鬼怒川/栃木

爆発大移動の旅1〜鬼怒川編〜

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「あん時のアイツ」シリーズ第15弾。

今回は2010年のGWの「爆発大移動の旅」を、数回に分けてお送りして行こう。

今回は「鬼怒川編」だ。



当時はまだりんたろくんが生後10ヶ月。

嫁も僕も育児に忙殺され続け、ストレスの溜まりっぷりは凄まじいものがあった。

当時はまだ実家暮らしじゃなかったから、とても大変で地獄のような日々。

休日はもちろんの事、一秒と自由になる時間がなくて精神はもはや爆発寸前。


限界点に近づいていた僕は、このままでは気が狂ってしまうと嫁に訴えた。

激しい攻防戦の末、一つだけ権利を勝ち取った。

それは「GWだけは遊びに行ってもよろしい」という権利。

但し、5月5日のりんたろくんの初節句だけは必ず戻って来る事という条件。


独身時代は、GWはガッツリと全ての日を費やして遠くへと旅に出ていた。

しかし5月5日はちょうど中日。

遠出をしても、一回戻ってこないと行けないというハードスケジュール。

こうして僕の「爆発大移動の旅」が始まった。



育児によって溜まりに溜まった放浪マグマ。

それが爆発すると、以下のようなことになる。


愛知県名古屋市を出発。
    ↓
静岡県で山田(仮)と合流。
    ↓
一気に北上し、茨城県の久慈川と那珂川へ。
    ↓
栃木県に移動して鬼怒川カヌーツーリング。
    ↓
静岡県へ南下し、三島で山田と別れる。
    ↓
そのまま伊豆へ移動し、伊豆山稜線トレッキング。
    ↓
さらに南下して南伊豆歩道トレッキング。
    ↓
一気に北上し、山梨県で山田と再合流。
    ↓
そして富士川カヌーツーリング。
    ↓
一気に西へ移動し、岐阜県でりんたろくん初節句。
    ↓
そしてまたしても北上し、長野県北部新潟県県境へ移動。
    ↓
千曲川カヌーツーリング。
    ↓
西へ移動し、斑尾高原トレッキング。
    ↓
一気に南下して上高地トレッキング。
    ↓
高山でサイクリング。
    ↓
岐阜県へ帰宅。


野に放たれた虎のごとく、フルパワーで遊びまくってやった。

一体この人はどんだけ移動してるんだ?


この時の旅を振り返って行くんだけど、「ずっと移動していた」という記憶が色濃くて、あまり多くは覚えていない。

まあ、思い出す範囲で記録して行こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕の中でGWとは、前日の夜から始まるものだと認識している。

仕事が終わってそのまま静岡の山田(仮)邸へ移動。

はっきり言ってそれだけでもしんどいんだが、そこからさらに北上を続ける。

二人で運転を交代しながら、徹夜で移動を続けて遥か茨城県へ。


目指すは茨城県「久慈川」。

この川は以前からずっと行きたかった川で、清流の呼び声高き名川。

一体どれほどの清流っぷりだろう?

これだけの大変な大移動も、その川の美しさによって報われるはずだ。


10時間以上の大移動を経て、やっと「清流・久慈川」へと到達した。

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目を覆いたくなるような光景が眼前に広がった。

関東ではこのような状態の事を「清流」と呼ぶのか?


どうやらここ数日雨が降ったらしく、久慈川は大増水の濁流と化していた。

凄まじく流れも早く、とても下る気にはなれない。


空は霧なのか雲なのか、重々しく覆われてしまっている。

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この時の僕の気持ちがわかるだろうか?

この1年以上、育児によって一切カヌーから離れていた男の、待ちに待った限定カヌー解禁日。

一番楽しみにしていた川に、はるばる大移動の末に辿り着いてこの結果。


しばらく言葉もなくこの「かつて清流だったであろう濁流」を呆然と眺めた。



悲嘆にくれている時間はない。

我々はすぐさま移動を開始して、南にある大河「那珂川」を目指した。

関東のカヌー野郎達のメインゲレンデとして有名なこの川。

しかし行ってみると、この川も濁流と化していて僕をさらに落胆させた。


山田との協議の結果、とりあえずiPhoneで天気予報をチェックして天気の良い方に移動しようということになった。

この時点でカヌーは諦めて「割り切って観光に切り替えるか?」という悲しい空気になっていた。

そこに良い川があればいいが、なければ最悪ただの野郎二人の観光旅行になってしまう。

これだけ我慢を重ねて来たのに、それは厳しい。


さらに西へ西へと大移動。

鬼怒川温泉あたりが天気良さそうだったから、もう温泉に入ろうってことになった。

何も運動していないのに温泉というのも切ないものがあるがしょうがない。


鬼怒川温泉で、無料の混浴露天風呂へ。

ここでささやかな事件が。


大抵混浴だって言っても、こういう所では男ばっかりだ。

しかし湯に浸かっていたら、なんと女の人がスッポンポンで入って来たではないか。

旦那さんと一緒に入って来た40歳くらいの熟女さんだ。


当然マジマジと見てしまえば変態になるので、なんとか視界のはじっこ部分で必死で捉えようとする切ない男心。

顔は見れず年齢も定かではないが、僕はこのシチュエーションに激しく興奮してしまった。

結局僕は諸事の身体的トランスフォームのせいで湯船から出ることが出来なくなって、すっかりのぼせてしまう事となる。

男とは、これだけの事で報われた気になってしまうから救いがない。

多少、気を良くして鬼怒川へ移動した。

カヌーツーリング出来そうかどうかの下見だ。



鬼怒川は全くノーマークの川だった。

激流のイメージが強くて、僕のようなツーリング派には下れない川だと思っていた。


川に着くと、天気は良いんだけど思った通りの激しさが伺える。

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こりゃ無理かなって気がよぎったが、やっぱりここまで来たら下っておきたい。


危険な箇所と危険な箇所の間の、短距離でも良いから漕げる区間を下見した。

どうせ今日はもう時間がないから、じっくりと視察してスタートとゴール地点を確保した。


それにしても結構、この川周辺は雰囲気がよろしい。

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全体に広々としていて、牧歌的な雰囲気がなんとも心地いい。


周辺をプラプラ移動していると不思議な岩壁を発見。

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よく見ると、岩壁に木の扉がついている。

ここに行くにはよじ登って行くしか方法はないだろいうに、とてもミステリーだ。

中にお宝が入っているのか、はたまた由緒ある仏像があるのか、もしくは誰かがエロ本を隠しているのか。

すべては謎だ。


その岩壁の近くにあった民宿で素泊まりの手続きをした。

以前、山田は「無類の漁港好き」と紹介したが、同時に「無類の民宿好き」の一面も持っている。

しかも古びてボロボロの民宿ほど、彼を満足させる。

我々はそこにあった一番安くて、一番ボロい民宿を選んだ。



そのまま民宿でくつろぐような我々ではない。

日が暮れるまでの時間を有効に活用しようという事で、一気に西へ移動。

小学校の時の修学旅行以来の「日光東照宮」だ。

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おっさんになってから、改めて来ると中々面白い。

一番メインの建物が大補修改築中という味気なさもあったが、結構楽しんだ。


懐かしの「見ざる言わざる聞かざる」。

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僕が嫁にいびられてる時に、よくこのような状態になる。


さらに移動は止まらない。

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白糸の滝だね。

これでおおよそ堪能したので、民宿に帰って長過ぎた一日が終わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日。

昨日下見したスタート地点へ。

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普通の民家の裏の農道という、足で稼いだ絶好のスタート地点。

見つかったら怒られるかもしれないというスリルも楽しめる。



そしてやっと出発。

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完全に予定外の川だけど、何はともあれカヌーツーリングが出来る喜び。

大きな建造物もなければ、大きな山もないから空が広い。

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カカシなんかもあって、実にのんびりした良い川じゃないか。

まあ、激流を避けたチキンコースだから当たり前なんだけどね。


なんて思っていたら、だんだん激流になっていった。

陸からは確認出来なかった部分が、中々に賑わっていたのだ。


もうとにかく必死に漕いだ。

当然、その間の写真は撮れてないから紹介しようもない。


激流を漕ぎ抜けた後の写真が、全てを物語る。

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カヌーはすっかり水風呂状態になって、ひっくり返さずとも水が排出されていくほどに浸水している。

普段笑わない山田が良い笑顔をしている事が、難所を漕ぎ抜けた証拠だろう。


後はいつも通り雨雲とのデッドヒート。

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そしてゴール。

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やっぱり写真があまり残ってないから、たいした事も思い出せなかった。

でも印象的には、面白い川だったと記憶している。

こうして鬼怒川ツーリングが終わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして今回「食の寄り道好き」の山田がチョイスしたのは「宇都宮餃子」。

名店「宇都宮みんみん」へ向かった。

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美味いご当地もののメシに関しては、40分待ちの行列も厭わない。

それが山田の生き様だ。

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案の定、美味かった。

といっても、普通の餃子と劇的に違うってわけでもなかった。

要はニラ生産日本一の宇都宮産のニラを使ってるってことなのね。


ご当地グルメを堪能した後は、ご当地ドリンク。

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妙な甘さが魅力の栃木名物「レモン牛乳」だ。

この味覚には、あまり笑わない山田も苦笑いだ。

でも結構、僕はこのチープな甘みが好きだったりする。



こうして、我々は栃木県を後にした。

やがて富士山も見えて来て、再び静岡県へ舞い戻って来た。

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簡単に書いているが、栃木から静岡って相当遠いですよ。


そして山田は用事があるので、三島の駅で降ろして僕は一人になった。


僕はさらに南下して伊豆へ向かった。


さあ、次なるステージは「伊豆山稜線」のトレッキング。

テントを背負っての天城越えチャレンジ。


結果的には天城を越える事もなく、テントを使う事もなかった。

まだ登山慣れしていない頃のへなちょこ体力。


伊豆敗退記第一部「伊豆山稜線」の旅が始まった。



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MATATABI BASE

コメント

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ども!那珂川/鬼怒川は現在の僕のホームゲレンデです。
    全部の写真分かります。
    写真の区間はフルに下れば12キロの区間なのでお写真拝見する限りは下半分の6キロですね。スタート早々にでっかい落ち込みがあってビックリしたでしょ?!

    鬼怒川、那珂川に来るときは言って下さい。ドコでも案内しますよん。

    • yukon780
    • 2012年 2月 23日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    「スタート早々にでっかい落ち込み」って情報がもっと早くに聞けていれば…。
    のんびりツーリストの二人には、少々刺激が強かったですね。
    混浴と同様に。

    当時、鬼怒川を下る予定は全くなかったから、全然情報がなくてまいりました。
    次ぎに行くときはNRSBanditなんで、安心して下れそうです。
    その時は是非是非ご案内宜しくです!

    那珂川もいずれは必ず行こうと思っている川です。
    カヌー野郎と言うからには、外せない川ですね。

    こうして各地にガイドネットワークが出来て行ったら楽しいな。
    那珂川/鬼怒川担当、よろしくお願いします!久慈川も!

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