全三回にわたってお送りした和歌山清流祭り。
多くの方に最高の清流を楽しんでいただけたと思う。
そこで、今回も涼な話題をお一つ。
それはもちろん「検便」のお話だ。
ブサイクな僕の唯一のチャームポイントは「お通じの良さ」。
毎朝快便で、会社に行くまでに3回も出撃可能な能力を持っている。
ワンピース風に言えば「ゲリゲリの実の能力者」と言った所か。
まあ要するに年の1/3はゲリにまみれていると言っても過言ではない。
大事な旅の時や、浮かれてしまった時の腹痛率はイチローの生涯打率を遥かに凌駕する。
そんな僕を毎回苦しませるのは健康診断の検便。
なぜか毎回、検便時になるととたんに僕のケツのバットから快音が消える。
ゲリ野郎と検便なんて相性抜群だと思われるだろう。
お茶の子さいさいでブツを採取できると思われがちだ。
しかし僕には「快便ゲリ野郎」とは別の異名がある。
それは「プレッシャーに弱い男」という異名だ。
例えば歯医者などで、飲み込む唾液の事を考えるあまりどんどん唾液が出て来たりするのもしかり。
可愛い歯科助手さんの胸が頭に当たっただけで、「ここで絶対にテントを張ってはいけない」という強い思いに支配される程に不覚にもテントを張ってしまったりする。
そして下心を察知されまいと思うあまり、すごく大きな音で「ゴクリ」とつばを飲み込んでしまう。
このように、だめだだめだと思えば思う程、僕の精神と体は分離してスパークするのだ。
検便はまさにその最たるもので、「本日出さなければいけない」という強迫観念のせいで全く出撃して行く気配すら感じさせない。
むしろ期待とは裏腹に気体ばかりが出撃して行き、匂いだけは一人前だが一向に検査物を採取できないという矛盾を体験することに。
嫁に相談しても「知らんがね」と一蹴されて終わった。
ここは一度気を取り直すべく、りんたろくんを連れて出勤前のラジオ体操へ。
体操でもすればお通じも良くなりそうだ。
しかしここで、そんなガラスのハートの父との格の違いを見せつける大物の息子。
会場に着いても一切起きる気配がない。
親譲りの寝起きの悪さと、親にはないこの堂々たる根性。
お父さんもこの位の心の余裕があればいつも通りウンコが出ただろうに。
これは僕も息子を見習わないといけないな。
そしてラジオ体操終了。
結局彼はあくまでも自分流のラジオ体操を最後まで貫いてスタンプをゲットした。
さあ、お父さんも負けじと戦うぞ。
家に戻って再びトイレに引きこもる。
顔を真っ赤にして大腸に出撃命令を送るが、何の応答もない。
さすがに焦って来た。
このままでは検査できないじゃないの。
僕はサウナのように蒸し暑いトイレの中で、必死で出撃の糸口を探る。
iPhoneでSafariを立ち上げ、「検便 出ない 出す方法」などのワードで検索。
すると見事に同じようなプレッシャー男達の悲鳴がネット上に踊っていた。
そこにあった「出なくても何とかなる最終手段」として紹介されていたもの。
それは「検査棒を直接体内に侵入させて無理矢理ブツを採取する」というスペシャルプレイだった。
僕は悩んだ。
この苦境からの脱出を取るか、それとも人間としての尊厳を取るか。
いくら僕が極度のマゾ野郎だと言っても、ソッチ系のマゾではない。
まずは何事もシュミレーションしてみる事が肝要だ。
37歳の立派な大人が、朝のサウナのようなトイレの中で汗だくだく流しながら己で己にインサートする様を想像してみた。
そして次に幼い我が子達の笑顔を思い浮かべてみた。
僕はその場でうなだれた。
だめだ。
とてもじゃないけどそこまで堕ちたくない。
もう…諦めよう。
とても二児のパパがやって良い事とは思えない。
どうしても一線を越える事が出来ない。
もう正直に申告しよう。
ウンコ出ませんでしたと。
検便登頂断念。
無念の途中撤退。
しかしこれは勇気ある撤退だと信じたい。
僕は人として、そして父としての尊厳を守ったのだ。
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検診センター。
僕はモジモジしながら「すいません、出ませんでした」とご報告。
こんな時に限って若い看護婦さんという拷問。
看護婦さんは怪訝な顔で「二日ともですか?」と聞くので、「はい、二日ともです。面目ないです」と正直に告白。
でもここで初めて知った事がある。
今回こんな汚い記事を長々と書いて来たのは、同じように悩むプレッシャー野郎たちの為にその事実を知ってもらいたいが為だ。
看護婦さんは言う。
「それでは後日郵送してください」と。
センセーショナルだった。
検便って後日郵送できるんだ。
というか、まさか自分のウンコを郵便で送る事が出来るなんて。
最初からこの事実を知っていれば、余計なプレッシャーと戦わずに済んだものを。
「何だこの話」と鼻で笑わないでいただきたい。
やってる本人にとっては大きな問題なんです。
これを読んで膝をポーンと叩いたプレッシャー野郎が必ずいるはずなんです。
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後日。
僕は「作品」をポストに投函し、我が子に別れを告げた。
自分の分身をポストに投函するという、何とも不思議な儀式。
妙な変態的罪悪感に包まれたが、これはあくまでも公的に認められた行為だ。
何ら恥じる事はない。
むしろコレが色んな人たちの手を経て、やがて検査センターに辿り着くことに思いを巡らしてみるとなんとも「旅」を感じるではないか。
これが親離れというもの。
立派に検査されて来いよ。
というかこんな猛暑の中でたらい回しにされて、変な検査結果出ないのかな?
という訳で無事に提出成功。
非常に壮大な物語だったがいかがだっただろうか?
涼を感じていただけたかな?
是非みなさんも今後の参考にしていただきたい。
ご清聴ありがとうございました。
苦情は受け付けません。
すいませんでした。
秘密のケンベンSHOW 〜完〜
秘密のケンベンSHOW
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