仙丈ヶ岳/長野

仙丈ヶ岳2〜快楽に落ちて行く男〜





7:20に登り始めて、しばし談笑しながら登って行く。

この山は取り付きから、中々に登りやすい登山道だ。

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南アルプスの女王なんて異名がついているから、僕のようなマゾ野郎は勝手に先走ってゾクゾクしていたが、要は女性的な優しさと緩やかな山容から女王と名付けられたみたい。

でも油断はしない。

最初は優しくても、結婚して子供を産んだ途端豹変するリアルな女王様を僕は知っている。



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いかにも秋の登山といった感じだ。

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完全に山が色づくにはまだ早かったけど、それでもそこそこ雰囲気は感じられた。

気温も快適だし、これが秋の登山ってやつか。いいもんじゃないか。


1時間半ほど歩いた所で5合目の大滝頭に到着。

ここからルートは二手に分かれる。

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左を行けば快適展望稜線コース。右を行けば謎の難路コース。

ここでどちらのコースを取るかの緊急会議が開かれた。

マゾ男二人、サド女一人、黒はんぺん一人というチーム構成なので、必然的に多数決で右のマゾコースを選択した。

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マゾコースに入った途端、辺りは暗くなり急に寒くなった。

いいぞ。ニヤリとする僕とB旦那。

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このマゾコースは一度谷側のコースなので、このような小川をいくつも越えて行く寒々しいコースだ。

一方で、右手の展望が開けると素晴らしい山容が姿を現す。

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しかしさすがはマゾコース、登山道はゾクゾクするような姿で我々を迎えてくれた。

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谷に落ちる一番危険な箇所が、見事に凍り付いている。

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ツルッツルの氷の上を慎重に進んで行く。

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この場面だけ見れば、ジジィとババァの行進だ。


中にはロープを使って進む場面も。

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心の中ではガッツポーツだ。

危険ではあるんだけど、適度な感じの危険度と寒々しさが僕のアドレナリンを刺激する。

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川越えも徐々にハードになって行く。

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もはや一部凍り付いてツララまで出来てる始末。

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難所を乗り越えて、勝利のコマネチを披露する黒はんぺんHくん。

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あまりの古いアクションに、寒々しさも倍増だ。

隣のサディスティック女優の顔は窺い知れないが、この位置からでも彼女の舌打ちが聞こえてきそうだ。


そんな我々を優しく見守る車山(多分)。

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やがて薮沢小屋に出た。マゾコースのおよそ1/3地点。

そろそろオシッコを催していたので、トイレの存在がありがたかった。

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右側の扉を開けようとしたら何故か鍵がかかっている。

不安を覚えたが、左側のトビラはがちゃりと開いた。

よかった。無事にオシッコ出来るぞ。

しかしそこには予想もしていなかった光景が繰り広げられていた。

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一体僕はどこに向かって放尿すればいいのだろうか?

便座らしき物の下はメッシュ地だから、僕の黄金水が突き抜けて行く事は火を見るより明らかだ。

これがもし強烈な腹痛で、うんこがケツの穴から少しコンニチハしているギリギリの人だったら、この光景を見た途端ジ・エンドだろう。

これは恐らく何かしらレジ袋のようなものをセッティングして、用が済んだらうしろのバケツに入れるという仕組みなんだろう。


あまりの驚きにトイレを撮影する女優。

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この写真だけ見ると、排便中の男を突然激写するS女に見えるがそうゆうわけではない。

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何本目かの小川を越えて、薮沢新道との合流地点へ到達。

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日陰だらけだった谷を越えて、やっとお天道様の光を浴びての登山になって来た。

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実に秋らしい光景だ。


ここから馬の背ヒュッテまでは結構な急登だ。

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しばらくグハグハ登ると馬の背ヒュッテが現れた。

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5合目からここまで1時間位。頂上まであと半分の1時間ほどの位置だ。


ここから登山道は、しばらく柿農園のような雰囲気になって行く。

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急に地元の里山にでも来てしまったかのような感覚。

地引き網の仕掛けにかかってしまった回遊魚のような気分で登って行く。


しばらく登って行くと、突然尾根に突き抜けて視界に絶景が飛び込んで来た。

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この「出会い頭の展望」というシチュエーションが大好きだ。

突然に景色が開けると、つい外人チックに「ワオ」と言ってしまう。

大変な登りも報われる瞬間だ。


背後には「南アルプスの貴公子」甲斐駒ケ岳が鎮座し、

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進行方向には、ついに「南アルプスの女王」仙丈ヶ岳の女王様のご尊顔をとらえた。

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女王らしい、実に女性的なセクシーな稜線だ。

ここに来るまでの女王様の下半身は意外とごつかったから、なおさらその美しさが目に映える。


最高だ。

登山って楽しいじゃないか。

こんな僕でも楽しんでもいいのかもしれない。

登山って修行じゃないんだね。

ましてやマゾヒストの為にあるもんでもないんだね。

もう変な被害妄想にビクビクする必要もないかもしれないぞ。


すでにこの頃にはもうiPhone4Sの問題なんてとても小さな悩みとなっていた。

携帯なんて通話出来ればいいじゃないか。

というか携帯なんていらないや。

もう仕事だっていいや。

家庭だってもういいや。

もう何だっていいや。

楽しけりゃいいじゃないか。


こうして僕は快楽のままに、ふくよかな女王様に優しく抱かれて行った。


〜仙丈ヶ岳3へつづく〜



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