ともだちの細菌兵器に立ち向かう「21世紀中年」。
よげんの書通りに進んで行く、お決まりのモクモクストーリー。
細菌兵器焼岳が噴出する毒ガスとアゴ割れMが対峙する「痔の大晦日」。
ともだちの正体はすでにモクモクさんと判明しているが、それより気になるのは「青か白か」という問題。
これは我々が山頂に着く時、記念撮影時の背景の色が青空なのか真っ白なのかの天候決戦。
今回初参加の猛烈晴れ男ジョンボーAの聖なる力が勝つのか、それとも猛烈悪天候集団チーム・マサカズの負の力が勝るのか?
今まで山頂で大快晴しか経験した事無い男と、「山頂とは無念にまみれてため息をつく所だ」と言い張るマゾ集団。
山頂まで残す所155m。
ここまでは一進一退の互角の勝負。
この先は意地と意地のぶつかり合い。
そんな山頂決戦の模様を振り返ってみよう。
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噴煙を上げる焼岳山頂直下2300m地点。
男達の戦いはいよいよ熱を帯びて来た。
一見すると、再びジョンボーAが巻き返して青空を呼び込んでいるように見える。
しかし我々の周りはモクモクさんがガッチリと守りを固めて、一面が「影」の世界。
自分の影を見る事無く、山頂まで登りきるのがチーム・マサカズのクライミングスタイル。
闇に生きる男達の怪しげな息づかいだけが山中にこだまする。
そして振り返れば雄大な景色の中に小木Kと矢作Cの二人。
チーム・マサカズが誇る屈強なるおぎやはぎディフェンスライン。
センターバックの小木Kがしっかりと青空の侵入を拒み、ゴールキーパーの矢作Cが的確な指示を出して写真を撮るという鉄壁のスタイルだ。
そして彼らからの負のパワーを受け取り、それを増大させる中盤の男。
司令塔としてモクモクをコントロールするマッゾフィルダーの僕だ。
彼が上を見上げてヨロコビに浸っているのは、左サイドから駆け上がったビビるSに絶妙なスルーパスが通ったからだ。
瞬く間に先ほどまであった青空が消え、ビビるSが見事なセンタリング。
もちろんその先に待つのは絶倫FWアゴ割れM。
世界屈指の「グレーな背景が似合う」ストライカーだ。
彼は見事にモクモクゴールを決めて青空を蹴散らした。
ジョンボーAがうなだれ、辺り一面が歓喜のモクモクに包まれた。
しかしここで勝負あったかと思われた矢先。
アゴ割れMの溢れすぎた精力のせいで、彼はジョンボーAを追い越している場所でのシュートだった事が判明。
これには審判もオフサイドの判定でノーゴール。
ビビるSも必死で抗議をするがその思いは届かない。
すかさずここでジョンボーAのカウンターアタック。
再び青空が勢いを盛り返して来た。
ついに小木Kのデフェンスラインを超えて、日光がペナルティエリアに侵入。
これまでかと思われた時。
かなりの後方でフラフラと登って来ていた矢作Cのスーパーセーブ。
がっちりと日光を食い止めて再びモクモク大発生。
この見事なセーブに、最前線の絶倫FWも安堵の表情。
「やはりアイツは頼りになる」と言った表情だ。
そしてすかさず矢作Cからボールを受け取った小木Kが、モクモクと共に駆け上がる。
そして彼は一気に前線へロングパス。
モクモクにまみれて、前線の3選手が一気に敵陣営になだれ込む。
慌ててディフェンスラインに戻るジョンボーA。
やがて近づいてくる稜線ライン。
この稜線の先が快晴なのかモクモクなのかが、山頂決戦の明暗を左右する。
必死で快晴パワーを出しながら、稜線の守りに向かうジョンボーA。
しかしすぐ後方から絶倫FWが猛烈な勢いで迫り来る。
稜線間際の激しい攻防戦に松木安太郎の興奮が止まらない。
もはや「うああ!」とか「行けえ!」とかしか言わず、全く解説の意味をなしていないほどだ。
果たして稜線の先の世界は「青」なのか「白」なのか?
やがて二人はもつれ合いながら稜線に辿り着いた。
バツ印のジョンボーAとガッツポーズのアゴ割れM。
ついにアゴ割れMがゴールネットを揺らしたのか?
僕も大急ぎで稜線に駆け上がる。
しかしその稜線の先は「景色は真っ白で見えないが、見事な火口湖は見える」という互角な世界だった。
完璧なゴールかと思われたが、アゴ割れMがファウルを取られて得点にまでは至らなかったようだ。
それどころか、僕の背後には見事なまでの「晴天と南峰」が出現。
そして最後尾の矢作Cまでもが日光に当たってしまっている。
この土壇場で、ジョンボーAの見事なゴールが決まった。
敵ながらあっぱれというほか無いジョンボーAの奮闘。
彼との爽やかなフェアプレーの応酬に、さすがの汚物チームもこの笑顔だ。
かつてこのチームが山頂直下でこのような笑顔を見せた事があっただろうか?
いつもならこのあたりで誰かが「なんかさ、感動が欲しいな」と言い出す局面。
しかし本日はこの段階での晴天に笑顔を抑えきれないといった状況だ。
よく考えたら、我々だってそりゃ晴天の方が良いに決まっている。
本音を言えば、そもそもこんな勝負に勝ちたくはないのだ。
いつしか我々は自分を見失って悪魔超人に成り下がっていたのか?
そろそろ心を入れ替えて正義超人の仲間入りを果たしても良い頃なのか?
そして我々は友情の記念ヤラセ撮影で、お互いの健闘を称えてユニフォーム交換。
これが間違いだった。
試合はまだ終わっていない。
まだ山頂に着いていないというのに、我々はあろうことかこの晴天に「浮かれてしまった」のだ。
せっかく晴れたというのに、我々はこの場所で余計な時間を浪費。
急に撮影にこだわりだした矢作C先生の指示が止まらず、全く先に進んで行かない状態に。
そうこうしているうちに、我々は再びサタンに心を乗っ取られてしまった。
ものすごい勢いで晴天がかき消されて行き、我々の周りから「色彩が消えた」。
ついさっきまでの快晴が嘘のような地獄絵図。
ほんの数分前まで、あんなにはじけていた笑顔が闇の彼方に消えて行った。
モクモクのレベルを遥かに超えた濃霧の世界。
結局我々が正義超人になるどころか、ジョンボーAまで悪魔超人の仲間入りを果たしてしまった。
山頂まであとわずかだったというのに。
もはや試合終了かと思われたロスタイムに、まさかの5失点を喫したジョンボーAの「焼岳の悲劇」。
そしてただただ地獄の亡者となって閻魔様の審判場に向かう罪深き男達。
そしてもはや「風景」なんて言葉を忘れさせるような真っ白な世界へ。
僕はジョンボーAの肩を軽く叩き、優しく呟いた。
「ようこそ、チーム・マサカズの世界へ」と。
これが我々なりの歓迎セレモニー。
全方向が真っ白になっている事を確認するメンバー達。
もはや背後の煙が噴煙なのかモクモクなのかの区別もつかないほどの地獄感。
後方から来る矢作C先生なんて、今にも雲の中に消えてしまいそうだ。
ジョンボーAも岩に手を当てて、立っているのがやっとのショックっぷり。
無理も無い。
彼は山でこんな目に遭った事が無いから、少々刺激が強かったのかもしれない。
彼はもう純朴だったあの頃にはもう戻れない。
我々のように、白と黒のシルエットが似合う汚れた大人になったのだ。
もはや教育テレビの「影絵の世界へようこそ」という番組のようだが、この男たちから学ぶべき事は何一つ無い。
モクモクに包まれて、ただアワアワと右往左往する影絵達。
そしていつものように絶景を前に心眼タイムに突入。
はるばる北アルプスまで来た甲斐があったっていうもんだ。
やはり同じ白でもどこか「品」というものを感じるではないか。
さあ、目一杯この白いキャンバスに想像力で色彩を与えてやるが良い。
おい、泣くんじゃないジョンボーA。
これは誰もが通るマゾなんだ。
涙を拭いてよくこの白を目に焼き付けろ。
君の初体験のお相手をちゃんと覚えておくんだ。
やがてさっきからずっと「プシュウプシュウ」と歓声を上げる噴煙野郎の現場に到着。
いよいよ地獄感に歯止めがかからない光景だ。
しかしこういう場所が妙に似合うアゴ割れMと小木K。
そして一生懸命この噴煙口を撮影しているこの姿なぞは、もはや崖の上の女子高生のスカートの中を撮影している変態コンビにしか見えない。
岩に「キケン」と書いてあるが、それはこの二人の盗撮中年に向けての事だろう。
もしここに勇気ある高校柔道部員あたりがいたら、彼らは警察に突き出されて「お手柄高校生」の文字がヤフートピックスを賑わす所だ。
そしてこの攻守の要である、FWアゴ割れとDF小木が持ち場を離れて盗撮行為をしている隙を狙って来た男がいる。
もちろんそれはジョンボーA。
まだ試合を諦めていないジョンボーAが渾身の青空大反撃に打って出たのだ。
もう山頂まですぐそこって位置での奇跡的カウンターアタック。
ここに来て猛烈な快晴が我々を包み込んだ。
慌てて守備に戻るチーム・マサカズ。
しかしもうすでにここは山頂だ。
「景色」なんて言葉を忘れかけていた我々の眼下にも、見事な上高地の景色が広がって来たぞ。
信じられないジョンボーAの聖なる力。
このままでは山頂で「青空と絶景をバックに記念撮影」なんてことになり、我々は完敗してしまう。
誰もが負けを覚悟したとき。
ついにチームの悪天候エースが動いた。
上高地の絶景の前に立ちはだかるエースマゾ。
たちまち景色がモクモクに包まれて行く。
そしてものの数秒であっという間にその「絶景の扉」の口を塞いだ。
もはや人間業ではない彼のファインプレー。
時代が時代なら卑弥呼にもなれる程の天候イリュージョン。
これが城西高校先輩卒業生の意地。
まだまだ若い者には負けてられない、大先輩大豪院邪鬼の大いなる負の力。
そんな大先輩の登場で、あっという間に元の地獄に戻った焼岳山頂。
そしてついに試合終了のホイッスルの時が近づいて来た。
運命の記念撮影をする最後の男「矢作C」が、特撮ヒーローのようにモクモクの中から登場。
いよいよ舞台は整った。
さあついに我がチームのゴールキーパーまで相手ゴール前に飛び出して来た。
時間は既にロスタイムを過ぎている。
これが最後の攻撃だ。
果たして山頂記念写真の背景は「青空絶景」なのか「純白絶望」なのか?
もはや松木安太郎は「うっ」とか「あっ」といううめき声しか言っていない。
実況アナウンサーは声をからして大絶叫。
矢作Cがコーナーポストにカメラを置き、最後のセルフタイマーのボタンを押してコーナーキックを放つ。
弧を描きながら山頂に向かう運命のボール。
チーム一丸でゴールに突入する男達と、必死でクリアしようとするジョンボーA。
そして大混乱の中、審判のホイッスルが高らかに鳴り響いた。
ピーーーーーッ!
ゴォォォーーーーーーーールッッ!!
見事な白でチーム・マサカズの勝利だ。
辺り一面真っ白に包まれた「焼岳の歓喜」。
もはやここが「北アルプス」であるかどうかすらも分からない世界観。
これがチーム・マサカズの底力だ。
これにてすっかり汚れてしまった「元快晴男」ジョンボーA。
彼もこれで見事にチーム・マサカズの正式メンバーとして認められ、長い汚物人生のスタートラインに立った。
実に素晴らしい戦いだった。
そんな彼の提案で友情の撮影会に突入。
実はジョンボーAには妄想趣味がある。
それは、いわゆる己撮りの上位技「己情熱大陸」写真を作ることだ。
彼が過去に作った大快晴時の己情熱がこれだ↓
アホほど大快晴に包まれているが、もう彼はこの頃には戻れない。
そして今回この場で「誰が最も情熱的か?」というテーマで撮影会。
後に彼から送られて来たのがこの写真だ。
先輩の威厳に満ちた見事なる白の世界。
もう北アルプスの面影は無く、「ここは鈴鹿です」と言っても通じてしまいそうなビジュアル。
もしこの情熱大陸が放映されたとしても、全編を通してひたすら真っ白なだけの放送事故。
さすがにスポンサーのアサヒビールからストップが入ってしまうだろう。
遊びへの情熱だけは他を圧倒するが、一般のお茶の間向けの男ではない。
続いて同じ場所でビビるS。
彼も学生時代は「陽の男」として名を馳せたものだったが、このチームですっかり「陰の世界」に取り憑かれている。
それと同時に、昔はシュッとした体型だったのが、ここの所の過度なビール摂取のせいですっかり中尾彬になりつつある。
正直この「愛妻登山家」という肩書きが腹立たしいが、「恐妻登山家」の資格を持つ僕としては見逃せない放送になりそうだ。
彼の美談はこのブログでは一切取り上げないので、放送時は主婦層の熱烈な支持を獲得する事だろう。
そして同じ場所の別アングルで、腰の引けた小木Kの勇姿。
もうこの頃にはすっかり濃霧の中という状態になって、悲壮感すら漂い始めた。
今にも彼の得意技「失踪」が始まりそうで、こちらとしては気が抜けない局面だ。
基本的に情熱大陸が彼を追い続けても、ただただ毎週居酒屋で飲んだくれている姿しか撮影できずに編集にも困るはずだ。
その上、ひたすらしゃべり続けるから30分の尺では収まりきらない。
そして気を抜くと突然の失踪。
恐らく放送される事無く、お蔵入りとなったそのテープ自体も失踪する事は間違いない。
続いてアゴ割れMの番。
しかしこの男らしく、ここに来ていよいよ過剰な濃霧状態に。
ろくな写真も撮れずにただただ呆然と白い虚空を見つめる悲しげな後ろ姿。
これではあまりにも不憫で情熱的ではない。
そこでジョンボーAは、今回のアゴ割れMの中で最も情熱的な写真をチョイスした。
まだ快晴だった頃にエクスタシーに身を委ねる彼の情熱ショット。
恐らく彼が情熱大陸に出れば、5週ぶち抜きの壮大な物語になるだろう。
その大半が酔って記憶をなくしている状態だけに、テロップ無しでは何を言っているのか分からない。
常時クチビルをツヤツヤにした絶倫エクスタシー男の登場に、さすがに倫理委員会のストップが入って放送禁止もやむを得ない所だろう。
そしてあまりのモクモクっぷりにその場での撮影を断念し、移動してメシ。
そこでやっと矢作Cが登場だ。
ここに来るまで最後尾でゴールを守り続けて来た彼は、写真に写っても豆粒程度だったが、やっとアップでのご登場。
最近の彼は山頂での調理に情熱を傾け始めているから、アルプス亭店主というのも納得だ。
彼は今まで「撮影しない従軍キャメラマン」「テクノメガネ愛好家」「Mr.オクレ狩リスト」など様々な肩書きを持っているが、ここでまた新たな称号を得たようだ。
彼は撮影していたり後方にいたりで、このブログ内で中々その姿を現さない男。
それだけにファンにはたまらない放送となる事だろう。
こうして無事に情熱撮影タイムも終わり、優雅に昼飯を食べる男達。
なんだかんだとジョンボーAはまだまだ効力を発揮して、上高地の絶景が見えたり見えなかったり。
このチラ見せがたまらない。
ストレートな裸体ばかりを見て来たジョンボーAも、この新たな興奮にすっかり酔ってしまっているようだ。
しかしいくらモクモクだらけと言っても、多少晴れた時のこのスケール感はやはり北アルプス。
モクモクさんがいなかったらどれだけ絶景だろう?なんて事を考えてはだめだ。
目の前の些細な幸せを噛み締める。
それがこのチームで心を折らずに生きて行くための秘訣。
出発間際のビビるSも、この雲の先にあるであろう雄大な穂高連峰に思いを馳せる。
もはやアタック25の最後の人名当てクイズのような風景。
正解が奥穂高岳なのか西穂高岳なのか難しいところ。
やはりそう簡単にはエールフランスでパリには行けないようだ。
そして悶々とする我々の熱い情熱を汲み取った奥さん(奥穂高岳)が粋な計らい。
モクモクの中のほんの少しの隙間でその姿をチラ見せだ。
ミニマム過ぎるチラ見せだが、その破壊力はさすがに奥さん心得ている。
それは「白シャツ乳首ポッチ」に匹敵するほどの高等チラ見せ技術。
もはや見せてすらいないのに、たちまち我々はコーフンのるつぼに。
まだまだ純朴なジョンボーAはすっかり前屈みだ。
さあ、まだまだそんな所でハアハア言ってる場合じゃないぞ。
ここからは別ルートでの下山で、遥か上高地を目指す旅路だ。
先は長いぞ。
そしてこの下山開始から「天候決戦第2ラウンド」がスタート。
再びジョンボーAの聖なる力が呼び覚まされ、いよいよ負けじと本気の本気を出すチーム・マサカズ。
第2戦の最終決戦地は、ゴールである上高地「かっぱ橋」。
その橋の上でゴールの記念撮影をした際、我々の背後が「青空に包まれた穂高の絶景」が写るのか?
それともかっぱ橋の上で我々が「カッパを着て」写っているのか?
新たなる頂上決戦。
岩場とハシゴの乱立する世界で男達が遭遇する絶景。
そして運命の戦いは壮絶なラストに向けて動き出す。
ある男の悲鳴が山間にこだまする。
そしてその男の精神と貯金が吹き飛ぶ壮大なるエンディング。
男達は「その時」に向けて下山を開始した。
焼岳天候決戦3へ 〜つづく〜
焼岳天候決戦2〜情熱フットボールアワー〜
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MATATABI BASE
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