赤岳/長野

ヤツオリンピック・赤岳編3〜赤岳山頂決戦〜

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文三郎との激戦を制した日本選手団ご一行。

そのお下劣過ぎた「大急登わんこマゾアタック」で抱えてしまった激しい疲労。

しかし彼らはその歩みを止めない。


彼らが目指すは、この「八ヶ岳連峰で一番高い場所にある表彰台」。

その表彰台とは、もちろん標高2,899mの「赤岳山頂」だ。


文三郎を撃破して稜線に達した彼らは、ついにその赤岳山頂への挑戦権を獲得。

距離にしたら目と鼻の先の山頂への決戦地。

しかしここからはいよいよむき出した岩場も登場する、マゾでマゾを洗う激戦区。


日本国民が祈るようにテレビにかぶりつく。

各選手の地元公民館には続々と親族や仲間達が応援に駆けつける。

にわかに増して来た報道陣の数。


翌日の一面を飾るのは「金メダル!日本選手団!」の見出しか?

それとも惨憺たる結果に終わり「レジェンド団長!土下座!」の見出しになってしまうのか?

はたまた、胃もたれが限界に達して「ランボーN!ついに嘔吐!」の見出しか?

もしくは「低血圧Mちゃん!ニヤリ過ぎて血圧急上昇!」という見出しなのか?

さては「パパラッチK!金メダルよりも金!黒い疑惑発覚!」なんて見出しなのか?

まさかの「ジョンボーA!実は耳が聞こえていた!今までの登山は全てゴーストハイカーの仕業だった!」という驚きの見出しになってしまうのか?


その結果やいかに。

じっくりと振り返って行こう。


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決戦を前に緊張感が高まる日本選手団。

これから始まる戦いに向け、各人がさらに武装を固めて準備に余念がない。

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ここに至るまでの4年間の苦難の日々が頭を駆け巡る。

その4年間の中では、喜びもあったが挫折もあった。

怪我に泣いた者やスランプに陥った者もいただろう。


中にはレジェンド団長やランボーNのように、この4年で子供が生まれて大きくライフスタイルが変わってしまった選手もいる。

赤岳を見上げる二人の脳裏に、夜泣きやオムツ替えやミルク作り、そして嫁によるサディスティックな自宅待機命令の日々が走馬灯のように駆け巡る。

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思わず二人とも、「なぜ嫁は私に優しくないのか?なぜこの赤岳のように厳しいのだろうか?」という弱音に飲み込まれそうになる。

しかしその苦労もすべてこの一戦のため。

一番綺麗な色のメダルを家庭に持ち帰り、嫁の愛を取り戻して自由を勝ち取るのだ。


さあ、行くぞ日本選手団。

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今こそヒーローになるための第一歩を赤岳山頂に向けて刻み付けるのだ。

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こうしてついに赤岳との決勝戦の笛が鳴る。


そしてスタート直後から、早速急登の波に飲み込まれて行く日本選手団。

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やはり文三郎との激戦の傷が癒えていないのか、選手団の足取りは非常に重い。

そしてさすがのシェルパ族の英雄ランボーNも、胃もたれの吐き気+シャリバテという厳しい状況に。

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しかしそれでも彼は愚直に任務をこなし、ザックから衛星電話を取り出してはベースキャンプへの状況報告を欠かさない。


やがてそんな弱り始めている日本選手団に対し、早速岩の露出を開始し始める赤岳さん。

アイゼンでの慣れない岩場歩きに苦戦する日本選手たち。


しかしそこはもちろんランボー・ジョンボー兄弟が、前と後ろから低血圧Mちゃんを「ワタシタチイルカラダイジョブネ。アナタメノマエノキョウギシュウチューネ」と献身的にサポート。

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ここまで日本選手団を決勝まで導いてくれたシェルパブラザーズ。

残念ながら彼らは生粋の日本人ではないが、今となっては我々選手団にとってなくてはならない存在だ。

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これに発奮して頑張る低血圧Mちゃん。

しかし赤岳さんは攻撃の手を緩めない。

この先には彼女の血圧が急降下してしまいそうな大急登が控えていたのだ。

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文三郎もビックリのウハウハ大急登。

やはりそう簡単には表彰台には上がらせてもらえないようだ。

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しかし赤岳さんは知らない。

肉体疲労時の急登補給ほど、我々マゾを奮い立たせるものは無いという事を。

この胃もたれアラフォー男なぞは、笑いをかみ殺すのに必死な様子。

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状況が悲惨で高度感が増すほどに、彼は「ゾックゾクスルワ!」とシェルパの血をたぎらせる。

そして後方から這い上がって来る低血圧Mちゃんもバラクラバでその表情を窺い知る事は出来ないが、恐らくニヤリを通り越して大爆笑している事は間違いない。

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赤岳さんは急登を仕掛ける相手を間違ったのだ。


だが、そこはやはり決勝まで勝ち上がって来た赤岳さん。

今度はそんな我らの覚悟の上を行く「超急登」という力技で押して来たのだ。

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もはやこれはスノークライミングと言った世界。

これにはたまらず、マゾ自慢の日本選手団からも荒い嗚咽声が漏れてしまう厳しい局面。


シェルパ族の弟も、低血圧Mちゃんの足を支えて必死のサポート。

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こうでもしないと、足のリーチが不利なちびマゾ子ちゃんではこの超急登を登る事が出来ない。

僕は団長として、そんな努力の人の必死な姿に修造ばりに声を枯らして大声援を送る。

彼女も後に「ついて行くのに必死で記憶が無い」と語ったほどに疲弊度マックス。

その姿はフラフラだが、その小さな体で一歩一歩確実に登って来る彼女の姿に日本中が感動の嵐だ。

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そしてそんな超急登を乗り越え、暑さからかバラクラバを下げる低血圧Mちゃん。

さすがに限界を通り越して、もはや笑ってなどいないだろう。

ついに彼女の苦悶の表情をカメラにとらえる事が出来るのか?


全世界が注目する中、中継のカメラが彼女の顔にズームイン。

そしてNHKアナウンサーがディオ化して絶叫する。


「ああっと!わ、笑ってるゥゥゥッッッッ!」

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このまさかなスマイルに、献身的なサポートをしていたシェルパ族も後方でズッコケている。

やはりさすがは女性で唯一日本代表マゾに選ばれただけの事はある。

グハグハに打ちのめされるほどに、さらに強く覚醒して行くサイヤ人のような才能を見せつける低血圧Mちゃん。


この感動の光景に奮い立った他の選手達。

他国の選手にあおられながらも、必死で這い上がって来るパパラッチK。

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もはやその姿は大和田常務を彷彿とさせる「土下座」にすら見えて来る急斜面。

その姿を見て、すかさずジョンボーAが「ツイカデ1200ルピーヨコセバタスケテヤルヨ」と交渉スタート。

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もちろん「金で解決できるなら」と言うかと思ったが、そこは自力で這い上がったパパラッチK。

低血圧Mちゃんの姿に感動し、彼も黒い疑惑を払拭しようと改心したようだ。


ジョンボーAの「チッ」という舌打ちが聞こえたが、こうして何とか超急登を突破した日本選手団。

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しかし喜びも束の間。

全力を出し切った我々の前に現れたのは、さらなる大急登タイムだった。

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この時の絶望を、ウォーズマンの心境で例えてみると以下の通り。

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思わず誰もがこの追加大急登に「なにぃ!」と言ってしまったほど。

我々が100万パワーで必死に駆け上がった急登の先にあった、この圧倒的な力の差。


さすがはオリンピック決勝の舞台。

もはやガックリと肩を落として動かなくなってしまった低血圧Mちゃん。

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いよいよリアルに彼女の限界が近い。

そこで僕は団長として禁断の手に打って出る。

僕はシェルパブラザーズの袖の下に、そっと2000ルピーを忍ばせた。


それを受け取ると、シェルパ兄は静かな声で「コレデカゾクラクニナル。ワタシタチ、マスマスカノジョサポートシマース。」と言い、低血圧Mちゃんの後方支援へと回った。

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これにて後方から、ベテランシェルパ族の適切な指示が低血圧Mちゃんに与えられる事に。

2000ルピーに気を良くした弟のジョンボーも、再び彼女の踏み台となって献身的サポート。

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この万全のシェルパ体制で、なんとかまだまだ頑張る低血圧Mちゃん。

しかしこの急登は後半になればなるほど、その変態的斜度を増して行く。

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もう這いつくばって登って行くしか勝利の道はなし。

気がつけばこの身の毛もよだつ高度感。

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高所恐怖症であるレジェンド団長からすると、もはや油田級の失禁は免れない局面。

しかし本日のレジェンド団長は終始クライマーズハイ状態なので、なんとかパンツちょい塗れ程度の被害で済んでいる。


さあ、後少しでこの変態急登との戦いも終わるぞ。

間もなく最終の分岐である稜線に到達だ。

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見上げると、いつのまにか先行しているシェルパ族の英雄が勇壮に佇んでいるのが見える。

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その先に大絶景が広がっていたのか、それとも怒った嫁さんがいたのかランボーNはピクリとも動かない。

それともただ単に吐き気と戦っているだけなのか?


その答えは自分の目で確かめる必要がある。

日本選手団はランボーNを追うように最後の力を振り絞って這い上がる。

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そしてついに、選手団全員が赤岳さんの大急登フェアを打ち負かして分岐に到達。

そしてその先に広がっていたものを見たレジェンド団長。

彼は思わず「うあああっ!」と絶叫。


やはり嫁がいたのか?

さにあらず。

そこには強烈な富士子ちゃんのあられもない姿がどかーん。

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もはや鼻血と前屈みが止まらないレジェンド団長。

そして眼下に広がる大絶景に「なんじゃこりゃあっ」と優作化も止まらない。

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この出会い頭の大絶景感がたまらなすぎる。

変態大急登の果てに突然現れた超絶大絶景。

絶景慣れしていないレジェンド団長は、もう穴という穴からエクトプラズム大放出。

感動のあまり、失禁を通り越した脱糞排泄マシーンと化してピクピクと地べたに転がっている。


ランボーNも「ウへ、ウへ、ウヘヘへ」と妙な笑いが止まらない。

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彼も長らく遊びに行けない日々が続いて、もはやこの手の感動を忘れかけていた絶景セカンドバージン野郎。

この久しぶりな感動と、高度感から来る高揚感も相まって気が触れ始めている。

このまま放っておいたら、窪塚的なアイキャンフライをかましてしまいそうな勢いだ。


そして団長の後から這い上がって来た他の選手も、この突然現れた絶景に大感動。

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ここまで間違った方向でニヤケていた低血圧Mちゃんも、ようやく感動と達成感で会心の笑顔。

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急登がリアルにヘビーだっただけに、その感動もひとしおだろう。

そして黒い疑惑にまみれたこの男も、今はすっかり清らかな気持ちでこの景色を眺めている。

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苦労の末に勝ち取った、この金では買えない絶景にすっかり魅了されているようだ。

そしてジョンボーAも、遥か先にある生まれ故郷のネパール方向に対して熱心に祈りを捧げている。

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恐らく彼ら兄弟の帰りを待つ家族28人分の幸せを祈っているんだろう。


これにて、ほぼメダルを手中に入れたも同然の日本選手団。

この快挙に対し、中継カメラに向かってすっかり浮かれ出してしまった若手選手達。

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前列から「アラレちゃん」「キン肉マン」「ジョジョ立ちの男」という「浮かれ少年ジャンプ」が炸裂だ。


しかしここでレジェンド日本選手団団長が「バカヤロウ!」と喝を入れる。

かつて試合終了間際で、数々のうっちゃり負けを喫して来たレジェンド団長の重い叱責。

誰よりも浮かれた後のしっぺ返しの恐怖を知った男の魂の喝だ。


浮かれたらそこで試合終了だ。

しかしまだ我々の戦いは終わっちゃいない。

ここからは最後の岩との戦い。

まずは伝説のシェルパ族の男が果敢にその岩場に取り付いて行く。

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それにレジェンド団長が追随。

そしてその後を、団長に叱責されて「どうもすいません」と林家三平ポーズで反省する若手選手団もその後を追う。

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これにて完全に隙が無くなった日本選手団。

攻め手を失った赤岳さんは、ただただ彼らの侵攻を黙って見ている事しか出来ない。

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会場は大歓声に包まれる。

日本からやって来た応援団は声を枯らして最後の大声援を送る。

日本の公民館で見守る仲間達も涙ながらに彼らの勇姿をその目に刻み付ける。


やがて最後のハシゴの先で、選手団を牽引して来たランボーNが勝利を確信してグッと親指を立てる。

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そして最後のハシゴを駆け上がり、彼に駆け寄る日本選手団。

電光掲示板の残り試合時間は「3」「2」「1」…とカウントダウンを始め、ついに目の前に「栄光の標識」が。

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高らかに鳴り響く試合終了のホイッスル。

NHKの中継アナウンサーが大絶叫。

「ヤッタ!日本選手団、悲願の金メダル獲得!」

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ついに彼らは歓喜に包まれた。

長く苦しかった4年間とここまでの辛かった道のり。


360度全方向から降り注ぐ温かい拍手。

その拍手を送るのは、かつてこの4年間で戦った多くの山達だ。

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富士山や御嶽山、中央・南そして北アルプスの皆さん。

あなた達との死闘と嫁との死闘があったからこそ、今ここに私はいるのであります。

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感動にうち震えるレジェンド団長。

インタビュアーが「おめでとうございます。今の心境は?」と問えば、「とにかく…青い空が眩しくて…晴れるって素晴らしい事なんですね…」と嗚咽まじりに答える団長。

しかし執拗なインタビュアーが「ここに来るまで随分と登山用品で散財してきたみたいですが、それに関して奥さんに言いたい事があれば是非」と余計な質問をすると、団長はうなだれて「なんも言えねえ…」と名言を放った。


続いてインタビュアーは若い力で金メダルを勝ち取った二人にインタビュー。

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インタビュアーが「低血圧Mさん、何やらご両親には危険な雪山登山なんてしていないと言っているようですが、今中継をご覧になっているご両親に一言。」と言えば、彼女は「お父さん、お母さん。私、ピッケル持ってこんな所でマゾってるよ。そしてニヤリが止まらないの。どうか許して。」と言ってお茶の間の涙を誘う。

そして「パパラッチKさん、今大会中に黒い疑惑が出ましたがやはり今後もこのスタイルで行くんですか?」と質問すれば、彼は「私はお金なぞに興味は無い」と言いながら早くも観客席で若手歌手といちゃつくパリス・ヒルトンを激写。

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これでまたたんまり金を手に入れ、破れたスパッツとシェルパ族のガイド代金が払える。

例え栄光の舞台でも彼はあくまでも仕事熱心だ。


一方、日本に帰化してまでこの栄冠を勝ち取ったシェルパブラザーズの二人。

役目を終えた兄ランボーは、静かにネパール方向を向いて佇んでいる。

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インタビュアーがマイクを向けても、「ウッウッ」という嗚咽しか漏れて来ない。

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シェルパ族の英雄として讃えられた彼だったが、その誇りを捨ててまで家族のために日本人に帰化した苦労人。

これで彼の家族28人はしばらく食う事に困らない事だろう。


そして弟ジョンボーは、重責を果たした安堵感からか喜びを爆発させている。

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やはり彼越しに写真を撮れば、八ヶ岳もたちまちヒマラヤの山並みに見えて来てしまう。

そして彼はインタビュアーに対し、「ワタシタチ ニホンジンナルトキ トテモナヤンダ。アニジャ サムライナロウト ムリシテトンコツラーメンクッテ イ モタレタ。デモアニジャイッタ。ハキソウニナテモ シェルパノホコリワスレナイ。アニジャナイテヨロコンデル。」と。


そして、彼らはここで再び兄弟二人きりで写真が撮りたいとインタビュアーに要求。

それを家族に送るんだと。


そしておもむろにゴーグルを外し記念撮影。

ハイチーズ。

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何やら随分と顔が変わった気がするぞ。

ランボーはどう見ても本人だが、ジョンボーは明らかに顔が違う。

(※これに対し、後にオリンピック委員会が調査に動き出す事になる。結果的にジョンボーかと思われた男は、実はいとこのシェルパ族サムラゴーチであることが判明。何と彼はゴーストハイカーを雇っていた事が発覚して社会問題を巻き起こす事になる。もちろん彼の金メダルは剥奪された。)



しかしこの時は誰もその事に気づいていない。

やがて日本選手団の面々に金メダル替わりの金の擬宝珠が贈呈され、

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ついに彼らは八ヶ岳連峰で一番高い場所にある表彰台、赤岳山頂に立ったのだ。

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歴史的な栄誉。

そして会場には厳かに君が代が流れ出し、我らの目の前に「日の丸」が高々と掲げられたのだ。

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こうして雪山登竜門、赤岳の頂上決戦が美しく終わった。



日本では駅前で号外が配られる。

各選手の所属事務所には、早くも大手企業からのCM出演依頼が殺到。

ランボーNは早くもとんこつカップラーメンの会社と契約し、低血圧Mちゃんはニヤリが買われてガーナチョコレートへの出演が決まった。


しかしである。

家に帰るまでがオリンピック。

まだ彼らには「下山」という戦いが待っている。


ここからは、本来登りで使う予定だった「地蔵尾根」との戦いが待っている。

金擬宝珠を奪われた赤岳さんが、怒って我々を追撃して来る事は容易に想像できる。

生きて選手村に辿り着いてこそ、勝利の祝杯があげられるのだ。


目指すは下山を完遂させての完全勝利。

疲弊した体に鞭打って、更に動き出す日本選手団。


やがては後に「サンマの悲劇」と呼ばれる事件も勃発する。

そしてその事件によって、ある男が死地へと追いやられる事になる。



彼らのオリンピックはまだまだ終わらないのだ。




ヤツオリンピック・赤岳編4へ 〜つづく〜



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