伊豆山稜線/静岡

爆発大移動の旅2〜伊豆のマゾり子〜

IMGP4607.jpg



昨日は全く記事が書けんかった。

眼球反乱による頭痛と吐き気、大量の仕事、さらにfc2ブログのサーバーメンテナンスでアクセス出来ないという辛い一日を過ごした。


なので今日は張り切って書いていこうじゃない。

「爆発大移動の旅」二発目、伊豆敗退記前編「伊豆山稜線トレッキング」だ。



伊豆山稜線ってのは、伊豆半島をひたすら縦断する尾根道のロングトレイル。

いくつもの山のピークを越えて、天城峠に抜ける道。


当初はここを1泊2日のテント泊で乗り越えるつもりだった。

しかしまだ登山野郎になる前の事なので、全く体力が追いつかず敗退を喫する事となる。

なんせ、今より10キロ以上太っていた頃で、全く運動もしていなかった。


この時は「長い散歩道」程度の認識しかなく、「登山」なんて概念は少しも無かった。

当時は「登山なんて辛いだけで、楽しくない」って思っていた頃。


今となっては「辛かった」という思い出しか残ってないから、実はそんなに書く事が無い。

今日は張り切って書くぞと言っといてなんだが、ダイジェスト的な感じでご勘弁。

でも後半はしっかりマゾってます。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


三島で山田と別れてから、確か修禅寺辺りの温泉に入ってからどっかの道の駅で車中泊。

まずこの時点で凄く寒かったってのを記憶している。

翌日の山中でのテント泊に激しく不安を感じた夜だった。



早朝移動。

珍しく空は快晴で富士子ちゃんも白い肌をあらわにしている。

IMGP4568.jpg

しかしGWだというのに、結構寒い。


そして、多分だるまやま高原にある戸田峠の登山口の駐車場へ。

IMGP4569.jpg

1泊2日のテント泊分の結構な荷物を背負って出発。

いきなり現れるちん毛道。

IMGP4572.jpg

今見てみれば結構歩きやすそうな感じだけどね。


標識も所々にあって、迷う心配は無い。

IMGP4570.jpg

でも確かこの頃にはもう背中の荷物も重くて、随分へばっていた気がする。


次第に景色が開けて行き、富士山も見えるようになってくる。

IMGP4573.jpg

IMGP4576.jpg

やがて一発目の山「小達磨山」の山頂到達。

IMGP4579.jpg

IMGP4578_20120224085559.jpg

ここからは駿河湾がズバッと眺められる。


そして気持ちのいい尾根道が延々と続き、駿河湾と富士山を眺めながらのトレッキング。

IMGP4580.jpg

IMGP4582.jpg

IMGP4584.jpg

でもこの辺結構登りがキツい箇所があって、随分しんどかった思い出があるな。


やがて二発目の山「達磨山」登頂。

IMGP4595.jpg

IMGP4597.jpg

こっからの眺めは最高だったね。

富士山と駿河湾が実に美しい。

やっぱり日本人には、この景色がグッと来る。


この時の僕は「富士山とは登るものじゃなく、見るものだ」と深く思っていた。

まさかこの翌年の秋に、自分があの山の頂に登るなんて思ってもいなかった。

当然「富士6苦フェス」などという、全身破壊の悲劇が待っているなんて想像もつかない。

人生、一寸先はマゾ。

これだから旅はやめられない。(参考記事:富士6苦フェス


その後も快適な(多分ね。よく覚えていない)尾根道は続いて行く。

IMGP4602.jpg

IMGP4603.jpg

IMGP4604.jpg


やがて三発目の山「古稀山」登頂。

IMGP4605_20120224085654.jpg

IMGP4606.jpg

相変わらず素晴らしい景色だが、どうも僕の顔の表情が冴えないな。

多分、この時点でかなりの疲労を抱えていたはずだ。


当時はまだ「マゾ開花」の夜明け前。

まだこの様なハードさに快感を見いだせない頃だ。

今の僕なら、ニヤリと笑って写真に収まっていたはずだ。



再びちんげ道に吸い込まれて行く。

IMGP4608.jpg

確かこの辺りで、随分陰湿な気持ちになった記憶がある。


荷物は重いし、体はしんどいし(体力無い上に激しい移動による疲れもあった)。

景色もちん毛だし、風もあるし、寒いし。

夜は多分寒すぎてテントでなんか寝られないぞ。

昨日の車中泊ですらあんだけ寒かったんだ。死んでしまう。


そしてここであっさりと敗退撤退命令を自分に下した覚えがある。

全く、情けない奴だ。


かと言ってすぐに下山出来るわけも無く、四発目の山「伽藍山」到達。

IMGP4609.jpg

心が折れてから続ける登山ほど苦痛に満ちたものは無い。

今なら「良いブログネタ」になると自分に言い聞かせて頑張れるが、当時は誰にもこの苦しみを伝える事は出来ない。

ただ静かに己自身で噛み締めるのみ。

まさに修行の世界だ。


ちん毛を抜けると、再び駿河湾が広がる。

IMGP4610.jpg

IMGP4612.jpg

しかしこの写真からもグッタリ感が色濃く伺え、もう駿河湾いいやって気持ちになっている。


そうこうしながらも五発目の山「棚場山」登頂。

IMGP4614_20120224085735.jpg

なんだかんだと、心が折れてからもさらに二つの山を越えている。

一応、彼なりに頑張っているようだ。


しかし記念写真からはまるで覇気が感じられない。

IMGP4615.jpg

ポージングも、自然と幽霊の様なポーズになっている。


やがて南無妙峠に到達。

IMGP4616.jpg

ここには「南無妙法蓮華経」と書かれた古い石碑がある。

その昔、ここで行き倒れになった夫婦を祀ったものらしい。

僕は痛いほどその夫婦の気持ちがわかった。

まさに僕はこの時点で、すっかり心の行き倒れ状態で疲弊しきっていた。


地図を見ると次の「土肥峠」から林道が下界に延びていて、脱出出来る事が判明。


全く迷う事なく僕は土肥峠で登山道に背を向けて下山。

敗北の悔しさも感じないほどの惨敗だった。



地図を見ると「持越温泉」という所まで行けばバス停がある。

しかしそこまでの距離も実はかなりあった。

僕は最後の力を振り絞って、2時間近く歩いて行った。


膝はもう大爆笑していて、息もぜぇぜぇ言いながらやっとの思いで持越温泉のバス停到着。

しかしこのバス停。

なんと「一日3本のみ」という実に情けないバス停野郎だった。

2本は朝で、残り1本は夜。


僕がその場に、膝から砕け落ちた事は言うまでもない。

持越温泉バス停によって、僕の救助も持ち越しとなった。


失意のどん底の中、フラフラと持越温泉の受付に行った。

受付の人に事情を説明して、何かいい方法が無いかと聞いてみた。

すると国道沿いの「湯ヶ島温泉」のバス停まで行けば本数は多いとの事。

そして一言。

「まあ、がんばって歩いたとしても国道まで2時間はかかるね。」



何やら登山よりもハードな展開になって来た。

もうかれこれ朝から7時間以上歩き続けている。

これは一体何の修行なんだ?

子育てのストレスから解放される為の旅ではなかったのか?

今僕の体に充満しているこのストレスは一体何なのだ?


考えても仕方が無い。

聞けばタクシーを呼ぼうにも、麓から来てもらうから結構お金もかかるって言うし。

夜のバスまで待ってるのもアホらしいし。


僕は再びヨロヨロと歩き出した。

IMGP4619_20120224085753.jpg

IMGP4620_20120224085759.jpg

途中途中に現れるバス停で、無いとは分かっていても時刻表を見てしまう情けなさ。

どうでもいいが、伊豆のバス停の標識は味があるが実に発見しにくい。


残されていた写真の中にこのようなものがあった。

IMGP4622.jpg

タンポポをトレッキングポールに刺して喜んでいる。

この頃には大分頭にも異常が達し始めたようだ。

IMGP4623.jpg

IMGP4629.jpg

こうして僕は延々と、ただ延々と国道を目指して歩き続けた。

そして湯ヶ島温泉のバス停に辿り着き、車が置いてある戸田峠へと帰って行った。

この時の僕は顔面蒼白の無表情だった事は言うまでもない。


車に戻ってから、男はさらに南下して行った。

どんなに体がボロボロになろうと、この自由なGWの時間は限られているんだ。

休養なぞしてる場合じゃない。

とにかく遊ばなければならない。



色々調べたら、平六地蔵露天風呂という無料の露天風呂があるようだ。

僕はそこに向かって今日一日の疲れを癒した。


温泉でサッパリしたので、気を良くしてさらに1時間ほど南下した。

そこで気がついた。

温泉の簡易脱衣所に大事な帽子を忘れて来てしまった事を。


すごく具合が良くて、その頃いつも大事に被っていたものだ。

しかしここから取りに戻れば往復2時間を無駄にしてしまう。

来た道を戻る事ほど気が滅入るものは無い。

でもとても大事な帽子だったから、取りに戻る事にした。



1時間後、温泉着。

僕の帽子はすでに何者かによって盗まれていた。

はるばる戻ってきた事も手伝って、激しくへこんだ。


しかし嘆いている時間はない。

遊ばないと。


再び移動を開始。

IMGP4638.jpg

美しい夕焼けも、今の僕の心を癒す事は出来ない。

明日こそ、最高に楽しい一日を過ごして盛り返すんだ。


僕が選んだのは「南伊豆歩道トレッキングの旅」。

全く行く予定のなかった場所だが、伊豆山稜線での惨敗の為やむなくチョイスした。

以前、シェルパ斎藤氏の「日本の山をバックパッキング」という本で読んでいて気になっていた場所だ。


トレッキングで痛い目にあっているのに、なぜ彼は翌日再びトレッキングをしてしまったのか?

焦っていたのは分かるが、一日くらいのんびりすれば良かったのに。



こうして伊豆敗退記後編「南伊豆歩道トレッキング」の旅へと突入して行った。

当たり前だが、途中で体力がなくなり脱水症状に陥る結果となる。


伊豆のマゾり子、第二章のステージへと続く。



記事が気に入ったら
股旅ベースを "いいね!"
Facebookで更新情報をお届け。

MATATABI BASE

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)




カテゴリー

アーカイブ

おすすめ記事

  1. 上八川川/高知

    四国清流行脚1・上八川川編〜浮かれた漂流者〜
  2. 御池岳/滋賀

    デキる男のビジネス新書〜必殺仕事人のスマートな一日〜
  3. 前穂〜奥穂〜涸沢/長野

    紅葉挟撃作戦1〜岳沢編・快晴奉還への道〜
  4. 板取川/岐阜

    板取事変〜警察のちクレーン時々竜巻〜
  5. 熊野川/三重

    熊野 HomeAgain〜カヌー野郎の原点回帰〜
PAGE TOP