雨乞岳/滋賀

さよならウォーズマン〜雨乞岳前編〜

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雪に覆われた迷路のような深い森。

一人そこを突き進む二日酔い男。

男が目指すは因縁の相手、バッファローマンとの試合会場だ。



鈴鹿セブン完全制覇シリーズ(7人の悪魔超人編)最終章。

鈴鹿山脈最深部に潜んで待ち構えるは、7番目の山「雨乞岳」(1238m)。

最後の悪魔超人はもちろんバッファローマンだ。


男の雨乞岳に対するアツい想いと、得意の「事前マゾ仕込み作業」の模様は前回記事でネチネチと書かせてもらった。(参考記事

そして男はバッファローマンの先制攻撃によって、「スタッドレスタイヤ13万円」という精神的ダメージと、「寝不足と二日酔い」という肉体的ダメージ負う事になった。

そんな満身創痍の状態で挑む最終戦がついに始まる。


しかも今回は「時間制限あり」のハードなタイムアタック登山。

17時半には日産ディーラーへスタッドレスタイヤを購入しに行かねばならない。

遅くとも「14時」には下山を完了しなくては到底間に合わない。

そしてそんな状況にも関わらず、前夜の痛飲によって見事に寝坊する始末。

ミート君救出へのタイムリミットは非常に少ない。


果たしてこの限られた時間内でバッファローマンを撃破し、無事にミート君の頭部を取り戻すことが出来るのか?

過酷な戦いの模様を振り返って行こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


鈴鹿スカイラインを目指して車を走らせる男。

雨乞岳への登山口は、この鈴鹿スカイライン上にあるのだ。


鈴鹿スカイラインは間もなく「冬期閉鎖」で車の進入が出来なくなる。

僕は珍しく万全を期し、電話で今期の冬期閉鎖は「12月14日(金)」からと確認済み。

いつもはこのような確認をしないから、毎回現場でガックリと崩れ落ちる事になる。

今回はそうはさせないぞ、バッファローマンよ。

本日は12月9日(日)なので、冬期閉鎖前のラストチャンスという完璧なプランニングだ。


さあ、いざ鈴鹿スカイラインへ突入。

写真

何か妙な文字が見えた気がしたが?

おかしいな、まだ昨日の酒が残ってて幻覚でも見たのかな?

冬期閉鎖は14日からって確認したよね?

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うそだ。

うそだろう?


僕は周りを見渡し、どこか木の陰から「大成功」の看板を持ってヘルメット被ったおじさんが出て来るのを待った。

しかし一向にそんな気配はなく、これがドッキリ企画ではない事を認識。

どうやら昨日の大寒波襲来によって、早々に冬期閉鎖に踏み切ったらしい。


こんなはずじゃなかったのに。

慌てて地図を確認。

雨乞岳の登山口までは、ここから徒歩でスカイラインを歩いて行く他に方法が無い。

そのタイム、なんと「往復3時間」。


万全を期した男は、結局いつものようにその場に崩れ落ちた。

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さすがは超人強度1000万パワーのバッファローマン。

戦う前から圧倒的な力の差を見せつけて来たぞ。


ただでさえ時間制限のある戦いに、さらに「往復3時間」という強烈なパワー。

この時点で8時半。

下山のタイムリミットは16時。

6時間半しかない中で、果たして強敵バッファローマンを撃破することが出来るのだろうか?

とりあえず「12時半には下山を開始する」と決めて、行ける所まで行く事にした。

こいつは出だしからハードな展開だ。


こうして男は、トボトボとスカイラインを徒歩で歩き出した。

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正直、もうこの時点で早くも心は折れかかっていた。

心は寒々しい寒波に蹂躙され、僕のやる気もすっかり冬期閉鎖寸前だ。


そもそも何故、僕の頭上だけがこんなにも分厚い雲で覆われているのだ?

僕が朝にiPhoneで見た物は幻だったのか?

写真

なんだっていいさ。

いつもの男がいつもの状況になったってだけの事だ。

絶対に泣かないぞ。


そして男は口を真一文字にし、黙ってスカイラインを延々と登って行く。

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確かにバリバリに路面凍結しているから、そりゃ閉鎖するわな。


クネクネのスカイラインを素直に歩いていては時間の無駄なので、地図で確認したショートカットルートをチョイス。

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ううむ、中々にハードな直登だぞ。

と思ってたりするとハードな下りもあったり。

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僕は果たして無事に「登山口」まで辿り着けるのだろうか?

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頑張って登っているが、こう見えて彼はまだ登山口にすら到達していない。

にも関わらず疲労だけが蓄積され、時間だけが無情に過ぎて行く。

もはや気分は「告白すらしていないのにフラレてしまった」に等しい切なさに包まれて行く。


やがてショートカットに成功したのか失敗したのか分からないが、再びスカイラインへ抜け出した。

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僕は一体何から逃亡しているのか?

もはや僕は、本来の目的すら見失いかねないほどに疲れ果てていた。


やがて登山口手前のトンネルに到達。

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なんか強烈に怖いんですが。

でもここを抜けて行かないと登山口には辿り着けない。

意を決して柵を乗り越えて、トンネル内部に突入。


皆さんはトンネルの中を歩いた事がありますか?

谷間に集中した風が全てトンネル内部に大侵入し、信じられない程の突風に晒されるってご存知でしたか?


僕は前方から吹き付ける猛烈な暴風に一気に飲み込まれた。

体を前傾しながらの必死の行軍。

TMレボリューションように風に向かって行くが、あんなにも爽やかな笑顔は到底出来ない状況。

しかもトンネル内部の音響効果は抜群で、暴風は轟音となって僕に恐怖を植え付ける。


そして一人ぼっちの暗いトンネル内は新たな恐怖を増殖させる。

轟音が人の悲鳴のように感じた僕は、「今、突然背後から肩を触られたら…」という余計な妄想を勝手に発動。

自業自得で凄まじい恐怖に襲われ、僕は気付いたら猛ダッシュで走り出していた。

固い登山靴での全力疾走だ。


やがてトンネルを走り抜け、無事に滋賀県まで抜けた。

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もうこの時には、激しい疲労感とともにステキな痛みが僕の足を支配していた。

固い登山靴を履いての全力疾走は、絶対にやっては駄目だね。


こうして実に1時間半かけて、やっっと「登山口」に到達。

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かつて「登山口」の段階で、これほどまでに疲労の色を滲ませてる男を他に知らない。

僕はもはやこの時点でとてつもない達成感と疲労感に包まれていた。


男は呟く。

「もういいんじゃないか?」

「もうここで十分じゃないか?」

「ここが頂上という事にならないものか?」


時間はすでに10時。

下山開始予定時刻まで残り2時間半。


行ける所まで行ってやる。

ここで負けたらマゾの名折れ。

相手は1000万パワーの強敵だ。

これくらいの無理をしなくては到底敵わないと分かっていたはずだ。



こうして男は、一切の休憩する事無く即座に登山を開始した。

やっとここからが本当の戦い。



そしてこの先に男を待っていたのは、強敵バッファローマンの強力な必殺技「ハリケーンミキサー」。

男はついにウォーズマンと化し、壮絶な死闘を繰り広げる。

登山開始前で前編が終わるという波乱の幕開け。


男のマゾが止まらない。



後編へ 〜つづく〜



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