今回から「あん時のアイツ」シリーズ第10弾として、「四国なアイツ」特集だ。
過去7度四国を訪れているが、どれもとてもいい思い出となっている。
旅で1回、カヌーで3回、自転車で1回、お遍路で2回。
僕の大好きな場所、四国。
ここから暫くは、そんな過去の四国野郎の様子を何回かに分けてまとめて行こう。
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最初に訪れたのは、大学卒業したての若造の頃。
友達と4人で車に乗って四国を一周した。
写真は残っていないが、この時始めてカヌーというものを体験した。
なんとなく参加したのがきっかけで、完全にはまった。
今思えば、カヌーデビューが四万十川だった辺り贅沢な話だ。
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という事で、今回は初めて一人でカヌーを車に積んで四国に乗り込んだ時の様子。
2004年の11月。
まずは高知県の「仁淀川編」だ。
鳴門海峡を渡って憧れの四国へ。
さすがと言うか、どんよりとした雲が出迎えている。
この頃の僕はとにかくお金がなかったから、基本的に移動の全てが下道だった。
この時も淡路島分はしっかり下道で走り、海峡越えの部分は仕方なく有料に乗るという感じだった。
当時は行く場所行く場所が全て新鮮だったから、下道は全然苦じゃなかったな。
だとしても、高知までは20時間以上運転し続けたけど。
今の僕がやったら、徳島辺りで喀血して死ぬだろうな。
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徳島に上陸すると、四国八十八ヶ所霊場の1番札所「霊山寺」が登場。
へー、ここから四国一周の八十八カ所も歩くのか。信じられんな。
みんなドMだな。
なんて思ってたけど、まさかその数年後に自分がお遍路さんとなってここから歩き出すとは露ほども思ってはいなかった。
人生なんて、どうなるか分からんもんだ。
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どんどん進んで、夕方辺りで吉野川の「大歩危小歩危」あたりに到達。
もう暗くてよく分からんかったけど、その轟音だけは禍々しく鳴り響いていた。
日本屈指の激流スポット。
いつか「ゴエモン」とともに下る日は来るのだろうか?
その近くに、山の中にポツンと突然モンベルのお店が現れる。
もうすっかり雨降ってるね。
店員さんに川の情報を聞いていたら、今日偶然にもイベントが行われるというではないか。
しかも話を聞いていると、なんとあの名物社長「辰野勇」さんが来ているというではないか。
テレビや野田さんの本や雑誌でもよく見ていた人で、憧れのアウトドア野郎のひとり。
アイガー北壁日本人第2登攀や、コロラド川・グランドキャニオンでの川下り等数々の伝説を持つ男だ。
フリースタイルカヤックのイベントだったから、僕は全く関係なかったがイベントに参加した。
「旅カヌー」の僕にとっては異次元のイベントだったが、とても楽しかった。
そして憧れの辰野さんと一緒に写真も撮れた。
隣の外人は、何やらこの世界では有名な男のようだが誰かは分からない。
でも一応凄そうな人だったから、感激した顔を見せておいて一緒に撮ってもらった。
その日はさらに車を走らせ、高知県の仁淀川のスタート地点の公園でテント泊した。
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翌朝、仁淀川の公園で起床。
昨日の夜は真っ暗だったから分からなかったが、明るくなって気づいた。
めちゃめちゃ川が濁っている。
ここ数日降った雨と、昨日の雨で川は増水していた。
仁淀川は、実は四万十川よりも清流との呼び声高き屈指の清流らしい。
しかし20時間以上掛けてはるばるやって来た僕の眼前には、清流では無く濁流が広がっていた。
失意の中僕は仁淀川に漕ぎ出した。
まあ川の透明度はゼロだけど、雰囲気は中々よろしい。
現役の川漁師も結構いて、昔ながらの川の風景が残る四国らしい川だ。
しかし、どうにも気分が上がらない。
家から遠ければ遠い程、楽しみにすればする程、ベストな状態じゃない仁淀川に対して溜息が漏れてならない。
ううう、全く楽しくない。
せめて通常の状態の仁淀川が見たかった。
悲しみに暮れていると、激しい雨が僕に襲いかかる。
写真の記録データを見ると、出発から30分くらいからこの悲劇が始まっている。
出発する時に降っていれば漕ぎ出す事も無かっただろうに。
この頃の僕の旅はいつもこんな感じだった。
この写真を最後にしばらく写真は撮影される事無く、次に出て来る写真はゴールの沈下橋だった。
およそ2時間以上、彼は雨の中黙々と漕いでいた事になる。
もう当時の事を細かく思い出せないが、これを書いていて少し胸がツンと痛くなったよ。
今もこの頃も、僕はあんまり変わってねえなあ。
そして悲しみの仁淀川が終わり、僕の移動は続く。
さらに西へ移動し、目指すは「四万十川」だ。
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途中で見事に道に迷い、住宅地へ入り込んでしまった。
しかし旅先のこんなハプニングは思わぬ喜びを与えてくれる。
歴史好きの僕にはたまらない瞬間。
それは偶然見つける「マニアックな武将の墓」の発見だ。
ほんとに唐突に、こんな小さな路地に「長宗我部元親」の墓を発見した。
マニアック武将と言えど、一時は四国全土を制覇した男がこんな辺鄙な場所に葬られているなんて。
長く山内家の支配下に置かれた高知の歴史を垣間見た瞬間だった。
この時の感激。
興味ない人には全く伝わる事はないだろう。
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ひたすら海岸線の旅路がつづく。
そしてついに憧れていた「桂浜」に到着した。
ここは日本海かと思えるような、どんよりとした雰囲気と寒々しさ。
おかしい、随分イメージと違う。
もっと南国的な明るさに満ち、希望に溢れた海岸を期待していたんだが。
この頃どっぷりと「幕末」にはまっていて、「竜馬がゆく」なんかを何度も読みまくっていた僕にしてみれば凄く楽しみな場所だったのに。
11月の秋の浜風が、心まで染みてくる場面だ。
振り返れば竜馬が僕に呟いてくる。
「心配せんでも、おんしにゃ夜明けは来ないぜよ。」
さすがの坂本竜馬も、僕と好天との間に同盟を結ばせる事は出来ないようだ。
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こうして僕は四万十川に向けて移動して行った。
そして僕は四万十川で、ついに「神様」に遭遇する事になる。
サッカー少年が突然メッシに遭遇。
野球少年が突然ダルビッシュに遭遇。
それに等しい事が、このカヌー青年にも訪れるのだ。
そして四万十川の夜。
カヌー青年は号泣する事になる。
カヌー野郎青春時代。
四国初一人旅「四万十川編」。
また折りをみて更新して行きますね。
四国なアイツ〜仁淀川編〜
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MATATABI BASE
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