目次
プロローグ
夏を取り戻すべく繰り広げて来た「秋吉久美子ラウンド」第5弾。
人は多忙の中でどこまで無理やり遊びきる事ができるのか?の戦いもいよいよ大詰め。
ここまで「沢」「海」「湯」「鍋」「川」「腰」という数々の試練を乗り越えて来たが、今回ついにフィナーレを迎える。
その舞台は「穴」。
結局最後まで肝心要の「山」が登場せず、地味でマイナーな「穴」でフィニッシュしてしまうのがユーコン流秋の過ごし方。
しかし彼はこの「穴」に至るまで、無理に無理を重ねすぎたことによってすでに満身創痍の状態。
第2弾の「海」の段階で腰が破壊され、その後はロキソニンを友にしながらの強行軍。
しかしそのギリギリの戦いも前回の「川」でついに腰が爆発し、そのまま病院送りとなってしまったことは記憶に新しい。
彼は整形外科の先生に「一体何をしたんだい?」と問われ、「ええ、シーカヤックとちゃぶ台ワークで腰を痛めて、そのまま20kg近い荷物を担いで山に入って、そして今日川を下ったらこんなことに…」と説明する。
流石に先生も「シーカヤックまではいいとしてもその後がいただけないですね…」と情状酌量の余地なしのご診断。
先生は「レントゲン見る限りヘルニアじゃなさそうなんで、とにかく安静にしてください。」と言った。
しかしあくまで秋吉ラウンド完走を目指す男は、「あのぅ…3日後には洞窟に入りたいんですが…ダメすか?」と引き下がらない。
先生は美木良介ばりの深い深いロングブレスため息を吐いた後、「次は洞窟ですか…いや、別に止めはしませんけどね…」と呆れ顔でGOサインを出した。
こうして彼はアツい情熱で整形外科を黙らせ、最終ラウンドの洞窟への挑戦権を獲得。
一応お馴染みのアガタ隊長に「腰やばいことになってるけど大丈夫っすかね?」と聞いてみたが、隊長は「そんなものは洞窟に入ってしまえば勝手に治りますよ。」と説得力ゼロの返信をして来た。
前回の吉田隊長の「骨折は怪我じゃない」発言しかり、このJETという洞窟チームは変態超人の集まりなのか?
しかし満身創痍なのは何もユーコンカワイだけではなかった。
今回は以前BBGの頃に洞窟童貞を同時に卒業した他の3名も来るんだが、彼らもまた準備は万端の様子。
まずスノージャンキーHさんは、僕と同じく謎の腰痛を発症中。
テスリンYさんは、1週間前まで腸内炎症で約2週間ほど断食入院しており、体力と筋力を目一杯落とした状態での参戦。
そして鯉さんは、なんと洞窟4日前に「ギックリ腰」を巻き起こして立つ事もままならないというスペシャルマゾ状態だったりするのだ。
見事に出揃った夢の「満身創痍カルテッド」。
絶対に洞窟なんて行っちゃダメな4人だが、彼らの辞書に「安静」の二文字はない。
そんなギリギリボーイズに対し、アガタ隊長はサディスティックに言い放つ。
「今回は二つの洞窟を巡る洞窟ダブルヘッダーです。丸一日、がっつり穴の中を探検して腰を治しましょう!」と。
これは「いろいろ限界の人たちが洞窟に入って行くとどうなるの?」という人体実験。
彼らは洞窟に探検しに行くのではない。
あくまでもアガタ隊長の「腰痛なんて洞窟で治る発言」を信じ、洞窟に治療しに行くのである。
その舞台は伊勢の「鷲嶺水穴(しゅうれいすいけつ)」と「覆盆子洞(ふぼんじどう)」。
何やら男塾名物風のネーミングが不安を煽るが、そんなこと気にしてたらいつまで経っても腰は治らない。
さあ!男なら腰の痛みなんぞロマンで治してみせるがいい!
第1クリニック「鷲嶺水穴(しゅうれいすいけつ)」
患者集結!
クリニックの朝は早い。
少しでも早い時間に診察してもらいたい者は、深夜のうちから集合場所の公園で診察待ちをする。
しかし中には診察時間前に処置が間に合わずに息絶える者もいるという。
そしてここにもまた一人そんな被害者が。
なんとその公園の片隅で、一体の変死体が死体袋に包まれた状態で発見されたのである。
検視の人の話によるとこの患者の死因は「ギックリ後死」とのこと。
後少しで念願の洞窟クリニックで診察してもらえるところだったのに、さぞや無念だったことだろう。
男の死臭が漂い始める中、他の患者たちも続々とこの公園に集まって来た。
そこに腰痛王ユーコンカワイも合流。
彼はフラフラと車から降りると、牛歩戦術か?と見まごうほどの遅い歩きでみんなが待つ場所にたどり着く。
そしてデスラー総統級の真っ青な顔で「おはようございます…」と言ったかと思うと、おもむろに痛み止めのロキソニンをゴクリと飲み干す。
そして介護士の人にロキソニンテープを腰に貼ってもらい、
仕上げはコルセット。
人は「そこまでして行かなくても…」と言うだろう。
しかし何度も言うが、彼はあくまで治療のために洞窟に入るのだからオールオッケーなのである。
今回はそんな彼のために、「介護人」として低血圧Mちゃんが洞窟初参戦。
かつては「コケを撮るのが好きなカメラ女子」だった彼女も、マゾ覚醒後はソロでアルプスを縦走し始め、そのうち雪山まで初めてしまい、沢登りやロッククライミングにまで手を出し、PEAKSに二次元デビューしたかと思うと、とうとう今回はケイビングスーツに身を包んでいる。
職場で同僚からふんわり系女子に見られている彼女は、その同僚たちに「今度洞窟行くんだ♪」って言ったら激しくドン引きされたと言う。
ある意味彼女も「患者」なのである。
そうこうしてると、なんと先ほどの死体袋の中の男がむくりと起き上がった!
死体だと思われていたその男はおもむろにタバコをふかし、鼻をほじくりながら「あ〜腰痛え」と言って我々の所ににじり寄って来たのである。
よく見ると「鯉隊員」ではないか!
そう、彼は毎度おなじみの「地面ダイレクト寝待ち」で先に現地入りしていたのだ。
相変わらずテント・タープ糞食らえの男らしい登場だ。
とはいえ実は彼も腰にコルセットを巻いており、ユーコン共々立ってるのがやっとの状態。
何気に鯉さんの隣に写ってる退院明けのテスリンYさんも、真っ青な顔で目も開けられずに虫の息のご様子。
そして激しい腰痛に苦しむスノージャンキーHさんも、ユーコン同様「介護人」のやっちゃん同伴での参戦。
まだ出発前だが、美しい痛みのハーモニーを奏でる満身創痍カルテットたちである。
今回はJETの3名(アガタ隊長、むぎママさん、ユさん)、満身創痍カルテット4名(ユーコン、鯉、テスリン、スノジャン)、介護士2名(低血圧、やっちゃん)のメンバー構成。
そしてここに今回は、毎度激流下りの時に登場するパックラフターの「麻婆軍曹」も洞窟初参戦。
実は彼はかねがね「俺は閉所はダメなんだ」と公言していたが、今回半ば強制的に参加させられることになった。
ってことで今回の見所は「満身創痍カルテットの腰は本当に治るのか?」と「麻婆軍曹は閉所の極みである洞窟に耐えられるのか?」の2本である。
さあ、クリニックへの受付は済んだ。
いざ、命がけの治療の旅が始まるのである!
Road to 診察室
今回のクリニックは、実は待合室から診察室までの道のりが何気に長い。
相変わらず洞窟がどこにあってどんなところなのか教えられてない患者たちご一行は、不安のままただついて行くだけ。
そしてこの段階で、早くもアガタ隊長は患者たちを置き去りにしてズギャンズギャンと先に進んで行ってしまうのである。
背後には大量の重症患者たちがいるにも関わらず、相変わらず容赦のないアガタクリニック院長のサディスティック引率が炸裂。
ここで振り切られたら迷子になって死んでしまうと、慌てて追いかける患者たち。
しかしこのなんの変哲もない倒木ですら、ぎっくり腰の男にとっては地獄の難関。
まだ洞窟じゃないのに、早くも響き渡る鯉さんの「ぐおおおおおお!」と言う雄叫び。
ヒイヒイ言いながら、やっと診察室まであと「350m」の場所まで到達。
しかしアガタ院長はサディスティックにニヤリとしたかと思うと、「こっからの350mは普通の350mじゃないです。超急登の350mです。」と満足げに患者たちを見下ろして来たのである。
なんてハードなクリニックなんだ。
腰が治るどころか、確実に悪化している気がしてならない。
しかしこのハードな急登を乗り越えた者だけが診察を受けられるのだ。
腰を治すためにこれは必要不可欠な行いだと信じて進むしかない。
一歩登るたび、そして一つ倒木をまたぐたびに嗚咽を奏でる満身創痍カルテット。
そんな超急登でたっぷりと痛みを悪化させたところで、ようやくお目当の鷲嶺水穴クリニックの診察室前に到達だ。
伊勢の洞窟らしく、入り口上部にはしめ縄などが張ってあって実に神聖な雰囲気が漂いまくる。
聞けばかつてあの剣聖・宮本武蔵は、この洞窟の水を飲んでこの山で修行していたという。
そしてここにも一人、過酷な修行を強いられてグッタリとその場に倒れ込む男の姿が。
まだ診察前だが、正直ヘリ救助を要請したいほどに腰痛いわヘロヘロだわの危険な状態。
しかしこのクリニックには、そんな瀕死の患者ですら息を吹き返してしまうというウェルカムサービスが存在するという。
そう、それがこの「ヒルまみれの情事」なのである!
続々とよじ登ってくるヒル、ヒル、ヒル、ヒル、ヒル、ヒル…。
これには倒れこんだ患者たちも「きゃああああああ!」と絶叫し、強制的に洞窟内へ逃げ込むことに。
「休むことは許さない」
それがこのクリニックのたった一つのルール。
さあ、いよいよ満身創痍のバガボンドたちよ。
心置きなく診察されてくるがいい!
診察開始
アガタ院長の「腰痛なんて洞窟で治る発言」を信じ、ついに念願の洞窟診察がスタート。
ここに来る前、アガタ院長は患者たちに「ここは前回みたいにハードな洞窟じゃないです。ちょっとしゃがむ程度ですし、そんなに濡れないですからお気楽です。」と言っていた。
だから腰痛持ちでも無理せずに行けるし、閉所が苦手な麻婆軍曹だって平気なはず。
さあ、ちょっとしゃがむ程度の洞窟へいざ突入だ!
やはり全てがウソだった。
しゃがむ程度だったのは最初の5歩程度で、そっから先は結局いつも通りのハイハイスタイル。
濡れないと言ってたのに最初からがっつり濡れるし、みるみる腰も冷えて鈍痛が増して行く。
しかもまだ診察開始数分だというのに、なんと早くも麻婆軍曹が閉所恐怖症を発症してまさかの離脱!
本人としてはあれほど「イヤダイヤダ」って言ってたのに、「簡単な洞窟だから」と言われて無理やり連行され、案の定閉所恐怖症を発症して撤退を余儀なくされるという生き地獄。
結局麻婆軍曹はそのまま帰還して駐車場待機という放置プレイの住人になってしまった。
川では鬼のように強気な軍曹も、流石に穴ではフィールド違いも甚だしかった模様。
恐るべし、洞窟クリニック!
早くも一人の貴重な隊員を失ってしまったが、あの川口浩探検隊も大概早い段階で隊員が被害に遭って撤退するというもの。
むしろここで注目するべきは、早くも洞窟クリニック効果が出たのか、患者達の痛みがリアルに緩和したという本気のミラクルの方だ。
鯉隊員に至っては、ぎっくり腰の痛みを腰から闘気(オーラ)として吹き出し始めたではないか。
本当に理由がわからないが、腰痛持ちの3人が確かに元気に動き出したのだ。
テスリンYさんに至っては、つい1週間前まで絶食入院してたとは思えないシャープな動きで狭い穴に突っ込んでいく。
水を得た魚、いやさマゾを得た深海魚のように急に元気になる患者たち。
ユーコンカワイも、まるで「嫁に土下座してる最中に上から巨岩に押し潰された」的な状態になってるが、こう見えて割と元気に動いている。
そしてこの段階で、もちろん放任主義のアガタ隊長はもはや付いてきてないというまさか。
相変わらず「素人だけで未知の世界を探検せよ!」という恐ろしい事態に。
この先がどうなってるのかさっぱり分からない中で進むのは凄まじい恐怖で、もし行き詰まったら引き返してくるのは至難の世界。
そんな先が不安な時は、とりあえず隊で一番の巨体である鯉さんを突入させるのだ。
「鯉さんが通れるなら誰でも通れる」というパターンが慣習化し、隊の中ではいつしかこの行為のことを「鯉占い」と呼ぶようになった。
この占いが吉と出るか凶と出るか毎回ドキドキなんだが、基本的に凶が出たらそれはすなわち「死」を意味する。
実に恐ろしい占いなのである。
そしてこの一連の満身創痍カルテットたちの復活劇に対し、マゾ心を刺激されたのが初参戦の低血圧Mちゃん。
ユーコンカワイから「ここに穴があるから気をつけてね」という注意メッセージを受け取り、それに対して彼女が出した回答がこれだ。
もはやダチョウ倶楽部のような安定した流れ。
穴に落ちるなと言われるほどに、マゾの彼女は落ちる道を選択してしまう。
やはり非常に危険な患者だ。
とりあえず麻婆隊員は早くも撤退してしまったが、満身創痍カルテットたちは痛みから多少解放され、介護人たちも己のマゾに没頭することができた。
さあ、まだまだ診察は始まったばかりだ。
洞窟探検家 鯉
JET不在の恐怖探検は続く。
しかしやはり一度経験しているからか、満身創痍カルテットは前回に比べて非常に落ち着いて行動。
先頭を行く鯉さんなどは完全に探検家の顔になっており、まさかの「新支洞発見か!」といった状況へ。
探検家っぽさを出して果敢に挑戦したが、残念ながら彼は水路の中で立ち往生。
たった10mの大冒険は幕を閉じ、無念の撤退。
とはいえ撤退も楽じゃないのである。
さすがはかつて北山川のアラブ岩に巻かれて「岩下死魔」と呼ばれた男、鯉。
とても4日前にぎっくり腰になった男とは思えない迫力で岩の下から這い上がってくる。
これに対し、狭い穴は嫌いだが肩身の狭さは日本一という養子男も根性を見せつける。
この1年で10キロもリバウンドで太った男にとっては、実に苦しい時間帯。
普通の人より顔もデカすぎるため、いちいちヘルメットを外さないと先に進めないというマゾさ。
こういう場所では、体が小さい人のが断然有利。
巨体の鯉さんと巨顔のユーコンがうーうー言いながら這いずり回る中、小人の低血圧Mちゃんは涼しい顔で難所を突破してくる。
山では男衆の歩幅について行けずに苦戦する彼女だが、この洞窟というステージでは圧倒的有利な立場に。
おかげで久々に彼女の「ニヤリ」が飛び出しまくり、また何か新しいものが開花してしまったことが伺える。
もしかしたら彼女はこのまま検査入院になってしまうかもしれない。
滑落する男たち
やがてアガタ隊長が合流し、「次は滝がある場所に行きましょう」と移動。
前回も「神の滝があるから」と言われて頑張ってついて行ったら「滝が枯れていた」というまさかを味わったが、今回はどうか?
もちろんその滝は枯れていたのである。
一応申し訳なさそうにチョロチョロと水は流れていたので、「この水飲めます?」と聞けばアガタ隊長は「もちろん」と答える。
喉がカラカラだった低血圧Mちゃんはその水を狂ったように飲んだが、その直後にアガタ隊長が「コウモリの糞が大量に混じってますけどね」とニヤリ。
図らずも「コウモリティー」という優雅なティータイムを過ごしてしまい、いよいよ彼女もコケを撮ってた時代にはもう戻れないことを悟った模様。
そして今度はこの滝を登って行くことになり、皆でアガタ隊長の講義に耳を傾ける。
これを腰痛持ちの男たちにやれというのだから恐ろしい。
一体どこのどの辺がお気楽な洞窟だというのか。
これ実際に見ると結構岩壁が反ってオーバーハング気味。
しかも岩も脆くて、いつ外れるかわからないというまさかな状況。
とりあえずここも鯉占いってことで、一番腰の症状の重い男で実験してみることに。
とても腰にギプス巻いてる男のクライミングとは思えない。
ぎっくり腰の人は絶対に真似してはいけない動画だが、これがこのクリニックのリハビリ風景だから仕方ないのである。
その後テスリンYさん、低血圧Mちゃんの軽量級も次々と突破。
しかし重量級のユーコンは、途中で手が滑って「やっぱりね!」と叫びながら見事に滑落してケツからドカン!
そしてスノージャンキーHさんも途中で滑落し、なんと後頭部から激しく岩にガツン!
ヘルメットしてなかったら間違いなく頭がかち割れて即死という壮絶さだ。
こうしてこの二人だけはリハビリに失敗して、再び激しい腰痛患者に逆戻り。
しかし正直何が一番痛かったかって、そんな衝撃的な二つの滑落シーンの動画が撮れてなかったということだ。
まさに骨折り損のマゾ儲けである。
結局この滑落二人組は別の穴から遠回りしてみんなに合流。
その先には、先ほど低血圧Mちゃんが嗜んだ「ティー」の源たちが大量に跋扈していた。
そしてここで今回のリーダーだったむぎママさんが「あれ?ここじゃなかったっけ?」と不安たっぷりな事を言い始める。
しかも彼女がアガタ隊長にここで正しいのか聞いても、隊長は嬉しそうに「知らないよ」とニヤリ。
そしてまたしてもここから各々が自由行動となってしまい、いつの間にか散り散りになるというまさか。
鯉、テスリン、ユーコン、低血圧という、ど素人4人だけの不安たっぷりの冒険が始まってしまったのである。
男3人、女1人という、まさにドラクエのようなパーティー編成で挑んだ戦い。
誰1人としてホイミもリレミトも使えない中、ただの偶然だけで元の場所に戻ってしまったのだ。
実に過酷なダンジョンだった。
しかしアガタ隊長が言った通り、確かに腰痛が謎の緩和を見せている。
間違いなくアドレナリンの大噴出のせいだとは思うが、噂通り洞窟クリニックは腰痛治療に有効なことがわかった瞬間である。
新洞発見
やがてワラワラと穴から出てきた隊員たちと合流して下山。
ここでアガタ隊長が「あれぇ。あそこにあるの穴かなあ。もしかして新発見の洞窟かなあ」と言い出した。
そして「ユーコンさん、鯉さん!これ新洞発見かもしれません!見て来てください!」と叫ぶ。
2人はすでにヘロヘロだったが、新洞発見の欲に駆られてその穴らしき場所の調査に向かった。
サディスティックJET隊員たちによって、無駄な洞窟あるある体験に巻き込まれた腰痛持ちの2人。
「腰が痛え」っつってんのに、この余計なプレイをやらされてまた腰を痛めてしまったのである。
やがて駐車スペースまで下山すると、そこにはすっかり忘れていた麻婆軍曹のお姿が。
散々待ちくたびれたことだろう。
彼は「ホンマあかんかった。俺ゆうてたやん、ホンマあかんって!」と洞窟無理宣言。
ここにはここの戦いがあったようだ。
さあ、1本目のクリニックの診察は終わった。
しかし現代の医学では、別の医師の診断をもらう「セカンドオピニオン」が推奨されている。
彼らの治療はまだまだ終わらない。
この腰を完治させるまで、彼らの戦いはまだまだ終わらないのである。
第2クリニック「覆盆子洞(ふぼんじどう)」
骨盤矯正
鷲嶺水穴から車で移動すること20分ほど。
またしても麻婆軍曹を駐車場に残し、患者たちは2本目のクリニックを目指す。
アガタ隊長は「車降りてすぐの好立地です」と言っていたにも関わらず、散々迷って歩かされた挙句にようやく入口の前に到達。
この時点で14時なんだが、実は隊員たちはここまでずっと飲まず食わずの状態。
なんせ飯をどうするかという情報すら与えられていなかったため、まさかこんな休憩もなくダブルヘッダーの2本目に突入するとは思っていなかったのだ。
この時点でハンガーノック寸前の者、脱水症寸前の者多数。
そんな中JETの人たちだけはしっかり自分の分の食料と飲み水を持ってきていたというまさか。
しかしそれもこれもJETの皆さんの患者に対する愛なのである。
という理不尽な状態で、いざ、セカンドオピニオン診察のスタートだ。
こちらのクリニックは、1本目と違ってロープも張ってあるし水も綺麗だしでなかなか快適。
鯉さんも「さすが入口に名勝って書いてあるだけのことはあるわ。今回は楽勝ですね。」と言っていた。
しかしその思いはすぐさま打ち砕かれ、結局また「鯉のぼり」に突入させられることになるのである。
何度も言うが、彼はぎっくり腰の患者だ。
しかも軽いハンガーノック状態。
そろそろ「あれ?俺たちJETの人たちに殺されるのかな?」なんて疑念が湧き始める時間帯だ。
そしてそのクライミングの先は、何やら煙突のような場所を這い出てきて、下にいる人が肩で受け止めるといったファイト一発な一幕も。
さらに また煙突みたいなところを昇竜拳のようにローリングしながら登って、変な穴から出てくるという荒療治も。
本当にこんな事をしてて腰は完治するのだろうか?
水が綺麗だったのは入口付近だけで、そっからはコウモリの糞だらけで服はもはやまっ茶色。
アガタ隊長は「こっちの洞窟は楽ですよ〜」と言っていたが、なんだか1本目よりもハードになってきてる気がしてならない。
しかしそれこそがアガタクリニックの狙い。
あえてギリギリの狭さでもがくことによって、己で己の骨盤を矯正して痛みを根本から治療してやろうという心意気。
ゆえに、「楽ですよ〜」と言っていたはずの洞窟はついにはこんなことに。
半ば強制的に矯正されていく患者たちの骨盤。
ぎっくり腰の男も「ふおおおおおおおお!」とのたうち回ってレッツ骨盤矯正。
もはやウォーキング・デッドの世界。
ユーコン隊員もリアルに挟まって身動きできなくなり、急激に恐怖の波に支配されて若干過呼吸気味に。
それでも治療の手を緩めない覆盆子洞クリニック。
患者たちはいよいよ追い詰められた状況になり、もう腰が痛いだの言ってる場合じゃなくなってきたのである。
そう、これこそアガタ院長が追い求める「無痛」の世界。
痛みなどというものは、恐怖でどうとでもコントロールできる。
イエス!アガタクリニック。
再検査
アガタクリニックの強制矯正によって結局ほぼ全員が満身創痍の状態に。
そんな中、隊員たちは苦労の末に大きなホールに出た。
こういう時、登山なら絶景の眺望、川なら美しい淵に遭遇して「報われたなあ」と感動する場面。
しかし洞窟で待ち受けてるのは、このウジャウジャとうごめくコウモリ密集軍団のみである。
一瞬男塾の蝙翔鬼でも現れたのかと戦慄が走ったほどのキショさ。
散々苦労してこれを見て「さて…じゃあまた元来た道を帰るか…」って時の絶望感は相変わらずのヘビーさだ。
もうこの頃には、低血圧Mちゃんは同僚に見られたらさらなるドン引き確定の状態に。
さすがのマゾっ子もここに至るまで「コウモリティー」しか飲んでおらず、完全に脱水状態でついにギブアップ。
結局彼女はアガタ隊長に連れられてここで無念の撤退。
重要な介護人を失ったユーコン隊員も、コウモリの糞まみれになりながらなんとかズリズリと帰還を目指す。
しかし彼はこの後、ヌルヌルの坂道で思いっきり滑落。
そのままズッシャーと5mほど滑り落ちて岩に激突。
もう全身のどこが痛くてどこが痛くないのか分からないほど疲弊度はマックス。
壮絶な秋吉ラウンドのフィナーレ。
バックミュージックは「負けないで」からいよいよ「サライ」へ。
飲まず食わずのギリギリの戦いは間も無く終了を迎える。
やがて隊員たちは、ヘロヘロになりながら覆盆子洞クリニックから這い出てきた。
限界を超えたユーコン隊員は、リングサイドで真っ白な灰になっている。
しかし彼はまだ死んではいない。
ここからの彼の行動こそ、彼がマゾの求道者と言われる所以。
実はこの段階で「洞窟内に大事なグローブを置いてきちゃった」ってことが発覚。
結局彼はこっからたった一人で「おかわり再検査」に突入し、また洞窟に入って行ったのである。
この時点で既に16:40。
もうすっかり日が沈み始めそうな夕方に、たった一人で洞窟に入っていく恐ろしさよ。
もし道を間違って違う支洞に入り込んだ日には、待っているのは確実な死。
しかし完全に腰痛を治すためには、このような念には念を押した「サードオピニオン」が重要だと彼は語る。
他の隊員たちはさっさと下山し、固唾を飲んで彼の帰還を待った。
しかし10分経っても20分経っても彼は帰ってこない。
いよいよ男の生還は絶望視された。
その時である。
突如バックミュージックが、エアロスミスの「I don’t Want to Miss a Thing」に。
そして隊員たちが森の方に目を向ける。
そこにはアルマゲドンのラストシーンの様に、奇跡の生還を果たすユーコン隊員の姿が!
彼は戦い抜いたのだ。
無事にグローブを救出し、この壮絶なクリニックの診察を全て受け切ったのだ。
そしてこの時点で、1ヶ月前から戦い抜いてきた秋吉久美子ラウンドも見事に完走。
戦い抜いた男の顔には、確かな充実感と大量のコウモリの糞がこびりついていたのである。
観客はスタンディングオベーションで彼の健闘をたたえる。
患者仲間たちもその栄光を讃え、勝利の記念撮影。
特に左側の「コルセッター」のお二人は、昨日まで普通に立つこともままならなかった男たち。
しかしこの洞窟クリニックで見事に腰を回復させてみせたのである。
全国の腰痛でお悩みの皆さん。
整体に行っても鍼灸に行っても治らないとお嘆きのあなた。
そんな時はぜひ最寄りの洞窟へGOだ!
そしてこの洞窟クリニックで回復した鯉さんは、なんとそのまま再び現地でダイレクト寝をして過ごし、翌日は橋の上から湖にパックラフトを落として懸垂下降で湖に降りて釣りに邁進したという。
テスリンYさんは、洞窟後の温泉でむぎママさんに「明日から北アの下ノ廊下を1泊2日で行くんですけど行きます?」と誘われ、その足で富山に旅立って行った。
洞窟は色々と人間の思考回路までおかしくさせてしまうのである。
一方、ユーコン隊員。
彼は帰りの高速道路のサービスエリアで再びこの状態になっていた。
そう、彼だけアガタクリニック効果がわずか数時間しか保たず、ごまかされてた痛みの蓄積が大爆発。
まさかの2話連続での心霊台スタイルで苦痛にまみれてしまったという。
余談だが、彼はこの数日後、自宅の階段で足を滑らせて滑落して背中も痛めていたりする。
流石にその瞬間、セコンドからタオルが投入されたことは言うまでもない。
何はともあれ、こうして1ヶ月、仕事に遊びにと走り続けた彼の秋吉ラウンドは幕を閉じた。
後はもう冬が来るまでいい加減安静にしなくてはならない。
いつまでもこんなことしてたら本当に血を吐いて死んでしまうぞ。
って言いながら次回、まさかの秋吉久美子ラウンド「延長戦」。
秋の遊びの最後っ屁ってことで、天竜川をパックラフトで下りながら紅葉を楽しむ「パックモミジガリング」の開催です。
ではみなさん、また次回。
腰は大切にね!
ちゃんとした医者さんに診てもらいましょう!
お疲れ様でした。
お疲れ様でした!
カヌー野郎〜BBG〜マタタビとストーカーと化して追いかけ続けております!
のびのびとした変態な筆致が復活していて、ストーカーとしては嬉しい限りです。
これからもお体を労わりつつ、ハードに遊んでください。
楽しみにしています。
ではまた!
ありがとうございます。
こんな中年のストーキング、本当にお疲れ様であります。
ただ川が好きだった青年も。山やら沢やら海やら色々経てとうとう洞窟に入ってしまいました。
そりゃ腰もこうなりますよ。
お身体を労りたいところなんですが、労ると遊びに行けないし太っていくしで良い事ないんすよね。
多分こうやっていろんな箇所痛めないと止まらないんで、神様の優しさだと思うようにしときます。
ずっと元気だとそのうちパックラフト持って火星とか行きかねないですからね。
ただこの10月ははっきり言ってやりすぎました。
色々やることもたまってきたんで年内はいい加減大人しくせんとなあ…と。
できるかな?
待ってました、洞窟第2弾。
前回は、ボロボロになりながらも生還したけど、
今度こそ、ドS隊長の連続攻めで、マゾ口隊全員まとめて廃人に?!
僕的には、Mちゃんさえ助かれば良いので。
残りの4人に、阿鼻叫喚の地獄絵図再び!を期待じゃなかった、
予想してたのに、何なの? この肩透かし感..。
ハイハイから始まって、圧迫、放置プレイの定番メニューだけど、
未知のルート探索しつつ、ヘッデン消灯して暗闇楽しむ余裕まで披露してるし。
短期間でマゾ口隊がレベルアップしてるっ!
これが、前回の九死に一生スペシャルで調教を受けた成果なのか?!
腰痛から復活したユーコンさんのラストシーンは、宇宙服姿のハリウッドスターみたいに、カコイイ(感涙
腰に良いのか悪いのか、よく分からんけど、
兎に角、洞窟隊長の言葉を信じてはイケない事だけは、理解しましたdeth。
どうもです!
今回も大概でしたが、正直前回が酷すぎたんですよ。
洞窟初体験であそこまでボロボロにやられたんで、みんな妙に強くなってましたね。
童貞がいきなりハイウッド女優相手にベッドインしたようなもんだったんで、今回は余裕のプレイでした…って言いたいところですがやっぱキツかったっすよ。
実は2本目の洞窟は途中でGoProの電池切れで全然動画撮れなかったんですが、正直そこが一番やばかったです。
前回よりも狭い箇所があって、僕も本気で挟まって身動き取れなくなってリアルに過呼吸になりましたもん。
二回も滑落してるのにそれも撮れてなかったんで全体的にライトに見えたかもですが、割と酷い状態でしたよ。
飲まず食わずですしね。
でもまあ色々割り切っちゃえば、大人の泥遊びって感じで楽しいっすよ!
連休キャンプ焚き火で深夜暖まりながら読んでひとりゲラゲラわらっちゃってましたw
さらにコメント欄の舞台裏話もおもしろい
いつも幸せをありがとうございます。
僕らのマゾ行為で幸せを感じていただけたならマゾ冥利に尽きます。
ある意味腰を痛めて人を幸せにできるなんてとても貴重な能力な気がしてきましたよ。
深夜にあの動画だと、周辺におっさんたちの喘ぎ声が響いてヤバかったんじゃないですか?
にしても洞窟は写真では状況が全然伝わらず、文章でもそのヤバさが表現しきれずになかなか難しい世界です。
ぜひ一度体験してみて欲しいですね〜。
いろんな意味でさらに幸せになれますよ!
コメントと比べながら、じっくり、レポート読み返しました
想像するだけで、背筋がぞっとするし
自分は無理だけど、何故か洞窟の事が気になります
また、行ったら潜入レポート宜しく♪
気になった時がマゾり時です!
意外と全国にケイビングツアーやってるところあるんで、一度体験してみては?
背筋ゾッな世界をその場で味わって最高にゾクゾクしてみましょう。
洞窟はきっとまた行くと思います。
あんまエスカレートされたら流石に死の匂いがするんでやめますが、ほどほどなマゾで楽しんでいきますよ!
思わず何度も読み返して、あの苦闘を思い出してしまいました。
それにしても、読書の方から生ぬるい!との叱責を受けてしまった事については2カメラ担当としては責任を感じています。
防水コンデジでは暗いところは限界なんで、私もGoPro買ってもっと撮りますね〜、笑
前回と比べて洞窟自体は水責めは少ないものの狭さと長さ、そして垂直方向のセクションが大幅増量、からのメシ抜きでの2連戦ということで、難易度は間違いなく上がってましたね〜
しかも腰痛やら、長期入院病み上がりなど参加者もハードルを自分から上げてましたから。2本目の最後が超ハードでお腹いっぱい、実力の120%以上の体験が出来ました。
とゆうか、アガタ隊長って本当にサービス精神が凄いですよね。まさにサービスのS。そして我々は満足のMの世界にどんどんはまり込んで行くばかり。
会社の同僚や後輩に話をしても、カヌーや登山の話をした時のような反応が返って来ず、ヤバい人を見るような感じになってしまいます。
でもきっと、また誘われたら食い気味で「行きます!」って言っちゃうんだろうなあ、笑
おおお!なぜか勝手にスパムに入ってて、このコメントに今気づきました!
会社の同僚さんや後輩さん同様、ヤバイ人を見る感じでシステムがスパムに回してしまったんでしょうか…
2個目の洞窟はライトだと聞いてたんで、GoProの電池は1つ目の洞窟で消耗させ過ぎちゃったんですよね。
確かに水攻めは少なかったですが、完全に挟まったのは初めてで、一気に恐怖に支配されて息が細くなった時はほんとにヤバイと思いました。
縦方向の移動も新しい難易度でしたね。
でもやっぱ一番キツかったのは飲まず食わずの刑ですよ…
テスリンさん、その一週間前に散々飲まず食わずだったのに、改めての試練お疲れ様でした。
そして洞窟やる人はMではなくみんなSですよ。
その理論から行ったら、意外と嫁がはまるかもしれないですね。
まああんなとこでも追い込まれたら死を選びますけどね。
ぜひまた行きましょう!
ユーコンさん毎度です!
記事upお疲れ様でした
僕は漢字を読むのは得意で「名勝」って書いてあったので入口の時点では「こりゃ楽勝だぜ!」って思ってたんですよ
しかしいつの頃からかわかりませんが「名勝」って書いて「じごく」って読むようになったんですかね…
未だかつて無い狭さと童貞を捨てた穴には無かった縦移動で僕の知らない体位でのプレイを強要され新しい世界がまた見えてしまいました
今回ばかりはさすがに無理かと思いました
飲まず食わずで夕方まで稼働してたんでフラフラでしたし、後ろから追い込んでくるアガタクリニックの圧力に押されてなんとかゴールできたようなもんです
しかし不思議なもので「狭い、暗い、腰痛い」だったのが「狭い、暗い、気持ちいい」に変換されるあの洞窟の魅力をもっとたくさんの人に知って欲しいですね
僕はまた行きたいです
もっと狭いところに行きたいです
不思議ですねぇ(笑)
名勝の文字に楽勝感を出してしまったのがアカンかったですよね。
まさかあんな体位やそんな体位で弄ばれるとは思いもよりませんでした。
恐るべき、アガタ48手。
今後「名勝」って文字見たら、反射的に過呼吸になってしまいそうですよ。
というか何よりもきつかったのはやっぱ「無補給探検」ですよ。
危うくコウモリ捕まえて食うところでした。
次からはバキバキになってもいいんでカロリーメイトとかポケットに入れていきます。
毎度ですが、テスリンさんが持ってくるわずかな行動食にどれほど救われているか…。
しかし何でしょうね、この「また挟まれたい..」っていう欲求は?
もうノーマルだった頃の僕らには戻れないんでしょうか?
次はどんな体位で奥歯をガタガタ言わされるか楽しみであります。
僕、無理ですよチキンだし
ヘッデン死んだら、即、真っ暗闇で、
隙間に挟まって、雨降って増水したら、目隠し+拘束プレイで水責めとか、
想像しただけで、息苦しく..
調べると隣の県で、ケイビングツアーやってます
爽やかな写真と、客の楽しかった感想が載ってますね
それに比べて、AGTクリニックのエクストリームさよ。
しかも、ハードな仕打ちでリタイヤさせるどころか、両隊員を立派な患者にするとい
う..
両隊員の洞窟へのピュア?で、真っすぐなコメントに、第三弾を期待せずにいられま
せん
初心者を一気に開花させるとは、恐るべし、AGTクリニック
アガタクリニックは無情報&放任主義なので、リアルな恐怖探検を味わうことができる貴重なクリニックです。
初診の麻婆さんは開始2分で離脱を余儀なくされましたが、それを乗り越えた者には極上の快感が待ち受けています。
ほんと不思議なことに洞窟にいる間だけは痛みが消えるんですよね。
今度また尿管結石にでもなったら、病院に行く前に洞窟に行こうと思ってますよ。
多分二度と帰ってこないかもですが…
>ほんと不思議なことに洞窟にいる間だけは痛みが消える
緊張と冷静の間をキープして行動出来るように、
痛みが抑制されてるんでしょうか。
普段、休眠してる遺伝子上のサバイバルコードが実行されて。
>病院に行く前に洞窟に行こうと思ってますよ。
普通の病院に行きましょう(汗
パワースポットじゃ無いんで..
(ユーコンさんにとっては、もっと神聖な場所?)
ほんと腰お大事に。