南木曽岳/長野

酔いどれ上司とアリ下僕〜南木曽岳リベンジ〜

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急登の階段を駆け登る「人さらい」。

平成の世の信州に突如として現れた山賊野郎。


なぜこの山賊は背中に便利なベビーキャリアを背負いながらも、あえて子供を片腕一本で担いでヒィヒィ言っているのか?

しかもこの場所は、この山最大の難所「急登階段地獄」。

その山賊は息を切らせて、全身をプルプルさせながら木曽の森の中に消えて行った。

しかしその表情はどこか嬉しそうだ。



そのマゾ山賊が目撃されたのは信州「南木曽岳(なぎそだけ)」。

以前チーム・マサカズが「絶望的な修行」をたっぷりと堪能した精神破壊の山だ。↓

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この時はチームのマゾが一気に3段階くらい上昇した修行登山。

天気も最悪で、苦労の末に何一つ報われる事なく「登山の負の魅力」が詰まった悲しみの登山だった。(参考記事:修行の風景〜南木曽岳〜

この時の記録を見た登山未体験の友達から、「絶対に登山はするまいと思った」というお言葉もいただいたほどだ。


今回はそんな過去の汚点を払拭するための「記憶塗り替え登山」。

脳の中の悲しみの記憶ファイルに「南木曽岳はいい山だった」と上書き保存する事が目的。

雨乞岳に次ぐリベンジマッチ登山第二弾だ。


そして今回は珍しく、僕がゲストとしてパパラッチKのテニス仲間との登山にお呼ばれした形。

なんとその仲間は二人とも女性と言うじゃない。

「テニス仲間」というトレンディな響き自体でひるんでしまいそうだったのに、ここにガールズがいるという事でシャイシャイボーイとしては強烈に緊張してしまうシチュエーションだ。

そもそも僕のような変態が乱入した事により、一般女性をマゾ的二次被害に巻き込んでしまうのは忍びない。

でも「純粋に嬉しい」と呟く乾いた中年。


そんな平和で素敵な南木曽岳リベンジマッチ。

オシャレな記憶によって、汚物のような記憶を塗り替えて行く様子を追って行こう。


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突如岩陰に現れた不審な男。

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芸能人のお忍び登山デートを狙っているのか?

それとも女性たちとの登山に浮かれる僕を激撮するために、嫁に雇われた探偵なのか?


その正体は前回の雨乞岳でチーム・マサカズデビューを果たした「パパラッチK」。

今回の登山発起人にして、僕のリベンジマッチ登山成功請負人。


この出発前記念写真のセルフタイマーをセットしていたんだね。

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そして左の女性がパパラッチKのテニス仲間「生野菜Mさん」で、右の女性が生野菜Mさんの元同僚の「鳥使いAさん」。

生野菜Mさんは登山でも生野菜を持参するほどの生野菜好きな健康ガール。

鳥使いAさんは常に鳥笛を携帯し、野鳥を自在に操る平和登山請負人。

早くもこの爽やかな風で、前回の重々しい記憶がパステルカラーに塗り替えられた。


そして女性に囲まれてニヤつくエロ親子。

すっかり浮かれているように見えるが、この時のこの男はかつてないほど地味なマゾをすでに仕込み済み。

見た目は普通だが、実は強烈な「口内炎」に苦しんでいる最中だ。


奥歯のさらに奥に一カ所、そして舌の先に一個。

ビジュアル的な華々しさこそなく、果てしなく地味だがその「不快感の持続力」がたまらない。

これは僕なりの、「他人に迷惑をかけない一人マゾ」という優しさである。


男らしく、見えない所で不快な痛みを噛み締めながらの行軍。

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しかしそもそもこの「修行の山」に子供を背負って挑んでる時点で、十分ビジュアル的には重大なマゾ患者だ。


そしてもちろん、今回も容赦なく修行の道場に突入して行くメンバーたち。

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あまり登山経験のない鳥使いAさんだったが、軽装という事もあって息を切らす事なくついてくる。

生野菜Mさんは登山経験者の上、暇があればゴルフ場でテニスの素振りをするほどの努力家なのでなんの問題もない。

むしろ問題があったのは、先頭で「グハッ、グフッ、ブへッ」とうめき声を上げる男の存在。

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女性を引き連れて、ひたすらに「はあはあ」と吐息を漏らす様は完全に変態だ。

分かっちゃいたんだが、やはりこの山は子供を担いで登る山じゃない。

こんなマゾ野郎の醜態を理解するには、きっと彼女たちにはまだ早いだろう。


結局いつものように精神を砕き始める口内炎野郎。

しかし南木曽岳は相変わらず容赦ない階段のヒットパレードをご提供。

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たまんねえ。

やっぱり南木曽岳はあくまでも南木曽岳だ。


そんな中、僕に重みを提供しつつも「我関せずの男」りんたろくんは眠りに落ちる。

彼は前のめりに眠るから、彼が寝ると僕は首が上げられなくてさらに追い込まれて行く。

そこで女性陣によって、首にタオルで作った枕を設置。

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絵的には完全に「王子様」といったハーレム状態。

フレームから見切れてしまっている下僕の姿が痛々しい。


しかしやはりチーム・マサカズの重々しいメンバーと違い、彼女たちの存在が南木曽岳を爽やかに上書き保存して行く。

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鳥使いAさんが巧みに鳥笛を駆使し、周囲は平和的な鳥の鳴き声で満たされていく。

そして何と言ってもこの日はいい天気。


チーム・マサカズでは絶対味わう事のできない「正しい時間」が流れて行く。

口内炎という細かいマゾは楽しんでいるが、今回ばかりは下山まで平和な登山が楽しめそうだ。


そんな父の気持ちを背中で察した男がいる。

眠りから覚めて、非常に不機嫌なりんたろくんだ。


あんまりグズるから、一度おろしてダッコ。

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これが間違いだった。

親孝行なりんたろくんは「ダッコがいいの。おろしちゃだめ。」と言い、ベビーキャリアへの乗車を激しく拒否。

地面におろそうにも、かたくなに僕にしがみついて必死の抵抗。


仕方なく彼を「腕の力だけで担いで行く」というスペシャルタイムに突入した。

ベビーキャリアみたいに腰で支えられないから、その全重量が腕に重くのしかかる。

たちまち筋肉が「ぷちりぷちり」と陽気な音を立て始める。


そんな中で目の前に現れたのは、この山で一番の「急登階段地獄」。

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僕は我が子の親孝行っぷりに涙が出る思いだった。

彼も幼いながらに「お父さんが平和な気持ちになっちゃってる。マゾらせてあげなくちゃ」と思っての事なんだろう。

そんな甲斐甲斐しい息子の気遣いに応えるべく、僕は彼を片腕一本で担ぎ上げた「人さらいスタイル」を発動。

そして平和な鳥の声もかき消すような嗚咽を漏らしながら、恐怖の階段を急登して行く。

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唖然とする後方のメンバーたち。

まだマゾ慣れしていない彼女達の前に、急に現れた本意気のマゾ野郎。

おそらく「誰だ、こんな変態連れて来たのは」と心の中で叫んだ事だろう。


そんな事とも知らず、ぐへぐへ言いながらも振り返った二人は「ニヤリ」としている。

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筋肉が切れそうになって快感に浸る父と、してやったりの表情の息子。

結局この親子だけは、いつものように汚れて行く運命だったのか。


しかし、当然ながらすぐさま限界に追い込まれてしまったお父さん。

このままでは腕が使い物にならなくなると判断し、なんとかりんたろくんをベビーキャリアへ誘導。

それでも「だっこだっこ」とひたすら親孝行を続けるりんたろくん。


しかしここで生野菜Mさんが「アポロ作戦」を発動し、見事にキャリアへの誘導に成功した。

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若いお姉さんに目がないりんたろくんは、見事にその罠にかかってご乗車。

さらに生野菜Mさんは草笛を吹いたり笹舟を作ったりと、子供心をくすぐる作戦を繰り出してりんたろ社長もご満悦に。

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試しに担がれてみれば、やはりいつものエロ目になってヨロコビが隠せない我が息子。

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僕に担がれてる時には一切見せない笑顔が炸裂。

これでなんとか「マゾショータイム」は終わりを告げ、元の平和な登山に戻る事になった。

危なくいつものパターンに堕ちて行く所だったが、彼女の機転に助けられた。



やがて、前回アゴ割れMが岩場からの急降下を試みた現場に到着。

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相変わらず恐ろし気な雰囲気だが、何と言っても天気が良いからこの場所ですら非常に爽やかだ。

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そもそも前回はこんな笑顔で登ってる奴は一人もいなかった。

この時点で矢作Cは早々に撮影を放棄していたものだが、パパラッチKは果敢にシャッターを切り続ける。

しかしその見た目は、まるで若手俳優のマンションから出て来た人気アイドル歌手を激写するパパラッチのようだ。

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こうして女性たちは前方にマゾ親子、後方からパパラッチに挟まれた不思議な登山を満喫する事になった。

これがオセロなら彼女たちも黒に染まってしまう所だが、彼女たちはどこまでも白いシャツで爽やかさをキープだ。

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しかし南木曽岳も負けじと爽やかに急登で攻めてくる。

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もちろんこの時点で僕の腰は悲鳴を上げている。

どんなに爽やかでもしんどいものはしんどいのだ。


そんな状況でも晴れていさえすれば実に楽しいのが登山というものだ。

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僕から見たら、こんな天気が良くて爽やかな絵はもはや事件だ。

そして「事件」という言葉に反応して、大急ぎで現場に急行するパパラッチK。

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料亭内で繰り広げられる汚職政治家たちの密約現場をスクープ写する男。

しかし別の場所で女子アナの路チュー現場を発見し、大急ぎで角度を変えて対応するパパラッチ。

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これで今月も食べて行ける。

パパラッチという仕事も大変なのである。


やがて「ガッカリ頂上ランキング」上位に食い込む、何の展望も無い頂上に到達。

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もしこの山がここで終わりなら、恐らく誰も登らないだろう。

しかしここからがこの山のステキな魅力が詰まったご褒美タイムだ。


この先には見晴し台という場所があり、素晴らしい景色が堪能出来る場所がある。

案の定実にいい景色だ。

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ちなみに前回チーム・マサカズで来た時の同じ場所の写真がこれだ。↓

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真っ白な景色を前に、ガックリと肩を落とすむさ苦しい男達。

報われない感満点の彼らは、ついに「なんかさ、感動が欲しい…」という名言を言い放った場所だ。

やはり登山は報われてなんぼの世界だったようだ。

これにてあの時の悲しみの記録を、見事に爽やかに塗り替える事に成功したのだ。


その後も一歩一歩と、ダークでモノクロだった記憶がフルカラーに上書き保存されて行く。

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僕はひとり、この快晴の幸せを噛み締めていた。

彼女達には「普通の登山風景」かもしれないが、この状況は僕にとって4年に一度くらいしか訪れないオリンピッククラスの感動。

久々に純粋な登山を楽しんでいる気がする。


やがて避難小屋が見えて来た。

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ちなみに前回の避難小屋の様子は以下の通り。

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あの時は文字通り、我々はここに「避難」したものだ。

しかし今回はちょっと風が出て来たのでここで優雅にランチタイム。(いつもは昼メシと表記するが、あえてオシャレにランチと表記する)


そして屋内になると途端に元気になるインドア野郎。

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みるみる彼はハイテンションになって行き、暴れだす。

やがてここまで一生懸命担ぎ上げてくれて弱っている父に、舌を出しながら襲い始めた。

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やられるがままの父。

もはや手がつけられないロードウォリアーズ。

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何度もドシンドシンと僕のお腹にダイブする息子。

屋内では、彼の中に眠る嫁のDNAが突然開化するから恐ろしい。


そしてメシを食って再び外に出ると、かたくなにインドアに戻ろうとする男。

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そろそろ彼のアウトドア化計画は断念しなくてはいけないのかもしれない。



ここから行きとは別の下山ルートにて下山開始。

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当初は非常に良い景色の中をのんびりと下って行く平和タイム。

でも次第に思い出す事になる。

何故か前回来た時のこの先の記憶が消えていたが、それは下山の写真がほとんど残っていなかったから。

要するにこの先は、実に「写真を撮るまでもない地味でひたすら長い急降下タイム」だった事をこの階段を見た時に思い出した。

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ここからはせっかく記憶から消していたファイルを呼び覚ます修行アゲイン。

これを必死で降りて行ったかと思えば、

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再びこんな感じ。

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そして終わったかと思っても、こんな感じのハシゴが次々と出てくる。

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たちの悪い上司に引っかかり、延々と飲み屋をハシゴさせられる新入社員達。

もはやハシゴのハシゴで皆すっかり千鳥足。

それでも上司は長々と鬱陶しい飲みニュケーションを繰り広げた挙げ句、また次の居酒屋へハシゴ。

そこには「和風居酒屋にありそうなオブジェ」もしっかりと設置されている。

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そんなハシゴ区間が終われば、後はなんだか妙に長く感じる下りが延々と続いてご満悦上司の過去の武勇伝話が止まらない。

そしてすっかりヘロヘロに酔いつぶれてしまった上司を担いでうなだれる新入社員。

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始発の電車時間を調べているように見えるが、何度もGPSの地図を見ては「まだまだ先が長いじゃないか…」とうなだれている姿だ。

忘れてはならないのは、もちろんこの時点でも彼は地味に口内炎に苦しんでいる。



それでも健気に頑張って下って行く新入社員達。

この山は実は往復距離にして、わずか6キロに満たない山。

それは何を意味するかと言えば、急登と急降下が楽しめる山だという事だ。

上司が潰れる程に酒を飲んでいたのは、会社の株価が急騰したのちに大暴落してしまったからなのだろう。


そんなブラック会社、南木曽コーポーレーションの未来を担う新人達がなんとか無事にゴール。

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実に長い修行研修登山だった。

酔いつぶれた上司を背負った男は、立っているのもやっとなご様子。


それでも全体的に実に平和な登山で、女性陣の爽やかな風のおかげで過去のダークな修行の記憶が美しく塗り替えられた。

そして何よりも僕を感動させたのは、あの買ったばかりの登山靴が最後まで反乱を起こさなかった事。(参考記事:運命の歯車〜そして聖地へ〜

僕は人生で初めての「靴擦れ無しの登山」という、当たり前のように見えて僕にとっては奇跡のような偉業を達成したのだ。

靴擦れを期待していたサド読者の人には申し訳ないが、最近では靴擦れが当たり前すぎて記事にもなってなかったからまあいいだろう。

もう僕のマゾは次のステージに向かっているのです。


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〜おまけ〜


戦いが終わり、彼女達ともお別れの時。


ここに来てすっかり酔いが醒めた上司が動き出した。

ついにセクハラエロ上司の濃厚なハグが展開されたのだ。

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こちらから見るその目は確信犯的なオーラを醸し出している。

さすがのパパラッチも、この露骨すぎる現場に対してカメラを向ける事すら忘れてしまっている。


羨望の眼差しで上司を眺めるお父さん。

しかし上司はハグしたまま、グラス片手に「お前にはまだ早い」と言った余裕の表情でこちらを見る。

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僕もお仕事頑張って、早くこの憧れの上司のようなやり手な男になりたい。


でもこの人、働いてるどころかほとんど歩いていない。

よく考えたら全部僕が背負っているじゃないか。

これが資本主義社会における、「持てる者と持たざる者」の埋めようのない差なのか。


それでも僕はアリのように生きて行く。

社会の歯車だって構わない。

アリも積もればエベレスト。

一寸の虫にもマゾの魂。


今後も一歩一歩、地に足をつけてマゾって行こう。



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