近いお友達が沢山いて楽しんでたし。

これは僕にとっては大きな発見となったよ。

ほんと…うれしかった…。



その後は各々好きな感じで久々の平和を満喫。

おっさんだけで股間を強調してみたり、

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足を負傷しているラオウも我慢できず、ついに「ぬうん!」とばかりに飛び跳ねたり。

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そしてスロースターターのりんたろくんのエンジンもかかって来て元気に二刀流。

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そして四刀流になったかと思うと、

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突然、先ほど石でチャクラにチャージしたパワーをラオウに注入。

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で、最終的には寺尾聡で渋くフィニッシュ。

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鳥山明の漫画に出て来そうなこの雰囲気。

彼はその後も奇声を発し続け、彼なりに満足していたようだ。


そして色々あったけど、無事に終了です。

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最初はどうなるかと(殺されるかと)思ったけど、何とか最終的には大人も子供も楽しめた一日となったね。

今後もこのようなフェスを恒例化して、もっともっと子供達にアウトドアを楽しんでもらおう。

順番こそ違ったが、やっとりんたろくんに「通常のアウトドア」を体験させてやる事も出来たし。


とにかく今回、やっとセレナ的なセレナーデを奏でる事に成功した。

今後は自分ばっか遊んでなくて、ちゃんとこうしたカヌーを体験させて行こうね。


「モノより思い出」

「マゾより思い出」


少し光が見えたカヌー野郎。

あとは嫁をどう引っ張り出すか…。

ハリウッドですら映像化不可能といわれる「我が家のファミリーアウトドア」。

道のりは長く、そして未だに真っ暗闇。


その光景の公開日は永遠に未定である。



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