春日井三山/愛知

まさか三昧〜春日井三山〜

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とあるチームが発足した。


学生時代の友達が、突然Facebook上でグループを作成した。

素人だらけだけど、カヌーや登山の活動をして行こうという主旨で誕生させたようだ。


チーム名は「チーム・マサカズ」。

「まさか」なハプニングを楽しもうという、アウトドアマゾ集団の集まりだ。


言い出しっぺは高校時代からの付き合いのM。

そしてファミリーキャンプの達人小木K(仮名)とカメラ撮影の達人矢作C(仮名)のおぎやはぎコンビ。

そして孤高のマゾピニストの僕というメンバー構成。

今後メンバーが増えて行くかどうかは未定だ。



まず今後の活動の内容を話し合おうという事で、低い里山で軽い登山をしようという事になった。

低山ならりんたろくんを背負って行けるから、僕も参加しやすい。

小木Kも子供を連れて来ると言っている。


そんなチーム・マサカズの第一回目のミーティングの模様を軽く振り返っておこう。


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決行予定日は日曜日だった。

しかし、直前になって小木Kの子供が発熱というアクシデント。

小木K単独での参加となるとその日は無理だという事になり、急遽決行日が土曜日に繰り上がった。

早速「まさか」な展開に翻弄されるチーム・マサカズ。



決行日の土曜日の朝。

チームの発足者、言い出しっぺのMから、悲痛な声で電話がかかって来た。

「すまねぇ。腹を下しちまって参加出来ねえ。ノロか胃腸風邪だ。」


言い出しっぺの「まさか」の戦線離脱。

もっともやる気に溢れていた彼は、前日のFacebookの記事で「小学生が遠足に行くようなワクワク・ソワソワするような感じ。きっと何かハプニングが起きるメンバーなので楽しみです。」とほざいていた。

まさかそんな男が自分でハプニング起こすとは、我々も驚きを禁じ得ない。

まだ何もしていないのに、チーム名に恥じないまさかな展開が続発だ。


後で分かる事だが、どうやら彼は牡蠣を食って当たってしまったようだ。

気の毒だが、今後このブログでは彼の事を「ゲリM」と表記する事にする。


こうしてゲリMのまさかな離脱にもめげず、僕とりんたろくんとおぎやはぎの二人は1回目のミーティングの時を迎えた。

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我々が選んだ山は「春日井三山」と呼ばれる、道樹山・大谷山・弥勒山の三山縦走登山。

低い里山なんで、冬のこの時期でも雪もなくハイキング気分で縦走出来る山だ。

矢作Cは登山経験者だが、小木Kは登山初心者でまだ登山靴も無いのでちょうどいいだろう。


「人が少ない静かな山の中、のんびりと気楽に歩きながら今後を話し合う」が本日の目的だ。



しかし、登り始めから「まさか」な光景が目の前に現れる。

とんでもない数のシニアな登山者が、登山道に溢れ返っている。

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知らない間に、我々は「氷川きよし御園座公演」にでも紛れ込んでしまったのか?

「人が少ない静かな山の中」だったはずが「ドリフの会場の笑い声」を発するシニア達によって登山道が封鎖されている。


この行列の中の人が我々に気づき、追い越せるように皆を登山道の脇へ寄せた。

僕らは、そんな大量のシニア達が作る花道を急いで通過して行く。

予想はしていたが、僕はりんたろくんを背負っているからシニア達が「ワッ」と喜ぶ。

「まあ、かわいい」
「僕ちゃん楽チンね」
「まあ、お年はいくつ」
「私も背負ってもらおうかしら。ギャッハッハ。」etc…

ひたすらシニア達のマシンガンのような銃撃にさらされながら、僕らはうつむきつつ愛想笑いをかましながら進んで行く。

見せ物にでもなったような気分だ。

まさかこんな山で韓流スターの気分が味わえるとは。

さすがはチーム・マサカズだ。

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この登山道。

完全にハイキング・お散歩気分で来た我々に、思いがけないプレゼント。

想像以上の「急登」を延々と続けて来た。

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お散歩道が「まさか」の連続急登。

まだ登山靴も無い小木Kにとっては、「話が違うじゃない」といった世界。

追い打ちは続き、この低山にして「まさか」の雪山。

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ここのところの、まさかの異常寒波によって登山道はどんどん雪に覆われて行く。

僕は事前に小木Kに何が必要かと聞かれ、「気楽なお散歩道だから、適当な運動靴でいいんじゃない?」と言った手前申し訳なさで一杯だ。

彼は登山デビューにして、まさかの「雪山デビュー」となった。

僕があれ程時間をかけ、段階を経て行き着いた雪山童貞喪失だったのに。

とんだおませさんだ。


この「まさか」な寒波はりんたろくんにも忍び寄る。

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今日は嫁に「絶対りんちゃんに寒い思いさせないでよ。風邪ひかせたらあんたのケツ割るよ。」って言われて来ている。

元々ケツは割れているから問題ないが、この寒さは正直とても心配だ。


この後、目を覚ましたりんたろくんの「まさか」の第一声。

「帰る。もう帰る。」


最近めっきり意思表示が出来るようになってお父さんは嬉しい限りだったが、この時の意思表示は実に悲しいものだった。

やはりこの男は登山を楽しんではいなかったのか。

2歳にして、まさかの親離れ宣言。

今まで無理矢理お父さんに連れ出され、今回で13回目のりんたろ登頂記。

しかしそろそろ終わりの時が近づいて来ているようだ。


彼にアウトドアを嫌いになられてしまったら、僕は家庭で完全に孤立し家庭内遭難を起こす。

今後りんたろくんとは慎重に付き合って行こう。


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一つ目の山「道樹山」の登頂を果たし、大谷山を目指す。

下りの雪道は猛烈にツルツル滑る。

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ゲリMは、ある意味牡蠣に当たって良かったかもしれない。

彼は今、社労士の試験に受かる為に猛勉強中のだから、こんな滑りまくる所には来ちゃダメだ。


写真だけ見たら、完全に雪山登山の気配が漂っている。

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ちなみにこのチームはセミプロカメラマンの矢作Cがいるから、このようなスバラシイ写真を撮ってくれる。

いつものように「己撮り」しなくていいから、僕的にはとても楽だ。

出来れば今後僕の旅にカメラマンとして同行して欲しい。

必然的に彼もマゾに巻き込まれる事になるだろうが、頑張っていただきたい。


いつも僕は単独行だから、なんだかんだと仲間がいるとやっぱり楽しいものがあって笑顔も飛び出す。

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彼らを「僕の世界/マゾの世界」に引きずり込んでしまうのは気が引けるが、一度チームを組んだ以上は彼らにも覚悟を強いる事になる。

基本、悪天候ありきで向きあっていただきたい。

そして、追いつめられる程に快感を感じられる人間にまで成長して欲しい。

しかし嫁さんがDSYに豹変したとしても、一切僕は責任は持たない。

この道は、長く険しい道のりなんだ。

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やがて大谷山の頂上へ到達。

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一番左が僕で、ぐったりしているマスクマンがりんたろくん。そして小木Kと矢作Cだ。

僕が最近メガネになってしまったから、見事にメガネ野郎の集まりになってしまった。

ちなみにこの写真は、小柄な矢作Sの必死の背伸びカメラセッティングによって撮影された。

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彼は小柄だが、「まさかな部分」は小柄ではない。

しかしそれは本文とは関係ないので割愛します。


続いて、弥勒山を目指す。

相変わらずのツルツル&急登の「お気楽散歩道」は続く。

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今日に限ってりんたろくん+ザックが妙に重く感じる。

結構というか、かなりしんどいぞ。


そういえば今回は珍しく嫁がお弁当を作ってくれた。

僕だけで行く時はこんな事は無いのにって思いつつも、僕は嫁にとても感謝していた。


しかし渡されたお弁当は「まさか」な量だった。

大人3人分はあろうかという容量で、とても重い。

普段使わない重い魔法瓶に入ったお茶も渡されているから、トータルの重量は結構なものだ。

これは嫁の新しいサド技なのか?


りんたろくんも近頃重量がアップして来ている。

こんな日帰り里山登山なのに、重量は5泊分の縦走装備と変わらない。

皆には悪いが、僕はひっそりと一人ハードマゾを満喫した。


そして三つ目の山、弥勒山山頂へ到達。

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ここで昼メシだ。

しかし山頂は想像を超えた寒さだった。

寒風も吹いてりんたろくんの体温とテンションはみるみる下がって行く。

さっさと食べて即座に下山しないと風邪を引かせてしまう。

でも弁当がとてもサクッと食べられる量じゃない。


本来はのんびりと今後のチームの事等を談笑する場面だったはずが、とてもそんな状況じゃない。

飯を食べ終わった我々は、最短の下山ルートで下山した。


下山時の積雪登山道はかなり恐怖だ。

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当然アイゼンなんか持って来てないし、小木Kにいたっては普通の運動靴だ。

ひたすら慎重に下り、なんとか林道に出た。


子連れスタイルだとシニアな方々から次々声をかけられる。

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シニアに話しかけられ、カメラマンもナイスポーズで撮影して来るから軽くヒーロー気分を味わえる。

そんな浮かれたお父さんをよそに、りんたろくんはウンザリ気味なようだ。

分かったよ、早く帰ろう。


こうしてチーム・マサカズのまさか三昧の第1回登山ミーティングが終わった。

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1回目にして「まさか」が目白押しだったが、今後の彼らの活躍が期待される。

ゲリMが、次回ちゃんと腹を下さずに参加出来るのかも見所だ。


まさか三昧〜春日井三山〜 完


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〜おまけ〜

その日の夜、僕はビビるSと名古屋で飲む約束をしていた。

待ち合わせより早く行ってしまったので、名駅にあるマムートの店を見ていたら良い感じのニット帽があった。

実は今まで使っていた富士山用に買ったニット帽が、洗濯で激しく縮んでしまってチャイナ帽みたいになってしまったからだ。

ニット帽は洗濯しちゃダメだという事を勉強させてもらった。

僕は新しいニット帽を買って、被って来た帽子を袋に入れてそのニット帽を被ってビビるSと合流し和民で飲んだ。

楽しく酒を飲んで、帰路についた。



そして帰りの電車の中で気づく。

和民に帽子を入れた袋を忘れてしまった事を。


被って来た帽子を和民に「まさか」の置き忘れ。

ビビるSにメールを送ったら、彼も「まさか」の「逆の進行方向の電車に乗っていた」ことが発覚。

「まさか」の連鎖が止まらない。



ここまで来たら受けて立ってやる。


今日の登山で疲労が溜まっているさ。

寒波によってどうやら風邪を引いたっぽいし。

そして酒も沢山飲んで、明日は恐らく二日酔いだろう。

しかし男は呟いた。


「明日はがっつり雪山に登ってやろう。」


風邪気味二日酔い野郎の「まさか」の2日連続登山宣言が炸裂した。


男がチョイスした舞台は鈴鹿山脈「藤原岳」。

かつて鈴鹿セブンシリーズ四発目で登場し、リアルな遭難でノックアウト寸前まで追いつめられた因縁の山。

そこをあえて雪山シーズンにリベンジを目指す。


チームのみんなの為に、真の「まさか道」を示す時が来た。

案の定、男は「達成感」ではなく大きな「喪失感」に見舞われる事になった。


まさかというか想定内というか。

男の悲しい旅路は続いて行く。



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