あれから幾日が経過しただろうか?
張り切って出て行ったGW後半の「四国清流巡り」。
いや、言い直そう。
張り切って出て行ったGW後半の「四国濁流祭り」。
もうGWは終わっているのに、長くブログの更新がされていない。
おかげで「カヌー野郎死亡説」が囁かれ始めている。
今までの読者は「いつかやると思ってたが、ついにこの時が来たか」と戦慄が走った事だろう。
どっこい僕は生きている。
しかし「死んでいた」というのも一つの事実だ。
実はこの数日、僕は心身共にボロボロでとてもブログを更新する気力を失っていたからだ。
一体、男の身に何が起こったのか?
四国でどんな目に遭って来たのか?
四国。
そこは漆黒の死国。
咲き乱れる死臭漂うキーワードたち。
「大雨」「濁流」「増水」「渦」「三回転」「奴隷船」「暴風」「寒風」「冷水」「救助」「激突」「発熱」「無念」「嫁」
今回の旅も、男はしっかりと旅を満喫して来たようだ。
そんな男のステキな旅路を振り返ってみよう。
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ついにこの時がやってきたのだ。
5月2日、夕方。
仕事を終えた僕はGW突入の喜びを噛み締めていた。
GWは仕事の翌日から始まるものではない。
仕事が終わった瞬間から始まるものだ。
この日は会社の人達の目線を気にする事なく堂々と車にカヌーを積んで会社にやってきた男。
まさに「心、仕事にあらず」なフライング野郎。
終業のタイムカードを押すと同時に、そのまま職場から四国に向けて僕は旅立って行った。
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悪魔の囁きに端を発した今回の四国遠征。(参考:ファウストの懊悩)
出足はいつものようにすこぶる快調なスタートとなった。
まず、僕の「お腰の恋人」が激しく反乱。
ここの所、日に日に酷くなる腰痛がついにこの日に爆発したのだ。
これから徳島まで7時間くらい車を運転しようって時に、非常にキビシい現実。
あまりの辛さに、仕事中に外出願いを貰って接骨院で調整してもらったほどだ。
出発前にして、実に悲壮感漂う手負いのマゾ一匹。
正直、四国まで体が持つ自信がない。
さらにこの日のお昼のニュース。
「四国から東海地方にかけて激しい雨が降るでしょう、河川の氾濫などにご注意ください」って言ってる。
これから東海地方から四国に行って、河川を下る事だけが目的の男に突きつけられた悲しみの事実。
動けずに不本意だったGW前半があんなに快晴続きだっただけに、男のショックは計り知れない。
かつてないほどに、出発時に多大な精神的ダメージを食らってしまった。
さすがは悪魔の囁き四国ツアー。
地獄のモンスターがガッパリと口を開けて待っている気がしてならない。
僕はそれでも四国に向けて突き進んで行った。
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大阪の吹田JCTあたりで、激しい渋滞。
でも、がっつりワンピースのDVDを借りてきているから別に渋滞は苦ではない。
しかし、イタイタの実を食べてしまった僕の腰がついにシャウト。
ついに体内に「バスターコール」が発動した。
早くもノックアウトかと思われたが、歯を食いしばりながらの移動は続く。
ただ車で移動しているだけなのに、額にはジットリと脂汗が滲み出す。
GWって楽しむもんじゃないの?もしくは体をリフレッシュさせる期間じゃないの?と人は言うだろう。
そんな言葉は丸めてベンキマンにでも流してしまえば良い。
僕にとってGWとは「人の体と精神がどこまで耐えられるか?」の人体の神秘に鋭く迫ってみる期間。
楽しもうなんて贅沢な思考回路は、もはや遠い昔に消え去ってしまって思い出せない。
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四国上陸前に天気予報をチェック。
すると、明日からの天気が回復方向に向かっていた。
明日は天気悪いと思っていたから、激流の「那賀川」に行く予定になっていた。
激流ならどうせずぶ濡れになるから、天気良くなくても気にならんと踏んでいた。
でも、天気がいいんだったら清流の「穴吹川」を下っておきたいじゃないか。
早速、横浜から四国に向かっている最中のB旦那に連絡。
協議の結果、そういうことならと予定を変更して穴吹川で集合ってことになった。
こうして僕は四国に上陸すると、そのまま徳島道で穴吹川を目指した。
それにしても、夜12時のこの段階でB旦那達の横浜組はまだ名古屋近辺。
ゾッとしてまう距離だが、彼らも中々のマゾどもだからそれなりに楽しんでる事だろう。
やがて1時頃に、穴吹川近くの道の駅に到着し車中泊。
明日の天気は良さそうだ。
「晴れ時々曇り」の最高のコンディション。
さあ、いよいよ明日からステキな川下りのスタートだ。
僕はワクワクする気持ちを抑えながら、静かに眠りについた。
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朝5時頃、シトシトという音で目が覚める。
おや?
何だろうこのお馴染みの感覚は?
おやおや?
天気予報では晴れ時々曇りっておっしゃってなかったかい?
これは「時々曇り」のレベルじゃないぞ。
むしろ雨降ってるじゃないか。
慌てて携帯で天気予報をチェック。
すると僕が寝ていた、たったこの数時間で「晴れ時々曇り」から「曇り後雨」へと驚きの変貌を遂げていた。
なんてことだ。
試しに当初行く予定だった那賀川の天気をチェック。
なんと「曇り後雨」だった予報が「晴れ時々曇り」へと変わっている。
おお、神よ。
天は僕を馬鹿にしているのか?
慣れている事だが、いつまで経ってもこの時に受けるショックは変わらない。
急いでB旦那へ連絡。
幸いまだ四国上陸手前だったから、再度予定を変更して目的地を那賀川へ切り替えた。
那賀川は穴吹川の逆方向なので、僕は雨の中せっかく来た今までの道をまた戻って行くことになった。
なぜ、いつも移動だけでこんな思いをする事になるのだ?
結果的にわざわざ穴吹川の近くまで「寝に来ただけ」というマゾプレイを完成させただけじゃないか。
お日様を求めて、腰痛野郎の移動はまだまだ続く。
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徳島市街でちょうどB旦那達と合流できそうだった。
実はこの時僕はちょっとソワソワしていた。
今回のメンバーに急遽参加が決まった子がいると聞いていたからだ。
世の中何が起こるか分からない。
ひょっとしてその子と激しく意気投合してしまい、そのまま禁断の駆落ち逃避行が始まる可能性だってあるじゃないか。
妄想野郎の脳内シアターに胸キュンストーリーが駆け巡る。
とりあえず第一印象が重要だな。
まずなんて話しかけて、心をグッと引き寄せるかが今後を大きく左右する。
いくつかのパターンを用意して、たちまちその子を虜にしてみせるぜ。
しかし後に発覚する。
その子とはなんと男だったという事が。
しかも以前「富士六苦フェス」で、共に富士山に登った「タオラーS」だった。
おっさんじゃないか。
こうしていつも通りの雨の中、いつも通りに夢から覚めて、いつも通りの旅が始まった。
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今回のメンバーは5人。
岐阜よりひとり参戦するは、まぞしこジャパン代表の「僕」。
そして横浜組で今回の旅の悪魔の囁き人「B旦那」と、歩く好奇心こと「B女房」。
そしてバター使いの名手「バターN」と、まさかの「タオラーS」。
尚、タオラーSは今回の旅より「ダッチャーS」と改名する事になるが、誕生秘話はまた後ほど。
徳島市街で全員合流して、はるばる那賀川へ移動。
やがて道路の上から見えた那賀川の流れは、明らかに大増水の様相を呈していた。
一応、那賀川も「清流」って書いてあったんだが。
凄い流れの速さで、なおかつ水面は盛り上がって、見ているだけで恐怖が湧いて来る。
昨日からの豪雨で、ニュースの言う通りの「河川の氾濫」が目の前に展開されている。
天気予報は外れてもこの手の予報は見事にその通りになるのが切ない所だ。
そもそもこんな氾濫した川が下れるのか?
僕とB旦那が呆然と川を眺めていると、後ろから付いてきているはずのバターN達の車が一向に追いついて来ない。
全然待っても来ないから、さすがに事故った思って焦っていると随分遅れてバターNの車が到着。
どうやら車内に「ハチ」が乱入してきて大パニックだったようだ。
バターNは無類の「アウトドア好き」なくせに無類の「虫・蛇嫌い」な男だ。
アウトドアマンにとって決定的な弱点を持つ彼は、果たしてこの世界に向いているのか?
カナヅチなのにカヌーに乗り、高所恐怖症なのに山に登る僕が言う事ではないが。
まだ車内にハチがいるのではないかと恐々とするバターN。
しまいには「車内の荷物を全部出して確かめる」などと恐ろしい事を言い始める。
そんなガラスのアウトドアマンの悲痛な叫びに付き合っている時間などはない。
我々はスタート地点の鷲敷青少年野外活動センター下へと車を走らせた。
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現場に到着してみると、ありえないスピードの水流と轟音の濁流祭り。
ほとんどカヌー経験のないダッチャーSも「本当にここを下らされるのか?」という不安一杯の表情だ。
「四国の川は穏やかな清流ばかりだ」と言われて連れて来られてこの光景。
そして彼はこの時まだ微塵も思っていない。
まさかこの数時間後に自分が「渦に巻かれて濁流に放り出される」という惨劇が待ち受けているなどとは。
もちろんこの川をチョイスしたのはこの僕だ。
確かに激流系の川なんだけど、まさか事前にあれほどの大雨が降るなんて思ってもなかった。
毎度僕のミスチョイスで今まで多くの犠牲者を排出してきたが、今回も新たな犠牲者を生んでしまう事になるようだ。
一方で「うああああっっ!」というバターNの突然の激しい叫び声。
どうやら道ばたから蛇が出て来たようだ。
やはりこの男、ハチといいヘビといい明らかにアウトドア向きではない。
アウトドアでいつもすぐに体調を崩す僕が言う事ではないが。
さらに奥にある「赤石の返し渦」とやらを見に行く。
まるでディズニーランドみたいな雰囲気の道を進んで行く。
しかし、この先にあるものはファンタジーのカケラもない世界だ。
「赤石の返し渦」は、この川最大の難所。
ガイドブックには「4mの渦が発生し、水深は9.5m」などど随分オシャレな事が書いてある場所だ。
次第に増水した赤石の返し渦ポイントが見えて来た。
地獄絵図だ。
川全体が沸騰してるかのようにそこら中でボイルし、水面は大きく盛り上がってうねりまくる。
そこかしこで渦が発生し、流れがあまりにも複雑すぎる。
何度か突入シュミレーションしてみるんだが、僕の脳裏に映し出される最終映像は「死」しかなかった。
「頑張れば行けるんじゃないか?」というB旦那に対し、僕は必死でダメだと訴える。
過去に長良川で人間洗濯機プレイを楽しんだ事のある僕にとって、この区間はリアルな死の匂いで充満しているように感じてならなかった。
協議の結果、当たり前だが「赤石の返し渦」下流からのスタートが決定。
ここより下流は「ダッキー初心者」に最適コースと書いてある。
しかし、本日は絶賛増水中。
我々はこの川に受け入れてもらえるんだろうか?
そして晴れると見込んで、わざわざ穴吹川からこっちに来た我々。
天気予報もご覧の通りだ。
しかし、携帯から目を離し頭上を見上げるとどうにもギャップを感じてしまうのは僕だけだろうか?
一体何度このパターンを繰り返せば気がすむのか?
晴れてないばかりか、風も中々に吹き荒れている。
初日にして暗雲立ちこめる不安たっぷりの立ち上がり。
しかし「せっかく来たんだし」という、一番良くない思考回路が我々に川下りを決断させた。
増水で濁流で強風。
状況としては最高だ。
横浜組は12時間以上のドライブからの濁流ドライブ。
望んで集まったマゾ5人。
次回はそんな5人の那賀川濁流ライダー達の模様をお送りしよう。
正直まだ体調が良くないので、次回更新は気長にお待ちいただきたい。
ーーつづくーー
激流どうでしょう第1夜〜腰痛移動編〜
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MATATABI BASE
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バンディッドデビューしましたねぇ。
僕も早く乗りたい!今週鬼怒川に行くつもりです。
このGW、僕は栃木の田舎に居てバンディッド進水式をと目論んでいたのですが関東地区を襲った大雨で進水式&渓流釣りが出来ず腐ってました。
昨日、穴吹の実家に電話したら雨はそれ程でも無かったよと言ってて、いつも見ている穴吹川沿いのアウトフィッターのブログも穴吹川は笹濁りなだけで天気良さそうでした。↓
http://yoshinogawa.naturum.ne.jp/
那賀川は増水のようでしたが水量チェックしてますか?
僕は川に行く時は国土交通省の水位データベースをチェックしています。行く場所近くの観測所の通常水位さえ押さえておけば外れはありません。
。↓これはPC向けのサイト
http://www.river.go.jp/nrpc0308gDisp.do?mode=&obsrvtnPointName=%8D%B2%8A%D1&prefecturesCode=9999&rvrSysName=&riverName=&selectKind=1
携帯用のサイトもあるのでブックマークしておけば更に便利ですよ。
お勧めです
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どうもです、つんのこさん!
ほんとは今年のGWは関東遠征を考えていました。
那珂川行ってつんのこさんのとこにでも顔出そうと思ってましたが、急遽四国遠征になりました。
また今度行く時はよろしくです!
そしてゴエモン(バンディット)、いいですよー。
正直相当に気に入ってます。
やっぱりあの軽さは何にも増して素晴らしい!
空きまくったセルフベイラーで、ハンパない安心感。
まあ、僕としたら初のダッキーなんで比較対象がないですがものすごくしっくり来てます。
是非是非鬼怒川で堪能しちゃって下さいね。
そして穴吹川のTripさん。
前々からカヌーライフで読んでたから知ってたんですが、まさにこの記事の日に穴吹川でバッタリ遭遇しました。
いろいろ理由があって、ゆっくりお話しする事がなかったのが悔やまれます。
そして残念ながら穴吹川は濁ってて、結構な激流の川になってました。
以前に穴吹川の本来の姿を目撃している身としては非常に悔しかったですが、やっぱり気持ちのいい川でした。
那賀川に関しては確かに水位は調べたんですが、肝心の通常水位が分からずに判断凄く悩みました。
危険水位までは達してなく、コースも初級コースで、全行程下見出来たので突入しました。
でも、ほんと重要な事なので今後もっと気にしてみます。
PCサイトも参考にさせていただきます。
それにしても事前にあれほどの雨が降るとは。
せっかくの清流大国徳島だっただけに残念な結果でした。
まあ、僕らしいんですけど…。