魂のロンリーランから4日後。
男は痛めた脚を引きずりながら山中を歩く。
そしてその父に、やる気の薄い息子達が追従する冬の散歩道。
ここは各務原アルプスと呼ばれる山域の、「権現山」に向かう道のりだ。
そもそも年始を大人しく家で過ごすために人体破壊ランを行ったはずの彼が、なぜ痛みを我慢してまで山を歩いているのか?
その理由は、元日の日まで遡らねばならない。
毎年元日は「救急病院に初詣」と相場が決まっている我が家。
2014年の元日は、僕が胃腸風邪になって救急送り。
2015年の元日は、次男こーたろくんがソファダイブからの新春骨折で救急送り。
さすがに3年連続で神社より先に救急病院に行くわけにはいかない。
そこで今年は、いつもと違って元日から僕の実家で過ごす事になっていた。
これで新年早々からの救急初詣は防げるはずだ。
しかしである。
元日手前の大晦日。
まさに僕がロンリーマラソンから帰宅したその直後。
まさかの長男りんたろくんが、「水疱瘡」にて見事年末救急送りに。
これにて1日ズレただけの、3年連続「父」「次男」「長男」による夢の救急ジェットストリームアタックが完成したのである。
で、元日の朝、僕の実家に帰るか帰らないかの議論がスタート。
日頃から何かにつけ理由を付けては僕の実家に帰りたがらない嫁は、もちろん中止の方向に。
でもたかが水疱瘡だし、きちんと隔離すれば問題ないと言い張る僕。
りんたろくんも楽しみにしていたし、僕の母さんも色々用意してくれてるし。
しかしごね続ける嫁。
業を煮やした僕は、この際「ぶっちゃけて言ってよ。本音は俺の実家行きたくないんだよね?」と聞いてみる。
すると嫁は「うん。だって気ぃ使うし。」なーんて言うじゃない。
これには温厚な私もさすがにキレた。
年に一回怒るか怒らないかのマスオが、元旦から吠える。
「UUURYYYY!!こっちは毎日気を使っているゥゥゥッッッッッッ!!」と。
新年早々爆発したディオ・マスオ。
こっちは気を使いすぎるあまり頭部の8割を白髪化させながら日々を過ごしていると言うのに、年に数回帰るのがめんどくさいとかぬかされたらいかに奴隷の身としても我慢ならぬ。
相手が女帝サウザーだろうと、言う時は言うのである。
で、元旦早々華やかに新春夫婦喧嘩が始まり、事態は険悪な雰囲気に。
しかもこのタイミングで急に嫁の偏頭痛が始まったことから(仕事のある平日はならない)、結局男3人だけで帰省することに。
そんなこんなで実家で新年を過ごしたあと、岐阜に帰って来ても居心地が良くない。
そうなるといつものパターンで、僕は子供たちを連行して山に逃げ込むのである。
という長い前置き(グチ)がありましたが、今回はそんな理由で急遽腹いせ開催された親子登山。
家庭は相変わらず平和感がないけど、今年はしばらく平和な企画でゆるゆるスタートしていきます。
というか勢いでアイスクライミング一式買ったのは良いけど、まさかの記録的暖冬で雪も氷も不足してて何するにも中途半端なんですよね。
まあいつものことだけどさ。
では2016年一発目の登山、軽ーく振り返って行こう。
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1月だと言うのに暖かく、やたら小春日和なこの日。
「一年で数回しかサングラスをかけない男」でお馴染みの僕が、なんとサングラスをかけて記念撮影。
こいつは春から実に縁起が良いスタートだ。
そして我々3人の後方でジョジョのスタンドのように付き添うのは、ビアーN・矢作C・社長H。
急遽声をかけたらちょうど参加出来た矢作製作所の面々である。
標高の低い場所でしか動けない「低山の帝王」こと矢作Cと、登山後のウマい酒のために低山に登り続けるビアーN。
その二人にことあるごとに低山に連行される社長Hは、すでに山に慣れたもの。
面倒見よくこーたろくんの手を引っ張って、余裕のクライムオンである。
この小学二年生とは思えない貫禄は、もはや引率の先生にしか見えない。
そしてりんたろくんの背中を押して歩く姿は、やる気を出さない生徒を励ます登山部顧問の佇まい。
少しづつ、チーム・マサカズ二代目ソウルブラザーズたちの結束は高まって行っているようだ。
そしてそんな子供たちをローアングルで狙う、変態度高めの盗撮男。
相手が女子高生だったら露骨な現行犯。
このような田代マーシースタイルでも余裕で登れてしまうほど、ここは平和かつ優雅なトレイルなのである。
昨年は悲惨な旅が多かったが、本来はこのような平和な山も好きなのだ。
本日の「低山の帝王」の佇まいも、余裕と威厳があって実に頼もしい。
去年の高山では、あんなにも勝手にシャワー浴びてたり、
地元のゴロツキによって、大事な種モミをオヤジ狩りされてたりしてたのに。
高山では頼りない彼も、低山では急に凛々しくなるのである。
というかこのブログは、平和でネタの無い登山の時はこのように「矢作Cプレイバック」的な企画で無理矢理乗り切るクセがある。
そういう意味でも、低山で矢作Cは無くてはならない存在なのである。
やがて尾根に到達すると、スーパー低山とは思えないこの雰囲気に。
各務原アルプスはトレランコースとしても有名な山だが、道も整備されてて確かにこれは気持ちがいい。
新年早々夫婦喧嘩をした荒んだ心がほぐれて行く。
嫁にビクつかず、ご両親に気を使わない山の中って、ほんとステキ…。
結局山が好きなのか逃げ場がそこしかなかったのかよく分からない父と、それに無理矢理同行させられた兄弟の登山は続く。
やがてそんな平和トレイルに酔いしれていると、お約束のように突然の超絶急登スタート。
もちろんこの頃にはこーたろくんは背中にinして、お父さんは筋肉マゾタイム。
そして幼稚園児のりんたろくんには酷な虐待タイムがスタート。
毎度父から「今日は楽々なお山だよ」と言われては、必ずこういう目にあう彼。
後にここの急登が相当キツくて本当に嫌だったと語っていた。
彼の山嫌いは日増しに強まって行ってるが、それでもなんだかんだと毎回登りきるのが父としては誇らしい。
イヤヨイヤヨもマゾの内。
やがてそれが快感になって、気づいたら父のように無駄にパックラフトとか背負って北アに突入するようになるんだぞ。
そのうち分かる時が来る。
その時は一緒に親子で吐こうぜ。
やがてそのヘビーな階段を登りきると、鳥居が登場。
まるで玄関に嫁が仕掛けた旦那避けの封印のような柵をくぐり抜けると、
めでたく権現山の山頂広場に到達。
登頂の喜びのあまり、社長Hが頭を巨大化させて「3D記念写真」のような形相に。
遠近感を度外視したこの飛び出し感は、さすが未来の顔デカ界を背負って立つ男である。
そしてこの「突然浣腸された新橋のおじさん」的な白目感も見事。
おじさんの健やかな成長に、母のビアーNもご満悦だ。
社長Hのそんな派手なパフォーマンスの一方で、相方の矢作Cのザック内大量浸水が発覚。
水筒のフタ締めが甘くて、ザックの中が水浸しになっていたという地味なパフォーマンス。
結局低山でも高山でも彼はビショビショなのである。
そして思いのほか絶景なこの場所でメシを食らい、
再び急降下で脱出していくと、
この高度感にビビったのか。
こーたろくん、突然の脱糞なのである。
なんかやたら匂うと思ったら、やはりしてやがった男。
父も度々高所で脱糞するが、余計な所は似なくてもよろしい。
結局背負うとウンコ潰れるから、オムツを替えられる広い東屋までこのスタイルで歩く羽目に。
腕だけで支えるこのスタイルは、猛烈に筋肉を断裂させ腰にダメージが溜まって行く。
しかも矢作Cの「もう少しで東屋だから」を信じて進んで行ったが、その東屋が一向に出て来ないという嫌がらせ。
これは日頃から昔の悲しい写真をほじくり出されては公開される、彼なりの復讐だったんだろうか?
結局随分と長い時間、この筋肉断裂スタイルで腕をプルプルさせながらのマゾハイク。
しかもこのスタイルだとちょうど匂いが鼻の高さでキープされるので、後方のビアーNにまで異臭被害が及んで行く。
どこまで歩いても消えない芳醇なうんこの香り。
結局平和な親子登山でも、最後はこのように汚れて行くのである。
そしてやたら歩いた先の東屋で無事にオムツチェンジし、
まるで山のフドウのように、子供たちを引き連れて下山して行く男の勇姿。
「良いお父さんだね」なんて声が上がりそうだが、実際は嫁と喧嘩して子供巻き込んで山に逃げて来ただけの男の背中である。
ちなみに今回は「一切写真を撮らない従軍キャメラマン」で有名な矢作C氏が、珍しく登山中の写真を撮ってくれた。
これにより僕が個人的に推測した結果、彼がシャッターを切るのは標高300mまでの低山に限られる事も判明。
それを越える場合は例えカメラを持って来ていても、彼のキャメラは常時ザックインのままシャワーコースなのである。
こうして嫁のグチで始まった登山は、次男のクソで無事に幕を閉じた。
久々に平和な一日を楽しめたし、それなりにプチマゾもあって良いスタートだった。
今年はこのような親子平和スタイルが増えて行く事だろう。
というか子供たち連れていかないと家を出て行きづらい、っていうマスオ的事情が今年もそうさせるだろう。
とりあえず今回は低山で乗り切ったが、この暖冬をなんとかしてちょうだい。
親子平和登山も好きだけど、白銀グハグハ登山も恋しいの。
早く氷の壁でブヒブヒ言いたいの。
でも出来れば家庭内は暖冬でお願いしたいの。
ディオも元旦から叫びすぎてちょっと反省。
気を取り直して、また肩甲骨揉んでゴキゲン取っていかなくちゃ。
来るべきアイスクライミングデビューの日。
そして2月のマゾ企画。
「谷川男塾」の日に向けて。
ディオ・マスオの異臭筋トレ 〜完〜
ディオ・マスオの異臭筋トレ〜親子各務原アルプス〜
- 各務原アルプス/岐阜
- コメント: 2
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MATATABI BASE
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親子登山良いですね!
ウチは、娘が断固として拒否しますので、ファミリー登山は実現しそうにないなぁ。
嫁さんと息子は着いてくるんですけどね。
男塾は谷川岳なんですね!
きっとストレスもふっとぶことでしょう
雪の世界から氷の世界、くれぐれも気をつけてください。
ブログ更新を期待しています。
僕は、アイスキャンディで体験しようと思ってますが、なんせ一人なので、仲間がいるのがうらやましいです。
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モチックさん、まいどです。
さすがに毎日色んなストレスに耐えてる身としては、あの一言にはキレましたね。
マスオだってたまには鉄仮面被ってUURYYY!って叫ぶんです。
新年一発目からとんだグチネタになってしまいましたよ。
親子登山は、正直僕一人で二人相手はミラクルハードです。
下の子がだいぶ落ち着いて来てるから去年よりはマシですが、やっぱしょっちゅうオムツ換えたり食事や体力などに気を使って疲れます。
結局家でも山でも疲弊してますが、でもやっぱり山で子供らと一緒にいる方が数倍楽しいですね。
ここに嫁がいたら色々楽かもしれないけど、きっと余計大変な目に合いそうなんでこのスタイルが気楽で良いかもしれません。
今シーズンの雪山男塾は、満を持しての谷川岳です。
世界屈指の遭難率を誇る荒くれ山ですが、安全第一で行って参ります。
まずは今週末アイスキャンディあたりで練習してきますよ。
寒波が来て雪も降って氷も締まって来たんで、これからどんどんストレス発散していきますよ。