常念〜大天井〜燕/長野

常念山脈北上野郎3〜燕岳編・銀座のマゾの物語〜

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銀座のネオン街の入口で立ち尽くす男。

この先に待ち受けるは可憐な夜の蝶たちか?

それともハードなぼったくりSMバーなのか?



男はいよいよ「表銀座コース」に合流し、さらなる常念山脈北上を続ける。

目指すゴールは北アルプスの女王「燕岳(つばくろだけ)」(2,763 m)だ。


そしてついにおぎやはぎとゲリMの「テン泊チェリーボーイズ」との合流の時も近づいて来た。

実は燕岳への道の途中にある「蛙岩(げえろいわ)」にて、彼らとは感動的な合流を果たす予定になっている。

北上する僕に対し、彼らは燕山荘から少し南下して出迎えてくれるのだ。

待っていてくれる仲間がいるって事は本当に心強いものだ。


さあ、果たして北アの女王様は微笑んでくれるのか?

それとも強烈な鞭でビシバシと攻撃してくるのか?

どっちにしてもたまらない。


常念山脈北上野郎最終章。

靴擦れ限界男のザギン豪遊物語。

常念〜大天井岳でけちょんけちょんにやられた鬱憤を晴らす時。


そう、やられたらやり返す。

マゾ返しだ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


早朝4時。

僕のお気に入りの目覚ましアラーム音「テントを叩く雨音」が鳴り響く。

目覚めて2秒で絶望感を味わえるという実にお得なアラーム音。

もちろん僕の第一声は深い深いため息。

爽やかな朝がやって来た。


空しくテントの前室でメシ。

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湧かしたお湯が足らなくて、強烈アルデンテパスタと猛烈濃厚スープの二品。

朝一からやる気がごっそりと奪われていく。


そんな時はご来光を見て元気になろう。

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眩しいなあ。

登山の醍醐味だよね。

やっぱり山の朝はご来光を想像するに限るね。



ひとしきりご来光を頭の中で堪能し、さっさと濡れたテントを片付けて出発。

さあ、今日も張り切って北上を続けようか。

さわやかな朝すぎて、かつて無いほどに希望と元気に満ち満ちた出発写真だ。

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彼がこんなにも爽やかな表情なのは、もちろん今日もマムートさんが朝から絶好調だからだ。

前日痛めた足が一晩寝ただけで回復するはずも無く、靴を履いた瞬間から痛みが襲いかかるというスピーディーな対応。

プレイボール直後の一投目を、相手の先頭打者にいきなりライトスタンドに運ばれた気分。

もう誰もマムートさんの勢いを止める事なんて出来ないようだ。


しかしそんなマムートさんとの旅は恐らく今日で最後。

彼との別れを惜しみながら、精一杯この痛みを味わいながら今日一日をがんばるとしよう。



さあ、いよいよ常念山脈も本日から「表銀座コース」に合流だ。

「表銀座コース」とは槍・穂高を眺めながら縦走する北アで大人気のコース。

そこをあえて「槍・穂高に背を向けて逆走する」という、実に不可解な行動を開始するマゾ男。


さあいよいよ憧れの表銀座。

絶景を堪能しながらの素敵な稜線散歩タイムのスタートだ。

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ほほう、これが噂の銀座ですか。

随分霧にまみれた世界なんだね。

ネオンの灯りすら見えないが、ちゃんと営業しているのか?


しかし前方を見ると、続々と霧の中にご入店していく常連客たち。

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僕と同じ数少ないザギン逆走メンバー達。

本当の銀座での遊び方を知っている小粋な奴らだ。


さあ、いよいよ開店の時間がやってきた。

静かに霧のシャッターが上がり、松本の街が現れる。

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槍・穂高と逆の方が見えてもそんなに嬉しくはないが、これも銀座のツウな楽しみ方。

快晴で絶景のザギン遊びなんて若造のする事。

ここから先は大人の世界だ。


そして目の前のシャッターが開き、ついに眼前に真の銀座の世界が広がった。

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ついに憧れの大都会。

マムートさんを同伴してのザギン遊びのスタートだ。


さすが一等地だけあって、登り調子のマゾなお店がひしめきあっている。

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あのお店なんてハシゴつきで随分とオシャレだし。

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ワクワクするなあ。

足を怪我している僕にも優しい設定の街だね。


天気は悪いけど、これだけ前が見えれば僕としては十分に大満足。

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昨日に引き続き穂高の景色は見れないけど、見たくもない前方のグッタリするほど長大な光景だけはハッキリと見える。

こいつは今日も精神的な快感に浸れそうだ。

待ってろよ北アルプスの女王様。

今甘い声で歌ってやるから、そこでちゃんと「銀座のマゾの物語」を聞いてメロメロになっているがいい。


さあまずはこのお店にご入店だ。

気さくなサービスがモットーの「スナック喜作」だ。

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この表銀座ルートを切り開いた男・小林喜作。

まさに彼は「銀座の父」。

まずはこのお店で今後の運勢を占ってもらおうではないか。


しかしさすがは占いの名店。

その敷居の高さは半端ないものがある。

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そして念願の占い開始。

喜作は言った。

「ツバメで裏切られ、やがてオナラに救われるだろう」と。

この時は何の事かさっぱり意味が分からなかったが、やがてこの占いは的中する事になる。


スナック喜作を出ると、素敵な銀座の稜線メインストリートへ。

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やはり人気コースだけあって実に歩きやすくて、天気がよければ最高の稜線なんだろう。

しかもよくよく目を凝らしてみると、なんと早くも仲間のいる燕山荘の姿が見えるではないか。

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昨日の「永遠に現れない大天荘」の事を考えたら、これは今日は楽勝なのか?

しかし実はこれ、一旦油断させてからじわじわと苦しみを与えるという女王様の作戦。

とある友人の登山心得をここに記載しておく。

「あると思うな山頂、あると思うな山荘。」

気を抜いたら、あっという間に女王様のムチがしなりまくるぞ。


よし、じゃあ次はこの「ラウンジ・水晶の館」というお店にご入店だ。

このお店は眉目秀麗な女性が多く在籍しているという噂。

特に水晶岳子さんという子と鷲羽岳子さんという子は、日本百名ホステスに選ばれたほどの奥ゆかしい美女らしい。

その美顔を拝む為に多くの登山者がこの表銀座を目指してくるのだ。


店に入ると、僕の前にズラリと美女が並んでいた。

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顔が…見えないじゃない。

雲で隠れてどの子が水晶さんでどの子が鷲羽さんかわからないぞ。

なんだ?ここは顔出しNGのお店なのか?

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まあいいさ。

それはそれで興奮するってもんだ。

やはり銀座の名店だけに、ツウのツボを心得ている。



その後、次のお店「パブ・魔界村」へハシゴだ。

お店の山ガール風ホステスさんに誘導されるがままに店の奥へ。

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その雰囲気から、杭が全部「墓標」に見えてしまう。

まるで超人墓場に迷い込んだかのような気分。

こいつは随分とミステリアスなお店だ。


そして陽気なレジャー感ゼロの、悲壮感漂う魔界村的なこの雰囲気。

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どこまでもどこまでも続く荒々しく長い道のり。

はるか先で待つ女王様の所まで足が持つ気がしない。


と、そんな感じでひるんでいると誘導してくれたホステスさんがあんなに遠くに。

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しまった。

あの子は誘導だけしておいて頃合いを見て退出したのだ。

これは店の奥にいる強面の男達が出て来て「ポッキー10万円」の請求書を渡してくるパターンじゃないのか?

急いで彼女を追いかける。

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するとここで無情なる急降下。

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随分と高度を下げて行くな。

まさかまさかとは思うが、これを下りきった先には…


やっぱりガッツリと登らされるのね。

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見事に下った分の標高をぼったくられてしまった。

これが銀座の現実。

どんなに遠くを見つめても、一度失った標高は戻っては来ない。

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さあ、がっつり登ってまた一からやり直しだ。

やられた分はやり返すのが僕の流儀。

見事に登りきってこの大マゾ常務を土下座させてやる。

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でも何気にここまでのザギン豪遊のせいで、すっかり僕の体力は奪われていた。

加えて足の痛みはスペシャルな雰囲気。

登山靴で固定しているから何とかなっているのであって、靴を脱いだらとても立っていられる気がしない。


でも地図を見ると、恐らくさっきのガッツリ下った所がネーミング的にも「大下りの頭」だったんだろう。

そう考えると、ここを登りきった所に「蛙岩」があるはず。

蛙岩はテン泊チェリーボーイズとの合流地点。

あと一踏ん張りだ。


足を引きずりながらヒイヒイと登って行くと、上の方に人の姿が見えた。

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さてはあれはチェリーボーイズ達じゃないのか。

これには嬉しくなって元気100倍。

きっと矢作Cあたりが、あそこから一眼カメラで僕の勇姿を撮りまくってくれている事だろう。

いよいよ感動の合流が近づいて来ている。


振り返ればガッツリ下ってガッツリ登って来た道のりが見て取れる。

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そして吐きそうになりながらも、なんとか仲間達がいる蛙岩へ。

あと少しだ。

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着いたぞ!

蛙岩だ!

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お?

気のせいだろうか?

何やら「大下り」って書いてある気がするぞ。

うそでしょ。


僕が地図を見て想像していたより全然進んでいなかった事が判明。

よくよく考えてみれば僕は逆走しているからこその大急登だったわけで、正規ルートから見ればここからが「大下り」の始まりなわけだ。

もちろんまだここは蛙岩ではないから、仲間達の姿はカケラも無い。


この時のショックは相当にヘビーなものだった。

おまけにこの時点で随分と風が強くなって来る始末。

あまりのショックさで、意図せずにジョジョ立ちしてしまっている自分がいた。

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もう飲めない。

お金もないよ。

やっぱり銀座は恐ろしい街だ。


見事にポキポキに心が崩壊して行く限界男。

そして引き寄せられるように次のお店に無理矢理ご入店。

そこは悲しみの男達が集うバー「レイニーブルー」。

店内ではしとしとと雨が降っているという、小洒落た演出が売りのお店だ。

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この打ちひしがれた段階での「雨」のご登場で男のブルー度は加速して行く。

店内に流れる音楽は中島みゆきか森田童子ばかり。

僕の感情の中から「楽しさ」という言葉が完全に消え失せて来た。


もうカメラすらザックにしまって、ただただ雨に打たれながら進んで行く。

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このバーにいた数十分の記憶がごっそり無くなっている。

地味だが、この旅の中で一番キツかった時間帯だ。


やがて多少雨は上がってレイニーブルーを出る。

すると目の前に異様な岩の光景が。

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おお!

蛙岩だ。

蛙岩に着いたぞ。


時間も何気に約束した時間通りに到着した。

皆はどこだ?

このボロボロになった僕の心を癒してくれる仲間達はどこだ?

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いないぞ…。

というか人の気配すら感じない。



銀座に男の悲痛な叫び声がこだまする。

「チェリィィィーーー!」

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その声はやがて「UURRRYYYYYーーー!」となり、彼は石仮面に心を支配された。

正直薄々は感じていたんだ。

奴らはこの天気でわざわざここまで南下して来ないだろうと。


まあいいさ。

恐らく彼らは燕山荘でのんびり紅茶でも飲みながら僕が来るのを待っているのだろう。

今行くからもう少しだけ待っていてくれ。



こうしてよろよろと蛙岩を後にする男。

彼の心を反映しているのか、辺りの暗い雰囲気はどんどん重さを増して行く。

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ついに銀座最後の名店「SMクラブ・燕の巣」に足を踏み入れたのだ。


本来は楽しいはずの表銀座ルート。

晴れていれば大絶景を見ながらの登山者憧れの縦走路。

しかし今僕の目の前にあるのは大絶望のみ。

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前方にちょっと大きな岩とか見ると「山荘か?」と色めき立ち、岩だとわかって再び絶望っていうのを何度も繰り返す。

いよいよ幻覚に支配され始めて来たマゾ太郎。

その全身全霊で、女王様の過酷なムチをノーガードで浴び続けるハッスルタイム。

ピシッ「おいブタ野郎!もうギブアップか!」
ピシッ「まだ行けます!」
ピシッ「行かせてくださいだろ!」
ピシッ「スイマセン!」

いよいよディープな銀座の世界に突入した模様。

あまりの辛さとあまりの足の痛さで男のニヤニヤが止まらない。


やがて男が三角木馬で痛めつけられ始めた頃。

入店後何度目かの山荘の幻覚が。

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いや、あれは幻覚なんかじゃない。

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燕山荘だ!


ついに男は燕山荘に到達。

見事に銀座の深い夜を抜け出したのだ。


さあ、いよいよチェリーボーイズ達との感動の再会。

これだけひとりぼっちで切ない思いをした分、その感動もひとしおだだろう。



おや?

誰もいないぞ。

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燕山荘は渋滞が起きるほど大人気の山荘と僕はうかがっていたが。

渋滞どころか人間がいないぞ。

チェリーボーイズは?

矢作Cは?小木Kは?ゲリMは?


あ、

ああ…

ああああ…..




矢作Cィィィッッーー!

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石になってるじゃないか!

待たせすぎてしまったのか?(石化前の矢作C↓)

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すまない。

ひょっとしてさっきの蛙岩(げえろいわ)にあった岩はゲリMだったのかもしれない。

小木Kは恐らく失踪でもしてしまったんだろう。


悪い事をした。

でも今は8時半。

約束の時間通りにここまで来たから、そんなに待たせたつもりは無いんだが…。



すると今まで全く繋がらなかった携帯が圏内に。

そしてLINE上に呟かれていた矢作Cのメッセージをピロリと受信。


「テンコウワルシ。先に下る。第3駐車場で待つ。」



ほほう。

こういうのをなんて言うのかな。

「おいてけぼり」って言うんだっけ?

しかもこのメッセージ入れた時間が「6時26分」って。

まだ銀座の最初の店「スナック喜作」に入店したくらいの時じゃん。

2時間も前に早々と見捨てられてるじゃないの。


チェリーボーイズ達の裏切り奥義「燕返し」炸裂。

あまりにも早すぎたチェリー達の撤収劇。

ショックに打ちひしがれ、雨に打たれるがままの孤高の限界マゾ野郎。



しかしそんな哀れな男の元に、突然救世主が現れる。

それがこの男。

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なんと彼はこのブログの数少ないマニアックな読者で、今回の燕行きを知ってわざわざ白馬から応援に駆けつけてくれたのだ。

しかも早朝真っ暗な内から、この雨の中ここまで駆け登って来たというではないか。

早々と雨天撤退を決め込んだチェリーとは真逆のドM男。

当初は「落雷雨男N」というネーミングにしようと思ったが、初対面なのに失礼があってはいけないので今後はとりあえず「屁こきN」と呼ぶ事にする。


彼は基本的に屁を推進力にして山を登るタイプの人で、下山後もメシ屋で豪快に屁をこいていた。

おかげでこんなネーミングになってしまったが、本気で失礼だったら急いで訂正するのですぐにご連絡頂きたい。

最初のミスだけでずっと「ゲリM」という名前をつけられてる男の前例があるだけに、彼には早めの挽回を期待したい。


しかしこの屁こきNのおかげで、折れかかった心が随分と救われた。

こうして僕は予定外だったパートナーを得て、改めて燕岳の山頂を目指す。


北アに詳しい屁こきNは、「あれがイルカ岩です」と言った具合にガイドまでしてくれる。

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実に有り難い。

ただ惜しむらくは彼も極端な雨男。

せっかく来てくれたはいいが、さらに雨足が強くなって景色は完全に真っ白になって来てガイドもしようがない状況に。

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負のパワーが混ざり合い、現場は荒れ模様。

まさに超人タッグ編で言う所の「ヘル・ミッショネルズ」の二人。

この二人が組めば磁気嵐クラッシュだって容易に繰り出せそうだ。


そして陽気に二人で「己撮り」。

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こんな茶番に付き合ってくれるとはとても良い人だ。

しかし何気にこの時点でおかしな所が見受けられる。

通常燕山荘で荷物をデポして山頂往復するのがセオリーなのに、なぜか彼らは重い荷物を無駄に背負ったまま突き進んでいる。

もう火中の栗マゾを拾いにいく気満々だ。


やがて山頂に到達。

ついに三番目の最終峰「燕岳」制覇です。

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当然いつも通りの白背景。

ついに長過ぎた常念山脈北上の旅が終結。

もちろん360度の絶景を前に男の雄叫びが止まらない。

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長い長い旅路の果てに辿りついた最後の山頂が、まさかこれほど無感動なものだとは。

あまりにも空しい。

マラソンの有森さん風に言えば、「初めて自分で自分を哀れんでやりたい」といった残念な局面だ。


しかしまだ自分を哀れんでいる場合ではない。

ここからはまだまだ長い長い下山が始まるのだ。

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北アルプス三大急登の合戦尾根を下って行かねばならんという延長戦。

足に絶望的な痛みを抱える男にとって、もはやそれは「リンチ」に近い酷な仕打ちだ。

ここからはざっとダイジェストだけど、この下山だけでたっぷり3時間歩き続けている事を忘れずに見ていただきたい。


三大急登の下りで早くも足腰が砕け散る男。

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そして雨が上がったからカッパを脱いだら即座に雨に降られる男。

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やがて精根尽き果ててリアルにうなだれる男。

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そして階段地獄で足の痛みは限界を遥かに超えて、膝も大爆笑を始める男。

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最終的には放心状態のC3-POに成り下がり、

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男は別の世界に旅立って行った。

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目も当てられない常念山脈北上野郎の末路。

そしてそんな彼の苦しみを見事な手腕で演出したマムートさん。

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さようなら、マムートさん。

もう二度とお前を履く事は無いだろう。

そしてさようなら、マゾ男。

8月9月の鬱憤を必要以上に晴らす事ができて、無事に成仏できたことだろう。


ゴールで息を引き取った彼の頭上。

役目を終えたモクモクさんが「ぱあああああっ」と分散して行き、嫌みすぎる青空が広がった。

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もはや何も言うまい。



そしてもう歩けなくなった僕を屁こきNさんが車に乗せてくれて、チェリーボーイズ達が待つ第3駐車場へ。

そしてついに、マゾ野郎とチェリーボーイズ達が感動の合流を果たしたのだ。

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燕岳で落ち合うはずが、最終的には「ゴール合流」というまさかな結末。

しかも一人メンバーが増えてるし。


あまりにも遅すぎたこの全員集合。

今回の旅はチームプレイのつもりだったが、結果ただの単独行だった気がしてならない。




旅は靴擦れ世は情け。

夏の無念は常念で。

天井越えてザギンで豪遊。

目指すは仲間が待つ燕の巣。



嗚呼、やっぱりマゾはいいもんだ。

これだからやめられないね。


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常念山脈北上野郎 〜完〜



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